700系レールスター「サルーンシート」で山陽路の旅

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700系レールスター編成には,「サルーンシート」と呼ばれる2×2の座席となっている車両がある。

今回は徳山から新大阪まで,サルーンシートに乗車して,山陽新幹線をまったり旅してきた。

乗車したのは「こだま」号。

途中の停車を有効に活用し,沿線の風景や名物をじっくり楽しめた。

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徳山駅から山陽新幹線へのりかえ

この日は,昼前に新山口しんやまぐち駅を出て,在来線(山陽本線)にて徳山とくやま駅までやってきた。

参考: 前回記事 >> 置き換え進む115系電車でゆく山陽本線の旅|新山口→徳山

徳山からは,目当てだった「こだま850号」に乗車するため,新幹線へ乗り換える。こだま850号は500系新幹線での運行予定(だった)。

もうお昼になっているが,昼食をとっていない。こだまでは新大阪まで向かうので,車内で食べることにする。徳山駅にあるセブンイレブンで駅弁を買ったのち,ホームへ上がる。

こだまは入線後,「のぞみ」もしくは「さくら」に追い抜かれると思われる。出発時刻より早く入線するはずなので,反対側のホームから列車を撮影してみることにした。

到着前に,通過線を下り列車が通過していく。とりあえず撮ってみようとするが,望遠レンズを持っておらず,迫力ある構図を作るのに苦労した。Limitedレンズは連射性能が高くないのか,タイミングがうまくとれず,N700系の先端が切れてしまった。残念。

JR東海の“Largeラージ A”編成だった。N700系には,このほかJR西日本の編成,Smallスモール Aの編成があるが,今回通過していった編成が一番好きだ。

それにしても,徳山駅のカーブを通過する列車は迫力がある。スピードは,直線の駅に負けるが,カントが付いたカーブにおける車体の傾きによる迫力はすさまじい。

さて,下りN700Aの通過後,待望の「こだま850号」が入線する旨の接近放送が始まった。いよいよ500系に乗車できる,そう思って胸を高鳴らせながら待っていると,入って来たのは700系E編成(レールスター)ではないか。

あれ?500系じゃないの?

放送を聞き間違えたか,それとも時刻を間違えたか?きっぷや放送を確認してみるが,今やって来た700系レールスターが「こだま850号」で間違いなさそうだ。

500系に乗る気満々で(指定席もとって)来たので,拍子抜けしてしまった。残念,今日に限って代走とは…500系初乗車の貴重なチャンスを逃してしまった。

まあ,700系のE編成(レールスター)も乗ったことがなかったので,今回はこれで新大阪まで行くことにする。500系には,また乗りに来ないといけないなあ。

拍子抜けしたが,レールスターにも未乗車だったので,まあ良しとする

「こだま850号」新大阪ゆき

徳山駅で出発を待つ700系E14編成

こだま850号 新大阪行
(700系による代走)
徳山: 12:22発→新大阪: 16:12着

(4号車指定席)

徳山駅に停車中,後続のN700系に追い抜かれた。「こだま」の旅では,これが当たり前の風景だ。

レールスターにおける「サルーンシート」と指定席

今回予約したのは4号車指定席。700系による代走だが,「こだま」として走る8両編成の500系,700系は,指定席の号数が(基本的に)統一されている。いずれも4・5・6号車が指定席だ(列車によっては例外あり)。だから,特に変更の手続きなく4号車指定席に乗車できる。

700系における4号車から8号車は「サルーンシート」と呼ばれ,2×2の座席配置となっている。「こだま」運転時は,基本的に4~6号車が指定席,7,8号車が自由席となる(ただし例外多数,以下の図を参照)。したがって,700系「こだま」は,指定席は必ずサルーンシートになるわけだ。

今回は4号車なので,サルーンシートということだ。なお,7,8号車は自由席でサルーンシートなので,指定席料金を払ったのはもったいない気もする。が,最初は500系が来ると思っていたのでしかたない。なぜなら,500系は,4~6号車のみが2×2の指定席だからだ。

【余談】山陽新幹線における指定席

今回乗車した700系E編成の「サルーンシート」

山陽新幹線内を走る列車のうち,8両編成(→JR西日本・九州所有)の指定席は,必ず2×2の座席配置となっている。一方,東海道新幹線の指定席は,すべて2×3の座席配置だ。

