
北海道&東日本パスの旅5日目。この日は,まず,青森から第3セクター線「青い森鉄道」で野辺地まで向かい,本州最北の路線「大湊線」を旅した。往復ともに,快速列車「しもきた」号に乗車した。
「青い森鉄道」で青森から野辺地へ
大湊線は,青森県の下北半島を陸奥湾側に伸びる路線であり,本州最北端のJR在来線でもある。起点は野辺地駅で,ほかのJR線とはつながっていない。完全な飛び地路線の1つ。野辺地駅へは,青い森鉄道(旧 東北本線)の青森駅もしくは八戸駅から,普通列車でアクセスすることができる。

通常,青い森鉄道などの第3セクター路線は,青春18きっぷで乗車することはできない。ただし,大湊線と接続する青森〜八戸区間は,大湊線が飛び地路線であることを考慮して,「通過特例」が適用されている1。
●通過特例の取扱いについて
以下の鉄道会社線の区間については、JR線から鉄道会社線を経由して当日中にJR線へ乗り継ぐ場合に限りご利用いただけます。
※途中下車可能駅以外の駅で下車した場合(区間内での下車、区間を越えた乗車等)は、別に全乗車区間の運賃が必要です。
・青い森鉄道線「青森~八戸」間 ※青森駅・野辺地駅・八戸駅に限り途中下車可能
…
要するに,野辺地駅で大湊線に乗り継ぐ場合だけ,青春18きっぷでも青い森鉄道の列車に乗ることが許されている。
ただ,今回の旅では,「青春18きっぷ」ではなく,「北海道&東日本パス」を利用している。このパスでは,青い森鉄道や,IGRいわて銀河鉄道といった第3セクター線にも乗り降り自由。ということで,上記の特例を気にすることなく,青い森鉄道の普通列車に乗ることができる。
関連記事:上越新幹線と北越急行で信越へ|北海道&東日本パスの旅2025(2)
今回,青森からは,
普通 八戸ゆき(570M)
青森9:24→野辺地10:08
に乗って,まず野辺地を目指した。車両は,以下の写真の「青い森鉄道703系」。

見ての通り,JR東日本のE721系電車によく似ている。車内の座席配置も,E721系と同じく,セミクロスシート2となっている。進行方向むかって右側の座席に着席。土曜日の朝ということで,青森から郊外へ向かう地元客のほか,観光客と思しきひとの姿もちらほら見られる。ただし,立ち客が出るような状況ではない。
青森から野辺地,八戸を経て盛岡までの区間は,東北本線が東北新幹線開業によって第3セクター化された区間であり,かつての本線だ。ということで,駅間は長いし,貨物列車ともすれ違う。東青森駅には貨物駅もあった。車両もE721系とほぼ同じだし,JR線で旅をしているのとあまり変わらない。
この区間では,青森市街を抜けると,車窓にはだんだんと原野が増えてくる。そして,左手に陸奥湾が見え始める。奥羽本線の平野部では,田んぼや畑を多くみたが,青森県のこのあたりは,田園が少ない。どちらかというと,北海道の田舎の風景に近い。途中,主要駅である浅虫温泉でまとまった下車があった。
観光客満載の快速「しもきた」で大湊へ
野辺地についたら570Mを下車。同じホームで,大湊線の快速「しもきた」を待つ。列車番号と時刻は以下の通りで,野辺地駅での乗り換え時間は16分。
快速「しもきた」大湊ゆき(3225D)
八戸9:33→野辺地10:24→大湊11:13
上記の通り,この快速「しもきた」は,青い森鉄道の八戸駅から直通してくる。快速「しもきた」は1日4往復設定されているが,このうち3本が八戸始発。このうち夕方の1往復については,八戸〜野辺地間でのみ快速運転を行う。どちらかというと,八戸から下北方面へ乗客を運ぶことに主眼をおいているようだ。
さて,野辺地駅では,さっきの507Mを降りた乗客もふくめ,ぜんぶで20名くらいが,同じ快速列車を待っているようだった。案内放送では,1両編成でやってくるという。「しもきた」には,すでに八戸からの乗客が座っているだろう。20名が全員座れるとは思えない。この時点で着席は諦めた。
到着したキハ100形快速「しもきた」は,すでに八戸からの乗客でだいたい座席が埋まっていた。わずかなボックス席・ロングシートの空席へ,野辺地駅の列前方の客が滑りこみ。残念だが,通路に立ち乗りすることになった。

快速「しもきた」は,大湊までの途中,陸奥横浜と下北にのみ停車する。快速というより,急行に近い飛ばしっぷり。車内のほとんどは観光客だったと思われ,終点の1つ手前である下北駅で降りていった。大湊線の主要駅であり,下北市街の中心駅となっている。みな,ここを拠点に観光をするのだろうと思われた。
ちなみに,本州最北端の駅は,大湊線の終点である大湊駅ではなく,上記の下北駅だ。端っこを極めたいというマニアにとっては,大湊駅だけでなく,この下北駅に降りることもまた,忘れてはいけないといえる。
私は,とりあえず全線乗り通せば満足する性分なので,この快速を降りることなく,終点の大湊まで向かった。最後の1区間は,下北までとは打って変わってガラガラになった。一区間だけだが,座らないのは悔しいので,せめてもの抵抗(何に?)として座ることにした。

