九大本線特急「ゆふ1号」5両増結編成の指定席 乗車記|鳥栖→大分

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「ぐるっと九州きっぷ」の旅3日目。きっぷ有効期限最終日ということで,未乗路線である久大本線・豊肥本線をのりつぶすことにした。午前中は,鳥栖駅から「特急ゆふ1号」に乗車し,久大本線まわりで大分まで行くことにした。

九州を横断する久大本線と豊肥本線は,長大幹線であるにもかかわらず,途中,普通列車の本数がすくない区間がある。それゆえ,これらを1日で乗破するには,どちらかの区間で特急にのるのが賢明だ。

今回は,豊肥本線の途中駅である豊後竹田駅で途中下車して,散策することを考えていた。久大本線沿線の観光地(由布院・別府)については,過去のツーリングで観光していたので,ここは列車でのりつぶせばいいと思った。それゆえ,久大本線は特急で一気に乗ってしまうことにしたのだ。

九大本線の2つの特急列車

九大本線を走る定期の特急列車には,主に2つの列車がある。

1つは,「ゆふいんの森」号で,この列車にはキハ71系気動車が充当される。グリーンの車体に,ハイデッカーの座席,車内にはビュッフェもあったりと,「乗車すること」そのものに楽しみを見出そうとする,観光客(乗り鉄)むけの列車だ。観光色のつよい列車ゆえ,座席の人気も高いようで,今回の旅では指定席を取れなかった。

もう1つは,今回乗車した「ゆふ」号で,こちらには国鉄型のキハ185系気動車が充当される。「ゆふいんの森」号の指定席をとれない場合,こちらに乗ることになる。「ゆふいんの森」とはちがい,自由席も設定された特急列車である。

特急「ゆふ」の運行ルートが示す主要ターゲット

特急「ゆふ」は,博多~大分・別府を,久大本線まわりでむすぶ特急列車だ。

特急「ゆふいんの森」「ゆふ」運行区間(出典:JR九州ホームページ|https://www.jrkyushu.co.jp/trains/yufuinnomori/

単に,博多~大分・別府間を移動するのであれば,日豊本線まわりの特急「ソニック」のほうが速い。また,同様にして,鹿児島本線:博多~久留米から大分・別府までは,九州新幹線→ソニックとのりつぐほうが,列車の本数が多く,快適に移動できる。たとえば,久留米~大分を移動する場合,乗換案内では,博多まわりのルートが,久大本線経由より上に表示される。

久大本線の主要駅として,豊後森・日田・由布院駅があり,末端駅(久留米・久留米大学前)などをのぞけば,乗降客が比較的多い駅といえる。

今回は,「下り」,つまり博多・久留米→大分・別府方向へと乗車する。この「下り」の「ゆふ」に乗車する乗客は,

  1. 博多・鳥栖・久留米など鹿児島本線の主要駅から,久大本線の大分以西(豊後森・日田・由布院)へ移動
  2. 久大本線の主要駅から,大分・別府への移動

を目的としていると考えられる。要するに,「ゆふ」で博多・鳥栖・久留米から大分・別府まで乗りとおすのは少数派ということだ。

さらに,久大本線の主要駅のうち,由布院駅が群を抜いて著名な観光地であることから,上記1および2の乗客は,

a. 由布院まで(から)の観光客
b. それ以外の駅=地元の利用客

に大別できる。繁忙期には,乗客のうち大半が観光客,おそらく,a >> bという状態にとなると考えられる。このことは重要な観点なので,ここで強調しておく。

特急「ゆふ1号」指定席は大盛況

5両増結編成の「ゆふ」

そんな「下り」の「ゆふ」号のなかでも,今回は「ゆふ1号」に鳥栖駅から乗車した。

81D 特急「ゆふ1号」別府ゆき
鳥栖0815 >>> 大分1049

鳥栖駅の電光掲示板。
乗車駅である鳥栖駅の電光掲示板。今回乗車する九大本線のほか,長崎本線・佐世保線と鹿児島本線も乗り入れる主要駅。

「ゆふ1号」は,博多駅を朝7:43に出発する。そして,久大本線を走り,10時ごろ,主要観光地である由布院駅に到着する。そういうわけで,博多から湯布院へとむかう観光客にはぴったりの列車だ。

この日は,春分の日ということで,「ゆふ1号」は5両編成でやってきた。通常期は2両や3両といった短編成で運行されることが多いようなので,この日は「増結」編成であるといえる。

特急ゆふ号に使用されるキハ185系気動車。
博多からやってきたキハ185系「特急ゆふ1号」。ここから久留米へと走り,久大本線まわりで由布院・大分までむかう。

このうち,指定席は3両であったように記憶している。つまり,指定席の方が,自由席よりも多かった。

「ゆふ1号」指定席はほぼ満席!

