湘南新宿ラインのグリーン車で高崎へ|北海道&東日本パスの旅2025(1)

空いているグリーン車で旅を優雅にはじめよう。

有給休暇をつかって連休を生成

9月の連休前後に有給休暇をいただいた。世間でいうところの「シルバーウィーク」前後の平日をつなげて,ちょっと長めの休みをつくった。そのうちの平日部分を中心に,全行程7日間の旅に出た。旅費には,6月の賞与(の代わりの寸志)を活用した。有給,賞与,博士学生のときにはなかった。会社員万歳!

さて,この旅に限ったことではないが,連休に入った段階では,とりたててこれといった目的地は決めていなかった。そもそも,旅へ出るかどうかも決めていなかった。とりあえず世間一般の連休中は,寮(かその近所)で過ごした。

日常はすぐに色あせる。

とはいうものの,世間でいう連休(土日祝)が過ぎると,早くも寮での生活に飽きてきた。どこかへ出かけたくなってきた。

そこで,とりあえず,忙しなかった日常から離れること,路線図を辿りつつ未乗路線を乗りつぶすことを目的として,旅に出ることにした。

「北海道&東日本パス」で旅に出る

気の向くままに鉄道旅をするには,「青春18きっぷ」をはじめとするフリータイプのきっぷが便利だ。「青春18きっぷ」の利用期間は9月上旬で終わっていた。ただ,JR東日本には,同様のフリーきっぷがある。

それが「北海道&東日本パス(普通列車限定)」だ。このパスでは,「青春18きっぷ」と同じように,JR東日本と北海道エリアの在来線普通列車に乗り降り自由となる。利用期間は連続する7日間。価格は11,530円。「青春18きっぷ」より長くつかえてそのうえ安い。これだけでも素晴らしい。

北海道&東日本パスでは,さらに東日本の第3セクター(青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・北越急行線)の普通列車にも乗車できる。これらの路線は,乗りに行こうと思ったうえで,自腹を切らないと乗れない(「青春18きっぷ」では乗車できない)。当然,これまで未乗のままだった。

9月中旬になったとはいえ,まだ関東は暑い。このような思考過程を経て,目的地の1つをこれらの第3セクター路線に定めた。次いで,これら3路線の位置をぼんやり思い浮かべる。旅のルートは,自ずと,上信越から東北地方を周遊するルートに決まってきた。このようにして,ひとまず「北海道&東日本パス」を入手したうえで,東北地方を旅してみることになった。思いがけず,2年連続で夏の東北地方を旅することになった。

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湘南新宿ライングリーン車1階からの風景

細かい旅のルートは,旅の道中で時刻表を買ってでも考えることにして,初日は,高崎まで向かい,そこから北越急行経由で日本海側へ抜けることを計画した。

首都圏の鉄道ネットワークは,こういうときにもとても便利。湘南新宿ラインに乗っていれば,関東地方を縦断するようにして北上することができる。今回の目的地は高崎。東海道線から湘南新宿ラインを経て高崎線に直通する特別快速高崎行き(4822Y:戸塚10:39→高崎13:06)に乗った。湘南新宿ラインで1日に数本しかない特別快速だ。

思い立ったが吉日。

湘南新宿ラインの特別快速は,西日本の新快速のように,停車駅を極端に絞っているわけではない。それでも,特別快速という名前が速そうでいい。

出発は,朝のラッシュを終えてからにしたので,普通車でも座れないことはないだろう。ただし,高崎までは約2時間30分の長時間乗車となるため,ここでは迷わずグリーン車に乗った。

「北海道&東日本パス」では,通常のきっぷと同様に,普通列車のグリーン車自由席に,グリーン券を追加するだけで乗車することができる。モバイルSuicaで区間を指定して購入し,座席上のランプにピッとやるだけ。

今回は大半の区間で1階席に乗車してみた。以前の記事では「平屋席こそ最高」と書いた。また別の記事では,「2階席も楽しい」と書いた。じゃあ1階席はどうなのかというと,これまた1階席にしかない楽しさがある。

1階席にしかない楽しさがある。

1階席は,普通の1階建ての列車と比べて,低い位置にある。普通の列車だと床下機器(モータや制御装置)がついている部分が座席となっている。つまり,車窓が線路にかなり近い。

湘南新宿ラインや上野東京ラインは,山手線や京浜東北線などと長い区間にわたって並走する。こうした列車との追いかけっこを,ほとんど台車と同じような目線から見られるのだ。

山手線E235系。評判は悪いが,別に格好悪くはないと思う。E233系よりはいい顔をしている。
赤羽で上野東京ライン 高崎線直通の電車と並走。向こうは普通列車なので,ここから先で,こちらの列車に先を譲った。

車窓に飽きたら読書を楽しむ。1階席は,天窓がある2階席や,窓が大きい平屋席と比べると,いくぶん暗いためか,各座席に読書灯がついている。別に読書灯なんてなくても,大半は明かり区間を走るから,本くらい読める。とはいえ,わざわざ読書灯をつけて本を読むと,ふだんとはまた違った没入感というか,非日常感が得られる。

首都圏では不足に感じる15両編成も,高崎線のなかごろまで来ると,輸送力過剰となる。この特別快速も,途中の籠原駅で,前5両が切り離され,10両編成となった。

そして気づいたら,グリーン車1階席には自分1人となっていた。空いている(今回は貸切)グリーン車ほど快適なものはない。この静けさと落ち着きを手に入れるためにお金を払っているようなものだ。

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高崎からの旅程を考える

予定通り昼過ぎには高崎に到着することができた。高崎からは,前記のように,第3セクターの1つである北越急行(六日町→直江津)を経由して日本海側へと抜けてみることにした。これは,北陸新幹線が長野から金沢へ延伸するまでの東京→金沢ルート,すなわち「上越新幹線+北越急行」ルートの一部にあたる(高崎→越後湯沢→六日町→直江津)。

北越急行の特急「はくたか」は,北陸新幹線延伸で廃止されているため,厳密にいえばかつてのルートとはちがう。そうはいっても,北越急行自体の線路は当時のままなので,当時の「気分」くらいは味わえるだろう。

ただし,「北海道&東日本パス」自体は普通列車限定なので,新幹線には乗ることができない。別途,乗車券と特急券が必要になる(あるいは,新幹線eチケットや「タッチでGo!新幹線」など)。素直にいけば並行する上越線(高崎→水上→)経由で越後湯沢へ向かうところだが,この区間のうち,水上→越後湯沢(いわゆる上越国境)は,列車の本数が極端に少ない。高崎に着いた時点で,越後湯沢まで乗り継げる列車は,2時間以上後だった。これでは日本海側(ひとまず長岡あたり)に着くのは相当遅い時間になる。

ということで,旅の初日ではあるが,早速,新幹線ワープ(上越新幹線:高崎→越後湯沢)を敢行することで,上述のルートをたどってみることにした(正直に書くと,この新幹線ワープは旅を始める時点で考慮に入れていた:水上→越後湯沢で上越線の列車に乗ろうとすると,朝ラッシュの時間に湘南新宿ラインを北上しなければならなくなっていたためだ)。

高崎での乗り継ぎ待ちで,「峠の釜めし」を買ってみた。大学時代もふくめて,実はこの名物駅弁を食べたことがなかった。今回は信越ではなく上越方面なので,ちょっと違うといえば違うが,空腹に任せて選んだらこうなった。

(つづく)

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