【究極の新幹線】N700Sで行く日帰り京都出張記

大学院に関係する用事で京都へ行くことになった。

用事自体は半日で済むので,宿泊ではなく日帰りでの出張だ。交通費は出先が支給してくれるということで,往復とも新幹線に乗ることにした。

12時過ぎに京都駅についていればよかったが,せっかく京都に行くなら…と鉄道好きの血が騒ぎ,乗車する新幹線を入念に探索。すると,11時台に京都へ到着する「のぞみ213号」が,最新型N700S系での運転だった。

これは乗るしかない!ということで,わざわざその列車の指定席を予約して,N700Sに乗車してから出張してきた。京都の出先では,用事を無難にこなして,京都駅を散策してから,新幹線で帰って来た。

そんな感じで,目的と手段が逆転している京都日帰り出張の記録です。

N700Sは極上の乗り心地

新品のスーツに身を包み,地下鉄を乗り継いで名古屋駅へ。

きっぷは,すでに大学生協で手配済。というわけで,さっそく桜通口から中央改札を通って,新幹線改札へ向かう。

名古屋駅は16番線,のぞみ213号は10:41の出発だ。先に,隣のホームにこだま号が入って来た。おそらく,のぞみ213号に抜いてもらってから出発するのだろう。

発車4分前に,聴きなじんだアナウンスが流れる。アナウンスから入線までのようすは,以下の動画をどうぞ。

本線上を走るN700Sは,何度か目撃したことがあるが,乗車するのは今回が初めてだ。入線するときの音が静かで,さっそくN700系との違いを感じた。

11号車側面にあるロゴマーク。金色でラグジュアリなこのマークは,N700Sが究極の新幹線であることを強調しているかのようだ。先代N700系は,特にラージAのマークが好きだが,こちらのSupremeもなかなかカッコいい。

今回は指定席を取った。出先に遅れたくなかったのもあるし,平日朝下りの「のぞみ」は混雑している可能性が高い。

12号車指定席に入ると,案の定車内は混雑していた。このようすだと自由席はほとんど満席に近い状態のはずだ。乗車率は8割近くあるように見える。コロナ禍で客足が遠のいていた東海道新幹線だが,この様子を見ると,需要はだいぶ復調してきているようだ。それにしても東海道の需要は力強い。

参考: のぞみにはない魅力を求めて|名古屋始発「ひかり491号」自由席乗車記|名古屋→岡山

指定席に着席するとすぐに出発。となりの15番線には,ちょうど東京行きの上り列車が入って来ていたが,この列車もN700Sでの運転だった。登場して間もない時は1日数本の運転だったのに,最近は本線上で見かけることがずいぶん増えた。これからどんどん増えていくのだろう。

名古屋駅を出ると,次の京都までノンストップ。名古屋駅西部の景色を右手に見ながら,グイグイ加速していく。N700Sは,先代のN700より加減速がより滑らかだ。

座席の座り心地も改善されているように感じられる。ひじ掛けにはコンセントがあり,通路側の乗客でも自席のコンセントが使えるようになっている。左前に座っていた乗客が,このコンセントでスマホを充電していた。

名古屋市街を離れると,N700Sはかなりのスピードに達するが,ほとんど揺れない。新幹線特有の「空力音」(キィーンとかひゅんひゅんとかいう音)も,N700系より小さくなっている気がする。

N700Sは,名前こそ「N700」とついているが,N700系とは1世代異なるフルモデルチェンジ車だ。外から見る分にはあまり変わり映えはしないが,乗り心地は「フルモデルチェンジ」していた。まさに極上の乗り心地,Supreme(究極の)新幹線と名付けられるのも十分納得できる。

岐阜羽島~米原間では,右手に関ヶ原付近の山が見える。伊吹山はまだ雪をかぶっていなかったが,あと数日もすれば美しい雪化粧をするだろう。また,松山へ帰るときに右側座席に座って眺めたい。

参考: 久しぶりの乗車…東海道新幹線と8600系しおかぜでのんびり帰省

名古屋から京都まで,この列車は34分で走破する(名10:41→京11:15)。名城線が半周と少し走る時間で,名古屋から京都まで行けてしまうわけだ。新大阪までも1時間かからないので,東海道新幹線がいかにビジネスに強い新幹線であるかがわかる。東海道新幹線であれば,名古屋から京都・大阪は十分「通勤圏内」なのだ。

京都到着前には,大きいディスプレイに見やすい文字で案内がなされた。従来のN700系では,ドア方向と停車駅の案内が半分ずつ表示され,少々見にくかったのだが,そこも改善されていた。

京都駅では,多くの乗客が降りてきた。同じホームでは,京都への修学旅行生も見かけた。彼らを見送りながら,N700Sは次の新大阪に向けて出発していった。

N700Sの加速力のよさは,駅ホームで眺めていてもよくわかる。加速力は,N700系よりもさらに良くなっているように思える。

バスで出先へ向かう

さて,久しぶりの京都だ。曇天に恭しく伸びる京都タワーが出迎えてくれた。薄曇りだった名古屋より曇っていて,少し寒い。

京都駅から,本日の出先まではバスで向かうことになっている。まだバスの時間まで1時間あるが,京都のバスを観光以外で使うのは初めてなので,とりあえず系統と乗り場を入念に確認しておく。

京都駅はバスが多い,駅前のロータリーでは鉄道駅さながらのアナウンスがされている。駅前のロータリーから各方面のバスが発車するようになっている。のりかえアプリで乗り場がわかるようになっているが,その乗り場からは他方面のバスも発車しているようで,若干迷った。

