2019年春の青春18きっぷ旅。
1日目に名古屋~高山本線で富山まで移動し、
2日目は第3セクターで糸魚川までやってきた。
【2日目最初の記事です↓】
今回の旅の目的は、中部地方の未乗路線を楽しむこと。
そんなわけで2日目は以下の2路線に乗ってきた。
どちらも秘境路線として有名で、「移動手段」というよりは「鉄道旅を楽しむ」路線だと感じる。したがって時間があるうちに乗っておかねば・・・ということで18きっぷを使って行ってみたわけだ。
大糸線も小海線も、思わず目を奪われる絶景がいくつも沿線に出てきて乗り甲斐のある路線だった。
大糸線|糸魚川→南小谷→松本
糸魚川駅でのりかえ
午前中の糸魚川駅。
第3セクターからJRへの乗り換え。大糸線出発まで時間があったので一度改札を出て、駅前をぶらぶらしに行く。遠くまで観光するには物足りない時間だけど、まあ知らない土地の駅前を歩くのも悪くはない。
糸魚川駅前は結構大きな商店街があったけど、朝だからなのかシャッターが降りている店が多い。
駅には観光案内所や物産販売所が併設されていて賑わっていたけど、それと比べると駅前は閑散としている印象だった。
時刻表から逆算して、お昼ごはんは南小谷駅あたりの車内で食べるのがよさそうだった。
たまたま見つけた駅前のスーパーで、総菜とおにぎりを買う。スーパーは年齢層高め。自分の下宿の近所にある2つのスーパーは、大学生や家族連れが多いから、お年を召した方が多いスーパーを見るのは変な感じ。地方ではこれが普通なのかも知れないけど・・・高齢化はこういう日常の何気ない風景から感じ取れるなあと思う。
ついでに郵便局でお金を下ろしておいた。
駅までの戻り道で天気雨がぱらついていた。今日は変わりやすい天気だ。
今年新調したウルトラライトダウンに雨粒がしみこんですぐに消える。
濡れないようにちょっと小走りで駅までもどった。
駅の改札口で、長財布から取り出した18きっぷを見せる。
富山から糸魚川までは第3セクターの切符を買ったから、今日はこれから18きっぷの活躍開始だ。
午前10時、(僕にとっては遅めの時間に)使用開始印を押してもらう。
ホームへの昇降口に貼ってあったJR西日本のセンス溢れるポスター。
フォッサマグナの中を走る・・・ちょっとのんびり・・・
期待に胸が高まる。
大自然の中を往く|糸魚川~南小谷
ホームには1両編成ワンマン列車が停車中。
糸魚川10:30→南小谷11:34
JR西日本とJR東日本の境界駅・南小谷(みなみおたり)駅までの列車だ。
先ほどまでの第3セクター列車とは違って、車内には18きっぱーや観光目的の乗客が多く見られる。セミクロスシートはそれなりに埋まっている。
乗車して数分で出発。
床下から聞えるディーゼルカーのエンジン音と振動が心地よく身体に響く。
糸魚川という地名を聞いて思い浮かぶのは「フォッサマグナ」だ。高校や中学の地理で出てくるアレだ。「日本の割れ目」なんて呼ばれたりもする、日本を東西に分断する割れ目のような地形(正式名称は「糸魚川静岡構造線」)
そんな割れ目に沿うように、一級河川の姫川が流れている。
その立派な川の横を大糸線は走る。
立派な、とは云っても雄大な川の流れという感じではない。ところどころ蛇行しながら、狭い谷の間を流れている。
したがって、列車も川の蛇行に合わせるようにうねうねと曲がる線路を走る。
目前にアルプスの山々がぐんぐん大きく見えてきた。
さっきまでは小さくしか見えなかったけど、間近で見るとものすごい迫力だ。冬山は外から見ると本当に美しくて、見とれてしまう。
山の中へ突っ込んでいくように進む。
単線で、かつ勾配もキツい。
カーブも連続していて半径が小さいので、ところどころにある速度制限の標識は軒並み40km/h未満だ。中には25km/hもあった。
前面から見ていると、そのウネウネとした険しい線路のようすがよくわかって楽しい。
さっきのポスターにあった「のんびり」とは、雰囲気だけでなく
速度も「のんびり」なのだ。これだけ険しい線形であれば、のんびりなのも仕方が無い。それはそれで旅情があっていいことだ。
ところどころに水力発電所があり、そこに併設されるような小駅が連続する。
単線の間の島式ホームは
コンクリートブロックのような趣だが、単行列車が基本なのでこれで物足りるのだろう。
