【JO】横須賀線・総武線直通列車で成田空港へ

6月最初の日曜日。前週に引き続き,「のんびりホリデーSuicaパス」をつかった日帰り旅に出た。

このきっぷは,千葉方面だと,成田空港まで行くことができる。飛行機に乗る用事はないにもかかわらず,電車で成田空港まで行ってみることにした。往路は,横須賀線から総武線および成田線を直通する普通列車に乗車した。

今回の旅のルート

「のんりびホリデーSuicaパス」

「のんびりホリデーSuicaパス」については,前回の記事にまとめた。

参考記事 のんびりホリデーSuicaパスの旅~武蔵・多摩 編

要約すると,2,670円で首都圏のJR線を乗り回すことができるきっぷである。特筆すべきは,Suicaアプリで購入したうえで,モバイルSuicaに紐づけられること。これにより,いつもの移動と同じようにして,「乗り鉄」旅を楽しめる。

このきっぷで乗車できる範囲の一部を抜粋して示す。

「のんびりホリデーSuicaパス」乗車範囲(一部抜粋)。今回は,青色で示している区間に乗車した(おトクなきっぷ:JR東日本より作成)。

せっかくフリーきっぷを使うのであれば,できるだけ遠くまで行ってみたい。前週は,武蔵・多摩方面へ行った。駅までむかうバスのなかで,上図を見ながら,東のほうへと目をつけた。東京からさらに東へ…おっ「成田空港」。これは面白そうだ。

横須賀線・総武本線・成田線・空港支線を直通

ということで,今回の旅では,図中に青色に示している区間を旅することにした。上図に示した区間は,厳密にいうと

逗子→(横須賀線)→東京→(総武線快速)→千葉→(総武本線)→佐倉→(成田線)→成田→(空港支線)→成田空港(成田第1ターミナル)

と,いくつもの路線を含んでいる。

そうはいっても,これらの路線それぞれを別々の電車が走っているわけではない。ここは首都圏,直通運転や相互乗り入れが当たり前の場所だ。この辺のことは,最近の出張記でなんども書いている。

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この区間も例外ではなく,横須賀線の久里浜・逗子から,成田空港まで直通する電車が走っている。つまり,上記の区間は,以下

久里浜・逗子→(普通 成田空港ゆき)→成田空港

に示すように略記できる。こうした長距離列車は,フリーきっぷだからこそ乗りたくなる,言い換えれば,「乗り甲斐」のある列車だ。

ちなみに上記区間の距離は136 km。正規運賃は2,310円で,片道だけで,「のんびりホリデーSuicaパス」(2,670円)のほとんど元がとれてしまう。

横須賀・総武線の旅

横須賀線・逗子から出発

ということで,横須賀線の逗子駅から出発。

1114 逗子 発の普通 成田空港ゆきだ。終点の成田空港には1343に到着する。所要2時間半以上,時間だけみれば,特急列車や新幹線と肩を並べる本格的な列車旅だ。

久里浜方からやってきた列車は,逗子駅へ早めに入線した。これは,逗子駅にて,後ろ4両を増結するためだ。横須賀線の列車は,時間帯や行先に応じて,11両編成もしくは15両編成で運転される。15両への増結(下りでは11両への減車)は,基本的に逗子駅にて行われる。

増結車両を待つ駅員さん。横須賀線の電車は,このようにして,逗子駅にて増結されることが多い。

連結作業は,駅員によってスムーズに行われた。逗子駅からは,増結編成に多くのお客さんが乗り込んでいった。

成田空港まで2時間半も乗車するので,グリーン券を買ってグリーン車に乗り込んだ。距離は100 km以上あるので,グリーン券の料金は1,550円だった。

乗車距離Suicaグリーン料金
50 kmまで750円
100 kmまで1,000円
101 km以上1,550円
表:普通列車グリーン車の料金(参考:料金・きっぷ>普通列車グリーン車:JR東日本

このように「のんびりホリデーSuicaパス」は,別途グリーン券を買うことで,通常と同じようにグリーン車へ乗車できる。

逗子から平屋席に乗り込んだが,新川崎の手前から2階席へ移動した。普通列車グリーン車は「自由席」だから,購入区間の途中であっても,座席上部のセンサへSuicaをタッチすることで,気軽に席を移動できる。

東京までの横須賀線区間は,これまでに何度か乗車したので,見慣れた車窓をそこそこに眺めながら,あとは読書をして過ごした。

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横須賀線から総武快速線へ

品川を過ぎると,横須賀線は地下深くへと潜ってゆく。まもなく新橋,そして東京へと至る。ここまでの車内放送では,「横須賀線…」と案内されていたのが,東京へ到着するまえには,「この電車は総武快速線直通 成田空港ゆき...」と案内されるようになった。文字通り,東京から総武快速線へと直通していく。

