
日曜日,ふと電車に乗ってどこかへ出かけたくなった。
こういう行先の決まっていない旅では,1日乗り放題のフリーきっぷをつかうと便利だ。
この日は,「のんびりホリデーSuicaパス」をSuicaアプリで購入したうえで,モバイルSuicaにて旅してみることにした。
のんびりホリデーSuicaパスの概要
「のんびりホリデーSuicaパス」は,モバイルSuicaやSuicaでつかえるフリーきっぷだ。
おとな1枚 2,670円(2025年6月時点)で,以下の路線図に示す区間が,購入した日だけ乗り放題となる。

このフリーきっぷは,在来線区間の乗車券(きっぷ)として使える。Suicaアプリで購入すれば,モバイルSuicaでいつも通り改札を通過できる。

また,別途,グリーン券や特急券を追加購入すれば,同区間を走る在来線特急列車や普通列車グリーン車に乗車できる。
今回乗車した路線(区間)の一覧
今日は,このきっぷをつかって,関東地方西部(武蔵・多摩方面)の電車に乗ってみることにした。具体的には,東海道線大船駅を起点として,以下に示す路線・区間の電車に乗った。
- 東海道線(大船→茅ヶ崎)
- 相模線(茅ヶ崎→橋本)
- 横浜線(橋本→八王子)
- 八高線(八王子→拝島)
- 五日市線(拝島↔武蔵五日市)
- 八高線・川越線(拝島→川越)
- 埼京線(川越→大宮)
- 上野東京ライン(大宮→東京)
旅の実際
東海道線:E231系機器未更新車
旅の起点は東海道線の大船駅。日曜日だが天気はイマイチ。ここまでやってくる間,雨がぱらついていた。

大船駅からはまず,東海道線の下り熱海ゆきに乗車した。ホームに先着したこの電車は,後続の下り特急「踊り子」に先を譲る。

9:39 大船→茅ヶ崎(東海道線 熱海ゆき)
さて,この電車は,E231系1000番台が組み込まれた編成だった。いつも通り,モータ音を聴くべくモータ車(E231-1118)に乗りこんだ。すると,床下からは 日立IGBT-VVVFの墜落インバータサウンドが響き始めた。どうやら,機器未更新車に乗ることができたようだ。
E231系1000番台の未更新車はめっきり見かけなくなった。初っ端からいい電車に乗れた。
相模線で郊外を旅する
この電車を茅ヶ崎駅で下車した。続いて,茅ヶ崎駅から,相模線の電車に乗り換えた。
10:08 茅ヶ崎→橋本(相模線 橋本ゆき)
相模線のホームは,茅ヶ崎駅のいちばん端にあった。基本的には,E131系が充当されているようで,4両編成の電車が停まっていた。東海道線を走る15両編成と比べると,ずいぶん短く見えた。

車内で待っていると,対向の茅ヶ崎ゆきがホームに入って来た。各車両からは,相模線沿線からやってきた乗客が次々と降りてきた。利用率はそれなりに高いと観察された。郊外から都心方面へのアクセス路線として重用されている様子だ。

乗車車両はクモハE131-510。さっき乗車したE231系-1000番台は,墜落インバータサウンドがたまらなかったが,こんどのE131系は,ブレーキ緩解音がよかった。ただし,単線であること,東海道線と比べると駅間が短いことから,爽快な走りとまではいかなかった。単線での交換も多いうえに,途中駅での停車時分も長かった。
相模線は,相模川および圏央道と並走・交差しながら北上していく路線だった。途中で相模川を渡る新幹線と交差したり,東名高速 海老名JCTとクロスしたりと,他のメジャーな交通機関・路線と交わるのが印象的だった。
厚木駅では小田急と立体交差した。小田急とは,海老名駅にて乗り換えることができたようだ。
横浜線:神奈川から東京へ
終点の橋本駅は,京王電鉄との乗り換え駅でもある。このように関東圏のJR線は,私鉄・民鉄との並走あるいは直通を頻繁に行っている。これは,以前住んでいた名古屋ではなかなか見られなかった光景だ。


橋本駅は,このほか,JR横浜線との乗り換え駅にもなっている。せっかくなので,このまま横浜線に乗り換えたうえで,さらに北上することにした。つづいて乗車したのは
11:24 橋本→八王子(横浜線 八王子ゆき)
車両はライトグリーンのE233系だった。首都圏を走る近郊電車・通勤電車の標準車両である。
この車両に対しては,相模線からのほか,横浜線からの乗り継ぎ客も乗り込んでいった。橋本を出ると東京都(町田市)へ。終点の八王子駅手前で,大きく右へカーブ。京王高尾線をアンダーパスした。続いて,京王電鉄京王線が右手から合流した。
八王子に着いたのが正午前だった。ここで昼食にした。せっかく東京西部に来たので,構内で武蔵うどんを食べた。
川越線:中央線を横目に拝島へ

昼食後すぐ,電車旅を再開した。
JRの八王子に乗り入れる路線といえば中央線だが,「のんびりホリデーSuicaパス」で乗車できるのは,中央線では大月駅までだった。あまり先まではいけないということ。それに,中央線には,さほど苦労なく乗れるので,今日は中央線には乗らないことにした。

八王子からは,八高線の電車に乗ることにした。八高線は,八王子と高麗川(こまがわ)とをむすぶ路線で,高麗川からは高崎と川越へ路線が続いている。
12:09 八王子→拝島(八高線 川越ゆき)
この日は途中の拝島駅にていったん下車したあと,五日市線の方へ寄り道してから,川越方面へといくルートをとった。
車両はE231系だった。ヘッドライトもふくめた顔まわりのデザインは,E233系やE235系よりかっこいいと思う。

