JR九州783系特急「みどり7号」佐賀→佐世保

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「ぐるっと九州きっぷ」の旅2日目。この日の出発地は佐賀。まずは,783系特急「みどり」の自由席に乗って,佐賀から佐世保へむかった。8両つないだ編成のうち,1両半室には,車窓をより楽しめる「ハイデッカー」型の自由席があった。JR初期型の雰囲気を感じる乗りトク列車だった。

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8両ぜんぶが「みどり」の783系

「ぐるっと九州きっぷ」の旅,2日目。春分の日。

佐賀駅北のアパホテルを出て,佐賀駅のマルスで,佐賀→早岐の自由席特急券を買った。特急「みどり」に乗るためだ。「ぐるっと九州きっぷ」は,特急券をべつに買えば,特急列車の自由席にも乗れる。

特急「みどり」は,鹿児島本線・博多から鳥栖まで走り,そこから長崎本線・佐世保線を経由して,佐世保まで走る。このうち,末端区間の早岐~佐世保間には,特急券なしで乗車できる。券売機できっぷを買うときも,この区間の特急券が不要であることを案内してくれる。

佐賀→早岐のB特急券。自由席は1000円だ。

「みどり7号」の発車時刻まで時間があったので,佐賀駅のコンコースにあるパン屋「SUMOMO BAKERY」で,クロワッサンとバターシュガーくるみパンを頂いた。

佐賀から乗車するのは,

4007M 特急みどり7号
佐賀815 >>> 佐世保927

佐世保までは1時間少々の旅だ。

前日,鳥栖駅でみかけたように,「みどり」といえば,「ハウステンボス」と併結し,4両編成ずつで走っているイメージがあった。

先頭車は座席面が高い

しかし,「みどり7号」は,783系8両全部が「みどり」でやってきた。うしろ半分が「みどり」編成,まえ半分がオレンジ色の「ハウステンボス」用編成なのだが,列車としては「みどり」単独編成である。

この783系における特徴として,各号車が「A室」と「B室」とに分かれていることがある。各車のドアは,車両中央についている。

「みどり7号」8両編成の自由席は,3号車B室・4号車・7号車・8号車の3.5両。グリーン車は1号車A室と5号車B室で,のこりの3.5両分は指定席だった。今回は,一番後ろの8号車自由席「B室」にのってみた。

さて,8号車B室の車内はこんな感じ。写真下のほうに目を向けると,グリーンのじゅうたん敷きの床のうち,座席のほうが一段高いことがわかる。つまり,この8号車は,座席位置が高い「ハイデッカー仕様」になっているのだ。

783系のなかでも,上り方先頭車(クモハ783形)のB室および下り方先頭車(クロハ782形)A室,すなわち先頭車における運転室寄りの半室のみにて,このように座席が高くなっているようだ。ちなみに,窓の高さも,20㎝上方へオフセットされているらしい1。いずれも,眺望を確保するためのくふうといえる。

このうち,下り(博多方)先頭車運転室側の半室(5号車A室)は,グリーン車だった。つまり,783系の普通車自由席では,8号車B室のみが,ハイデッカー車両なのだ。

東海地区在住の私が,この構造をみて思いつくのが,JR東海キハ85系気動車だ。かつては,高山本線「ひだ」および紀勢本線「南紀」として運用されていたが,現在はHC85系にその座をゆずり,京都丹後鉄道へ譲渡されている。同車両は,観光路線である高山本線・紀勢本線の眺望を確保するべく,座席の床がかさあげされていた。783系と異なるのは,編成を通じて,すべての座席で,かさ上げがなされていたことだ。

とはいえ,同じような設計思想が見られることにはちがいない。いずれの形式も,JR初期に製造され,まだほんのりと国鉄の香りをのこす形式である。上の写真から,電光掲示板や車内のふんいきも,なんとなくそのような感じがみられるのではないだろうか。

