鹿児島から阿蘇経由で北九州・博多を目指す、春の九州自転車旅。
前日に熊本にたどりついた。
【前回記事はこちら】
5日目・6日目でいよいよ旅のメイン・阿蘇の絶景をめぐる!
5日目は熊本からスタート。
ミルクロード経由で大観峰まで登り、阿蘇市内まで走った。
阿蘇の外輪山を尾根づたいに走るミルクロードには、春の枯れ草により生み出された「阿蘇でしか見られない別次元の絶景」が至るところに広がっていた…!
春の阿蘇・ミルクロード
小さい頃家族みんなで阿蘇に行ったことがある(らしい)。
ツーリングの前、「阿蘇に行くんだ」と母に話したらそう言ってくれた。
阿蘇山にある「ミルクロード」や「やまなみハイウェイ」は絶景ドライブロードとして、全国的にも超有名。どうやらそこも行った(らしい)。
しかし、幼かった僕は「阿蘇に行った」という記憶すら曖昧。もちろん絶景だったかなんて全く覚えていなかった。連れて行ってくれた家族には申し訳ない…
(そんなわけで、今回のツーリングはほぼ「はじめての阿蘇」と言い切ってしまってよい)
だから、九州ツーリングの計画を立てたときから「阿蘇だけは絶対行っておきたい」と決めていた。他の場所は多少走れなくてもいいから、天気の良い日に阿蘇を走りちゃんと絶景をこの目に焼き付けることを目標にここまで来た。
熊本市街からミルクロード入口へ
4日目に球磨川沿いを下ってから、右膝の調子が悪かった。
軽く回す分には痛まないのだが、しっかり踏んでしまうと右膝上方内側に鈍痛が走る。そんな状態。
ネットカフェに隣接していたドラッグストアで、液体の湿布を買って寝る前に塗っておいた。
「楽しみにしていた阿蘇、ちゃんと走れますように…!」そう祈りながら眠りについて
翌朝、上熊本のネットカフェを出発。
天気は、晴れ!青空が広がっている!
そして膝の状態は…今のところ悪くない…!
とりあえずセブンイレブンで補給を買い出し。今日は山の中を走るので、気持ち多めに買っておく。
上熊本からミルクロード入口までは20km。
国道57号線と並走する、豊後本線沿いの県道337号_県道30号経由を
20kmおそるおそる走った。
道の駅「大津」|阿蘇の道路状況を確認
県道30号線を抜け、混雑する朝の国道57号に突きあたれば
熊本から阿蘇への絶景ロード「ミルクロード」入口はすぐそこ。
入口すぐ西側にある道の駅「大津」でちょっと休憩。
県道を走っていたとき、出発してすぐにはなかった右膝の鈍痛が復活していた。
そんなわけで、昨夜以来の液体湿布を膝に塗り込む。
これで少しでも楽になればいいかな。
まあ、今日は距離も短いし、登りでムリをしなければなんとかなるだろう。
湿布を塗るために捲り上げたタイツの裾を下ろす。
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写真に写り込んでいるのは「道路情報室」。
阿蘇山周辺の道路は、災害により通行止めになっている区間があるので注意が必要。
画像引用元:asoaccess.pdf|阿蘇市ホームページ
たとえばこの先の国道57号線は、8km先で通行止めになっていて阿蘇市内・大観峰へは抜けることができなかった(長陽大橋を通って高森・南阿蘇村方面へは、通行可能)
現在、国道57号線は復旧を進めているそうだが、開通にはもう少し時間がかかりそうだ。
幸い、阿蘇・大分方面へのもう一つのルート
県道339号(通称:ミルクロード)と接続する県道12号は通行可能。
阿蘇へのアクセスについてはこちらも参照>>>道路情報ー阿蘇市ホームページ
ルートとしては県道の方が国道よりも古いらしい。県道は遙か昔は街道だったそう(後述)。道路情報室には「迂回ルートとして旧街道の県道を残しておいて正解だった…」的な文言も書かれていた。災害によって新しい国道が被害を受け、古い県道が被災を免れるなんてことは、災害が起こらないときは考えづらいけど、実際は十分に起こりうるのだ。
何事もバックアップは大事。
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道路情報室で状況をしっかり確認してから、道の駅にある試食を食べる。
なぜかここの道の駅には、大量の試食があった(お菓子関連)
甘いものが多くて、ミルクロード登坂前にいいエネルギー補給になった。
交通量が多いミルクロード序盤~二重峠
太陽がすっかり高くなった。
道の駅でネックウォーマーを外してから出発。
いよいよ「ミルクロード」のスタート。
どんな絶景が待っているんだろう・・・と期待をしながら走り始めた。
が、序盤は大型車にビビりながらの登坂となった。。。おかしいなあ・・・?
