【威風堂々】かっこいい特急列車の名前(愛称)5つ

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日本における鉄道の魅力の1つは,その距離にかかわらず,多くの優等列車に「愛称(なまえ)」が付けられていることだ。列車の愛称は,筋金入りの鉄道ファンのみならず,旅行や移動で列車を利用する一般客にも,愛着と親しみをあたえている。

今回の記事では,数多くある愛称のなかから,筆者が個人的にかっこいいと感じる愛称をピックアップしてみた。現役バリバリの愛称から,過去のものとなった愛称,さらには,特急から新幹線へ引き継がれた愛称まで,独断と偏見で選んでみた。

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威風堂々・伝統ある特急列車

まずは,JR線を走る(あるいは,走っていた)特急列車の愛称から。

「南風」

1つめは,JR四国の「南風」だ。

2000系「南風」,現在ではすべて2700系に置き換えられた

都会に住んでおられる方には,馴染みが薄い名前かもしれない。

「南風」は,岡山と高知・中村を結ぶ特急列車だ。下り「南風」は,岡山を出発すると,瀬戸大橋をわたり,予讃線・土讃線を走って,高知・中村へと至る。その名の通り,南風の吹き込んでくる,四国の南をめざして南下する特急列車だ。

漢字2文字,「風」という字で結ばれており,字の座りがいい。風格がある。

また,この「南風」は,JR四国管内のエース格の愛称でもある。

もうひとつのエース格は,予讃線特急「しおかぜ」だ。

「しおかぜ」は8000系および8600系で運行される

なぜ,エース格かというと,

「しおかぜ」「南風」は,1972年3月ダイヤ改正で誕生した,

JR四国島内初の特急列車の愛称であるからだ。

偶然にも,どちらも「かぜ(風)」ということばが含まれている。穏やかで美しい瀬戸内海沿岸を走り抜ける「しおかぜ」と,険しい四国山地を貫き,太平洋から吹き込む南風(みなみかぜ)をめざす「南風」。

自然ゆたかな四国の沿線風景を,その愛称から感じられる。

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ちなみに,列車愛称としての「南風」は,1950年に四国鉄道管理局が,高松桟橋-須崎間を走る準急列車に名付けたのが最初だそう。公募ということは,一般の方が名付け親という可能性もある。

昔の日本人は,美しい日本語を使えたのだなあ。感心。

その後,1972年3月(すなわち,JR四国内の特急として走る)までは,九州島内の急行列車の愛称として使われていたそう。

「南風」の名称は、1950年10月1日高松桟橋駅 – 須崎駅間の準急列車に四国鉄道管理局が「南風」と名付けたのが最初で、公募により決定された。1965年10月に急行列車化されたが1968年10月に「あしずり」に統合され、「南風」の名称は、1972年3月まで別府駅 – 宮崎駅・西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)・鹿屋駅間の急行列車で使用されていた。

南風(列車) – Wikipedia

「南風」は現在,最新型の気動車2700系で運行されている。

ついこの間までは2000系ばかりだったのに,あっという間に新型車両に置き換えられた。

「四国を狭くした」世界初の振り子気動車・2000系は,最近になるとさすがに古さを感じるようになったが,鉄道ファンとして乗車する分には,スケールが大きくて楽しい車両だった。

それゆえ,置き換えは残念だった。しかし,後継である新型車両は,2000系に負けず劣らずの高性能車両らしい。四国へ帰省する機会があれば,ぜひ乗ってみたい。

関連記事:【乗り比べ】剣山7号と南風15号を乗り継ぎ|徳島→高知|夏休み四国満喫きっぷの旅(4)

「雷鳥」

次は,JR西日本から「雷鳥」

この愛称は,現在は使われていない。

後継となっているのが「サンダーバード」だ。

「雷鳥」の後継である「サンダーバード」

「雷鳥」という名前自体は,鉄道が好きなった時から知っていたが,

さらにお気に入りになったきっかけは,485系を見たことだ。

見たといっても,この目で見たわけではない。YouTube上で走行動画を観ただけだ。

動画だけでも,かっこよくて好きになったのだ。

かつては国鉄形の特急「雷鳥」が寝台特急「日本海」を追い抜く,という光景も見られたらしい.どちらの列車にも乗車したことはないのだけれど,近江塩津駅を通過する様子は格好良かっただろうな.特に485系はYouTubeで見た動画で惚れた.生で走っていた当時の様子を一度でも見られたらどんなによかっただろう・・・と思いを馳せる.

