名古屋から1日かけて新潟までやってきた.
さて2日目.
新潟から北海道へ在来線で行く最速ルートは
- 羽越本線特急「いなほ」
- 奥羽本線特急「つがる」
を乗り継ぐルートである.
「いなほ」は,夏の東北・北海道ツーリングで,羽越本線沿線を走っていたときに何度も見かけた.見かけるたびに「乗りたいなあ~」と思っていた車両.今回念願叶っての乗車.
18きっぷ旅ではできない,特急列車を乗り継ぐ贅沢な旅.
羽越本線特急「いなほ」
名古屋から北海道へ,飛行機を使わず,
また,東海道・東北新幹線を使わずに移動する鉄道旅.
ルートは以下の図,青色で示した線.
今回紹介するのは,赤色で示す部分.
秋田へ直通!いなほ1号
2日目第1走者は,新潟から秋田への始発特急
いなほ1号秋田行
新潟0822=秋田1203
日本列島の背中にあたるような,東北地方日本海側の海岸線沿いをひたすら北上する羽越本線.
特急「いなほ」は,その羽越本線を走る列車だ.下りの「いなほ」は1日7本あり,そのうち3本(1・5・7号)のみが秋田まで直通する.のこりの4本は途中の酒田止まりだ.
新潟から秋田まで直通してくれるのは,長距離の移動者にとってはありがたい.酒田駅でのりかえなくて済むのが嬉しい.
「いなほ1号」自由席
いなほ号は新幹線ホームと隣接する5番線への入線.
出発10分前くらいには入線していたかな~.
今回は自由席に乗車.
始発駅からだし,日曜日の下り列車だし空いてるだろう,という予想.
実際に車内に入ってみると,ビジネス客中心で,窓側の座席は半分以上埋まっている.が,空席も目立つ.
座席を確保したら,E653系を外からじっくり眺める.
かつては「スーパーひたち」「フレッシュひたち」に使われていたが,E657系による置き換えにともなって,羽越本線・信越本線に転用されてきた経歴の持ち主.現在,「しらゆき」と「いなほ」に使用されている.
自分は,「しらゆき」塗装より,この「いなほ」の塗装が好き.夏のツーリングで見た,広大な田園地帯,ゆれる稲穂をバックに駆け抜ける,クリームカラー・サンセットカラーの車両に惚れてから好きになった.
設計最高速度は120km/h,海沿いの区間が長いから,塩害対策とか施されていたりするのだろうか?それは外から見ただけではよくわからない.
内陸から海へ
出発時刻が近づいたので,自由席に戻る.今回は6号車(モハ).
新潟の高架線を出発すると,床下からブーン…!というモータ音が聞えてくる.加速はなかなかいい.が,横揺れが少し大きい.これは線路のせいなのか車体のせいなのか・・・?
出発後しばらくは,市街地を走って徐々に海へ近づいていく.時々車窓に見える田んぼは,規模が大きい.さすが米どころ新潟.
ビジネスマンを中心にそこそこの乗車率だったが,新発田・中条でどんどん下車していった.
日曜日だけど,車内はあっという間にガラガラになった.7両繋いで運転しているけど,5両ぐらいでいいのでは?
右手に奥羽山脈,山の向こうは太平洋.
村上までは,コツコツ停車して乗客を拾ったり降ろしたりした.ここまで,まだ車窓に日本海は見えない.
村上のセクション
村上駅を出発すると,交直セクションにさしかかる.
車内は一時的に消灯,空調も切れて静寂が訪れる.
乗客は慣れているのか,特に何も言わない.
しばらくゴトンゴトン惰性で走って,セクションを抜けるとパッと電気が付く.そして再び加速.
村上出発後にある長いトンネルを抜けると,村上市街地は終わり,左手に日本海が見えるようになった.
日本海沿いをひたすら北上
並走する国道345号は,夏に北海道へ行くときに自転車で走った道路.村上は暑かったなあ・・・自転車なんかほっぽり出して海水浴したいなあ~なんて思いながら汗水垂らして走った道路だが,電車から見るとなんとも味気ない.