姫川を挟んで並行する道路は、覆道区間が長く続いている。
その多いの上には、背後に迫る山からの落雪がなだれ落ちている。
これほどびっしり覆道なのだから、冬場はかなりの量の雪が降るのだろう。豪雪地帯・新潟、冬場は大変だろうな・・・
JRの境界駅・南小谷でのりかえ
ダイヤ通り1時間4分で南小谷についた。
ここはJR西日本と東日本の境界駅、駅名標はJR東日本のものが使われていた。
南小谷と書いてみなみ「おたり」と読む、最初は読めなかった。
南小谷で30分弱の接続、松本方面へ乗り継ぐ。
(有明松本間4328M)
南小谷12:02→松本14:01
すでに向かい側に乗り換え列車は入線している。JR東日本の211系長野色。
さっきまでのディーゼル単行から
この211系を見ると、急に都会にやってきたような錯覚を覚える。
しばらくホームで写真を撮っていると、信濃大町方面からE353系がやってきた。
3月のダイヤ改正によって全列車がE353系に統一されたスーパー「あずさ」だ。
1日1往復の南小谷までやってくるあずさ、小さなホームに長い身体を持てあますように窮屈そうに停車している。隣の単行気動車と並ぶと、その長さがよくわかる。
E353系は流線型の顔と、シンプルな紫の帯がカッコイイ。
中央本線や首都圏を鈍行で旅していると、何度も何度もすれ違うけど、まだ乗ったことはない。機会をつくって是非乗りたい車両だ。
雪景色|南小谷→信濃大町→松本
のりかえ列車に戻って昼ごはんを食べながら出発を待つ。
乱雑な昼飯・・・(安かったんだもん!)
このあたりは登山やハイキング客も多いみたいで、中高年の元気そうな乗客がそれらしき会話を楽しんでいる。
出発定刻10分前に運転士が車内へアナウンスを流し始めた。
お昼ごはんを丁度食べ終えて、ゴミを捨てたところで出発。
列車は信濃大町方面へ向けて走り出した。
南小谷~信濃大町間の主要駅は白馬。
言わずと知れた有名観光地。スキーのシーズンはもう終わったのかな?それでも観光客がぱらぱらと乗ってきた。
反対側のホームには・・・あれ?こんなところにJR東海の383系がいる。
特急「しなの」は長野までの運転のはず・・・おそらく臨時列車だろう。
なんとなく東日本区間に383系がいるのは不釣り合いな感じ。
白馬駅の前後あたりは、かなり雪の量が多い。スキー場も山の斜面に点在している。
白馬あたりはまだまだ雪景色だ☃️ pic.twitter.com/BH6BE9NOm5
— タケ|自転車と鉄道 (@take26confi) March 31, 2019
途中の駅にてリゾートビューふるさととすれ違った。
2010年の信州DCから運行開始した観光列車。
ディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を活用したハイブリッドシステムの列車だ。
信濃大町前の峠では沿線はすっかり雪景色だったが、
大町まで下ると雪は少なくなった。
でも、右側のアルプスの山はまだまだ雪を被っている。
信濃大町からは大勢の乗客が乗り込んできた。大糸線の主要駅。
ロングシートもなんとなく埋まってきた。
有明からは車掌が乗務、昼下がり、天気も良くなってきた田園地帯を快走する列車。
単調な車内アナウンスを聞きながら、ウトウト・・・
右側には相変わらず大きく連なった山の姿が見えている。信州を旅していると、必ずどこかには美しい山の姿が見えて良い。
沿線の風景が郊外の住宅街に変わり、乗客もかなり増えてきたところで松本に到着。
「まつもと~~まつもと~~、・・・まつもとです。」
異様に間延びした、例の放送が出迎えてくれた。
充実の大糸線旅はここで終わり。
松本駅のりかえ→中央本線で小淵沢へ
松本からは中央線で小淵沢まで行って、小淵沢から小海線に乗り換える。
松本駅ははじめての来訪。線路がたくさんあって、ターミナル駅であることを実感する。
JR東日本管内の駅ではあるけれど、JR東海の特急「しなの」がたくさん発着しているし、会社を跨いだ大きな駅だ。
跨線橋から、最近増備されて一気に数が増えてきたE353系がやたらと目につく。
今まではE257ばかりだったのが、一気にE353に置き換わった感じがする。もはやE257の方が、希少になってきているのかも。
松本駅からは普通列車で小海線の分岐する小淵沢まで。
