【工学部の学科選び】電気電子系学科へと進学した理由

現在,電気工学専攻の修士課程で,電力に関連する分野の研究をしている。

そんな大学院生が,工学部の中でも,電気電子系学科を選んだ理由とその過程をまとめてみた。

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大学の学部学科選び

高校生は,一般的な四年制大学へ進学するにあたり,学部学科を選択しなければならない。私は,この記事を書く5年前に,大学入試のために,志望する学部学科を選ぶことになった。進学校で野球と勉強に明け暮れた私は,大学はもちろん,その先の将来像をほとんど具体化できていなかった。なので,学部学科選びは,「やりたい仕事」とその時点での「自分の興味」を軸にした。

やりたい仕事と好きなこと

「エンジニア」という職に,一応の興味があった。興味をもった理由は,自分の性格や能力がエンジニアに向いていそうだと考えたからだ。具体的には,ものづくりや細かい作業,また,メカメカしたもの(機械)が好きだった。中学時代の技術の授業は面白かったし,高校の物理の授業は嫌いではなかった。

ただし,自分で本格的にモノを作ったり,動かしたりしたような経験は少なかった。また,私は普通科に通っていた。したがって,この時点で工学に強い適性や興味があるわけではなかった。ざっくりと「ものづくり」か,それにかかわるような技術・知識を学べればよいと思っていた。

すんなり工学部を選ぶ

まず,文系より理系に興味があった。高校2年時の文理選択では,迷わず理系を選んだ。国語や社会より数学や物理,化学の方が面白そうだったからだ。

さて,理系を選んだはいいが,大学の学部学科は「理系」の中でも細分化されている。学部学科を選ぶにあたっては,もう少し興味の対象を絞る必要がある。大学には以下のような理系学科がある。

  • 工学部
  • 理学部
  • 農学部
  • 医学部
  • 薬学部

私は,「エンジニア」やものづくり,メカに興味があったので,工学部を選ぶことにした。学部学科選びは,ここまでは順調だった。私が悩んだのは,工学部の学科選択だった。

工学部のどの学科を選ぶか?

工学部には,その分野に応じていくつかの学科がある。一部の大学を除いて,工学部学生は入学時からその学科に応じた分野に必要な勉強を進めていく。したがって,工学部志望の高校生は,入試時点で志望学科をいくつか(第1~第3くらい)決めておく必要があるのだ。

工学部志望とした私は,ここでまず工学部の学科を見てみることにした。志望大学も含めていくつか見てみると,工学部には以下のような学科(分野あるいは領域)があることがわかった。

  • 化学 系
  • 機械・航空・宇宙 系
  • 電気・電子・情報 系
  • 応用物理(材料・物性) 系
  • 土木・建築 系

私は,漠然と「エンジニア」やものづくりに興味を持っていた。しかし,ものづくりについては,機械系でも電気系でも,建築でも化学でもあてはまる。ゆえに,工学部の学科選びにあたっては,もう少し細かいところまで興味を絞る必要があった。

学科を偏差値や倍率で選ぶという方法も考えられるが,工学部内で偏差値が大きく変わることは稀であり,また,入学後に興味のないことを勉強するのは面白くないので,自分の興味で学科を選ぶこととした。

電気(特に電力技術)に興味あり

「電力」に漠然とした興味があった

そこで,私は自分はどういう分野や技術に興味を持っているだろうか?と考えた。

私が興味をもっていた技術の1つは,電力系,特に再生可能エネルギーや省エネなど,発電や電力の利用に関連する技術だった。私が高校3年だったときは,ちょうど東日本大震災から5年目の年で,再エネの普及が急速に進み始め,拡大基調を見せていた。原子力発電の稼働にかんする社会的な議論も続いており,私もその議論について関心をもっていた。

また,この年にはかねてから進んできた温暖化対策について,パリ協定が発効された。火力発電を再生可能エネルギーに置き換え,かつ電力機器の省エネルギー化が進めば,温暖化問題も解決できるのではないか,と考えていた。

また,このときは考えなかったが,私は幼いころから鉄道が好きだった。電気鉄道において「電力」の技術は欠かせないものだ。したがって,潜在的かつ遠回しにではあるが,「電気」というものについて興味を持っていたといえる。

参考: プラレールと伊予鉄道が鉄道好き大学院生の原点だった

機械と土木も外せない…

電車を駆動ためには,変速機や車輪など機械系の技術も必要。

一方,鉄道「車両」においては,電気に加えて機械の技術も重要だ。また,鉄道よりは弱いが,自動車も好きだった。自動車は,電気よりも機械技術の比重が大きい(2021年現在では,電動化が急速に進み,電気技術も重要となってきている)。この点では,機械工学の技術にも興味を持っていたといえる。

また,自動車や鉄道が走る道路や橋梁などの土木系インフラの技術にも興味があった。高校2年のときの高大連携の講義では,地元の大学における土木系専攻(橋梁系の研究室)で実習を受けた。コンピュータシミュレーションを使って,橋梁を設計し,加重を加えることで弱点を把握するというものだった。高校2年だった私は,この研究をなかなか面白いと思っていた。この点では,土木工学にも興味があったといえる。

最終的には電気系を選択

私はこのような思考を経て,電気を筆頭に,機械,さらには土木にも興味があることがわかった。この3つ以外は除外できるが,3つを志望順に並べる必要があった(さらに,推薦入試を受験することになったので,第1志望をしっかり決めることとなった)。