五日市線:喫茶店でまったり
つづいて拝島駅から乗り換えるのは,中央線と同じ橙色のE233系だ。この電車で,五日市線を終点まで乗りとおした。
12:32 拝島→武蔵五日市(五日市線 武蔵五日市ゆき)

乗りとおすといっても,五日市線には数個しか駅がない。

川を渡ると,徐々に谷の中へと分け入っていくようになる。終点の武蔵五日市駅手前になると,明らかに周囲の風景が山間のそれとなった。


電車を降りると,いくつかのステンドグラスが出迎えてくれた。殺風景な駅に彩りを与えていた。

駅の外に出た。木の板に手書きの駅名標がいい味を出していた。

武蔵五日市駅からバスに乗れば,周辺の渓谷への観光もできたようだ。ただ,この日はすでに昼過ぎになっていたし,電車に乗ることを目的としていたので,バス観光は止めにした。その代わり,駅前にあった喫茶店に入って一服した。

店主の好みとこだわりが詰まったいい空間だった。


さつま芋のケーキにコーヒーのセットを頂いた。どこへ旅をしようと,うまくいかないことがあろうと,喫茶店でコーヒーを飲み,おいしいものを食べる時間があれば,人生はなんとかなる。

この店は,駅前の交差点に面しているので,窓からは,各方面へのバスや,観光地へと向かうスポーツカー,ロードバイク,オートバイが行き交うのが見えた。

八高線・川越線:埼玉方面へ
喫茶店で心休まる時間を過ごしたら,日中毎時2本の電車を狙って武蔵五日市駅へと戻った。ここからは
14:02 武蔵五日市→拝島(五日市線 拝島ゆき)
14:31 拝島→川越(八高線・川越線 川越ゆき)
と乗り継いだ。八高線のE231系は,横田基地のある西多摩郡から山を越えて飯能市へと入り,西武池袋線をオーバーパスし,ゴルフ場のある木立の合間を右へ左へ駆けぬけ,高麗川駅へと至った。ここで10分弱の小休止。

高麗川からは川越線を走った。基本的に住宅街のなかを走っていた。川越駅の手前で,左から東武東上線が合流してきた。こうして他社線が合流してくるのをみると,その路線にも乗ってみたくなる。関東圏でこれを繰り返していると,乗りたい路線が増えすぎてしまう。
川越駅では,両側から降車できる私鉄のような対向式ホームに入線した。

埼京線と上野東京ラインで東京へ
これにて事前に目星をつけていた路線に乗車できた。ここから先は,東京へむけて南下することにした。まずは,埼京線の電車で大宮まで。上記の川越線の電車には,りんかい線の車両をつかった列車が接続していたが,それを一本やり過ごした。改札周辺や駅まわりのようすを軽くウォッチした。電車ばかり乗り継いでいくとどうしても単調になるので,それを防ぐために,あえて1本やり過ごした。
15:45 川越→大宮(埼京線・りんかい線直通快速 新木場ゆき)
さて,1本待ったあとに乗車した埼京線の電車は,新木場ゆきだった。途中の大崎からは,下記のLCDにあるように,東京臨海高速鉄道りんかい線へと直通している。「のんびりホリデーSuicaパス」は,このりんかい線にも乗車できる。ただ,川越から82分は遠いので,今回はやめにした。関東南部のJR線群は,また別の機会に乗りつぶしに行こう。

大宮からは,上野東京ラインへと乗り換え。埼京線大宮駅のホームは地下深くにあって,のりかえコンコースへと出てくるまでに多少時間がかかった。
16:16 大宮→東京(上野東京ライン 東海道線直通 熱海ゆき)
ふたたびE231系にあたった。しかもK-01のトップナンバーだ。ただ,機器更新車だったので,モータ音はたいして面白くなかった。なので,先頭車にのって前面展望を眺めていた。

電車は,三複線の直線を快走した。上野東京ラインのこの区間は,京浜東北線によって遠近分離されているから,駅間が長い。荒川を左岸から右岸へと渡り,東京都へ。赤羽にて右手から埼京線が再合流してきた。このあたりの線路は分岐合流を繰り返しつつ,最終的には5複線となった。
東京駅にて列車を下車した。本日の旅は,一旦終了。
ちょうど,「サフィール踊り子」E261系が停車していた。すでに客扱いは終えていた。回送を待っている間に写真を撮った。なかなかカッコいい。


このあとは,別件のため,山手線で有楽町まで向かった。
山手線の発車時刻表を見ると,「〇分後」という表示になっていた。「HH:MM」という時刻表記ではない。それだけ頻繁に列車がやってくるということを示している。

おわりに
これまでに全国のJR線を乗りつぶしてきたが,首都圏には,JR線であっても,多くの未乗路線をのこしている。
「のんびりホリデーSuicaパス」は,そのような路線を,週末のいずれか1日をつかって乗りつぶしていくのにピッタリだと思った。
フリーきっぷといえば,駅の券売機などでお金を払って紙のきっぷを購入しなければならないものが多い。それに対して「のんびりホリデーSuicaパス」は,文字通りSuicaだけで乗車できる。これは,思い立ったらすぐ出かける,というスタイルのおでかけに便利だった。まさに「のんびりホリデー」にふさわしいきっぷだった。
今後も,このきっぷをつかった旅のようすをレポートしていく予定だ。
(つづく)
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