大湊線の下北から大湊の区間は,地図をみればわかるように,陸奥湾に沿って大きく曲がりこんでいる。ちょうど,その左曲がりを終えたくらいで,右側に恐山方向の景色が見られるようになった。地図と見比べてみると,写真左側の山は釜臥山(かまふせやま)で,その右手が大尽山(おおづくしやま)と思われる。いずれも,恐山のカルデラを囲む山々で,大尽山のさらに右手に,恐山のカルデラ湖「宇曽利山湖」があるようだ3。

そんな恐山の景色を見ながら,終点の大湊駅に到着した。2面2線のホームで,入線したのと反対側のホームには,「はまなすベイライン」の愛称が書かれた立派な駅名標が設置してあった。

下北駅前の市街地と比べると,大湊駅前はずいぶん閑散としていた。本州最北端のJR在来線駅という「名」は下北に譲れど,果ての地の貫禄(「実」)は,大湊駅のほうに分があるようだ。

大湊駅近くの商店で弁当を調達
さて,大湊からは,先程の折り返し列車に乗って野辺地へ戻る。
快速「しもきた」(3230D)
大湊11:48→野辺地12:39
折り返し時間は35分。どこかへ出るには短いが,何もしないには長い。とりえあず昼食を調達できる店がないか駅前をぶらつくと,ちょうど良さそうな店を発見。ここで幕の内弁当とりんごジュースを買っていった。地元に根付いている商店のようで,快速「しもきた」の運転士も,ここへ弁当を買いに来ていた。

ショーケースに入ったお弁当にはおかずだけ詰められていた。購入すると,電子レンジで温めてもらえる。会計を済ませたあとに,温め終えた弁当へごはんをよそってもらえた。お弁当のほかにも,惣菜パンやインスタント麺,菓子,ジュース等,ひととおりの食べ物が揃っていた。
幕の内弁当は,大湊駅での待ち時間で食べた。田舎の弁当は白米大盛りと相場が決まっている。ここで買った幕の内弁当にも,しっかり白飯が詰まっていた。半分と少し食べたくらいで,折り返しの快速「しもきた」の改札が始まってしまった。残りの白飯をかきこんでいる間に,数名が乗車していった。昼飯を途中で切り上げる柔軟さは持ち合わせておらず,弁当を平らげてから慌ただしくきっぷを見せて車内へ向かった。

ボックス席の進行方向窓側は,先客の6名が埋めており,すでに空席はなかった。仕方なく,ボックス席の進行方向逆向き・通路側にかけた。まあ,往路では座れなかったことを考えると,これでもいいほうだ。
快速「しもきた」で野辺地へ戻る
帰りは立ち客なく進んだ。下北からの乗車は,行きの下り列車1/4くらいだった。
帰りは,行きよりじっくり車窓を眺められた。大湊線の車窓のうち,陸奥湾側は,多くの区間で防雪林のようなもの(あるいは単なる木立?)が,かなりの区間にわたって,線路へ覆いかぶさるように生えていた。林の切れ間からのぞく陸奥湾は,昨日みた日本海ほどの荒々しさはない。むしろ,かなり凪いでいるようにみえた。嵐の前の静けさか。

関連記事:リゾートしらかみ(くまげら編成)で行く五能線の旅|北海道&東日本パスの旅2025(9)
いっぽうの半島側の車窓には,風力発電機と原野がよく見えた。天気が悪いが,風況は良いようで,大風車がぐるぐると元気よく回っていた。
終点の野辺地までは,約50分。ちなみに,普通列車も5往復運転されていて,所要時間は60分。快速列車のほうが10分程度短い。駅間が長いうえ,陸奥湾沿いを南北に縦断するため,線形がいい。表定速度は結構速いようだ。天気が良ければ,乗っていて気持ちいい路線なのだろうと思いながら,曇天を眺めていた。
野辺地へつく頃には,とうとう雨が降ってきた。天気ばかりはどうにもならない。昨日,リゾートしらかみで五能線を旅したときが,あまりにも好天すぎたのだ。

*
以上で大湊線の旅を終えた。少し慌ただしかったけど,終点の大湊でいいお店に出会えたのが良かった。次来たときも,あの店で弁当をじっくり迷ってから買いたい。
野辺地からは,ふたたび青い森鉄道の普通列車に乗り換えて,盛岡方面へと上っていくことにした。

(つづく)
- この「通過特例」は,北陸3県の第3セクター線にも適用される。具体的には次の区間でのみ青春18きっぷによる乗車ならびに途中下車が可能。
・あいの風とやま鉄道線「富山~倶利伽羅」間 ※高岡駅・富山駅に限り途中下車可能
・IRいしかわ鉄道線「俱利伽羅~津幡」間 ※津幡駅に限り途中下車可能
・ハピラインふくい線「越前花堂~敦賀」間 ※越前花堂駅・敦賀駅に限り途中下車可能 ↩︎ - Wikipedia:「鉄道車両の座席」 ↩︎
- 気象庁:「恐山」(Access:2026/01/03) ↩︎
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