狭い2車線道路は,海水浴客で賑わっていた夏とは違い,交通量は少なかった.
「笹川流れ」で有名なこの区間,トンネルを出入りしながら海沿いギリギリを走る.切り立った岩は迫力満点だ.
あつみ温泉駅までは海沿いをひた走る.
これだけずっと海沿いを走るんだから
電気系統の塩害対策は相当大変なんだろうな.
酒田からさらに北上
ガラガラだった車内だが,あつみ温泉や鶴岡で多少乗客があった.鶴岡は山形に入って最初の主要駅,乗車客も多かったが下車客もあった.
北上してきたことで,車窓には積もった雪が見えるようになってきた.
最上川を渡ると,余目,酒田と停まる.余目から分岐する陸羽西線は18きっぷで旅してみたい路線.
酒田駅で多くの下車があり,再び車内はガラガラ状態.6号車は4,5人しか乗っていなかった.
酒田駅で乗務員が交代.新潟から酒田まで2時間少々.多くの「いなほ」は酒田駅までの運行.ここから秋田までの区間は,下りのいなほは3本しか走らない.
鳥海山
酒田を出てしばらく走ると進行方向右手に,雪化粧をした鳥海山が見えるようになった.ツーリングで見た夏の鳥海山とは,全然雰囲気が違った.
山が見えなくなったら,また左側に日本海.乗車していて飽きない車窓が続く.秋田までは長いが,見所は多い車窓なので退屈しない.
道路と交差しながら海岸ギリギリを走行.
秋田県に入ると,沿岸に風力発電が多く見えるようになった.秋田は全国有数の「風力発電地帯」で,将来に向けた大規模洋上風力発電の計画も着々と進行中.
仁賀保駅でいなほ8号と交換.いなほ8号が遅れて到着したため,4分遅れでの出発.
国道7号と並走し始め,ちょっと都会になったな~と思っていたら,
秋田の手前の区間では,山の中を走行.そして秋田駅到着直前でいきなり都会が現れた.
秋田駅到着!
そんな感じでバラエティ豊かな車窓を楽しんでいたら,秋田駅に到着.新潟から3時間40分.
秋田駅にはE6系新幹線が”特急列車”として乗り入れており,在来線と同じホームで見ることができる.ちょっと珍しい光景.
奥羽本線特急「つがる」
「いなほ」と「つがる」乗り継ぎ
秋田駅で「いなほ」から「つがる」へ乗り継ぎ.
秋田駅では「いなほ」と「つがる」が対面でのりかえられる.
乗り継ぎ時間は36分ほどあるので,秋田駅の改札外でゆっくり駅弁など買い物をすることができた.
これから北海道をフリーパスで旅する予定.「北海道フリーパス」はJR北海道を含む,全国のJR駅で発行することができるので,今日の最終列車(北海道上陸後,スーパー北斗号)乗車に備えて,秋田駅の自動券売機で北海道フリーパスを買っておいた.
つがる3号で新青森へ!
秋田からのりかえる2日目第2走者は
つがる3号青森行
秋田1239=新青森1515
「つがる」は「いなほ」よりも本数が少ない,下り列車は1日3本の運行.秋田と青森を奥羽本線経由で結ぶ特急列車だ.運行が少ないこともあって,使用車両も馴染みが薄いE751系.
ちなみに,2010年改正まで「つがる」は八戸~青森・弘前間の特急列車につかわれる愛称だったそう.東北新幹線新青森延伸にあわせて,八戸~青森連絡の役目を終えて,奥羽本線にまわったという経緯があるわけだ.
つまり,青森・新青森~秋田の運行を担うようになって,まだ年数が浅い.印象が薄いのもしかたがない.
「つがる3号」自由席
「つがる」も自由席に乗車.
自由席は「いなほ」よりも乗車率が低い.
秋田駅の出発メロディは,秋田県横手市出身・高橋優の「明日はきっといい日になる」.明るいメロディでスゴくいい.
出発したら,秋田駅で買ってきた駅弁を食べる.鶏めし弁当うまい.