山陽新幹線を走る列車における指定席の座席配置については,長くなるので別記事に譲るが,この座席配置の違いから,東海道・山陽新幹線の性格の違いが観察される。

東海道新幹線は,多くのビジネス需要を抱える。また,東海道区間に限っては,航空機に対するシェアが圧倒的に優位となっている。このことから,運行する列車やその座席配置をすべて統一し,列車差し替えによる座席の変更を極力無くしたいという思想で運行していると考えられる(ビジネスマンが出張で使うのに,指定した座席の変更に手間取るのは,サービスダウン・イメージダウンへとつながってしまう)。

したがって東海道新幹線では,300系から700系,そしてN700系まで,自社(JR東海)が所有する車両はすべて16両固定編成で同一の座席配置・数となっている。16両ではあるが座席数が少ない500系が,短期間しか東海道に乗り入れられなかったのは,このあたりが理由の1つだと思われる。

東海道新幹線には,原則として16両編成以外乗り入れられない。

一方,山陽新幹線は,観光や帰省など,比較的突発的な利用客が多いと考えられる。これは,東海道新幹線が東名阪の大都市3つを抱えるのに対して,山陽新幹線が抱える大都市は,大阪のみであることから推察される。山陽区間には,ほかにも大都市がいくつかあるが,いずれも東名阪ほどのビジネス需要は持っていない。したがって,東海道ほどは需要が多くなく,車内ではゆっくりくつろぎたいという要望が多いと思われる。

山陽新幹線は,このような利用状況に対応するため,16両固定の東海道とは異なり,8両編成の新幹線を運転し,2×2のゆったりとした指定席を提供しているのだと考えられる。

今回乗車した700系7000番台(レールスター車両)のほかに,山陽新幹線から九州新幹線へ直通する「さくら号」の指定席にも乗車したことがある(乗車記は以下のリンクからどうぞ)。

>> 九州新幹線さくら号ゆったり指定席乗車記|新大阪→鹿児島中央

のんびりまったり「こだま」の旅

引用: 鉄道路線図 より

山陽新幹線内での走り

4号車サルーンシートに着席し,定刻になったところで700系は出発。

出発直後の車内放送にて,500系から700系へと差し替えられた旨の案内があった。改めて残念。。。

徳山駅を出るとすぐ,右手に工場地帯が見える。瀬戸内工業地域の一角だろうか。

サルーンシートは,大きくてプライベート感があっていい。リクライニングも深く,ひじかけも太くてがっしりしている。座り心地が驚くほど良い。この座席を体験できたので,500系からの運転差し替えもなんとか耐えられた。というかむしろ,700系レールスター普通車に,こんないい座席が備わっていたことを知れてよかった。

新岩国しんいわくにに停車したのち,すぐに広島に到着。ここでしばらく停車。山陽「こだま」は,広島,岡山など,特に主要駅において長時間停車する。基本的にのぞみやみずほを先行させる,まったりした走りだ。ゆっくり走る代わりに乗客が少なくて快適なのが,こだまのいいところだ。

参考: 【終電乗車記】上り「こだま」最終列車で東海道新幹線弁当を食べる週末

広島駅にて停車中。

「幸ふく弁当」に舌鼓

広島を出ると,東広島ひがしひろしま三原みはらと,「のぞみ」が停車しない駅へと停まる。それぞれ8分,4分停車した。三原駅は,三原城の本丸跡を横切るように造られており,駅から城が見えるらしい。

三原駅では,下りホームに500系ハローキティ編成が停車中。こうやって見ていると,やっぱり500系に乗りたかったなあ…と思えてくる。まあ,それはまた次回の機会に。

三原駅を出たところで,徳山で買った駅弁「幸ふく弁当」を食べ始める。

このあたりでは,ふぐのことを「ふく」と呼ぶそうで,その「ふく」のなかでも,シロサバフグとマフグが入っている弁当のようだ。

2段重ねでいかにも駅弁らしい容器を開けると,好きな食材の並びがお出迎え。こういう「顔」の駅弁がシンプルで好きだ。「東海道新幹線弁当」もこのタイプ。

さて,駅弁を食べているとあっという間に新尾道しんおのみち駅に着いた。三原 – 新尾道駅 – 福山ふくやま間は,駅間が短い。新尾道に着いたなあと思って,ゆっくり駅弁を食べていたら,次の福山にまで行ってしまった。

これは,新尾道駅が請願せいがん駅であって,もともとそんなに長くなかった三原 – 福山間に駅を作ったためだそう。新尾道駅は利用状況がそこまで芳しくなく,請願駅の失敗例としてやり玉にあげられることもしばしばある(ということを,駅弁食べながらWikiで読んだ)。