近江塩津駅ってどんなところ?駅構内探訪&通過列車撮影

「雷鳥」のヘッドマークをかかげ,ガチガチの鋼鉄で身を固めた485系が,特急街道北陸を疾走していく姿に痺れた。重々しいジョイント音と,国鉄の特別急行時代の格調高さを残していた「雷鳥」。まさに,自分が理想とする特急列車の愛称そのものだ。

今は,北陸 対 京阪神の特急列車すべてが「サンダーバード」として走っている。車両も681系および683系に置き換えられた。そして,2024年現在では,北陸新幹線敦賀延伸にともない,「サンダーバード」は運行区間を縮小し,京阪神・敦賀間の新幹線連絡特急に甘んじている。

「サンダーバード」には,ライチョウをモチーフにしたロゴがある

ちなみにサンダーバード(Thunder bird)を直訳すると,Thunder(雷:かみなり)+bird(鳥:とり),すなわち「雷鳥(ライチョウ)」だ。・・・と,自分はサンダーバードの由来を,そう(直訳と)思いこんでいたし,JR西日本もそのつもりだったのだろうが・・・

実際には,ライチョウの英語学名はThunderbirdではないらしい(以下に,関連のニュースへのリンクを貼っておく)

「雷鳥はサンダーバードではない!」 衝撃の動物園「掲示」に「JR西のせいだ」
「ライチョウはサンダーバードではありません」。動物園のこんな掲示がツイッターで拡散され、話題になっている。かつて関西圏と北陸地方を結んでいたJR特急「雷鳥」が、今は「サンダーバード」として走っていることもあって、「雷鳥=サンダーバード」と思...

つまり,ライチョウ≠Thunderbirdということだ。このニュースを見て,衝撃だった。JR西日本は,あらぬ誤解を,鉄道ファンや利用客に与えてしまったようだ。そんな誤解はつゆ知らず,今日もサンダーバードは北陸と関西を結んでいる。

関連記事:【憧れのビジネス特急】サンダーバード14号乗車記|金沢~敦賀【2019夏の18きっぷ旅③】

「宗谷」

つづいて,JR北海道の宗谷本線を走る特急「宗谷」だ。

「宗谷」に充当されるキハ261系0番台

北海道では,現在でも,特急列車の案内において「特別急行」と正式名称で案内を行う。

道内には,多くの「特別急行」列車が走っているが,その中だと「宗谷」が好きだ。

宗谷といえば,北海道北部・稚内市に庁舎を置く,北海道北部を管轄する総合振興局の名前。アイヌ語由来の地名らしい。

最北端の地・宗谷岬には,2018年の夏に自転車で行ったことがある。

また,稚内周辺も自転車で散策済み。

関連記事:爽快!道北ライド|宗谷岬と絶景ロード「エサヌカ線&道道889号」を走る【2018北海道自転車旅】

そういう思い出があって,「宗谷」という名前をきくと北海道に行きたくなる。

くわえて,「宗谷」は現在,気動車特急の中で最長距離を走破する列車となっている。

札幌から旭川を経て宗谷本線を稚内まで走る。

これだけ長い距離を走破する特急列車は,今では数少ない。というか,ほとんどない。

運行開始当初から2017年3月改正までは「スーパー宗谷」と呼称された(名寄本線高速化工事によって,前身である宗谷本線急行列車が,すべて特急列車に格上げされたことに伴う)。

同改正以降は,1往復/日となった(2往復/日は,旭川発着に短縮され,「サロベツ」となった)。それにともない,「スーパー宗谷〇号」という呼称は消滅した。

宗谷本線完結の「サロベツ」

「スーパー」と「〇号」の区別がなくなり,現在は「特別急行 宗谷号」となっている。

こういう号数呼びがない特急列車は,身近ではないが,これはこれでかっこいい。

札幌から稚内まで,のりかえなしで行ける唯一無二の特急列車として,堂々たる風格を醸し出している。

関連記事:北海道フリーパスの旅1日目|ライラック・サロベツで札幌から稚内へ

「北越」

在来線特急最後は,JR西日本および東日本が運行していた「北越」だ。

http://www.uraken.net/railstation/ressha/ltdexp_hokuetu.htmlより引用

この列車名も,「雷鳥」と同様,現役の特急列車には使われていない。

最後は,金沢ー新潟間をむすぶ特急列車の愛称として使われていた。

廃止のきっかけは,北陸新幹線開通にともなう,金沢ー直江津間の第3セクター化(IRいしかわ鉄道,あいの風とやま鉄道およびえちごトキめき鉄道)だ。

現在では,金沢ー新潟間は,北陸新幹線「はくたか」および信越本線特急「しらゆき」を乗り継いで移動することができる(上越妙高駅のりつぎ)。したがって,これらの優等列車が「北越」の後継といえるだろう。

北陸新幹線「はくたか」は,停車タイプに与えられている(最速達は「かがやき」)

また,元・北陸本線+現在の信越本線(直江津ー新潟)を,1本の特急列車で乗りとおすことはできなくなっている。元・北陸本線(金沢ー直江津間)は,3つの第3セクターに分割され,特急列車が走っていないからだ。

