アルプスに囲まれた伊那谷を快走~R153豊田市・飯田・伊那谷ツーリング|その2

自分が住んでいる地域から延びるあの国道は

いったいどこまで行くのだろうか?

地図を眺めていると,その疑問に対する答えが見つかる.

この道は,名古屋からこんなところまで伸びているのか・・・途中の景色はどんなのだろうな__

***

そんな疑問に駆られて走ったのが
今回の「国道153号ツーリング」.

豊田市からスタートし,ひたすら国道153号に沿って走る.

最終目的地は国道153号の終点・長野県塩尻市.

豊田から塩尻まで,200㎞の道のりを2日間かけて走った.

***

今回の記事は,その2日目.

宿泊した飯田を出発し,天竜川に沿って南北に延びる「伊那谷」を北上していく.

ゴールの塩尻市内まで80km少々.バイパスあり市街地あり,2日目も変化に富んでいて面白かった!

R153飯田~伊那~塩尻

飯田から北上

8:15にホテルを出発.ルートインの朝食バイキングはうまい.そして今日もかっこいい愛車.

両側にアルプスの山々を見ながら,ペース抑えめで走り出す.

飯田よりしばらく,R153は,市街地中心部を通る旧道と,高規格で市街地をパスするバイパスがある.

たくさんの商業施設や家々が立ち並ぶ飯田市街を抜けると,早くものどかな風景が見られるようになる.飯田から20kmほどでこの景色.たしか中川村のあたりだった気がする.

日本の夏,という雰囲気で素晴らしい.田んぼと,青い空と,大きな雲.車も少なくて,走っていて気持ちがいい.周囲に民家も少ないので,スピーカーで好きな音楽をかけつつ走る.

いつもは20km程度走ったら休憩をとるのだが,今日はまだ全然疲れていない.

気づいていなかったがどうやら追い風のようだ.

道の両脇に生えている植物が,進行方向にゆすぶられている.

自転車にとって,風というのは敵にもなり,また,味方にもなる(往々にして敵になるが・・・).追い風だし,あと10kmくらい続けて走ることにする.

伊南バイパスを抜けて

中川村からトンネルを抜けて,天竜川に沿ってさらに北上.

この辺りはゆるやかな勾配・カーブでとても走りやすかった.

飯島から田切・駒ヶ根の間には,高規格の「伊南バイパス」が走っている.

このバイパスに入ってしばらく走ると,バカみたいに大きな橋が2本くらいある.かなりの高さがあるのだが,2車線で左側路肩が狭いので,結構な高度感を味わえる.

はるか下には市街地とR153の旧道を一望でき,

集落の西端には飯田線も見ることができる.

 

田切のコンビニ(道の駅が隣接)にて休憩.

ここまでで30km.出発から1時間半ほど.

田切という地名は,地形にちなんでいるのだろう.以下,田切 – Wikipedia より引用.

長野県伊那地方は田切地形・地名の最も顕著な例であり、天竜川河岸段丘断層崖を横断するように、天竜川の各支流(太田切川中田切川与田切川など)が流れ、段丘面を激しく侵食し田切地形を作っている。河川と段丘面の高低差は50m以上と断崖を形成する場所もある。

河川をまたぐように,段丘面から段丘面へと
架けられた橋がいくつもあるのが,このバイパスの特徴.

飯田線はこのあたりの段丘をうねうね蛇行しながら走るので,抜けるのに時間がかかるわけだ.特急「伊那路」の表定速度がありえないほど遅いのも納得できる.

 

田切のコンビニを出てすぐのところには,伊南バイパス最大の橋「中央アルプス大橋」があった.あまりの高さに,渡っていると恐怖感を覚えた(高いとこ苦手・・・笑).

参照:伊南バイパス – Wikipedia

駒ヶ根・伊那のまち

9kmほど続いた伊南バイパスを抜けると,駒ヶ根市街の北部までたどりつく.

駒ヶ根と伊那の間で,飯田線は進行方向左側を走っている.

駒ヶ根北部にある赤木駅と沢渡(さわんど)駅の間には,JR線最急勾配箇所(44‰)がある.

走っているとき地図でちゃんと確認はしなかったのだが,このあたりにはほかにも急勾配がいくつもあった.以下の写真は,最急勾配地点ではないと思われるが,それでもかなりの勾配だった.ほんとにこんな坂を列車が登れるのか,心配になるほど.

未だ飯田線は乗ったことがないので,18きっぷでも使って乗りにこよう.そしてこのあたりの急勾配を列車の中から堪能しに行こうと思う.

 

駒ヶ根を抜けると,すぐに伊那市街.

伊那市街は伊那谷の中では大きな街.天竜川沿いに,たくさんの商業施設や昔ながらの飲み屋街などが軒を連ねていた.

このあたりでお昼を食べてもよかったけど,追い風で調子よく走れていたので

休憩はコンビニにとどめて,そのまま塩尻まで行くことにした.

辰野で休憩

伊那のあたりでいつの間にか旧道の方へ追いやられていたようだ.

伊那北部,箕輪町のあたりで青看板に誘導されるようにしてバイパスへ戻る.

ここから先は,飯田線と何度か交差しながら,バイパスで北上していく.

バイパスをしばらく走ると,左側から旧道が合流して,辰野を目指す.

 

辰野のコンビニで休憩.田切から30km以上ノンストップで走って来た.追い風だと巡航が本当にラク.

ここまでずっと並行してきた飯田線は,辰野が終点となっている.

辰野より先は,一応中央東線ということになっているが,実際は多くの列車が岡谷など中央東線の駅へ直通するため,その境界が意識されることは少ない気もする.

 

辰野のコンビニで,前輪タイヤのエアがかなり抜けていることに気づく.