松本14:17→小淵沢15:37(→塩山16:40)
甲府・大月方面の列車を探しても、なかなか見つからないなあ・・・と思っていたら、聞き慣れない「塩山行き」というのが目的の甲府・大月方面の列車だった。
塩山は甲府と大月の間にある勝沼ぶどう郷駅の一つ手前の駅。
知らなかった・・・
この区間は一度乗ったことがあるので、本を読んで過ごした。
中央本線【塩尻⇔甲府⇔東京】の乗車記録はこちら↓(新しいタブで開けます)
【18きっぷ旅】1泊2日名古屋発・首都圏乗り鉄の旅①名古屋~中央本線~甲府
【18きっぷ旅】1泊2日名古屋発・首都圏乗り鉄の旅②甲府~中央本線~東京
小海線|小淵沢→小海→小諸
松本から1時間20分で小淵沢駅に到着。
特急列車も停車する主要駅。
ここからいよいよ小海線に乗り換える。
駅弁で有名な小淵沢駅
小淵沢駅に降りて改札を一度出る。
なぜか知らないけど、狭いコンコースに多くのお客さんがひしめき合っている。
デカいザックを背負ったハイキング帰りの人や、出張帰り?のスーツ姿の集団などなど・・・みんな東京方面への特急列車を待っているのだろうか。
列車案内には特急あずさ号が案内されている。
やはり中央本線の特急はかなり需要があるみたいで、本数が多いのも納得。
一度駅の外へ出てみる。
小淵沢駅の駅舎は洗練された黒基調のデザイン。
背後には山(何という山かは知らない・・・)があり、その前を特急列車や
普通列車が通っていく。
雪山をバックに、E353系!カッコイイ!
駅にはキオスクをちょっと拡張した、おしゃれなお店があった。
中では飲食もできるみたいで、コーヒーを飲んだりソフトクリームを食べたりしている人がいる。
売店を物色していて見つけたのが「駅弁」。
「マツコの知らない世界」で放映された映像が流されている。小淵沢の駅弁特集をやっていた。
小淵沢駅は駅弁で有名らしく、店内の一角に大きく駅弁スペースがとられている。
そんなスペースに並んでいる駅弁はどれも工夫が凝らされていて、いかにも美味しそうな出で立ちをしている。。
せっかくだから、小海線の車内で食べようかな・・・ということで
「高原野菜とカツの弁当」を買った。
駅弁「なのに」シャキシャキの生野菜が食べられるらしい。
美味そう・・・
今すぐにでも開けて食べたい衝動をグッと我慢して、改札を抜けてホームへ戻った。
小海線が発着するホームへ降りたら、ちょうど小諸方面からの列車が到着。
JR東日本の高性能気動車キハ110系だ。
大勢の乗客が小淵沢のホームへ降りてくる。
下車客と入れ替わるように、駅弁を抱えた僕は車内へ乗り込む。
傾き始めた陽の光が、車内へ差し込んでいる。
出発までの時間でホームを観察。
反対側ホームにオール2階建てのE215系が停車中。
新宿=小淵沢間の臨時快速「ホリデー快速ビューやまなし号」の運用だろう。自由席が設定されている快速なので、18きっぷでも乗ることができる列車。今度関東圏へ休日にお邪魔するときは、ぜひ活用したい列車。
E215系到着前には、E353系も停まっていた。
もうE353系は本数の増加によって、そう珍しいものではなくなった。
~野辺山駅|JR最高地点を走る
夕刻が迫っていることもあってか、小海線の車内は空いている。
小淵沢16:27→小諸18:51
3割ぐらいの乗車率で小淵沢駅を出発。
JR最高地点を通る小海線。
その最高地点に向けて緩やかな勾配を登っていく。
車窓右側には、甲府盆地を取り囲む山々の美しい姿。
青空だけど、山の上だけは白い雲が乗っかっている。
車内にあった小海線の路線図。
清里、野辺山、小海、中込、佐久平、小諸とそれなりに大きな駅も多い。
閑散とした車内。
小淵沢から3つ目の駅、清里駅を過ぎると
右側に大きなパラボラ型のアンテナが見えてくる。
田園と少しの住宅の間にある、なんとも異質な存在ではあるけれど白い色で綺麗な円形だから、それなりに調和もしている。
野辺山は標高が高く空気も澄んでいることから、天体観測なども盛んに行われているのだろう。あのアンテナはおそらく観測用のモノだろう。ここら辺の夜の星空は本当に綺麗なんだろうなあ・・・
標高が高いからさっきまで屋根みたいだった山の稜線がかなり近づいて見える。
でもよく考えてみれば