先ほど書いたとおり、阿蘇市内北側へのアクセスルート・国道57号線が通行止め。
こちらの県道(ミルクロード)が国道の迂回路となってしまっている。
普段なら幅の広い国道を走るであろう、大型ダンプやトラックが狭い県道をバンバン走っている…(汗)
しかも阿蘇外輪山の尾根まではひたすら登り。
膝のようすを窺いながらタラタラ走る僕は、大型車の風圧に何度もめげそうになった。
しかし、この先には必ず絶景が待っている!
そう言い聞かせて辛抱強く登った。
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ゆるやかな登りをなんとかかんとかパスして、県道23号線の分岐までやってきた。
ミルクロードを迂回してきた大型車は、ここで次々と阿蘇方面へ右折していった。
やった・・・やったぞ!
これで大型車の数も少なくなるに違いない!
大観峰・くじゅう方面へ直進。
簡易トイレで用を足してから、参勤交代の旧跡が残る「二重の峠石畳」へ走り出す。
交差点を過ぎたところから強烈な登り(しかもヘアピンカーブ)
かなりの斜度だ・・・大荷物の僕はゆっくりゆっくり登る
どうやら県道23との分岐点から本格的な「絶景のミルクロード」がはじまるみたいだ。
絶景があるところには、当然上り坂がある。
斜度がキツくなるわけだ。
ミルクロード序盤の見所「二重の峠石畳」に到着。
先述した「旧街道」、つまりここは昔人々が歩いて通る主要街道だったわけだ。
写真にもあるとおり、二重の峠石畳はかつての「参勤交代の道」の名残。
峠道が少しでも歩きやすくなるように、石畳が敷き詰められた形になっている。
自転車を置いて、下り坂になっている石畳の峠道へ降りていく…
すんごい景色だ。
街を見下ろすとかなりの高度感を感じる。
ここへ来てようやく、自分が「登りをこなしてきた」ことを実感した。
下にある街へ一直線に続いているかのような石畳の道を、クリートで滑らないよう慎重に歩いて行く。
踊り場のようなところまできた。
視界が一気にぶわっと開けた!阿蘇五岳を中心に置いた大パノラマ!
(いよいよ阿蘇が本領を発揮してきたな・・・)
地形のせいなのか複雑に吹き上げてくる風に身体を預けながら、大パノラマをひとりでしばらく眺めていた。
ミルクロードに入ったときは曇りがちだった空も、再び晴れ渡っている。
青空と枯れ草、そして所々に露出している岩盤のコントラスト。
序盤から絶景に感動。
急坂を登り、阿蘇外輪山の尾根を快走!
