全部同じに見える?JR東海313系の形式について勉強してみた【東海道本線】

東海道本線名古屋地区にて,列車を撮影していると思うことがある.

313系ばっかり来るやん…

ぼーっと見ているだけだと全部同じに見えるのだが

動画をつくりながら繰り返し見ることで,

列車による編成の違いがわかるようになってきた.

さらに細かくWikipediaで調べていくと,
313系とひとくちに言っても,製造年月や編成番台にはかなり違いがあることがわかった.

今回は,そんな東海道本線(名古屋地区)を走る313系の形式について,勉強した成果をまとめてみる.

東海道本線名古屋地区の313系

313系Y104編成(5000番台3次車)

以下に示す情報は,Wikipedia を参照している.

JR東海313系電車 – Wikipedia

【基礎知識】313系の番台区分

JR東海313系は,1999年から長期間にわたり,区分をわけて何度も投入された.

また,使用される線区は,電化区間すべてに及ぶ.
(313系が「標準車両」と呼ばれるゆえん?)

そのため,車両を区別するために非常に細かい「番台区分」がなされている.

番台は,車両形式の後ろに付与される番号の区分のことで,列車側面下側形式名の後ろに「313-○○○○」と書かれている.

車両側面,下の方を見ると,「種別/形式-番号」が書かれているのがわかる(写真は211系)

今回は東海道本線名古屋地区で使用される列車についてまとめるが,その前にまず313系のおおまかな番台区分を書いておく.

  • 0番台
  • 1000番台
  • 2000番台
  • 3000番台
  • 5000番台
  • 8000番台

千の位での違いがあるのは,上記6種類.

このうち,東海道本線名古屋地区で使用される車両は,以下の3番台+1番台.

  • 0番台 [1次車]
  • 3000番台 [1次車]
  • 5000番台 [3・4次車]
  • 1100番台 [3・5次車]

これらはすべて大垣車両区(海カキ)所属の車両となっている.

今回は,これら3つの番台を付けられている車両について
より詳しく見ていくこととする.

編成番号について

313系は,各番台の編成ごとに「アルファベット1文字-番号」という形式の編成番号が割り当てられている.

外観では違いが判らない車両形式についても,

この編成番号を見ることで違いが判別できる.

なお,313系の編成番号は,先頭車両及び最後尾車両の前面窓ガラスに書かれている
(進行方向向かって右側,白い文字).

0番台(Y1-Y15):4両編成

313系電車の中で最初に投入された形式,1・2次車.

編成番号は「Y1」から「Y15」の15編成が活躍中.

0番台は4両編成クモハ313+サハ313+モハ312+クハ312)なので,車両は全部で15編成×4両=60両.

後述する5000番台投入までは,名古屋地区の快速列車として運行されたそうだ.

現在は主に普通運用についているようだ.

しかし,ラッシュ時などは311系や300番台と併結して快速運用につくこともあるらしい.

外観でわかりやすい違いは,行先・種別表示が幕式であること.

車内の違いとしては,扉横と車端部のシートが固定シートになっていること.

あと,5000番台などと比べると登場年月が古いので,汚れ・くたびれが目立つ

300番台(Y31-Y46):2両編成

名古屋駅に停車中,300番台(Y44編成)新快速運用

Y33編成 特別快速での運用

0番台のうち,2両編成のものには「Y31」から「Y46」の編成番号が割り当てられている.

全部で16編成×2両(クモハ313+クハ312)=32両.

0番台とあわせて92両が配置されていることになる.

基本的に東海道線内では増結用として用いられるようだ.

0番台(4両)と併結して6両で運行したり,5000番台と併結して8両の快速運行についたり.

0番台(Y8編成)と300番台(Y40編成)の併結 新快速運用

あるいは300番台を2・3編成併結して,0番台や5000番台を代走することもあるらしい.

外観は0番台と同じ.

3000番台(R101-R116):2両編成

2012年4月までに,大垣へ転属してきた編成たち.1次車.

編成番号は「R101」から「R116」が割り当てられている.

2両編成(クモハ313+クハ312)

名古屋地区では,0番台や1100番台,5000番台,そして311系との併結運用や快速系統の運用があるようだ.

飯田線や美濃赤坂支線で,ワンマン運行の列車に用いられることもあり,ワンマン運行の装備が備えられているのが特徴.

外観としては,0番台と同様,行先・種別表示が幕式

5000番台3次車(Y101-Y112):6両編成

2006年に運転を開始した,5000番台の古い方の編成.

編成番号は「Y101」から「Y112」が割り当てられている.

6両の固定編成(クモハ313-5000+サハ313-5300+モハ313+サハ313-5000+モハ313-5300+クハ312-5000)

Y106編成 快速運用 4次車と比べると1世代古い

外観で最もわかりやすいのは,行先・種別表示器がLED(フルカラー)式であること.
これが0番台・300番台・3000番台との最もわかりやすい違い.

あとは,昼間だとわかりづらいが
前照灯が窓下のものはHIDランプ(青白)に
貫通扉上のものは超高輝度白色LEDに変更されている.

(5000番台以前の形式では,黄白色の白熱灯だった)

以下は,名古屋駅で撮影した313系の並び.左側はJ編成(1100番台),右側はY編成(300番台).前照灯と行先・種別表示器に違いがみられるのがわかる.

←J編成(1100番台)と Y編成(300番台)→: 前照灯と行先・種別表示器に違いがみられる

車内環境としては,座席が全座席転換クロスシートとなっている.