お城に注目

駅弁を食べ終えたので,ごみを捨てるがてら列車を降りてみた。福山でも5分停車する。「こだま」の旅では,こうやっていろいろな駅を散策できるのが楽しい。

さっきの三原駅のところでも書いたけれど,山陽新幹線では,お城が見える駅が多い。この福山駅上りホームでも,福山城を見られた。福山城は何やら工事をやっていた。あとから調べたら,築城400年を記念した「普請ふしん」(公共の社会基盤を受益する共同の人々または公共事業により建設および修繕、維持する事)による,天守閣てんしゅかく外観復元工事だそう。

参照: 福山城築城400年記念基金 よみがえらせよう、福山城の魅力! -令和の大普請-

福山城,「令和の大普請」による天守外観復元工事を実施中のようだ。

福山駅は,「のぞみ」の選択停車駅(姫路・福山・徳山・新山口)でもある主要駅だ。当駅には,さきほどまでの小駅とは異なり,多くの利用者がホーム上をにぎわせていた。

福山からは,松山方面への高速バスが出ており,しまなみ海道経由で松山まで3時間で行くことができる。福岡にいる高校の同級生は,帰省の際,

博多→(のぞみ)→福山→(高速バス)→松山駅

と乗り継いだこともあるとか。ほかにも以下のような乗継も考えられる。

博多→(新幹線)→小倉→(フェリー)→松山観光港

福岡住みだと,いろいろな手段で帰省できて楽しそう。

(小倉松山間のフェリーは,学部3年の春休みに乗って来た。以下の記事をどうぞ。)

>> 【ゆったり瀬戸内】松山・小倉フェリー「くるしま(昼便)」二等席乗船記

三原城,福山城と並んで,新幹線から見られる城として有名なのが,姫路駅から見える「姫路城」だ。前者2つほどは大きく見えないが,白い壁の立派な城を見ることができる。今回は,車内からの写真だが,ホームに降りればもう少し大きく見えるだろう。

岡山で大休止

福山の次は,新倉敷しんくらしき駅に停車。当駅は開業当時,「玉島たましま駅」だったが,山陽新幹線乗り入れを機に「新倉敷」となったそうだ。

新倉敷を出ると,いよいよ岡山駅に到着。当列車は岡山駅にてなんと20分停車する。当駅では「のぞみ」と「さくら」1本ずつに追い抜かれる。当列車は,これらの列車と接続するのだろう。それにしても20分は長い。一応,当列車は,博多発新大阪行の「こだま」だが,岡山にてこれだけ停車するわけだから,運行側からはほとんど別列車として扱われているのだろう。新在関係なく,JR西日本ではこういう長時間の停車が多いように思える。その方が運行の都合がつくのだろうか,真相は定かではない。

現在時刻と出発時刻のギャップにご注目。

こだま850号が停車中に,24番のりばへさくら552号が入って来た。この列車は,大休止をとっているこだまとは異なり,乗客を載せると慌ただしく出ていった。

さくらが追い抜き

20分の停車時間があれば,駅コンコースまで降りて,お土産やおやつの物色も可能だ。今回は,きびだんご(岡山)ともみじ饅頭(広島)を買ってみた。こうやって各駅の名産品を楽しめるのが「こだま」の旅のいいところの1つだ。

岡山駅では,接続する在来線特急列車が遅れたため,少々延発した。岡山駅は接続する在来線が多い(瀬戸大橋線,伯備線,山陽本線など)ため,接続待ちによる遅れもしばしば発生する。

関連記事: ガラガラのしおかぜと新幹線で松山から名古屋へ帰ってきた

岡山を出ると,今日一番の全力疾走で相生あいおいへ逃げる。相生には10分弱停車した。さっき20分も停まったのに!と思われるかもしれないが,岡山では,この列車は4分後ろにさくら554号を受けており,しかも延発えんぱつした。だから全力で逃げて,すぐに相生で抜いてもらうという恰好になっているのだ。

さらに,次の姫路ひめじでも5分停車。さっきの姫路城の写真は,この停車中に撮影したものだ。

西明石駅にてN700Sが追い抜き!

