桜もどんどんと咲き始めた3月下旬の日曜日。
春らしい陽気に誘われて,午後から日帰りのポタリングに出かけた。
今回は,名古屋から日帰りできるサイクリングロード散策を兼ねて,木曽川の右岸堤防へ行ってみた。
この日は,木曽三川公園から笠松へと,下流から上流へ逆走するように走った。向かい風が強くて大変だったが,木曽川と長良川とを隔てる「背割堤」の上は,クルマのいない一直線の快走路で,なかなか気持ちよかった。
木曽川右岸堤防サイクリング
木曽川(堤防)までは,愛知県道29号と125号とを通ってやってきた(詳しくは前回記事を参照)。
前回記事:名古屋から木曽三川へ|愛知県道29号・125号サイクリング【名古屋自転車探訪記】
いよいよここから,木曽川右岸堤防サイクリング,
まずは,立田大橋の西から,木曽川右岸の堤防道路へと入った。
長良川と木曽川の背割堤をゆく
走行区間:立田大橋 (三川合流地点,愛知・三重県道168号起点) [地図]~桜堤 (三川分流地点,岐阜県道166号起点) [地図]
今回は,この立田大橋から,上流へと逆走する。右岸の堤防道路のうち,立田大橋がかかる三川合流地点から,三川分流地点までは,長良川と木曽川との間にある「背割堤」の上を走る。
背割堤の地形について詳しくは,以下などを参照してほしいが,要するに2つの大河川を隔てるために,河川の間に設けられた堤防だ。ここで走る背割堤は,すなわち,長良川と木曽川を隔てていることになる。
参考:背割堤(瀬割堤)
この背割堤は,河川管理用の道路となっていて,一般車両は進入できないが,自転車や歩行者は,横のゲートから入ることができる。
ゲートを入ってひとたび走り出すと,右手に木曽川,左手に長良川の雄大な流れを見られる。こんな景色は全国でもここだけでしか見られないのではないだろうか。
見渡す限り雲一つない快晴で気持ちがいいが,しかし,今日は北西からの強い風が吹き続けている。木曽川まで来るときには向かい風だったが,この風は堤防に入っても向かい風のままだった。さらに,堤防の上には,風を遮るものが何もなく,風向きによっては強烈に脚を削られる。
う~ん,,,天気はいいが,これだけ風に吹かれると,運動不足の脚には堪える。
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背割堤は,南北10㎞に渡る。景色は,上の写真に示したようなものがひたすら続く。
木曽川・長良川のいずれも下流に差し掛かっており,流れはまっすぐ,ゆるやかだ。したがって,背割堤自体は,風が無ければ非常に快適なサイクリングロードになりうる。
が,今日は向かい風のせいで,そうもいかない。線形がいいのでもったいなく感じるが,こんなところで脚が売り切れてしまっては,誰も助けてくれないので…20km/hくらいで低速巡航を続けた。
途中,背割堤の右手の原っぱで,どこかの大学の航空部(?)がグライダーか何かの飛行試験をやっていた。大きな白いボディの飛行体が,数百mはありそうなワイヤで引っ張られ,勢いをつけて離陸,北西の風に乗って行くように,木曽川上流方面へと飛んだ。
上を向いて眺めていると道路から落ちそうになるので,ほどほどに眺めながら,ひきつづき上流方向へと走った。
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立田大橋から6kmくらい走ったところで,県道8号線・東海大橋と交差する。赤色の長大な橋は,長良川と木曽川をいっぺんに跨いでおり,間近でみると壮観だ。
後ろを振り向くとこんな景色。左手に菜の花が群生しているが,右手は荒涼とした風景だ。
ここで少し立ち止まり,深呼吸。脚を休める。
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東海大橋を過ぎてしばらく走って行くと,左手には桜並木があった。この日はまだ2分咲くらいだったが,河川敷を歩いている人もちらほら見られた。クロスバイクでサイクリングしている人も見かけた。
土筆も生えているようで,お年を召したご夫婦がスーパーの袋にいっぱいの土筆を採取していた。土筆,最近食べてないなあ,と,土筆の味を思い出しながら,ゆるゆる巡航を続けた。