実は出発当日朝に,ややエア抜けのペースが早いことが気になっていたのだが・・・やっぱり気密性が何らかの原因で下がっていたのだろう.念のため持ってきた携帯ポンプで空気を補充.

空気を入れ終えたところで,駐車場にいたおっちゃんが「仏式のフロアポンプあるけど使うかい?」と声をかけてくれた.ありがとうございます.

善知鳥(うとう)峠を越える

辰野のコンビニを出発後は,善知鳥峠(うとう峠)目指して走る.

このあたりは,伊那谷の南端にあたる.先ほどまで両側にひろーく見えていた山が,どんどん迫ってくる感じ.

辰野市街地を抜けると,塩尻市に入る.

飯田からあまり上った感覚はなかったが,
標高はもう800mを超えているらしい.

飯田あたりは標高400m程度だから,

60kmで400mほど標高を上げたことになる.

塩尻に入る前後には,旧中山道の宿場町・小野宿に関連する建物があった.

日本家屋風の古い家が多く,
昔の宿場町の雰囲気が色濃く残っている地区だった.

この小野宿を抜けると,しばらく直線のゆるやかな上り坂が続く.

ただし,1日目のような急激な峠ではなかった.

峠というよりも,上り坂という表現の方が適切.

 

谷の合間にある太平洋と日本海の分水嶺・善知鳥峠.

R153の終点は塩尻だが,青看板にはその先の松本・長野までの距離が記されている.塩尻はもう目と鼻の先だ.

善知鳥峠.あとは塩尻まで下るのみ

善知鳥峠からの下り勾配は,登り勾配よりも急だったので,気持ちよく下らせてもらった.

1日目も,2日目も,ダラダラと登り続けてビュッと下る感じだった.

 

ちょうど峠からの下りが終わったところで,
R153は右へ進路をとり,塩尻市街へ.

しばらく走ると,R19・20への分岐が見えてきた.

 

そして・・・

R153終点に到着.高出交差点.岡谷・諏訪方面への塩尻バイパス(R20)と,名古屋から信州へのダブルネットワーク・R19が出会う,重要な交差点だ.この夏のツーリングでは,R19をずっと走って長野・松本方面へ行ったから,たぶんこの交差点を名古屋方面から左折していったはず.それを思い出してしばらく感慨に耽っていた.

R153の終点

塩尻駅前でそば

国道の終点から少し走って,中央線の要所・塩尻駅に到着.

塩尻駅に着いたら,お昼ごはん!

信州に来たらそばを食べずには帰れない.ということで,今回は駅そばではなく,ちゃんとしたお店でそばを食べることにした.駅の目の前にある「知春」というお店.

店内には座敷とカウンターがあって,誰も座っていないカウンターに腰掛ける.

料理屋,かつ居酒屋ということで,メニューはたくさんあった.

定食にも惹かれたけど,今回はシンプルにせいろそば,大盛で.

 

そばはおそらく作りたて(店内入り口横で,実際にそばを打っているところを見ることができた)

わさびとねぎを入れたつゆに,チョチョっとそばを浸してつるっとひとくち.

冷たくて舌ざわり抜群!うまい!
これが本物の信州そばか~

ふだん鉄道旅で食べるのは,駅そばばかり.

たまにはこういうところで食べるのもいいな~

 

日曜お昼,TVではアタック25が流れている.なかなか難しいな~なんて思いながら,3枚のせいろそばを平らげ,満腹になってごちそうさま.

1500円,ちょっと割高な気もするけど,本物の味はたしかに堪能できた.

次回塩尻に来たときは,天ぷらや揚げ物の類も食べてみたい.

知春 · 〒399-0737 長野県塩尻市大門八番町13−2
★★★★☆ · 蕎麦店

塩尻駅から輪行して帰宅

昼食後は,中央西線の鈍行を乗り継いで帰宅.

輪行してから,みどりの窓口で学割乗車券を買い,駅のホームへ降りる.

快晴の塩尻駅,ホームのベンチに座って待っているとムシムシと暑かった.

***

30分以上待って,松本から313系が入線.塩尻からはJR東海の運転士さんがワンマン運転を行う.

しばらく停車時間があるので,窓側の座席を確保してから自転車を持ち込む.

中央西線は,特急でも鈍行でも,もう何度も乗りとおした路線.

うつらうつらしつつ,車窓を楽しみながら,中津川までの鉄道旅.

中央西線には,中山道の宿場町を中心としたトレッキング・散策スポットが多くある.そのような駅から定年を過ぎたくらいの年齢の観光客が,ぞろぞろと乗ってくることが多々ある.今回もそうだった.にわかに車内は賑やかになる.

木曽福島の駅でしばらく停車.ワンマン列車が唯一,すべての扉を開ける,中央西線木曽周辺地区の基幹駅.

今日は車窓右側に,寝覚の床を見ることができた.このあたりの雄大な川の流れは,高い位置を走る中央線の車窓から眺めるのが楽しい.

***

中津川からは211系の快速列車にのりかえて,1時間ほどで名古屋市内に入る.

今日は部分日食がみられるということだったが,その時刻の20分ほど前から一気に曇天となり,太陽は完全に隠れてしまっていた.残念...

 

ガタガタと前後に揺れが大きい211系に揺られ揺られて,旅はおしまい.

最寄駅から輪行解除して帰宅した.

まとめ:国道旅もおもしろい

今回の旅では,国道を自転車で走り抜ける,という今までの旅にはあまりなかった目標を立てた.

1泊2日かけてじっくり走ることで,自動車では味わえないような

周辺のまちの雰囲気や,峠の厳しさ,ふきぬける風のやさしさを味わうことができた.

終点にたどりついたときの達成感も素晴らしかった.

 

今度は道沿いに走るJR飯田線の旅もやってみたい.

【走行ログ】

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