「ぐるっと九州きっぷ」は,JR九州の普通・快速列車が3日間乗り降り自由になるフリーきっぷだ。
- いつでも(通年)買ってつかえる
- 別に特急券を買えば,新幹線と特急列車にも乗れる
という「青春18きっぷ」にはない特長をもっているので,旅とプランの自由度を飛躍的に高めてくれる。
九州地方の特急やローカル線をのりつぶしたかった私は,2024年の春に,「ぐるっと九州きっぷ」を活用して,3日間の鉄道旅を敢行した。
この記事には,九州へのアクセス・きっぷの購入と,3日間の旅のルートをまとめた。
「ぐるっと九州きっぷ」購入|ネット予約が安い
出発地の名古屋から,「のぞみ」に乗って,小倉駅にやってきた。
今回の旅では,小倉駅をスタート地点として,「ぐるっと九州きっぷ」をつかうことにした。
「ぐるっと九州きっぷ」は,JR九州の主要駅窓口で買うことができる。ただし小倉駅は,
- 新幹線:JR西日本
- 在来線:JR九州
のエリアであるため,新幹線窓口で買うことはできない。いったん新幹線改札を出て,在来線の方(JR九州)の有人きっぷうりばへいった。
窓口の駅員さんに「ぐるっと九州きっぷをください」と伝えると,使用開始日を聞かれる。「今日から」とつたえると,この日をふくめて3日間有効の「ぐるっと九州きっぷ」を購入できた。
ちなみに,「ぐるっと九州きっぷ」は,以下のように,ネット購入のほうが1,500円(こどもは850円)安い。
購入方法 | おとな | こども | 有効期間 |
JR九州インターネット列車予約 | 14,300円 | 7,150円 | 3日 |
窓口発売 | 15,800円 | 7,900円 | 3日 |
したがって,旅程が決まっているならネット予約の方が得だ。いずれの購入方法でも,利用開始日の1ヶ月前から購入できる。
きっぷの購入について,くわしくはJR九州のホームページも参照してほしい。このページには,きっぷの効力についても書いてあるので,旅行前に一読しておくことをすすめる。
「ぐるっと九州きっぷ」3日間の旅の行程
1日目:小倉~筑豊エリア~佐賀
小倉からは,筑豊エリアのローカル線をはしる列車で旅した。経路は以下の通り。
発駅 | >>> | 着駅 | 路線 | 列車番号 |
小倉 | 57 | 田川後藤寺 | 日田彦山線 | 953D |
↓ | 1 | |||
田川後藤寺 | 20 | 新飯塚 | 後藤寺線 | 1556D |
↓ | 4 | |||
新飯塚 | 13 | 桂川 | 福北ゆたか線 | 2663H |
↓ | 49 | |||
桂川 | 28 | 原田 | 原田線 | 6629D |
↓ | 20 | |||
原田 | 14 | 鳥栖 | 鹿児島本線 | 2163M |
↓ | 22 | |||
鳥栖 | 35 | 佐賀 | 長崎本線 | 2871M |
筑豊地区のローカル線では,国鉄型の気動車キハ40系が現役で走っている。日田彦山線,後藤寺線,そして原田線を走るキハ40(上表,太字の列車)にのって,ボックスシートから車窓を堪能した。
原田からは,鹿児島・長崎本線をのりついで,佐賀駅まで向かった。初日は佐賀にて宿泊。
2日目:長崎・佐賀エリアを乗破
2日目は,佐賀駅を起点として,佐賀と長崎エリアの路線をのりつぶした。
1) 長崎本線 特急「みどり」|佐賀→佐世保
佐賀駅からは,「ぐるっと九州きっぷ」の特典を生かして,特急列車にのってみた。佐賀駅のマルス(自動券売機)で,自由席特急券(佐賀→早岐)を買った。