東京から総武快速線に直通する。

そうはいっても,東京を過ぎても引き続き地下深くを走る。そのため,横須賀線から総武快速線へ路線が変わったという印象は薄い。横須賀線・総武快速線が,ほとんど一体の路線とみなして運行されている,と考える方がしっくりくる。

東京を出ると,自動放送は「成田線直通~」へと変わった。もう総武線のうえを走っているわけだから,そのさらに先を案内してくれるのだ。

馬喰町(ばくろちょう)を出発してしばらくすると,線路はようやく地上へ出た。左手を見ると,スカイツリーが眺められるようになっている。東京タワーと比較すると,やはりスカイツリーは高い。

馬喰町を過ぎて地上に出ると,左手にスカイツリーが顔を出す。

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荒川を鉄橋で渡ると,東京都江戸川区だ。新小岩駅,ここから江戸川を渡ると,いよいよ千葉県に入る。

千葉県最初の駅は,市川駅。反対ホームの上り電車は結構な混雑だった。車内には多くの立ち客が見られた。その背後を東京方面へむかう成田エクスプレス(NEX)が急ぎ足で通過していった。

このあと,こちらの電車は,数駅を通過した。千葉までは総武「快速」線を走るので,このように駅を通過していた。

船橋駅にて,東武アーバンパークラインが左から合流してきた。一方で,並走してきた京成は右手へと別れて行った。地図を見ると,千葉までの線形は非常によいことに気づく。ただ一方で,この電車の速度は,さほど速くなかった。

総武快速線では,幕張本郷や幕張駅を通過した。この区間では,京葉線が海沿いを並走している。主要な施設は京葉線沿いにあるようだ。

千葉から総武本線へ

千葉駅に到着。千葉駅に来たのは,大学2年のとき(2018年)以来である。このときは,京葉線で蘇我までいったあと,内房線で千葉まで行ったようだ。当時は,E217系が横須賀・総武快速線の列車に充てられていた。

E217系(2018年,千葉駅にて)

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千葉から先の路線は,内房線・外房線・総武本線へと別れる。今回乗車する総武本線のうち,「のんびりホリデーSuicaパス」で乗車できるのは,千葉を出ると,佐倉を経て,成東までだ。総武本線は,成東から先も,鹿島・銚子まで延びている。この辺りは,また別の機会に乗りにきたいところだ。

総武本線は,まさに本線らしく,支線が各方面へ分かれていく。この列車のあとを,総武本線を銚子までいく普通列車が追いかけてきていた。

なお,「のんびりホリデーSuicaパス」では,内房線は木更津・君津まで,外房線は大網から茂原まで乗車できる。また,大網からは,東金線でも成東(なるとう)まで行くことができる。

といかにも知ったようなことを書いているが,千葉方面の地名や路線は,非常になじみが薄い。グリーン車の車内で,路線図とにらめっこしていたら,列車はどんどん総武本線を進んでいた。

四街道(よつかいどう)を過ぎると,車窓は田園風景になっていた。大都会の首都圏にあっても,ここまで来ると過密な住宅地は見られなくなった。

ガラガラのグリーン車2階席から,長閑な風景を見下ろす。ハイグレードな豪華列車の旅では味わえない愉楽である。

成田から成田線へ:次々と分岐する路線

佐倉駅から,列車は成田線へと転線した。横須賀線から直通してきた電車の一部は,ここから総武本線を成東まで行くものもある。

佐倉駅の次は,酒々井(しすい)駅。難読駅名である。

酒々井を出ると次は,成田駅。成田駅からは,さらに3方向へと路線が分かれて行く。

まず成田線は,このまま佐原方面へと向かい,最終的には銚子へと至ることで,総武本線と合流する。成田線の佐原からは,鹿島線が鹿島神宮・サッカースタジアムにまで延びている。さらにさらにその先は,大洗鹿島線で水戸駅までつながっている。常磐線の列車にのっていると,水戸駅の乗り換え案内で「鹿島臨海鉄道大洗鹿島線」と聞くことになるが,その路線は,このようにして千葉方面から延びてきているのだった。

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同様にして,成田からは,成田線の我孫子支線というのも分岐している。この路線をつかっても,常磐快速および緩行線(我孫子)まで行くことができるようだ。この我孫子支線も,「のんびりホリデーSuicaパス」で乗ることができる。

