岐阜羽島駅をスタート地点として,久しぶりの鉄道旅へ出た。
スタート地点の岐阜羽島までは,昨日の夜,名古屋から名鉄線を乗り継いできた。昨晩は,ホテルで1泊して,翌朝はこの岐阜羽島駅から旅路を伸ばしていく。旅の行先は,ホテルで決めた。今回は,新幹線で京都まで下ったのち,山陰方面の特急列車に乗っていく。
さて,岐阜羽島駅といえば,やっぱり東海道新幹線。そもそも,ここをスタート地点に決めたのは,「いつも通過する岐阜羽島駅から新幹線に乗りたかったから」だ。というわけでこの日はまず,岐阜羽島駅できっぷを買い,下りのひかり号に乗って京都まで向かうことにした。
ひかり535号広島ゆき|岐阜羽島→京都
岐阜羽島駅には,毎時1本ずつ「ひかり」と「こだま」がやってくる。今回は,新大阪・岡山方面の下り列車に乗車する。
東海道新幹線の「こだま」と「ひかり」
東海道新幹線の下り「こだま」は,すべての列車が東海道新幹線内完結となっている。そして,岐阜羽島以西で終点となる駅は新大阪駅のみだ。したがって,岐阜羽島にやってくる下りの「こだま」は,全列車が新大阪ゆきだ。
一方,「ひかり」については,わずかだが山陽新幹線に直通する列車がある。本数の多いものとして岡山駅を終点とする「ひかり」がある。たとえば,東京始発の「ひかり」は,岡山ゆきと新大阪ゆきが毎時1本ずつだ。ただ,それ以外の広島ゆき・博多ゆきについては,本数が少ない。いずれも,東京,名古屋または新横浜を始発とする列車で,
- 博多ゆき: 1本(名古屋6時台 発)
- 広島ゆき: 3本(新横浜6時台 発,名古屋7時台 発,東京19時台発)
となっている(2021年11月時点)。なお,7時台の広島ひかり1本(6:00 新横浜始発)と,19時台の東京始発のひかりは,岐阜羽島駅を通過する。したがって,岐阜羽島駅に停車する山陽新幹線直通の下り「ひかり」は,
- 博多ゆき: 1本
- 広島ゆき: 1本
のみとなっている。
参考: 時刻表|ジョルダン
今回はこのうち,広島ゆきの「ひかり535号」に乗車する,というわけだ。ただし,全区間乗車ではなく,途中の京都駅まで。じゃあ,別に東海道完結の「こだま」や「ひかり」でもいいじゃない,と思われるかもしれない。でも,こういう運転本数の少ない列車には,なんとなく乗りたくなってしまう,それが,鉄道ファンの性なのだ。
朝の岐阜羽島駅
ホテルにて,そんな「広島ひかり」に乗車することを決めた。
*
翌朝,ホテルをチェックアウトして,歩いて岐阜羽島駅へ向かう。岐阜羽島駅周辺には,東横インなどビジネスホテルがいくつかある。名古屋駅や東京駅と比べると,「田舎」だが,鉄道ファンが宿泊するくらいのホテルは揃っている。
岐阜羽島駅に行くと,待合室やコンコースは思ったより賑わっている。この日が土曜日の朝で,岐阜羽島駅が最寄りの旅行客が大勢いるのかもしれない。
ひかり535号の出発まであと20分ほど,とりあえずきっぷを買いに行く。学割乗車券が欲しかったので,有人の窓口にてきっぷを買う。買っていると,隣の窓口では1人ずつの客がきっぷを買い求めているのが目に入った。1人目は,ビジネスウーマンといった感じの中年女性,国立までのきっぷを買っていた。もう1人目は,男性サラリーマン,こちらの目的地は高松まで。岐阜羽島駅は地味な駅でも,新幹線の停車する駅。そこから全国各地へ,JR線を乗り継いでアクセスすることができる。こうやってきっぷ売り場で,全国各地の地名を耳にすると,新幹線駅の力強さを実感する。
さて,自分はというと,昨日ホテルで考えた行程をもとに,乗車券を発行してもらった。今日は,以下のような乗り継ぎに沿う乗車券だ。
岐阜羽島→(ひかり535)→京都→(Sはくと3号)→鳥取→(Sおき5号)→→新山口
目的地が新山口である「だけ」なら,岐阜羽島から新幹線を乗り継げばいいのだが・・・今回の目的は「山陰特急に乗ること」で,新山口はあくまでも「到着点」に過ぎない。そんなわけで窓口では,「新山口まで行きたいんですけど・・・」のあとに,「京都からスーパーはくとと,スーパーおきを乗り継いで,山陰線・山口線経由の乗車券でお願いします」のような,いかにも「面倒くさい鉄道ファン」の台詞を連ねなければならない。
めんどくさい乗車券なのに,対応してくださるJRの駅員さんには感謝している。
ホームで通過する新幹線を眺める
自動改札機へきっぷを重ねて入れると,少しの時間ののち,「カシャッ」と気持ちいい音を立ててきっぷが出てくる。乗車券には「岐阜羽島 入場」の赤い印字が付いた。エスカレータに乗り込み,下り方面のホームへ登ってゆく。こうやって,新幹線の駅のエスカレータに乗って,ホームを見上げるのは久しぶり。とてもワクワクする。
まだ出発までは時間がある。早めにホームへ上がったのは,通過する新幹線を1本でも2本でも見ておきたいからだ。いつもの名古屋駅では,本線通過する新幹線はまず見られない。