乗車したのは,長崎本線を走る特急「みどり7号」だ。JR初期に投入された783系特急電車8両編成での運行。今回は,佐賀→佐世保の区間で,8号車B室のハイデッカー車に乗車した。特急券は佐賀→早岐だが,早岐から佐世保までの区間は,乗車券(今回は「ぐるっと九州きっぷ」)のみで乗車できた。
佐世保駅では,いったん改札を出て,港に停泊していたクルーズ船を見物した。それから,名物の「佐世保バーガー」をテイクアウト。
2) 大村線・長崎本線(新線)|佐世保→長崎
佐世保からは,大村線の区間快速「シーサイドライナー」に乗車した。
本列車は,ディーゼルエレクトリック車両「YC1型」での運行。大村線は,海沿いギリギリの風光明媚な路線だ。大村線を走り終えて,諫早駅に到着すると,列車はそのまま長崎本線を,長崎駅まで快速運転。約2時間弱の旅路。
3) 長崎本線(旧線,長与経由)|長崎→諫早→江北→鳥栖
長崎駅では,のりつぎ時間をつかって,昼食をとった。
そして,こんどは長崎本線の旧線をはしる列車にのり,諫早へとむかい,諫早からは上下分離された長崎本線の列車へとのりついだ。諫早~肥前浜の区間は,電化設備があるにもかかわらず,非電化列車(キハ47)での運行という,ちょっと変わった運行形態となっている。
肥前浜からは,電車を乗り継ぎ,江北経由で鳥栖駅までむかった。
2日目は鳥栖にて宿泊。
3日目:長大幹線で九州を横断
最終日(3日目)は,東西にのびる2つの長大幹線で,九州を横断した。
1) 久大本線特急「ゆふ」|鳥栖→大分
午前中は,鳥栖駅から大分まで,久大本線の特急「ゆふ」に乗車した。
指定席が軒並み満席で,前日に慌てて指定席をとったが,じつはこれらのほとんどがツアー客とおぼしき乗客だった。午前中の「ゆふ」に乗車するなら,指定席でなくて自由席のほうが空いているかもしれない。車両はキハ185系で,この日は5両増結だった。
2) 豊肥本線普通列車|大分→豊後竹田→熊本
お昼前に大分へ到着した。大分駅で軽く昼食をとった。
午後は,大分から,阿蘇を経由して,熊本へとのびる,豊肥本線の旅。
豊肥本線も,久大本線に負けず劣らずの長大路線。今回は普通列車を乗りついで旅した。
第一走者は,キハ200形。豊後竹田までおよそ1時間少々の旅路。豊後竹田駅では,次の列車への乗り継ぎ時間をつかって,駅前の城下町を散策した。
豊後竹田から宮地までは,豊肥本線の最秘境区間。キハ125形のボックスシートで,山深い車窓をながめながら,カルデラをかこむ外輪山へと登り,トンネルを通って,カルデラのなかにある阿蘇市街の中心部へとむかった。
宮地駅では,乗り継ぎ時間で阿蘇神社の二層式楼門を見物してきた。
宮地からは,ふたたびキハ200形2両編成に乗車。
阿蘇の外輪山にかかる急勾配は,スイッチバックで下ってゆく。豊肥本線最大の見所だ。
肥後大津からは電化区間となり,電車にのって熊本まで向かい,豊肥本線の旅はおしまい。
3) 九州新幹線・特急ソニック|熊本→黒崎
熊本に着いた頃には,18時を過ぎていた。
この日の宿を北九州と決めて,
- 九州新幹線800系「つばめ」:熊本→博多
- 883系特急「ソニック」:博多→黒崎
を乗り継いで,旅のラストを飾った。
むすび
以上が3日間の旅の行程だ。
全線乗り放題のフリーきっぷでありながら,特急列車に乗れるのは,やっぱり便利だ。限られた使用期間でも,じゅうぶんに鉄道旅を満喫できた。
こんどは,日豊本線の特急列車や,南九州の路線にも乗りにいきたい。
そのときはまた,このきっぷを使ってもいいかもしれない。
(おわり)
【おのりかえ】
JR四国の乗り放題きっぷ
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