姫路の次は西明石にしあかし駅に停車。当駅でも9分停車する。気分転換にカメラを持って車外へ出る。

徳山を出たのは12時過ぎだったが,もうだいぶ日が傾いてきている。時間はかかれど沿線の楽しみは多いし,700系は結構いい音で走るし,ちっとも飽きない。

西明石駅で速達列車の通過を待つ700系。

通過列車でも撮ろうかと,ホームにてカメラ構えてう○こ座りで待っていると,まだ2つ3つくらいの男の子が声をかけてきた。

目を輝かせて,「しんかんせんね,あっちからこうやっていったんだよ~」と手振りを交えて教えてくれた。うんうん,かわいいねえ…,こんどはあっちからくるよ~と教えてあげた。自分も小さいときはあんなだったのだろう。もう大学院生になったけど,やっていることはそんなに変わってない。

関連記事: プラレールと伊予鉄道が鉄道好き大学院生の原点だった

さて,通過列車は発車時刻直前になってやってきた。正面からのカットにしようかと思ったけど,下りホームにいる親子連れが気に入ったので,彼らをカットに入れて撮ってみた。こどもの喜ぶ姿を見ていると,こちらまで童心に帰るような気持ちになる。

ちなみにこの通過列車はN700Sだった。最近は本数も増えてきて,東海道では少しずつ本線上で見かける頻度が増えてきている。山陽区間ではまだ珍しかったので,見られてラッキーだ。

N700Sには,この間の京都出張で乗って来た。外観こそN700系と大差ないが,乗り心地は「フルモデルチェンジ」車にふさわしく進化を遂げていた。

関連記事: 【究極の新幹線】N700Sで行く日帰り京都出張記

新大阪に到着

西明石を出ると,新神戸しんこうべ駅に停車したのち,終点の新大阪しんおおさか駅へ到着。

岡山で延発したが,16:12,定刻通りに着いた。

新大阪に到着した700系,このあと折り返しこだま号となって下ってゆく。

ほんとうは500系に乗りたかったが,700系のサルーンシートは想像以上の座り心地のよさで,思いがけない良い旅ができた。

「のぞみ410号」自由席で名古屋へ

新大阪からは,のぞみに乗り換えて名古屋まで帰った。

ちょうどいい時間に「ひかり」や「こだま」がなかったが,新大阪始発の「のぞみ410号」があったので,この列車の自由席に乗車した。

400番台の「のぞみ」は新大阪⇔東京間の臨時「のぞみ」だ。定期の「のぞみ」の間に入るように設定されていることが多いので,比較的空いていることが多いように思う。

たとえばこの列車の5分前にはのぞみ236号,3分前にはひかり658号(いずれも新大阪始発),そして3分後にはのぞみ114号(山陽から直通)がある (参考: 新幹線の運行表|東海道・山陽新幹線|新大阪|ジョルダン) 。これだけ列車が詰まっていれば,日曜の上り列車といえども,混雑は緩和されるだろう。

「9410」はこの列車の列車番号を指す,頭の9は,この列車が臨時列車であることを示す。
出発前の1コマ。山陽直通列車や,定期の「のぞみ」と比べると乗客はまばらだった。

N700系は,700系よりもスムーズに,そして静かに走る。名古屋まで,途中の停車駅は京都のみ。見慣れた車窓をぼんやり眺めていたら京都に着き,うとうとしていたら名古屋に着いた。

旅の最後にしてはあっけなかったが,名古屋へ帰るときはだいたい新幹線なので,こんな感じになる。

まあ,こうやって2つの列車を乗り比べると,技術の進歩を感じられて面白い。

まとめ: 山陽新幹線の指定席は快適!

以上,700系によって代走された「こだま850号」の乗車記を綴ってきた。

700系E編成のサルーンシートは,ゆったり2列の大きめ座席で,快適に山陽路の旅を楽しむことができた。移動を目的にするなら「のぞみ」や「ひかり」,「みずほ」や「さくら」がいいけれど,鉄道旅として新幹線に乗るなら「こだま」も楽しい。

長い停車時間を活かして駅弁や名物を買えるし,のぞみなら飛び去っていく駅のようすもじっくり楽しめる。時間に余裕があるなら,「こだま」でのまったり旅もおすすめだ。

関連記事

【山陰特急周遊旅】バックナンバーは以下のリンクからどうぞ。

Vol. 1: 岐阜羽島から1日1本だけの「広島ひかり」乗車記

Vol. 2: 【マニア垂涎の気動車特急】HOT7000系スーパーはくと3号乗車記

Vol. 3: 【5時間超】山陰特急スーパーおき5号乗車記|鳥取→新山口

Vol. 4: 【SLやまぐち号】C57の代役・まだまだ走れるD51(デゴイチ)を見てきた

Vol. 5: 置き換え進む115系電車でゆく山陽本線の旅|新山口→徳山

【新幹線】「こだま」「ひかり」の旅

名古屋始発「ひかり491号」自由席乗車記|名古屋→岡山

こだま号で静岡から浜松へ【2019春18きっぷ旅(終)】

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