「北越」が廃止になってから,大学生になって鉄道旅を始めた身としては,

北陸本線ー信越本線を特急列車で行き来できたらどんなによかっただろうな~と思う。

今では,第3セクター線を乗り継いでいくことしかできない。

参考:【第3セクター】あいの風とやま鉄道&えちごトキめき鉄道で富山から糸魚川へ【2019春の18きっぷ旅②】

そもそもなんで,廃止された「北越」という名前が好きかというと,

1つは,やっぱり漢字2文字で,その地方の地名由来だから。

旧国名である部にあたる、越中国越後国の2国を併せて指す呼称である北越が列車名の由来となっている。

北越 (列車) – Wikipedia

列車名から地方の香りを感じられるのがよい。

もう1つは,「北越」が「雷鳥」と同様,国鉄型の485系で運行されていたから。

乗ったことないくせに,485系が好きというのは,ちょっと背伸びのしすぎかもしれない。

でも,特別急行としての風格を一番感じられるのは,国鉄型の特急だ。

もう引退してしまって,映像も写真も持っていないので,YouTubeにアップされている素敵な動画をどうぞ。

上沼垂(かみぬったり,読めない)色の485系もいいな~重たいジョイント音がたまらない!

「みずほ」

最後は,新幹線から。

九州新幹線(山陽新幹線直通)の「みずほ」だ。

「みずほ」「さくら」に用いられるN700系7000/8000番台

「みずほ」は,九州新幹線部分開業当初は設定されていなかった名前だ。全通して,山陽新幹線まで直通してくるようになって,新大阪-鹿児島中央間の最速達列車に設定された。

なお,九州新幹線の開業当初は,「さくら」のみ設定される予定だったが,

航空機に対抗するため,停車駅を絞った速達列車(「のぞみ」に相当)も追加で設定することになったそうだ。

すなわち「みずほ」は,ビジネス客向けの性格が強い新幹線だといえる。実際,「さくら」が全日運転であるのに対し,「みずほ」は朝夕のみ運転だ。

ビジネス客を運び,日本の経済をみずみずしく潤す,

「みずほ」は,そんな新幹線の名称にふさわしい。

関連記事:九州新幹線さくら号ゆったり指定席乗車記|新大阪→鹿児島中央【2019春九州自転車旅①】

と,ここまで書いてきたが,「みずほ」と聞いて新幹線を思い浮かべるのは,自分が「若い鉄道ファン」である証拠かもしれない。

何を隠そう,「みずほ」といえば,1994年まで東京-熊本・長崎間の寝台特急の愛称として使われてきたからだ。使用期間は33年間に及んでおり,国鉄から連綿と受け継がれてきた「花形」の愛称と呼んでもいいだろう。

「みずほ」と同様に,「さくら」も寝台特急の愛称として長きにわたって使われてきた。「さくら」も,「みずほ」とならんで,国鉄時代を代表する愛称といえるだろう。

「みずほ」の由来は,運行開始にともなうJR西日本のプレスリリースで,以下の通り紹介されている。

「みずほ」とは「みずみずしい稲の穂」を表す言葉であり、「みずほ(瑞穂)の国」は実り豊かな国を意味する日本国の美称として用いられていました。このたび、九州新幹線(鹿児島ルート)全線開業に伴い実施する直通運転を通じて、皆さまに豊かな実りを提供していくという意味を込めました。既に列車名として採用が決定している「さくら」は日本を代表する花であり、この名称と同様に由緒ある名称であると考えました。

平成22年10月20日
山陽・九州新幹線直通列車「みずほ」について – JR西日本:プレスリリース一覧

(太字は筆者)

「さくら」と併せて,「みずほ」は,日本の伝統的な美称だ。

九州へやってくる花形寝台列車の愛称が,10年近くの「お休み」を経て,今度は新幹線の愛称として華麗な復活を遂げたというわけだ。

これが,短区間の特急列車に使われていたら,少々もったいない気分もするものだが・・・

関西と九州を結ぶ最新型の新幹線に使われるのなら,先代の寝台特急も喜んでいることだろう。

これらのほかに,国鉄時代の寝台特急の愛称といえば,「富士」「はやぶさ」などが思い浮かぶ。

「はやぶさ」は,現在,東北・北海道新幹線の最速達列車にその名を譲っている。

一方,「富士」については,寝台特急の廃止後は未使用のまま残っている。

個人的には,「富士」という愛称が,リニア中央新幹線(富士山の近くを通る!)の最速達列車として使われてほしいと思っている。

もし,中央新幹線の愛称が公募となれば,「富士」(あるいは,東海道新幹線とあわせるために,ひらがなの「ふじ」)が,最多得票となるだろう。

まとめ:長距離特急列車の堂々たる愛称

以上が,独断と偏見で選んだ,かっこいい特急列車の愛称たちだ。

主要都市間をむすぶ長距離特急には,国鉄時代からの伝統的な愛称が付けられることが多いようだ。

そして自分の中では,特急列車といえば,長距離を走るものというイメージが強い。そういう列車に乗るのも好きだ。

これらの要因が重なって,今回紹介したような愛称が好きなのだ。

 

みなさんは,どの愛称が好きだろうか。

今回は,JRに絞って選んでみたが,私鉄も含めて選ぶと,また違った発見があるかもしれない。

参考:日本の列車愛称一覧 – Wikipedia

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