
塩尻まで「しなの」に乗って来た。ここから,飯田線に乗るべく,辰野支線(通称「大八回り」)を走るE129系で辰野までむかった。
2本の中央東線
前回記事:特急「しなの」パノラマグリーン1A席乗車記|中津川→塩尻|信州鉄道旅(1)
塩尻駅で特急「しなの」を降りた。ここから飯田線へ乗りに行くため,中央東線の列車に乗り換える。
中央東線塩尻~岡谷間には,新線(短絡線)と旧線(辰野支線)がある。以下の図1に示すように,新線は,トンネルでまっすぐ岡谷方面へ向かうのに対して,辰野支線は大きく南へ迂回する。

上の地図をもう少し拡大したのが以下の図2。新線と旧線の線形を比べると,近現代の土木技術の勝利が読み取られる。

中央東線の優等列車である特急「あずさ」は,すべての列車が新線経由で走る。辰野支線には普通列車がポツポツと走っているのみ。したがって,大まわりの旧線には,乗ろうと思ってこないと,なかなか乗る機会はない。ここまで来たからには,ぜひ辰野支線に乗っておきたい。
以上のことを見越して,乗車券は塩尻から辰野支線経由で飯田線に通しておいた。券面を見ると,経路には「中央・中央2・…」と表示されていた。中央東線旧線(辰野支線)経由のきっぷでは,「中央2」と表示されるようだ。
E129系塩尻発辰野ゆき
辰野支線の辰野ゆき列車は,塩尻駅にて「しなの9号」に接続していた。おかげで数分の間に乗り換えられた。塩尻駅でそばでも食べようかと思っていたが,この列車(13時台)を逃すと,次の列車はなんと16時すぎまでなかった。しかたなくそばはあきらめることにした。空腹だが,行く先に何かあるだろうと思って,辰野まで我慢する。

車両はE129系2両編成のワンマンカーだった。大糸線でも走っている車だ。車内は片側がボックスシートで,もう片方がロングシートだった。お客さんはあまり多くなかった。
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塩尻から辰野までは20分程度かかる。この辰野支線は,並行する国道153号と同様にして,善知鳥(うとう)峠を越えて辰野に向かっている。塩尻を出てすぐ,左側へと分岐して,本線である短絡線と別れた。本線の方は,高架線で線形がいい。
対照的に辰野支線は徐々に山側へと入りこみ,山裾を縫うようにして走る。最初の停車駅である小野駅までの間は,車窓は藪や山林ばかり。ジョイント音は小気味よく響く。この線が新線よりも低規格であることがよくわかった。
山を抜けると,伊那谷の北部へと入っていき,小野,信濃川島と2つの途中駅に停車した。ここまで来ると,線形は平地の直線になる。国道153号を走る車を追い抜くようにして快走した。
ちなみに,この列車からみた国道153号は,以前,自転車で北上していったことがある。詳しくは以下を参照。
国道153号サイクリング(2):飯田から塩尻へ~アルプスに囲まれた伊那谷を快走
上記記事に書いたように,基本的に昔の中山道に沿っているので,沿線は昔の宿場町の雰囲気を残している。
辰野駅の長大ホーム|昔の威厳?
辰野支線から辰野駅へと入る直前に,線路は南側から大きく弧を描く。岡谷から伊那谷へと南下する飯田線に沿うようにして,辰野駅へと合流していった。

辰野駅で列車を降り,ふと走って来た方向をみると,20m級車両でも10両以上は軽く止められそうな長大ホームがあった。そのうち,飯田線が分岐する南側半分は,かさ上げされていなかった。この日,E129系が停まった部分はかさ上げされていたから,南側部分は,おそらく,客車時代のままなのだろう。その昔,中央線に短絡線が無かった時代,客車を牽引した機関車が,この駅で大休止をとっていたことが想像された。
辰野駅から飯田線にのりかえ
さて,辰野駅からは,いよいよ旅の目的の1つである飯田線の列車にのりかえる。乗換待ちの時間があったので,一旦駅を出た。塩尻駅で昼食を食べ損ねたから,何か食べるものが欲しい。駅横にカフェがあったが,ちょうどこの日は祝日で休業日。そこで,駅前の通りに出て少しばかり歩いてみると,小ぎれいな菓子司を発見した。周囲にはほかに食べ物にありつけそうな店や商店は見かけなかったうえ,遠くまで歩くような時間もないので,ここで昼食を調達することにした。

店内のようすを伺うと,陳列棚の前の空間は数畳くらいで狭い。そこに先客2人がいた。入ると窮屈になりそうだったので,彼らが出てくるのを待ってから入ってみた。店番のおばあちゃんがガラスの陳列棚のむこうから「いらっしゃい」と出迎えてくれた。お菓子は店の奥でつくっているようで,店主と思しき初老の男性が通りかかるのがみえた。
どら焼き,まんじゅうなど,一通りの和菓子がそろっていて,どれもおいしそうだった。品揃えがよくて目移りしそうになったが,直感に任せて,ガラス棚のうえにあったパック入りのみたらし団子と,横の低い棚に置いてあったカスタード入りの手作りワッフルを買った。
紙袋に入れてくれた団子とワッフルを抱えて,辰野駅に戻った。これで無事に空腹を紛らわせそうだ。駅前の自販機でお茶を買って,ホームへ入った。1番線のホームには,10人以上の先客がいて,数分ののち,彼らは岡谷ゆきの普通列車に乗り込んでいった。

つづいて2番線に,岡谷からやってきた飯田ゆきが入って来た。313系J編成,転換クロスシート。車内の雰囲気と車窓をのぞけば,東海道本線新快速となんら変わらない。

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無事に2列掛けの空席を見つけて,窓側に座り,次の目的地までの間で団子とワッフルを食べた。

団子は3本入りで,しょうゆの塩気とねっとりした水あめの甘味が絶妙だった。団子ももちもちで,あふれんばかりのみたらしとよく絡んで美味しかった。ワッフルもカスタードがしつこくならない,厚めの生地で包んであって,こちらもおいしかった。
塩尻の駅そばは,またこんど食べることにしよう。
(つづく)
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