北海道フリーパスの旅もそろそろ終盤.
北海道の定期特急列車で
唯一乗り残していた789系(1000番台)に乗るため,
カムイとすずらんのUシートにて室蘭へ.
室蘭では名物・カレーラーメンに舌鼓.
駅から歩いて「測量山」へプチ登山にも挑戦してきた.
カムイ12号指定席(Uシート)
さて,前日網走からキハ183系で旭川まで戻ってきたわけだが,
「北海道フリーパス」の有効期間は残り2日.名古屋へは(贅沢に)新幹線で帰る予定だったので,最後の1日は新函館北斗への移動に充てたいと思っていた.したがって,この5日目が実質的な最後の1日となる.
乗り残している路線としては根室本線滝川=富良野間があったが,わざわざ時間を合せて乗りに行くのが面倒になったので,札幌へ向かう789系特急「カムイ」に乗ることにした.
789系1000番台「カムイ」
特急 カムイ12号 札幌行
旭川0830=札幌0955
789系1000番台,シルバーのボディがかっこいいシンプルデザインの電車特急.
2007年に781系の置き換えでデビューした車両で,L特急「スーパーカムイ」と空港行き「エアポート」として使われた後,現在は主に「カムイ」と室蘭本線「すずらん」の一部で活躍中.
ライラックとカムイの違い?
札幌=旭川間の特急には「ライラック」と「カムイ」の2種類がある.
ライラックの編成
「ライラック」は789系基本番台(緑のやつ)が使われており3+3の6両編成,以下の2パターンで編成が組まれる.
自由席3両(4~6号車)
+指定席3両(1~3号車)
自由席4両(3~6号車)
+指定席2両(1,2号車)
座席表出典:特急ライラック(789系0代)|列車ガイド|JR北海道HP
ライラックはいずれも,1号車(旭川方)が半室グリーン車となっている.指定席が2両以上組まれており,道内の他の特急列車と同じように指定席の座席数がそれなりに確保されているのが特徴.
カムイの編成
いっぽうの「カムイ」は5両固定編成.グリーン車は組み込まれず,
自由席(1~3,5号車)+Uシート(4号車)
座席表出典:特急カムイ(789系1000代)|列車ガイド|JR北海道HP
の編成である.ライラックよりも自由席重視の編成で,これは現在の「すずらん」やかつての「エアポート」のように比較的短距離利用を狙った編成の組み方だと考えられる.
_ _
旭川=札幌間では,上り下りとも
ライラック,カムイを同系統とみなして号数が通しでつけられており,本数としてはライラックの方が多い.日中はライラック中心,朝晩はカムイ中心といったダイヤが組まれているようだ.
ライラック:2,4,10,14,16,18,22,24,26,34,36,38,40,48号:14本
カムイ:6,8,12,20,28,30,32,42,44,46号:10本
ちょっと豪華なUシート
さて,北海道フリーパスの特典「指定席6回まで乗り放題」がどうやら余りそうな気配なので,札幌までUシートで行ってみることにした.
4号車のみUシート.座席は普通車自由席よりも豪華な造り.
分厚いシートと,可動式ヘッドレスト.あと座席背面に電源用コンセントが備え付けられている.
加えて居住性の大きな違いとして,窓が小窓形式・床がカーペットであることが挙げられる.
こんな感じでUシートは,ほぼグリーン車並?の設備を持っている.自由席の方が多い代わりに,Uシートはかなり豪華な造りだといえる.
Uシート車の乗車率は低く,自由席の方が乗車率が高かった.札幌=旭川は2時間かからないので,わざわざ520円プラスして指定席を選ぶ必要は無いという乗客が多いのだろう.
1時間20分の高速列車
789系は電車特急.非常に静かに走る.
札幌ー旭川間の所要時間は80分少々.観光客はもちろんだが,ビジネス客も多く利用していた.
車窓についてはもう何度も見たので,割愛.
以下の記事を参考にしてほしい.
せっかくのUシートなので,充電させてもらいながら,ゆったり読書をして過ごした.
分厚いシートが座り心地最高だ....
すずらん4号室蘭行
「カムイ」は快調に飛ばし,あっという間に札幌到着.
札幌からは室蘭へ行くことにする.「スーパー北斗」でも東室蘭までは行くことができるが,キハ261はもう何度も乗ったので,室蘭本線に直通する789系・785系特急「すずらん」に乗ってみることにした.
789系すずらん
ちょっと長めののりかえ待ち.駅を出てビックカメラに行ってみたり,札幌駅のホームで各方面からやってくる列車を眺めたりして過ごした.
北海道は本当にいろんな列車が走っていて,それぞれの行先がスゴく遠いところだったりするのが面白い.
さて,11時過ぎになってようやく入線.