「ゆふ1号」に乗車することは,前日には決めていた。しかし,前日の昼ごろ,マルスで指定席の空席を確認すると,窓側で空いているのは大分方先頭車の一番前の座席のみだった。ほかの座席は軒並み満席。おそらく,この一席も,なんらかの都合で,直前にキャンセルされたと思われる,そのような混雑具合だった。

指定席号車が多い列車の場合,このような状況であると,自由席で着席できるか,非常に心配になる。

たとえば,東海道新幹線「のぞみ」は,16両編成のうち,自由席3両<指定席13両で,指定席車両の方が圧倒的に多い。それゆえ,乗車前にきっぷを買う際,「指定席がほとんど埋まっている」状態であると,(始発駅から乗車するのでないかぎり)自由席には座れないと考えるのがふつうだ。

そういうわけで,乗車前日に,上記のような「乗客数の偏り」を考慮せずに,あわててこの「残り1席」を抑えたのだった。

私の乗車した鳥栖駅到着時点で,予約状況通り,指定席号車はほとんど満席だった。当然,私が予約した窓側座席の通路側にも,乗客が座っていた。おそらく,お隣の国からの観光客で,申し訳なさげに座席へと通してもらった。

キハ185系の座席は,古いわりにはゆったりしていて,まずまず快適だった。のだけれど,…車内全体がほぼ満席に近い,しかも,観光客が多く,全体的にざわざわしていた。大きなキャリーバッグが荷棚や座席付近にあった。総じて,落ち着いて「乗り鉄」できる車内ではなかった。

由布院で指定席客の9割が下車

鳥栖から2時間弱乗車し,ようやく由布院駅に到着すると,なんと車内の9割近くの乗客が下車していった。上記のように考え詰めていなかったものの,ある程度「由布院で降りるだろうな~」とは予想していた。それが,ここまでハッキリした形でガラガラになると,なんだか逆に拍子抜けした。

由布院からは,(まだ午前中だったこともあって)乗客はわずかだった。降車客の10%くらいが乗車してきたにすぎなかっただろう。

ようやく通路側が空いたので,遠慮することなく,最後尾号車までようすを見に行ってみた。すると,自由席は,先頭の指定席と同じような状況だった。つまり,自由席もガラガラだった。由布院から大分・別府への利用客は,(午前中の「ゆふ1号」の場合は)かなり少ないようだった。

「ゆふ1号」は,豊後森駅での行き合い列車遅れの影響により,定刻よりすこし遅れて大分駅に到着した。私はここから豊肥本線へとのりつぐので,ここで指定席とは別れて,終点の別府へ向かう列車を見送った。

特急「ゆふ」は自由席の方が快適かも

さて,上記のような車内の状況から,特急「ゆふ」では,たとえ指定席が満席(もしくはそれに近い状況)であったとしても,自由席のほうが(相対的に)空いていて快適だったと推察される。

その理由として,この線区(特に博多~由布院)の指定席が,あきらかに「インバウンドの観光客」をメインターゲットにしていることが挙げられる。特に,この日のような繁忙期の場合は,それが顕著になる。

つまり,

「乗りなれた地元客・マニア(自由席でよい) << インバウンドの観光客(ツアーなどで座席購入=指定席中心)」

という状況になっていたと思われる。

私のように,途中駅である鳥栖駅や,久留米駅から「ゆふ」に乗車するならまだしも,博多駅(始発駅)から乗車する場合は,出発より十分前に並んでおけば,まず間違いなく自由席にありつけ,もしかすると指定席より空いている車内で快適にすごせるかもしれない,と推察される。

実際ネット上では,「ゆふ」の指定席は自由席よりも混雑している,というレポートを見かけた1

ただし,列車の混雑具合というのは水物で,時期や列車の運行状況,イベントの有無によって大きく変わる。「この記事を読んで自由席にのったら混んでいた!」という可能性もゼロではないので,その点はご自身の責任でどうぞ。

座席の混雑状況というドライな面にスポットを当てて書いてきたけれども,久大本線の車窓自体は,玖珠川の雄大な流れや九州山地の山なみをみられて,じゅうぶんよかった。

次は,「ゆふ」の自由席か,もしくは早めに「ゆふいんの森」指定席をゲットして,もっとゆっくり車窓を堪能したい。

大分駅では,豊肥本線の普通列車が,遅れた「ゆふ」と接続をとってくれていた。のりつげないことはなかったが,もう1本後の普通列車でも,熊本までのりつげることは調査済みだった。なので,大分では,1本普通列車を見送り,昼を食べてから改めて豊肥本線の旅へと向かうこととした。

大分駅に停車中の815系。

(つづく)

豊肥本線 キハ200形の旅 大分→豊後竹田|竹田のまちを散策
豊肥本線キハ200形普通列車で大分から豊後竹田へとむかった。のりつぎ時間をつかって,竹田のまちを散策した。
  1. https://ameblo.jp/sotaszk/entry-12798524067.html ↩︎
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