京浜急行 大師線【出張記#3】

「出張先で出会った鉄道について,肩肘張らずに書こう」というスタンスではじめた出張記も,今回で3本目。

今回は,7月上旬,川崎出張の話だ。

旅程は4泊5日。川崎の中心部でなく,もう少し海沿いの方へ用事があった。京急大師線は,その出先へと連れて行ってくれる路線だった。

大師線は,京急川崎から川崎大師を経由して,小島新田駅まで延びる路線だ。路線長は全線で4キロちょっとしかない。現在は主に,京浜工業地帯と川崎市中心部との通勤・通学客を運ぶ路線となっている。

大師線は,5月ごろに川崎へ出かけたときに見かけていた。横浜方面からの電車を降りて,2階ホームから1階の改札口を出ようとしたときに,短い地上ホームがあるのを見かけた。このときはなんという路線か,気に留めなかったが,これが京急大師線のホームだった。

すなわち,京急川崎駅は2階建て構造になっている。2階からは,本線の電車が発着する。対して1階(地上)ホームからは,京急大師線の電車が発着する。大師線ホームは,2階からみて,斜め下に位置している。

京急大師線は,京急川崎駅の1階ホームからひっそりと発車する。

この大師線ホームの横に,ホテルがあった。おかげで,出先への行き帰りに,大師線の電車をじっくり見ることができた。後述するように,大師線でも,本線と同じ形式(1000形および600形)が走っている。2階の本線と同じ車両が発着しているにもかかわらず,上下のホームで雰囲気が違うことに気づいた。

2階ホームは,すでに書いたように,本線の上下列車が頻繁に行き交う。そのため,2面4線の立派な造りになっている。緩急接続がなされるうえに,行き先も多岐にわたる。ゆえに,肉声放送の頻度も多い。列車の編成も長い。

対して,1階(地上)ホームから発着するのは,4両編成の電車のみ。ホームは短い。それに,大師線へむかう列車しかやってこないから,2面2線しかない。本線と対照的に,簡易的なアナウンスが中心だった。

ちょうど,朝の時間帯に駅へ向かおうとすると,列車が留置線から出てくるのが見られた。写真は1000形。8両でも4両でも走れる。いっぽうで,8両固定編成の2100形は,大師線を走らない。

とはいえ路線長は短いから,4両編成でも十分さばけるのではないか(むしろ空気輸送状態なのではないか)と思ったが,そんなことはなかった。この出張では,朝は8時前後,夕方は18時ごろ,大師線に乗った。すくなくともこれらの電車は,毎日,上り下りとも混雑していた。

日中のようすはわからないが,少なくとも,通勤・通学時間帯には繁盛しているようだった。このようすであれば,編成もしくは列車本数を少しばかり増やしても大丈夫に見えた。ただ,線内各駅のホーム有効長や,列車間隔の問題もあるだろうから,当分はこのままのダイヤ・車両で運行を続けるのだろう。

大師線では,一部区間で連続立体交差が完成している。とはいえ,その区間以外では,地上を走るし,駅間も短い。最高速度は60 km/h。600形や1000形は,ガタンゴトンとジョイント音を立てながら,のんびりと走っていた。短い路線であっても,車掌が乗務して,肉声放送でも案内していた。

要するに,混雑している以外は,日本各地にある郊外電車のそれと何ら変わりはない。京急といえば,首都圏への高速輸送を担う鉄道会社で,本線を全速力で駆け抜ける姿から,「ハマの赤い彗星」という異名もとる。

そんな会社にあっても,郊外をコトコトはしる路線を持っていることが,新たな発見だった。

(つづく)

参考:京急大師線 – Wikipedia

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Rin Suigetsu, Ph.D.

鉄道を主とした一人旅の見聞録を書いています。特急列車と国鉄型・凸型の電機が好き。ときどきロードバイクにも乗ります。写真はPENTAX K-3iiiで撮っています。博士(工学)。

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