二重の峠から、ミルクロードは次々と絶景を繰り出してくるようになった。
坂は相変わらずキツいけれど、そのつらさに勝るような景色が連続して広がっている。
このミルクロードは、阿蘇のカルデラ地形の外側(外輪山)を横から登って、真上を走るルート。
(つまり尾根の上まで登ってしまえば、多少は斜度が緩くなるルート)
周囲の平地より高くなっていて、両側には常に大草原(春は枯れ草)が広がっている。
まるでどこか外国の高原を走っているかのような錯覚を覚える(走ったことはないけど)
こういう大パノラマは北海道にたくさんあったけど、それともまた別物な雰囲気。
北海道のそれは、地平線が見えるような平原。
ミルクロードは高原のでこぼこした丘陵地帯をアップ、ダウンで走り抜けていく。
だから、飽きが来ない。
視界から車が消えるタイミングには、まるで原っぱを一人別の次元に入って走っているかのような世界観。
目前の阿蘇五岳、両側の枯れ草、そこを縫うように走るミルクロード。
走りながらもう感動しまくりだった。
途中にあった横道。
ここはアメリカ?(あそです)
ジャリ道が向こうの山に向かって豪快に続く景色。
もちろん家なんて見当たらなかった。
登り勾配がゆるやかになり、尾根の上まで来た。
ここら辺は高原地帯と同じく、道沿いに牧場が点在していた。
牧歌的な風景。ハイジとか普通にいてもおかしくない
ここはアルプス?(あそです)
牛さんにさよならして、尾根づたいを快走。
この日初めての下り坂が、上り坂と交互に現れるようになった。
膝の調子もだいぶ良くなった(しっぷが効いてきたのか?)
踏みすぎない程度で、下りを飛ばしていく。
気持ちいい…!最高である。
大観峰まであと10kmを切ったところだったか、そのくらいの場所に展望台を発見。
道の駅のようなところだった(かぶと岩展望所)
道路を挟んで展望台とレストラン・トイレ・駐車場があった。
この日は風が強くて、しかもミルクロードは標高が高いから
身体が冷え切っていた。
温かさを求めてとりあえず店内に駆け込む。
入店即くまモン
熊本県の道の駅にはだいたいくまモンがいる。
この小銭入れめっちゃ欲しかった(買わなかったことを記事を書きながら後悔してる)
ストーブで温まったら展望台の方へ出てみた。
外輪山の真上にあるこの展望台からは、阿蘇五岳とカルデラ地形がよく見える。
ここまで登ってくると「自分が今、カルデラ地形の外縁にいるんだなあ」と強く実感できる。
高校地理の教科書で見たカルデラ地形も、実際に見るとすごい迫力。
火山のパワーを生身で感じる。
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それにしても寒い!
道路沿いの標識には「2℃」の文字。
吹きさらしの尾根には常に強風が吹いていたから、体感温度は氷点下ぐらいだ。。。
景色をある程度見たら、さっさと自転車のあるレストランの方へ戻って補給を食べた。
大観峰まであと少し。
圧巻の大観峰&阿蘇市内へのダウンヒル
最後まで絶景のミルクロード
展望台を出発、時間は正午過ぎ。
お腹も空いてきたし、大観峰であたたかいうどんでも食べたい。
そう思っても、まだまだ素通りできない景色が続く。
菊池方面からの「阿蘇スカイライン」との合流地点付近、北山レストラン横の展望台。
阿蘇五岳、カッコイイ。
あぁ・・・カメラが捗る・・・!
(このあと愛車は強風に煽られてバッタリ(^_^;)ごめんな~)
ちなみに北山レストランでも食事ができる(僕が訪問したときは混雑していたので、大観峰で食事を取ることにした)
大観峰までの間にも、車がまったくいないシーンが何度かあった。
その瞬間は、風の音と心臓の鼓動しか聞えなくなる。自転車で山の中を走っているときの、この瞬間が好き。
大観峰に到着!
絶景絶景、また絶景・・・のミルクロードを走り終えて大観峰に到着!
展望台・レストハウス併設。充実設備。ひさしぶりに人がたくさんいる環境に戻ってきた。
この石碑があるところからは、今日イチバンの景色を楽しめた。
なんだか写真ばかりになってしまっている(語彙力がナイ)
言葉では言い表せない、ということにしておく。
石碑のある展望所から、レストハウス側の景色はこんなの。
背後の山は阿蘇五岳、ではなく「くじゅう連山」で、あの山の向こうには湯布院・別府がある。
6日目に走る絶景ロード「やまなみハイウェイ」は、くじゅう連山のあたりを越えて行くことになる。あのデカい山を越えるなんて、我ながらスゴい。
あっちもこっちも山だらけ、九州にいると常に山に囲まれている気がする。
大観峰にあるレストハウス(大観峯茶屋)まで戻って、あたたかいうどんをいただいた。
ちょっと遅めの昼食、肉うどん美味い!