さっそく,東京方面のN700系が,中線を通過していく。山陽新幹線よりは遅い最高速度285km/hでの通過でも,かなりの迫力だ。16両もの長い編成,白い車体が,ほとんど横揺れもなしに通過していくのを眺めると,新幹線車両が日本の技術力の結晶であることが身に染みて感じられる。N700系は,まるで生き物のように,滑るように,通過していく。
しばらくののち,下り方面のホームにも通過列車がある旨の放送あり。JR東海では,乗務員が肉声で英語放送をするようになったが,ここ岐阜羽島駅のホームも例外ではない。注意喚起や列車接近の肉声放送も英語で行われている。
放送ののち,米原方面のN700系が通過していった。ちょうど東からの朝日が車体に反射して美しい。単焦点レンズで写真に収めたが,イマイチ迫力に欠けた。やっぱり鉄道旅のときには,ズームレンズも一緒に持ってくるべきだ。単焦点レンズしか持ってこなかったのを後悔した。
参考: PENTAXの単焦点レンズFA31mm F1.8AL Limitedを買った
ひかり535号広島ゆき|自由席
通過列車に続いて,名古屋始発のひかり535号が入線してきた。
出発時刻の7:50より少し前に停車。この駅にて,後続の「のぞみ」を退避する。
京都までは,自由席で向かう。「ひかり」の自由席は「のぞみ」より2両多い。今はコロナ禍ということで,利用客も減っているので,特に混雑が予想されない列車では自由席の方が安上がりで着席が可能だ。
この日は2号車の7Aに着席。乗車率は25%ほど。まだ,旅行には抵抗のある人が多いのだろうか。車内は,旅慣れたようすの乗客が多い。
ひかり535号は,「のぞみ」を退避したのち,定刻で出発。
N700系の力走,すぐに遅れ回復
N700系は,岐阜羽島を出ると,すぐに全速力で加速。長良川,揖斐川を渡る。そして,カーブの多い東海道を,グイグイ車体を傾けて力走する。川を渡った後は米原まで,東海道新幹線は関ヶ原越えとなる。N700系は,険しい山道を感じさせないような快走を見せる。
関ヶ原越えとなるこの区間では,真冬になると,積雪もある。その場合,東海道新幹線は減速や運転見合わせを強いられる。そのとき,できるだけ多くの列車を止めておけるよう,先ほどの岐阜羽島駅には多くの線路がある(2面4線+中線2線)。岐阜羽島は,関ヶ原越えのための対策基地のような役割をもっているのだ。
関ヶ原の手前か後か,左側に東海道本線の架線柱が見える。新幹線と比べると,それはまるでおもちゃのようなサイズに見える。
*
米原駅では6分停車。8:09出発予定だが,出発時刻になっても1本も退避がなかった。臨時列車が入るようなダイヤなのだろうか。と思っていたら,8:09:05に後続の列車が通過。その1分10秒後に,ひかり535号が出発した。おそらく定刻よりわずかに遅れて出発。
遅れをもって,さっき通過していった列車を全速力で追いかける。
愛知川を渡る前,左側に気球が見えた。いくつか上がっている。近江八幡のあたりをサイクリングしたときにも,気球を見た気がする。このあたりは気球が有名なのだろうか。
参照: 【近江八幡】とろける近江牛を食べて紅葉を愉しむ~秋の近江グルメ&紅葉ライド~
近江のあたりで「近江兄弟社」のメンタームの看板が見えた。名前の通り,本社が近江八幡にあるらしい。
京都駅で下車
米原を出たと思ったら,もう山科のあたりを走っていた。
トンネルをくぐったら,京都駅に到着。
下りの新幹線を京都駅で降りるのは,初めての経験だ。
上りは,山陰線の旅の帰りに乗車したことがある。
参照: 【途中下車の旅】城崎温泉外湯めぐり&特急「こうのとり・はしだて」乗車記
このあと,京都からスーパーはくとに乗り継ぐために,コンコースから在来線ホームへ向かった。周囲からは京都弁が聞こえてくる。関西に来たことを実感した。
まとめ: 奥深い「ひかり」の世界
以上,岐阜羽島駅から「広島ひかり」に乗車した記録。
岐阜羽島駅からは,上下とも30分に1本新幹線が発着している。「ひかり」と「こだま」のみの停車だが,新大阪や名古屋で乗り継げば,「のぞみ」や「さくら」,「みずほ」で,より速く遠方へ移動できる。もちろん,名鉄羽島線もあって,名古屋や岐阜へも名鉄線のみでアクセスできる。そう考えると,羽島市というのは意外と利便性の高い街なのかもしれないと思った。実際,岐阜羽島駅の利用状況は上向きであるという話も聞いたことがある。
鉄道ファンとしては,やはり「関ヶ原」を超えるための基地的な役割をもつ岐阜羽島駅に魅力を感じた。そして,この駅から1日1本のみの「広島ひかり」に乗車することができてよかった。
前にも別の記事で書いたけれど,「ひかり」は奥深い。「のぞみ」を補完するような速い列車もいれば,「こだま」に近いような停車をする列車もいる。今度は,新横浜始発の「ひかり」や,山陽区間を走る「ひかりレールスター」にも乗ってみたい。
*
【次の記事】山陰・山陽周遊旅の記録です。
(1) HOT7000系スーパーはくと3号乗車記|京都→鳥取
(5) 【サルーンシート】700系レールスター「こだま」乗車記
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