木曽三川分流点
10kmにもわたる背割堤を走りきると,中洲のような地形に至る。走行距離は,ここまでで40kmを超えた。向かい風と運動不足のせいで,もう70kmくらい走った疲労感があったが,まだ40km…。
とりあえずおなかが空いたので,カロリーメイトを食べつつ休憩することにした。
ここは「木曽三川分流点」で,背割堤の上流側の終点にあたる。ここには,「三川分流碑」なるものが建立されていた。
碑のすぐとなりには,ここでどういうことが行われたのかが,詳細に記された看板が立てられていた。
これによると,三川分流碑は,この付近を流れる揖斐川・木曽川・長良川(いわゆる木曽三川)の治水を目的として,三川を分流した工事(明治改修)の竣工を記念して建てられているものだそうだ。
と,簡単にかいてあるが,この明治改修は,オランダ人技師 Johannis De Rijke を招聘し,当時の明治政府における国家予算の12%もの資金をつぎ込んで行われた大工事だったようだ。
そして,宝暦治水に次ぐ本工事によって,現在の木曽三川の形がほぼ完成し,江戸時代は大雨のたびに大洪水を起こしていた木曽三川が,見事「治水」されたわけだ。
この工事のおかげで,木曽三川下流域におけるくらしの安全が確保されているといっても過言ではないだろう。
こういう地形や地理の話って,地元については,小学校や中学校の社会科でよくよく勉強するのだけれど,それ以外の地域におけることは案外知らないもの。非常に勉強になりました。
(明治改修について詳しくは,水資源機構のHPもどうぞ)
いくつもの大きな橋を眺めて|分流点~笠松
木曽三川分流地点での小休止ののち,引き続き木曽川右岸を北進する。ここから長良川は左手へと離れてゆき,木曽川の単独行となる。
走行区間:桜堤 (三川分流地点,岐阜県道166号起点) [地図]~木曽川右岸堤防(岐阜県道184号)~笠松みなと公園 [地図]
ここから木曽川右岸堤防の道路は,(一部を除いて)岐阜県道となっている。先ほどまでとは異なり,一般車も通行可能となる。そういうわけで,交通量は,木曽川を岐阜側へ遡上するほどに増えていった。
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相変わらず風は強いまま。木曽川は笠松あたりから徐々に東へと進路を変えてゆく。追い風となることが期待されたが,残念ながら笠松までで貧脚は売り切れそうだったので,今回は笠松まで遡上することにした。
ここから笠松までは,いくつもの大きな橋と交差する。木曽川の雄大な流れを象徴するような,大きな橋ばかりで,単調な景色でも飽きがこない。
まずは,県道134号線の馬飼大橋。ここには,木曽川大堰(別名:馬飼頭首工)と呼ばれる,巨大な堰もあった。さすが日本を代表する河川の木曽川を締め切る堰だ。スケールの大きさに驚いた。
木曽川大堰を挟んで向こう側の川岸は,「ワイルドネイチャープラザ」だ。ここは,東海シクロクロスの会場として有名。私も数度,出走したことがある。ここの砂丘コースは,走り終わると口の中を血の味に染め上げてくる,地獄のコースだ。。
そこからしばらく走って行くと,堤防道路は岐阜県道184号線(下中笠松線)になり,東海道新幹線および名神高速と交差する。手前が東海道新幹線,奥側に名神高速があった。
なお,左手は岐阜県羽島市で,東海道新幹線の岐阜羽島駅および名神高速の羽島ICがある。
東海道新幹線は,線路のすぐそばまで寄っていくことができ,高速走行するN700系を間近で見られた。
ここで後ろを振り返ると,何やら新しい橋が伸びているのを見つけた。この橋は,建設中の新濃尾大橋(仮称)だそう。橋脚に向かって,道路部分が延びて行っているのが面白い。
ここからさらに,「濃尾大橋」と「尾濃大橋」という,ふたつの橋と交差したが,堤防道路の交通量がかなり増えてきており,ゆっくり止まることはできなかった。
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夕方になり,行き交うクルマでせわしなくなってきた堤防道路は,笠松の手前で県道14号線と交差する。ここには,木曽川橋という鋼製の橋が架かっていた。