特急 すずらん4号 室蘭行
東室蘭=室蘭間普通列車(1434M)
札幌1124=室蘭1311
「すずらん」は,札幌から東室蘭まで千歳線・室蘭本線を走る特急列車.東室蘭から室蘭支線に入り,そこから室蘭までは普通列車として運行される.785系と789系1000番台が使われている.789系はカムイで乗ったばかりだから,785系が来ないかな~…と思っていたら,789系が来た...はずれ!
東室蘭まで同じルートを走る特急「北斗」「スーパー北斗」とは,停車駅の数で遠近分離されている.東室蘭までの停車駅は以下のように,すずらんの方が多い(太字はすずらんのみ停車する駅).室蘭本線沿線の区間利用客を狙った運行であると考えられる.
「スーパー北斗」:新札幌,南千歳,苫小牧,(白老※),登別,東室蘭,…
※白老は2020年3月改正以降,一部列車が停車.
すずらんのUシート
すずらんもカムイと同じで,指定席は1両のみ・Uシートとなっている.
さっきと同じ車両なので,設備は特に変わらない.景色がよく見えるように窓側の座席を指定しておいた.
カムイとは違い,自由席もガラガラだった.やっぱり「北斗」の方が本数が多いし,停車駅も少ないから,室蘭まで行く人でも東室蘭まで「北斗」で行くのかも?
これだけ自由席が空いているんだったら,わざわざUシートに乗らなくてもいいような気がしてくるが…まあ,フリーパスで無料だし,乗れるものは乗っておこう(貧乏性).
千歳線内はゆっくり走る?
札幌から沼ノ端までは千歳線内.
千歳駅や沼ノ端駅に停車するのは新鮮だった.普段千歳線内を走る特急「スーパー北斗」に乗っていると,これらの駅は通過していることすらあまり気付けない駅だ.
沼ノ端駅は苫小牧のフェリーターミナルから,自転車旅にて輪行するときにお世話になった駅.住宅街の真ん中にある無人駅なんだけれど,屋根付きの立派な駅.懐かしいなあ...
あとダイヤに余裕があるのか,千歳線内は比較的のんびり走っているような印象を受けた.スーパー北斗だったら,もっとガンガン飛ばす区間なのだけど.
室蘭本線内を快走
次のダイヤ改正で24本中19本が停まるようになる白老駅にも停まった.
駅周辺の雰囲気を見る限りでは,それなりの乗降が見込めそうな雰囲気ではある.
太平洋沿岸を走る区間に入ると,右側車窓にいくつか山が見えてきた.支笏湖や倶多楽湖の手前にそびえる山だろうか?連なっている雪山が美しい.
スーパー北斗に何度も乗っているから,こういう景色も見ているはずなんだけど・・・・なんだか初めて見たような気分.停車駅が多いからこそ,よく見えるのかもしれない.左側の太平洋も綺麗だ.
東室蘭の手前で「○別」駅3連続停車(登別・幌別・鷲別).
北斗が通過する幌別・鷲別では,ほとんど乗降がなかった.朝夕通勤通学時間帯だと乗降があるのだろうか?
東室蘭到着前,特急列車としては終着駅だが,一本の列車としては室蘭が終点.ということで,終着駅用の鉄道唱歌チャイムではなく,通常の7打点チャイムが流れた.
室蘭支線を普通列車として走る
東室蘭に到着すると,列車番号を変え「普通列車」として室蘭支線に入る.「すずらん」のいいところは,この直通運転にあると思う.室蘭に行きたい人がわざわざ東室蘭駅でのりかえなくて済む.
それにしてもなんとまあ豪華な普通列車だこと.789系の車内では「This is the local train…」と放送される.もちろん普通列車だから車内チャイムは流れないのだが…それにしても普通列車には不釣り合いな豪華な座席.
なお,室蘭支線内では,Uシートも含めて全車自由席となる.その気になれば18きっぷでUシートに乗ることだってできるというわけだ.
沿線には製鉄所や工場などが見える.室蘭は工業のまち,特に鉄のまちという印象があるが,その通りの車窓だった.もくもく煙を上げる工場とか,石油・ガスの丸いタンクがたくさんある.
一応電化されているが,通る電車は789系,785系のみ.純粋な普通列車は,すべて気動車で運行される.つまり,札幌からの直通特急列車のために電化したようなものだといえる.
途中には三つくらい駅があるが,いずれもローカル線に似合う程度のいたって普通の駅.
室蘭支線は元々,通勤通学路線ではなく鉄等工業産品の輸送のために造られた路線らしい.旅客営業はついでにやっていた路線だと考えられる.
室蘭プチ観光
終着駅である室蘭駅は,1面2線の島式ホーム.特急型の列車が入線する駅としては,ちょっと寂しい感じ.
室蘭駅外観.外から見ると立派な駅だ.
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折り返し列車は1時間に1本程度あるので,時間を気にせずプチ観光.