E751系,車内の装飾や形はE653系と似ているけど,座席背面は若干簡素化されていた.背面の網がなくて,代わりにバンドみたいなのがついてた.これは初めてみたな・・・でも意外と安定してる.
秋田~八郎潟の間,車窓には夏のツーリングで走った道が再びちらちらと見える.
休憩で立ち寄ったところ(コンビニとか)は,車内からでもよくわかる.「あ,あそこのコンビニ,覚えてるな~」とか.自転車ツーリング中って,実はめちゃくちゃ頭使ってるんだな~と思う.鉄道旅なんかぼんやりしてれば目的地までたどり着けるのだから楽なもんだ.
雪の積もった峠を越えて
E751系,乗り心地はE653系よりもいい.横揺れが少なくて安定している.
車窓は最初の方,ちょっと退屈だったかな?山の中,もしくは民家がポツポツある小さな町を走る.
しばらく走ると,だだっ広い田んぼの中を国道と並走するようになる.リズムよくジョイント音を響かせながら,走る.結構速い.
下川沿駅で上りつがると交換して,
大館駅到着.ぼつぼつ下車があった.盛岡駅まで延びる花輪線が分岐する.
大館駅を出ると,弘前へ向けての峠越え.国道は「矢立峠」という峠を越えるけど,奥羽本線(下り)はトンネルで越えていった.上り線は川沿い・国道沿いに一時的に別れていたが,トンネルの向こうで合流した.
峠を下ると雪景色
峠を越えると一気に雪深くなった.
車窓はすっかり雪国のそれ.
碇ヶ関,大鰐温泉に停車しつつ,弘前へ下る.
弘前駅で割と多くの乗車があった.もう青森はすぐそこだが,短区間の利用者も多いようだ.
浪岡の手前では,リンゴの木?らしいものが雪の中で育てられていた.寒いのに大変だなあ.
新青森の手前で,もう一回峠越え.平野の雪原を快走していたつがるは,再び山の中をゴトゴト走る.前に座っている外国人の女の人が,雪景色をパシャパシャスマホで撮影していた.温暖な国の方なんだろうか?物珍しそうに眺めていた.
青森~弘前の間にある峠は,たしか夏のツーリングで苦しめられた峠だ.
新青森駅で下車
青森市街に入る手前,峠を下る列車から後ろを振り返ると,さっきまで近くにあった山がどんどん遠ざかっていく.
そして,行く先は海が見えそうな雰囲気.いよいよ本州の北限にやってきた.
新青森駅には定刻での到着.乗車券は青森までだったが,新青森で降りた.当初の予定(青森からフェリーで北海道上陸)を変更して,新青森から新幹線で北海道へ渡ることにしたからだ.
ホームに降りると,さすがに寒い.が,まだ何とか耐えられるレベル.名古屋の一年で一番寒い日,というレベルだ.
まとめ:今度はグリーン車にも
以上,「いなほ」と「つがる」を乗り継いで青森まで行った記録.
冬の日本海側は曇りがちだが,車窓は変化に富んでいて十分楽しめた.
「いなほ」で使われているE653系は,豪華なグリーン車が有名.今回は自由席の乗車だったけど,また機会を作ってグリーン車にも乗ってみたい.
在来線で北海道をめざす旅
【1日目の様子】名古屋から新潟までは,以下の3記事にて紹介.
2日目夕方,「つがる」で新青森に到着した.
いよいよ本州の最北までたどりついた.あとは北海道に渡るのみ.当初はフェリーで渡ろうと思っていたが,フェリー乗り場で長時間待つのが面倒だし,寒い中青森駅からフェリー埠頭まで移動するのも嫌だったので,課金して北海道新幹線に乗ることにした.
旅の名目は”在来線で北海道へ”だが,津軽海峡線は定期旅客列車が走っていない.新幹線しかないからしょうがない.ということで,次回はいよいよ北海道新幹線の乗車記を紹介.
参考記事
新潟~村上~鶴岡~にかほ~秋田~能代~大館~弘前~青森,というルートは,2019年夏の自転車ツ-リングで先立って走っています.
走りながら多少観光もしてます.参考にどうぞ.