そして成田からは,今回乗車する成田空港へとむかう空港支線も分岐している。

参考 総武・房総路線図|JR東日本

このように,千葉県東部方面の路線は,奥へ奥へと進むにつれて,路線が方々へと枝分かれしている。「のんびりホリデーSuicaパス」では,とても乗り切れないので,こんど機会をつくって青春18きっぷか何かでじっくり乗りつぶしにこようと思う。

成田駅では,ちょうど,成田線銚子ゆきと,我孫子支線 我孫子ゆきが接続していた。我孫子支線は左手へ単線で別れて行った。

一方こちらの空港支線は,成田線を左に見ながら,いちばん右方向へ転線していった。まもなく,京成電鉄に高架で跨がれた。そのあと,この高架線と合流するようにして,高架複線区間となった。

成田空港駅(成田第1ターミナル)のようす

成田空港駅には,定刻で到着した。横須賀線は慣れているからあっという間だった。一方,総武本線の区間は,ほとんど初めての乗車に近かったので,ずいぶん長い旅だったように感じた。

成田空港駅に到着したE235系。LED行先案内表示は,フルカラーLEDとなっているため,非常に見やすい。

成田空港には,JRの駅として

  • 空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)駅
  • 成田空港(成田第1ターミナル)駅

の2つの駅がある。いずれも,括弧書きにて,どのターミナルに近い駅かを示している。今回は,第1ターミナルの方に降りた。

第1ターミナル駅は,地下駅になっている。

特徴的なのは,ホームの安全策だ。一般的なドア式の安全策ではなく,ロープ式になっている。

ロープ式の安全策。関西圏ではよく見かけるイメージだが,関東圏では初めて見たかもしれない。

車両前方からホーム後方(東京方)を見る。普通列車でここまでやってくる乗客はさほど多くないようで,ホームはすでに閑散としていた。

案内標識には,横須賀・総武快速線を表す「JO」のマークが表示されている。その横には,小さく「NEX」のマークもある。これは,特急成田エクスプレスを表すマークだ。

JR成田空港駅2番線。安全柵が昇降式ロープになっているほか,案内標識のマークにも着目したい。

一方の1番線。こちらの案内標識は,「JO」より「NEX」のほうが大きい。

JR成田空港駅1番線の案内標識。マークのサイズに注目すると,1番線では,「NEX」のほうが「JO」より大きい。特急成田エクスプレス(NEX)が,主に1番線から発着することを示している。

これらの案内標識からも推察されるように,成田空港第1ターミナル駅では,主に

  • 1番線から成田エクスプレス
  • 2番線から成田・総武(横須賀)線(快速)

が着発するようだ。

案内標識の種は,エスカレータ前の文字入り標識にて明かされた。JR成田空港駅では,主に1番線から成田エクスプレスが,2番線から成田線の普通列車や総武線の快速列車が発着する。

今回は,総武快速線の電車でここまでやってきた。同様にして,成田線の列車も,成田空港駅まで走ってくる。ちょうど,帰るときに成田線の普通列車に遭遇できた。使用車両は209系電車。E235系のような最新型車両が活躍するなかにあっては,さすがに「古参」という雰囲気をぬぐえない。

成田空港駅は,空港支線の終着駅で,成田線から枝分かれしている。したがって,成田空港駅には,成田線の普通列車もやってくる。

おわりに

横須賀線から直通する総武本線の普通列車にのって,成田空港まで行ってみた。

総武本線では,内房線,外房線,成田線(我孫子支線)といった路線が枝分かれしていた。今後,機会をつくって乗りいってみたい。

このあとは,成田空港のなかをひととおり散策した。そして,今回のように鈍行列車に長距離乗車すると,優等列車で優雅に移動したくなるもの。

ということで,帰りは特急「成田エクスプレス」に乗車してみることにした。

(つづく)

のりかえ <<JR東日本 普通列車の旅>>

のんびりホリデーSuicaパスの旅~武蔵・多摩 編

中央東線 旧線(辰野支線)まわりの普通列車に乗ろう|塩尻→辰野|信州鉄道旅(2)

夏の東北鉄道旅 (11) 東北本線701系|一ノ関→福島

仙石東北ライン・石巻線|仙台→女川|夏の東北鉄道旅(3)


Rin Suigetsu, Ph.D.

鉄道を主とした一人旅の見聞録を書いています。特急列車と国鉄型・凸型の電機が好き。ときどきロードバイクにも乗ります。写真はPENTAX K-3iiiで撮っています。博士(工学)。

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