「スマホ脳(アンデシュ・ハンセン著)」を再読して,改めてスマホの使用時間(スクリーンタイム)を減らしたいと考えるようになった。
ここでは,「スマホ脳」を読んでから,スクリーンタイムを減らすために実践しようとしていることをまとめておく。
「スクリーンタイム」を減らすために実践すること
はじめに~「スマホ」がもたらす脅威
現代社会は,ディジタル技術の発達によって,複雑化している。
それにともなって,社会で生じる課題も,同じように複雑化している。
ディジタル化の代表技術であるスマートフォンは,このような課題を解決すべき人材を減少させている。
なぜなら,スマートフォンは,課題の因子を解き明かして,解決策を考えるための集中力を,ドーパミンの過剰放出によって奪ってしまうからだ。
また,スマートフォンは,集中力を奪うのみならず,運動不足を誘発し,ストレス耐性を低下させてしまう可能性もある。こうなると,精神的な安定を欠如させ,最悪の場合「うつ病」に至ってしまう。
実際,著者は,本書のなかで,どこかの国(具体的には覚えていない)の平均体重が「過体重」もしくは「肥満」だったこと,そして10人に1人以上が「うつ」もしくはそれに近い状態であることを根拠に挙げている。
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これから博士課程へ進み,研究を続けるにあたっては,このような難しい課題を考える集中力を維持し,伸長させたい,それをスマートフォンに,奪われたくない,と考えるようになった。
そこで,本書の最後の方に書いてあるアドバイスを参考に,今よりもう一段ふみこんだディジタルデトックスを実践してみることにした。
実践すること①:スマホの使用時間をへらす設定
まずはスマホの時間を,今までよりさらに減らすことにした。
今までは,「スクリーンタイム」は1週間平均で,1日1時間ほどだった。これが多いか少ないかは個人によって見方が変わると思うが,私は多いと考える。1日で1時間,1週間で7時間。1か月では30時間,1年間では365時間・・・
1日は24時間だから365(時間)/24(時間/日)=15(日)。要するに,「1日に1時間スマホで時間をつぶすと,1年間で15日つぶれる」計算になる。15日といえば,半月分。みんなは1年間が12か月なのに,自分だけ1年間が11か月と半分だったら,結構悲しいのではないだろうか(私は悲しい)。
もちろん,この1日1時間のうちの2割くらいは,人間として文化的な生活を送るために必要な機器を,スマホが置き換えたために,必要な使用時間だろう(たとえば,財布:電子決済,写真:カメラ,手紙:LINEなど)。
ただ,1日1時間のうちの8割くらいは,「プッシュ通知やバッジ機能によって,スマホに気を散らされて,思わず手に取ってしまった」もしくは「必ずしもスマホである必要はない機能(アラーム,家計簿,ネット銀行のチェック,タスク管理)も,スマホによって補っている」ことに由来するものだということが,「スクリーンタイム」を見直すことでわかった。前者はまさしく「スマホ脳」,後者もPCやそのほかの機器によって補えるが,「スマホ脳」に近い状態だといえるだろう。
冷静に「スクリーンタイム」を見直すと,私の脳みそが,まさに「スマホ」にハッキングされた状態だということがよくわかった。
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そのような状態から,スマホの使用時間を減らすために,スマホ(iPhone)に以下の設定・施策を行った。
- スクリーンタイムに「休止時間」を設定(22時ー7時)
- 唯一残っていたプッシュ通知・バッジ:LINEのメッセージ通知をOFFに
- PCでできるサービスを提供するAppの削除(家計簿アプリ「zaim」,GoogleToDo)
アクセシビリティから画面の色を「グレイスケール」(モノクロ)に
特に,いちばん上の「休止時間」設定は,寝る前にスマホを触らないようにできるので効果的だ。
LINEについても,意外と気になる通知を切ったことで,「返信しなきゃ」という気持ちを抑制できそうだ。
また,PCでできることはPCでやれば,それだけでスマホを手に取る時間を抑えられる。たとえば,家計簿アプリへの記録は,家に帰ってからまとめてノートPCで行えば十分だし,ToDoリストの確認は,大学にいる間やノートPCで作業している間だけにとどめればいい。
このように,iPhoneは,デフォルトでは私たちの脳を「スマホ脳」にするように設定されているが,ユーザの集中力を削がないようにも設定できる。積極的に使っていけば,スマホと上手に付き合うことができるのではないだろうか。
ちなみにSteven Jobsは,自分の子どもに14歳までiPhoneおよびiPadを与えなかった。自身の「発明」がどれほど心身に悪影響を与える可能性があるのか,明確にわかっていたことが推察される。
実践すること②:iPadの使用時間をへらす設定
私たちの脳をハッキングするのは,スマホのスクリーンだけではない。iPadもその一因だ。
私は当初,iPadを,研究の補助に活用しようというイメージを持っていた。しかし,購入から2年以上経った今の使い方は,ほとんどYouTubeを観るか,ネットサーフィンをするかの2択になっている。
YouTubeを観ることは娯楽としてまあ考えられるけれど,ChromeによるネットサーフィンはiPadの使用時間を無駄に引き延ばしていた。特に,ブログにかんするあれやこれやをチェックする悪習慣がついており,これが小さいストレスになっていた。
「スクリーンタイム」を減らすためには,このiPadの使い方も見直さなければならない。そのために,以下のAppを削除した。
- Gmail
- Chrome
- Feedly
- YouTube Studio
いずれも,「PCで確認できることを,iPadでもできるようにしている」Appであって,これらはiPadの使用時間を無駄に引き延ばしている要因だった。これらのAppを削除したことで,iPadを「手に取る」頻度を大幅に削減できることが期待される。
実践すること③:スマホ以外でできること
まず,アラーム機能,メモをとること,決済,時間の確認などは,スマホでなくてもできる。スマホでなくてもできる仕事は,できるだけスマホ以外に担わせることにした。
たとえば,アラーム機能は,スマホでなくてもできる(目覚まし機能付きの置時計を買えばよい)。
また,メモを取ることをスマホ以外で置き換えると,スマホのみならず,PCの使用時間を減らすことにもつながる。たとえば,研究に必要な資料をつくるとき,ディスプレイにむかってキーボードをたたきながら考えるのではなくて,紙のノートの上でアイディアを出し,構成をある程度まとめてから,はじめてキーボードにむかうなど。紙のノートは思考の整理には意外と便利で,やってみると,ミーティング資料やもろもろの文章が露頭に迷うことが少なくなる。
さらに,時間の確認については,これまでもスマホを使っていなかったが,Garminのスマートウォッチ(活動量計)を使っていた。これも一応「スクリーン」であって,何かしらの通知を送ってくるものだった。これをG-SHOCKの機械式腕時計に「戻す」ことにした(G-SHOCKは高校時代からつかっているもの)。
次に,そもそもやる必要がないこと(たとえば毎日の体重記録をAppにつけることとか)は,やらない決断をした。
そして,先ほどから書いてきたように,PCでできることも,なるだけPCでやるようにした。
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体調はいいはずなのに,何となくストレスを感じる状態が続いているのは,
無意識のうちに,スマホやiPadを触る・触らないの葛藤にさらされているのが原因かもしれない。
ここに書いたことをしばらく実践して,その結果はまたブログにて紹介しようと思う。
【2023.8.27 追記】結果を書きました。
「時間がない」を口癖にするのではなく,行動によって時間を生み出し,そして好きなことに時間を使っていきたい。
参考文献:アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」,新潮新書 (2020)