最後にもう一度考えて,やはり自分の興味は,電気系においてもっとも強いという結論に至った。そんな私は,高校3年のとき,電気系志望理由のメモをiPhoneのメモアプリに残していた。

工学部電情(注: 電気電子情報工学科のこと)志望理由

・省エネルギーが求められる時代
(資源の枯渇、原子力発電の問題)
の流れの中、エネルギーや効率のよい電力システムを学ぶのは意義がある。
その分野をまなびたい
再生可能エネルギー
日本は進んでいる? そんなことはない。資源に限りがあるとわかっているならもっと発展させることができるし
しなければならない。
波力発電や風力発電など期待のかかるものがたくさんある、その分野を研究したい

今振り返ると,この電力系の技術は,「ものづくり」というより「インフラ(インフラストラクチャー)」という単語の方がしっくりくる。高校生だったは私は,おそらく「ものづくり」よりも「インフラ」という分野に興味があったのだろう。インフラといえば,電気のみならず土木の方も当てはまる。実際,大学に入ってから,土木系の友達に講義のようすを聞くと,非常に面白そうだった。

大きくて,メカメカしていて,迫力があるもの。結局私は,男の子の大好きな方向から,興味がぶれなかったようだ。

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大学に入ってからの話

さて,ここまでで大学入学にあたって,電気系を志望してきた理由を書いてきた。せっかくなので,大学に入ってから学部時代の話と,現在の興味・研究分野についても書いておく。

学部の講義は,数学や物理などの基礎科目,さらには英語や独語,経済学などの教養科目から始まった。学部2年時から少しずつ,回路理論やプログラミングなど,電気・電子・情報系の基礎的な講義が増えた。学部2年までは,基礎科目が多かったので,興味の対象を絞ることは難しかった。ただ,電力への興味は薄れていなかった。

参考: 【新学年】学部3年でやるべき(やりたい)ことと抱負_学部生活あと半分

学部3年になると,選択制の専門科目を受けた。電力系の講義を多く受講した一方,情報系には興味が薄れ,あまり受講しなかった。電力系の講義は面白く,興味をもって受講することができた。学部3年では,学生実験や講義での実習も始まり,実際の電気回路や電力機器を触る機会も出てきた。このあたりで,電力系への興味が強くなった。

学部3年後期の学生実験の1コマ。太陽光発電を制御する簡易システムの制作を行った。

関連記事: 【3年後期】定期試験を終えて思うこと

卒業研究をする研究室は,電力系の中から,電気エネルギー制御技術を扱う研究室を選んだ。入学時の興味の対象であった,再エネや電力システムにかんする研究室もあったが,電力に関する「モノ」を研究の対象にしたくて,実験ができるこの研究室を選んだ。

参考: 卒研をする研究室が決まった話

その後,大学院入試を経て,大学院へ進学し,同じ研究室で引き続き研究している。

参考: 筆記試験免除の大学院入試で内定をもらった~書類選考と面接

卒業研究から現在まで,この研究室で一貫して「直流遮断」に関する研究を進めている。「遮断」とは,電力系統やあるいは電力システム内で事故が発生したときに,短絡電流を切る技術だ。たとえば電線に落雷があると,地面と電線の間でショート(短絡)が起こって,大きな電流が電線に流れてしまう。大電流が流れると,電線は熱をもつ。電線が発火すると火災のおそれもある。遮断技術があることで,このような危険を未然に回避することができる。

現在は,今研究している電力(絶縁)技術や,再エネを含めた電力系統の技術に興味をもっている。研究室での研究は楽しい。大学入学前は「ものづくり」や「エンジニア」に興味があったが,卒業研究と,現在の修士課程での研究を通じて,「研究」にも興味が湧いてきている。

参考: 大学院へ入学しました

こんな風に,大学入学前の興味は大学卒業後(あるいは大学院での研究)にピッタリ一致するわけではない。しかし,私は,ここまで書いてきたような学科選びで,後悔はしていない。

したがって,大学の学部学科選びは,「なんとなく興味がある」くらいで選んでも大丈夫だといえる。その分野の勉強をしていけば,きっと面白そうな分野が見つかる。

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大学の学部学科選びは「キーワード」から

以上,高校生だった私が,大学入試にあたって,工学部電気電子系を選んだ理由について書いてきた。高校生が工学部の学科選びをするにあたっては,自分が興味をもっている技術を「キーワード」で出していくことが大切だと考える。

たとえば私は,「再生可能エネルギー」や「電気鉄道」,「橋梁,道路などの土木インフラ」といった技術に興味を持っていた。このキーワードについて研究している研究室がある学科を選ぶと,学科での勉強に興味が持てる。また,その先,大学院へ進学するにあたっても,興味がある研究室を選べる。

自分の印象だけで学科を決めるのではなく,大学(工学部や各学科)のホームページを眺めてみるのもオススメだ。私が高校生のときは知らなかったが,私が所属する学科のHPは,すべての研究室がどういう研究をしているのかが,具体的かつ体系的にまとめられている。これを見ると,うちの学科がどういう技術を対象としているのかがよくわかった。高校生には少し難しいかもしれないが,学科の雰囲気がよくつかめるので,一度のぞいてみるのがおすすめだ。

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