出発前に阿蘇五岳をバックに一枚。
大観峰も本当に良い景色で、離れるのが名残惜しかった。
R212を阿蘇市内へダウンヒル
大観峰から東へ進めば、そのままやまなみハイウェイに進める。
しかし今回は膝の調子も考えて、一度阿蘇市内へ下って1泊することにした。
さっき通ってきたミルクロードを戻り、県道12号(阿蘇スカイライン_ミルクロード)と国道212号(阿蘇市街地方面)の分岐を、阿蘇方面へ折れる。
丁字路を右折するとダウンヒルが始まる。
このダウンヒル、ただのダウンヒルではなく
「阿蘇外輪山をカルデラの中へ下っていく」ダウンヒルなのである。
だから、下っている途中でも背後には絶景
絶景
う~ん絶景
とにかく、スケールがデカい。
ここまで何百㌔、何千㌔と走ってきた貫禄ある自転車も
阿蘇に来てしまえば、めちゃくちゃちっぽけな物体に見えてしまう。
そのくらい外輪山は大きくて、険しかった。
阿蘇市内へだいぶ近づいた。
明日も阿蘇五岳を見ながら山を登ることに変わりはないけど、でもなんだかこのまま下っていくのが惜しいようなそんな景色が連続する。
しばらく写真を撮りながら、阿蘇五岳を眺め続けた。
ホントに、かっこよかった。学生時代に来て良かった。
山が間近に迫る阿蘇市街
R212を下りきり、田園の中の直線道路に入った。
外輪山からの阿蘇山もスゴかったけど、カルデラの内側から仰ぎ見る阿蘇山はもっともっとスゴい。
山にびしっびしっと入る稜線が、この距離だとクッキリと見える。
シャキッとした山の形が好きだ。
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阿蘇市内中心部まで来た。
本日は阿蘇市内のゲストハウスに宿泊することになっている。
中心部にあるJR阿蘇駅。災害の影響により、不通となっている区間があって暫定的な終点駅となっている。
駅に隣接する道の駅には、地元でつくったお総菜やお弁当・野菜などさまざまな産品が売られている。かなり充実の品揃えだった。
適当に駅前などをぶらぶらし、チェックイン時刻1時間半ほど前になって温泉へ向かった。
今日はかんぽの宿日帰り入浴。
初春の大感謝フェアをやっていた!
安く入浴できて大きい浴槽があるかんぽの宿の日帰り入浴は、銭湯のない地域では重宝する。
今日の登坂ですっかりくたびれた脚を、思いっきり伸ばして癒やした。
晩ごはんも外で食べてから宿へ向かうことに。
風呂と宿の間にあるお店の中からこちらをチョイス。
「みはる食堂」
いわゆる町の食堂、店内はセンスのあるBGM(ちょっと昔の歌謡曲)が流れていて、大きな土管を半分に割って置いたような円い天井をしている、雰囲気がいい。
おすすめだった「ホルモン定食」を食べてみる。
これが美味かった…!
ホルモン炒めが出てくるのかと思ったら、なんとホルモンの煮付けだった。
こんにゃくとホルモンを味噌で煮込んだ、ごはんの進む絶品おかず。
ちなみにごはんのおかわりは無料だったので、遠慮なくおかわりさせていただいた。
優しそうな店主とその息子さんだろうか?若い男性が切り盛りしている、すばらしいお店でした。ごちそうさまでした。
そのあと、宿まで走ってチェックイン。
ランドリーを回して今日はおしまい。
まとめ:学生時代に行けてよかった阿蘇
以上、ミルクロードから大観峰へ阿蘇の外輪山を走った記録。
阿蘇外輪山の尾根づたいに走っているときは、右も左も絶景続きで
それを見ながらのほどよいアップダウンが本当に楽しかった。
自然の素晴らしさを改めて感じたライドとなった。学生時代に行けて本当によかったと思っている。
今度は緑の美しい時期にも行ってみたい。
【ざっくり走行データ】
翌日は、忘れちゃ行けないもう一つの絶景ロード「やまなみハイウェイ」を走り抜け、いよいよ別府まで向かいます。お楽しみに。