この橋の交差点を直進すると,目的地とした笠松付近に到達した。「笠松みなと公園」という河川公園があったので,ここでトイレ休憩を入れた。夕方になったが,まだ暖かく,日も長い。桜も咲き始めの週末ということで,公園にはまだそれなりに人がいた。
笠松(東笠松駅跡)の有名撮影スポット
木曽川堤防サイクリング最後の「橋」は,道路橋ではなく鉄道橋だ。
笠松駅手前に,名鉄名古屋本線の木曽川橋が架かっている。ちょうど堤防道路のドン突きにあたり,ここに自転車を停めて,電車を待って撮影してみた。
橋梁を笠松駅側に抜けたあたりのカーブが,有名な撮影地となっているらしい。鉄道好きとしてスルーするわけにはいかず,9100系と2200系の2本を動画で撮影してみた。
美しいアウトカーブには,少し不自然なスペースが広がっているが,ここには昔「東笠松駅」という駅があったらしい。笠松といえば笠松競馬場が有名だが,かつてはこの東笠松駅が最寄り駅だったのだろう。利用者低迷によって廃止されたのだろうが,今は撮り鉄スポットとして,細々と活躍している。
笠松駅から名鉄線で輪行
笠松のカーブから下って,笠松駅まで向かった。本日のサイクリングはここまで。
笠松駅は,竹鼻線が分岐し,特急・快速特急以下すべての種別が停車する重要駅だ。当駅は,以前,竹鼻線で名古屋から岐阜羽島駅へのアクセスを試みたときに,利用したことがある。
関連記事:【竹鼻線乗車記】岐阜羽島駅へ名鉄線でアクセスしてみた|金山ー新羽島
ちょうどタイミングよく,豊橋行きの快速特急がやってきたので,これに乗って帰った。
名鉄を降りた後,外の寒さにひるみ,地下鉄輪行を決行した。この時期は,昼間は暖かいのだけど,朝夕は肌寒く,ウェアを間違うと痛い目に合うのだ。。。
地下鉄駅を降りたら,素早く輪行解除して,下宿まで帰った。久しぶりに大量のカロリー(1000kcal以上!)を消費してお腹が空いたので,夜はファミレスでハンバーグとご飯大盛を食べた。
まとめ: 今度は風のない日に走りたい
以上,春の木曽川右岸堤防をサイクリングした記録。
今回は,木曽三川の合流点から笠松まで,遡上するように走った。木曽川右岸堤防は,今回走った区間に限っては,線形がよく路面状態もまずまずだった。
特に,背割堤の区間は,一般車両通行禁止なので,交通量は皆無。今回のような向かい風が無ければ…快適なサイクリングを楽しめる。三川分流点より北の区間ではそれなりの交通量があるが,いくつもの木曽川を跨ぐ橋を見られて,道路好きとしては面白かった。
次回訪問するときは,上流から下流へ,風のない日を選んで走ってみたい。
木曽川右岸堤防サイクリング地図
今回の走行データ(GPX)をもとに,より汎用性の高いGoogleマップをつかったマイマップを作成しました [Link: 木曽川右岸堤防サイクリング]。今後も散策しつつ,随時更新していきますので,サイクリングにご活用ください。
(おわり)
【名古屋から木曽三川まで】
>>名古屋から木曽三川へ|愛知県道29号・125号サイクリング【名古屋自転車探訪記】
参考:木曽川右岸堤防|サイクリング・ツーリング記事集
木曽川右岸堤防を同じように走行されている方のブログ記事リンク集です。
長良川・木曽川堤防ダートツーリング:バイク日記![2007年3月]
↑ちょっと古い(2007年)記事ですが,このときはまだ,未舗装だったようです。これだけ長い堤防道路が未舗装だったら,さぞかし楽しい(?)オフロードだったことでしょう。
岐阜サイクリング2~木曽三川と背割堤~:Mixture [2015年12月]
↑今回のルートのうち,三川分流地点(=岐阜県道166号起点)から立田大橋(愛知県道168号起点)までは,河川管理用道路となっており,一般車両の通行はできません。出入口はそれぞれ,ゲートによって厳重に封鎖されています。しかし,自転車や歩行者は通り抜けができるよう,ゲートの左右に隙間があります。上記記事を読むと,ここを自転車が通り抜けることは,特に問題ないようです。あくまでも,自動車は通行不可ということでしょう。
関連記事: 名古屋周辺の堤防道路サイクリング
木曽川よりもお手軽なサイクリングとして,庄内川堤防道路はおすすめです。
昨年の今頃は,庄内川を下流までサイクリングしていたようです。