長閑な田園風景を経て,早岐で方向転換

自由席はガラガラで,8号車B室には,自分のほか1組しか乗っていなかった。

車窓は長閑のどかな田園風景が中心。田んぼや林,小山など,列車名にふさわしく,「みどり」な風景が広がっていた。

途中の江北こうほく駅からは,長崎本線と別れ,佐世保線へと入った。「江北」という駅名には,耳馴染みがなかったが,もともとは「肥前山口」という駅だったようだ。肥前山口といえば,JR最長片道切符の終着駅として有名。西九州新幹線の開業で,改称とともに,最長片道切符終着駅の座からも降りることとなった。

次の武雄温泉と有田との間で,885系とすれ違った。時刻表を確認すると,佐世保線を江北方面へ走る「みどり10号」のようだった。「みどり」には,このように,783系のみならず,885系も充当されているようだ。当該列車には,時刻表にて『「白いみどり」で運転』との但し書きがなされている2

早岐はいき駅までは,およそ1時間弱で到着。早岐では8分停車する。この間,運転士が最後尾車両にやってくる。そして,「みどり」は方向転換して,佐世保線に入る。すなわち,これまで最後尾だった8号車B室が,こんどは先頭車となる。最後尾の座席を回転すれば,前面展望を楽しめるわけだ。反対側の番線に停車している「みどり16号」3を横目にみながら,出発。

早岐から終点の佐世保までは,わずか3駅。11分で到着する。この11分のために,早岐駅では8分停車するわけだ。

なお,上述のように,早岐=佐世保間の特急には,乗車券のみで普通車自由席に乗車できる。この日も,鉄道マニアと思しき少年が,8号車B室に乗ってきて,座席を回転し,座っていた。おそらく,青春18きっぷでのっているのだろう。

JR最西端の駅・佐世保駅

佐世保駅には,定刻通り到着した。佐賀から1時間と12分。佐世保駅は,立派な高架駅だ。当駅は,JRグループ最西端の駅であり,終着駅でもある。以下の写真左側に見えているのが「松浦鉄道」で,かつてはJR線だったそうだが,現在は,経営移管された4

そしてここまで乗車したのは,783系「CM11編成」。上述のように,JR初期に製造された特急列車であり,眺望を確保するためのスラントノーズの前面は,JR東海 キハ85系気動車と似ている。あまり速そうでなくて,好みの顔ではないが,メタリックな色は好きだ。

博多側に連結されている「ハウステンボス」編成(CM21編成)の顔は,次の写真のようになっている。JR九州らしく,装飾の多い顔だ。

ここまで走って来た8両編成の「みどり」は,同様にして,「みどり20号」として折り返すと思われ,車内ではその準備が行われていた。佐世保駅のホームは数が多く,車庫に入らずとも落ち着いて折り返し作業ができるようだ。

ひとしきり783系を眺めてから,いったん改札をでた。

佐世保からの旅程は,以下の通りとし,長崎地区のJR線を(西九州新幹線を除き)乗破することにした。

  • 佐世保線・大村線・長崎本線(市布経由):佐世保→早岐→諫早→長崎
  • 長崎本線(長与経由):長崎→諫早→肥前浜→江北→鳥栖

この地区は,長崎本線の新旧二線があるのと,諫早~肥前浜間の本数が少ないのとで,旅程を組むのに難儀した。

佐世保から,まずは,早岐経由で,大村線を諫早まで走り,それから長崎まで至る「区間快速シーサイドライナー」に乗るのだが,長崎からの列車を考えると,佐世保で間髪を入れずのりつぐ必要はなかった。なので,佐世保でいったん途中下車して,港で時間をつぶすことにした。

長くなってきたので,つづきは次回。

(つづく)

  1. JR九州783系電車 – Wikipedia [Access: 2024.4.10] ↩︎
  2. 似たような例として,日豊本線特急「ソニック」には,883系と885系の2種類が割り当てられており,大分駅などの主要駅案内表示器では「青いソニック」「白いソニック」の表記を見ることができる。時刻表では,885系を例外として,『「白いソニック」で運転』と書かれる。「ソニック」でも「みどり」でも,885系が例外としてあつかわれている。885系は,九州の特急型のなかでもっとも好きな車両なのだが,「かもめ」での定期運用が無くなったことで,やや影が薄くなったのがさびしい。 ↩︎
  3. これも885系「白いみどり」だった。 ↩︎
  4. 佐世保駅 – Wikipedia [Access: 2024.4.11] ↩︎
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