また,トイレは身体障碍のあるひとでも利用しやすいように拡大され,あわせて車いす用のスペースも設けられている.

Y110編成 単独6両での普通運用

併結相手は,300番・3000番台および後述の5300番台(いずれも2両編成)のみ.

0番台とは違い,6両固定の単独編成による快速運行などはよく見かける.

8両の快速列車では,300番台や3000番台など+2両が連結されているのも,またよく見かける.

0番台・300番台とは異なり,「セミアクティブサスペンション(700系新幹線で採用)」や「車体間ダンパ」が採用されている.したがって,乗り心地は以前の編成よりも向上していると考えられる.

実際,LEDフルカラーの行先表示の車両(つまり,本形式)に乗車すると,幕式の車両(つまり,0番台など以前の形式)よりも乗り心地がいい気がする.横揺れが少なくて,静かに走る.

本番台以降の編成は,外観や車内設備には大きな違いがなく,

番号でしか見分けることができないのが正直なところ.

1100番台増備車(J1-J7,B6):4両編成

J6編成普通運用

2010年度から投入された,4次車.

3次車とはそこまで大きな違いがない.

制御車(クハ車)以外は,1100番台を付与されている.

編成番号は「J1」から「J7」.ここに神領車両区から転属してきた「B6」編成も加わっている.

4両編成(クモハ313-1100+サハ313-1100+モハ313-1100+クハ312-400)

電化された武豊線は,最長編成が4両のため,5000番台は入線しない.

したがって,武豊線に直通する区間快速でモノクラス編成のもの,かつ,行先・種別表示器がLEDのものは,J編成のみ.

J7編成 大府から武豊線に直通する区間快速運用(4両編成)

5000番台増備車(Y113-Y117):6両編成

Y115編成 快速運用

3次車の増備用として投入された,5000番台の追加編成.

編成番号は「Y113」から「Y117」が付与されている.

5000番台3次車は,Y112までなので,その続番になっている.

1編成は6両編成(クモハ313-5000+サハ313-5300+モハ313-5000+サハ313-5000+モハ313-5300+クハ312-5000).3次車同様に,中間車の一部は,5300番台が付与されている.

単独の6両,5300番台(後述,2両編成)などと併結して8両で運行されているようだ.

5300番台(Z1-Z5):2両編成

大垣方に2両併結されたZ1編成 特別快速運用

4次車のうち,2両で編成を組んでいるものを5300番台としている.

編成番号は「Z1」から「Z5」が割り当てられている.

2両編成(クモハ313-5300+クハ312-5000),制御車は5000番台.

6両編成の5000番台や4両編成の0番台,1100番台の,311系の併結相手として運用される.

また,3000番台や本形式(いずれも2両)を2・3編成併結して,5000番台や0番台の代走をすることもあるようだ.

単独編成で飯田線の代走に入ることもあるらしい.

1100番台再増備車(J8-J10):4両編成

前4両:J9編成 普通運用

2015年より投入された,5次車.

1100番台の再増備車で,編成番号は「J8」から「J10」が割り当てられている.なお,これは1100番台4次車(J1ーJ7)の続番となっている.

1100番台(3次車)と同じく
4両編成(クモハ313-1100+サハ313-1100+モハ313-1100+クハ312-400).制御車以外は1100番台.

1100番台4次車と共通の運用についている.

大きく違う編成はどれ?

ここまでざっくりと,各編成の登場時期や編成番号について書いてきた.

通過していく313系をじっと見て,窓ガラス左下のアルファベット1文字と,番号を読み取ることができれば,ここまでで紹介してきたいずれの編成なのかがわかる.以下の動画をみながら,実際に「この313系はどの番台なのか?」を見抜くのは,けっこうおもしろい.

最後に,実際に乗ったり見たりして違いが判りそうな編成は,

  • 5000番台(3次車)以降の編成
  • 0・300・3000番台(1次車)の編成

この2種類の編成だと考える.

5000番台(3次車,2006年登場)以降は,行先・種別がLED.そしてなにより,「セミアクティブサスペンション」が搭載されているので,乗り心地がバツグンにいい.

5000番台は6両編成で,快速運用につくことが多い.

18きっぷで旅をしていると,この快速列車のお世話になることが多いが

「めちゃくちゃ乗り心地がいいな~」と感じるのは,たぶんこの5000番台3次車以降に搭載された「セミアクティブサスペンション」のおかげだと思われる.

313系でできるだけ乗り心地がいい列車を選ぶなら,「行先種別がLED式」の編成に乗るといいのかもしれない.

まとめ:まだまだ活躍313系

ここまで書いてきたように,
名古屋地区を走る車両を担当する
大垣車両区にはたくさんの313系が所属している.

東海道本線名古屋地区では,それらが運用の中心にドカッと座っている.

311系も走っているが,ほんのわずかな編成にすぎない.

あまり多くない311系.基本的に普通運用につく

315系の開発について,以前ニュースがあったものの,

313系中心の東海道本線はしばらく変わらないと思う.

【2022/3/18追記】ついに315系がデビューしました.まずは中央西線へ投入されて行きますが,今後は東海道本線静岡地区への投入も予定されています.「313系中心」だった東海道本線は,静岡地区においてその様相が変わりそうです.

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パッと見はすべて同じに見える313系,しかし細かく見ていくと
登場年数にはかなりの差があることがわかった.

また,編成によっては外観や車内設備にも微妙に違いがあることもわかった.

このような細かな違いを知っておくと,313系が来ても飽きずに眺めることができるかも?

今後名古屋地区での動画撮影が捗りそうだ.

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