路線が多くて,そのどれもに多くの乗客が並ぶ。そこへ,市バスもしくは京都バスのいずれかがやってくる。のりば近くに路線図があったので見てみると,そこまで複雑ではない。路線数も多くなく,そして何より道路が碁盤の目状であるのがわかりやすい。堀川通り経由といった具合に,通りによって系統たてられているようだ。

バスののりばは確認したので,腹ごしらえ。駅地下や駅前をめぐったが,あまり良さそうなものは見当たらず,京都タワー地下のグルメ街でつけ麺を食べた。オープン直後で人はまばらだった。さっき新幹線駅で見かけた修学旅行生が数組いた。

出先から京都駅に戻って来たのは,18時前くらいだっただろうか。もうすっかり日は暮れていた。京都駅まで戻るバスはかなり混雑していた。京都のバスは混雑するし,市内の道路も名古屋ほど整備されておらず,渋滞による遅延も日常茶飯事のようだ。都市計画の先生が「名古屋の道路,そしてそこを走るバスは凄い」とおっしゃっていたのが,京都のバスに乗ったことでよくわかった。

京都駅前のバス乗り場は,このような形状になっている。ぐるっとU字になっている名古屋駅BTとは異なり,蛇行する川のようにU字が何本もある。整然と並ぶ乗り場の屋根は,電車のホームに近いような雰囲気だ。

京都駅のイルミネーション

京都駅に着いて,お土産を買ったら,もうあとは名古屋に戻るだけとなった。が,京都タワー下の交差点から,京都駅新幹線改札へ向かう途中で,なんだか名残惜しくなった。

夜の京都タワー,素敵な青色を見て,帰るのが惜しくなった。

せっかく京都に来たのだから,なんか京都らしいこと・ものを見ておきたい。ただ,今日は,スーツにコートを羽織って,手提げのビジネスかばんを持っているという重々しい恰好だ。それにもう日が暮れてしまっているし,明日は朝から研究室で作業したい気持ちがある。

そういう思考を経て,京都駅の中を歩いて散策だけしてから,帰ることにした。

京都駅の駅ビル内は,大階段や広場,自由通路があって,散歩には困らないようだ。まずは,中央口から右へ登ったところにある大階段を眺める。ちょうど,クリスマスイルミネーションをやっているみたい。階段の下から,多くの人がスマホで動画を撮っていた。

階段にイルミネーションをぶらさげているわけではなくて,今風のプロジェクションマッピングで映像を投影していた。この大階段は,伊勢丹の4Fから11Fまでを結ぶ階段で,そこに映し出される色鮮やかな動画は幻想的だった。

せっかくなのでこの大階段の上の方にも行ってみた。大階段を登らなくても,横についているエスカレータで11Fまで登れた。上には広場があって,南北の夜景を見ることができた。京都市は,たしか建築物の高さに規制があったはずで,大都市なのに割合遠くまで夜景を見通せた。

広場から,大階段を見下ろすとこのような具合になっている。大屋根と空中経路とが,迫力あって圧倒された。これが駅だなんて,信じられない。

上の写真のちょうど中央にある,赤色で照らされた歩道は「空中経路」といって,こちら側の広場から写真奥側(東広場)まで続いている。せっかくなので,この歩道も歩いてみた。途中,中央改札の上側からは,青色に照らされた京都タワーを,同じ目線の高さで見られた。

反対側の広場に降りると,美しいイルミネーションの数々が出迎えてくれた。さっきの大階段のプロジェクションマッピングを遠目から見通すことができた。

何度か通ったことがある京都駅中央改札の両側には,こんなに素敵な広場があるだなんて,知らなかった。

このあと,新幹線改札横にあるセブンイレブンで軽食を買って,

上りの「のぞみ46号」にて名古屋まで帰った。名古屋到着直前,左側にEF64重連の中央西線石油貨物がゆっくり走って行くのが見えた。この列車を,名古屋駅東海道新幹線上りホームにて,きっちりと見てから,きしめんを食べて帰った。

関連記事: 中央西線の堀割線区間をゆくEF64重連と313系・211系

駅できしめんを立ち食いすると,「名古屋に戻って来たなあ」と感じるようになった。もう名古屋暮らしも5年目。心も体も,すっかり名古屋になじんできたようだ。

まとめ: 学会も現地へ行けるようになるといいな

以上,日帰り京都出張の記録。

全額支給される新幹線代を有効に活用してN700Sの走りを体感してきた。もはや手段と目的が逆転してしまっているが...(もちろん,出先での用事も有意義だった)

N700Sの走りは,まさに「究極の」新幹線と呼ぶにふさわしい走りだった。これからは,この車両がスタンダードになっていく。コロナで落ち込んだ需要も,じわじわ回復しているようだ。やっぱり東海道新幹線は,日本の交通の大動脈だ。

再来週に,今度は東京へ行く用事も入っているので,また東海道新幹線のお世話になろうと思う(次の目標は,グリーン車に乗って富士山を見ること…!)。

こんな風にして学会も,研究室メンバーと行けるようになったらいいな。

 

おわり。

関連記事

【東海道新幹線の記事】

ガラガラの東海道新幹線としおかぜを乗り継いで帰省した

岐阜羽島から1日1本だけの「広島ひかり」乗車記

【終電乗車記】上り「こだま」最終列車で東海道新幹線弁当を食べる週末

タイトルとURLをコピーしました