標高1000mから眺めても上に見えるんだから、やっぱりアルプスは険しい⛰ pic.twitter.com/A870PtkJ0f— タケ|自転車と鉄道 (@take26confi) March 31, 2019
パラボラアンテナを見送ったら、野辺山駅に到着。
日本最高所・野辺山駅、標高はなんと1345m。1000mよりも高い場所にあるのか・・・スゴい。
JRは日本全国に路線を張り巡らしているけど、普通に暮らしているとそれを実感することはあまりない。しかしながら、いざ最高地点の駅に来て「標高一三四五米」の看板を見ると、JRの路線規模を改めて思い知らされる。北は北海道、南は九州、高いところから低いところまで。さまざまな路線が血管のように日本を走っていて、そのひとつひとつの路線には唯一無二の景色がある。だから鉄道旅は面白いのだと思う。
小淵沢の駅弁と楽しむ小海線
野辺山駅を出ると、最高地点からの下り基調を進む。
民家が点在するほかは、両側の車窓は山と田園だけだ。
あの山がこんな名前、というのはわからないけど
山というものを僕はなぜか美しく感じてしまう。
陰影の浮かび上がった山肌とか、雪に覆われている頂上の方とか、そういうのに魅力を感じているのかもしれない。
しんどいから登るのはやりたくないけど、外から眺めるのであれば何時間でも眺められると思う。
山の風景がある街は素晴らしい。
小海線の名前にある小海駅に到着。
家族連れが一組乗ってきた。これから町の方へ出かけるのだろうか、ボックスシートで談笑している。
小海の街は結構大きくて、車窓からでもこのあたりの中心地なのだなということはよくわかる。
そういえば今日の列車は、縁起が良い。
111-1111
ゾロ目の車番ってなかなか見かけないと思う。
小海の街に沈みゆく夕陽。
さっきまで青かった空が真っ赤に染まっていく。
そして徐々にあたりは暗くなっていく。
同時に僕のお腹も良い感じに空いてきた。
18時を過ぎたところで、駅弁を取り出す。
待ちに待った駅弁タイム・・・!
100年近くの歴史があるというこの駅弁、鮮やかな緑色で描かれている八ヶ岳高原のパッケージがいい。
中身はこんな感じ。
カツはもちろん、野菜の存在感もなかなかのものだ。
野菜にはドレッシング、カツにはそれぞれソース・塩レモンをかけていただく。
野菜がシャキシャキ、って紹介されてたけど
ホントにシャキシャキだった。手作りされているんだなというのがよくわかるし、野菜の味が濃くて美味い。そこら辺のスーパーに売ってる野菜とは、なんというか質が違う。
野菜と一緒に食べるのは、ごはんが進む肉厚のカツ。
これも美味い・・・!シャキシャキの野菜との相性が抜群だ。
ゴトンゴトンと小気味よく身体を揺する振動に身を預けながら、思う存分駅弁を満喫した。
あっという間の完食。ごちそうさまでした。
中込で1両繋いで終点小諸へ
駅弁を食べている間に、車窓には街の雰囲気が漂い始めている。
中込駅では、2両編成の後ろに1両増結した。
薄暗い中、乗務員と作業員によって手際よく連結作業が行われた。
車両基地の背後には山。
暗くなっても存在感は衰えない
3両編成になったキハ110系は、大きくなったブレーキ音を響かせながら小さな駅に律儀に停車していく。
小淵沢から2時間少々で、新幹線の乗り換え駅・佐久平駅
周囲はすっかり真っ暗になっている。
部活帰りの学生や、ショッピング帰りの乗客を乗せてから出発。
そろそろ身の回りを片付け始める。
佐久平から15分で終点の小諸駅に到着。
八ヶ岳高原の麓を走ってきた小海線の旅はこれでおしまい。
まとめ:山の景色が楽しい信州の路線
以上、大糸線・小海線の乗車記録。
今回記事を書いていて、山の景色が強く印象に残っているなあと感じた。
これは、僕が列車の中でたまたま
新田次郎著・孤高の人(下)を読んでいたから、かもしれないが
やはり信州は山深い地域であることは間違いなくて、当然車窓にはその山の美しい姿が常に見えている。
首都圏の路線では、そういう山の形が全部、くっきりと見えることは少ないので
今回の乗車ではそういう風景を楽しむことができてよかった。
信州の路線に乗る機会があれば、「山の景色」に注目してみると面白い。
小諸に到着後は、18きっぷ利用区間外である小諸⇔軽井沢⇔高崎区間を
第3セクター「しなの鉄道」と北陸新幹線を使って移動した。