「味の大王」カレーラーメン
室蘭名物「カレーラーメン」
駅から10分弱歩いたところにある「味の大王」というお店で頂いた.カレーにラーメンなんて,絶対無いわ~と思っていたが,これが予想以上にうまかった.ほどよい辛さとカレーのちょうどいい”スープ感”がたまらない.カレーには中華風のスパイスか調味料が入れられているのかな?中華風の風味で,ラーメンも進む.
細めの縮れ麺が濃厚なカレースープに相性ピッタリ.カレーとラーメンがうまく組み合わさるように綿密に計算された絶品グルメだった.クセになりそうな味.また室蘭に来たら食べに来よう.
駅から徒歩で測量山登山
食後は景色がいいという「測量山」というところに登ってみた.室蘭駅からひたすら上り坂を歩いて片道30分~40分ほど.室蘭駅から200mほど標高を上げる.
山まで休むことなく上り坂が続く.室蘭駅西側は急斜面にへばりつくように町があって,上から見るとスゴい景色だった.斜度は16%.こんなのじゃ雪が降ったら車は走れないな,と思っていたが,ちゃんとロードヒーティングが設置されていた.
雪も積もっていたからまあまあハードだった…(笑).晴れていたからいいけど,これで雪とか降ってたらちょっとした冬山登山だ.
でもでも,登った分景色はよくて,展望台からは室蘭の街が一望できる.
展望台には「測量山」の名前の通り「測量の基準」となる三角点が設置されていた.
また,各放送局の電波塔が建ち並んでおり,通信等の重要な拠点となっていることがよくわかる場所だった.
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駅まで帰ってきて,16時過ぎ.さすがに歩き疲れた.
室蘭から函館へ
さて,室蘭からの帰りもすずらんで.
ただし,明日の予定も考えて,今日は函館まで行っておくことにした.
ということで,すずらんの乗車は東室蘭まで.
785系普通列車
東室蘭までの列車は,乗り損ねた785系.
普通 札幌行
(東室蘭より特急すずらん9号)
室蘭1626=東室蘭1637
785系は,現在主流の縦に長い顔の一時代前,かつ,国鉄型の四角い顔の一時代後のデザイン.ノースレインボーエクスプレスと似たような雰囲気がある.
先頭は若干スラントなスタイルになっていて,貫通部分を連結させると幌が長くなってちょっと不細工ではある...笑
Uシートチョイ乗り
東室蘭以降は札幌行きのすずらん9号として運転されるが,東室蘭までは普通列車.全車自由席で,好きな座席に座れる.
短い区間だが,せっかく自由席なのでUシートに座ってみた.
789系電車よりかなり古いがUシートはちゃんと豪華な造り.床はカーペットで,座席は自由席よりもホールド感の高い造り.
違うところといえば,ヘッドレスト横の張り出しが大きいこと.あとは色かな.
車内は通勤通学客が中心で,乗車率は2割~3割ほど.東室蘭以降で多く乗客を載せると思われる.
785系は登場から30年以上が経過して,ダイヤ改正のたびに引退が心配されているが,2020年3月改正でも,すずらんとして細々走るらしい.何はともあれ引退前に乗れてよかった.これで現役のJR北海道特急型車両は(臨時列車を除いて)全車両乗破できた.
東室蘭からはスーパー北斗で
東室蘭からは函館本線直通のスーパー北斗で函館に行った.
特急 スーパー北斗18号 函館行
東室蘭1708=函館1924
この日は9両編成でやってきた.
正直,自由席でよかったけど,フリーパスの指定席特典があと2回分余っていたので,指定席を室蘭駅みどりの窓口でとってもらった.ガラッガラの6号車の真ん中.
すぐ後ろの2人掛けに夫婦が座っておられた.が,車両全体では自分とそのご夫婦を含めて5,6人しか座っていなかった.他の座席はほとんど空いてるのに,なんで中央に詰めて座ってるんだ・・・?JRの座席指定は前後に人がいるいないよりも,車両中央から優先的に指定していくシステムなのかもしれないなあ.
そんなことを考えながら,測量山登山で疲れてしまってウトウト.
夜の函館本線は,車窓にひたすら闇が続くので特に車窓について書くことはない.乗車記については以下の記事に書いてあるのでどうぞ.
函館には夜7時過ぎの到着.今夜は函館に宿泊して,明日の朝新幹線で名古屋へ帰る.
北海道鉄道旅もいよいよ明日でおわり.
まとめ:785系,乗るなら「すずらん」
以上,789系「カムイ」と室蘭本線「すずらん」乗車記.
記事内でも書いたが,785系は古い車両で,引退が近いのではないか?と考えている.
「すずらん」として一応走っているが,後継車両や現在主流の789系が新造されれば,置き換えによって引退することも考えられる.
乗るなら,「すずらん」として走っているうちに乗っておくべし.
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