iPhoneのスクリーンタイムを減らしてきた
「スクリーンタイム」を減らすために実践することに書いたように,「スマホ脳(新潮新書:アンデシュ・ハンセン著)」を読んで,iPhoneのスクリーンタイムを減らそうと努力してきた。そのために,
- 22時ー7時を「休止時間」に設定
- プッシュ通知・バッジを基本的にオフに
してきた。iPad側にも同様の工夫を施した(詳しくは上記の記事を参考)。この設定のもと,1年以上過ごしてきた。
その結果,iPhoneのスクリーンタイムは,平均して1時間程度だったのが,30~40分程度に減らせた。1日20~30分程度のスクリーンタイムを減らせた。
1日20~30分と書くと,大したことないように見える。でも,1週間では,140~210分(だいたい2~3時間半),1か月では600~900分(10~15時間)に相当する。スマホを触る時間を減らすだけで,1カ月に1日休みが増えて,3連休が形成されると考えると,どうだろう。なかなかの効果ではないだろうか。
スクリーンタイムを減らしてどうなったか
「つかえる時間」が増えたことは,客観的にわかりやすい効果だと考えている。
上記を実践したのは,大学院の修士1~2年にかけての期間だ。この期間は,研究や講義にてんてこまいだったが,そんななかでも,趣味や旅行の時間を確保できた。空いた時間に,ランニングを習慣化することもできた。修士課程を健やかに終えられたのは,スマホに時間を吸われすぎなかったことに依るところが大きい。
余計な欲望や情報ノイズが減って,思考が明晰になったのも,スクリーンタイムを減らして挙がった効果と考えている。
私は工学系の学生で,修士課程を専攻(40名)主席で修了できた。その後は,博士課程に進んでいる。これはひとえに,研究が順調に進んだおかげだ。その要因として,指導教員の偉大なるお力添えは欠かせなかったが,データに対して,「敏感」でいられたこと,そして,単位時間当たりの成果量(つまり生産性)が高まったこと,も挙げられる。
これらは,スマホの欲望やノイズから解放されたことで,重要な情報に洞察力を持続的に働かせられるようになったこと,ひいては,集中力が増したことのおかげだと考えている。
さらなる無駄時間の削減
上記のように,iPhoneのスクリーンタイムを1時間→30分~40分程度に減らせた。しかし,このなかには,写真アプリや,Garminのログ閲覧,LINEニュース(後述),Safariでのムダなネットサーフィン等々…,不要な時間がまだ含まれている。
今後,こういったムダ時間をさらに減らしていくために,もう一段ふみこんで,スマホ側の設定を見直すことにした。
画面のモノクロ化
iPhoneアプリの鮮やかさ,タップへと導く誘惑は,思っているよりも強い。これは,「スマホ脳」でも言及されていることだ。この対策として,画面をモノクロにすることが提案されている。
私が「スマホ脳」を読んでから,この記事を書くまでは,画面のモノクロ化には踏み切れなかった。ただ,それが一因となって,スクリーンタイムの削減に歯止めがかかっていたことは,十分に考えられる。
また,以下の記事にも,感銘を受けた。モノクロ画面のスマホを「地味なスマホ」と表現されており,「あ,それいいな」と思った。インテリアやファッションに,モノトーンのコーディネートがあるように,iPhoneにだって「モノトーンコーデ」があってもいいじゃないか。
そういうわけで,まず,iPhoneの画面全体をモノクロにした。
モノクロにするには,
「設定」→「アクセシビリティ」
→「画面表示とテキストサイズ」
と進み,下の方にある「カラーフィルタ」をONにする。これで,システム全体で,モノクロ画面が表示されるようになる。
これは,あくまでも画面表示がモノクロなだけで,スクショしたデータやカメラの写真は,ちゃんとカラーで保存される。(それゆえ,ここでモノクロ画面のスマホを紹介できないのが残念だ。)
ホーム画面のアプリ配置見直し
ついで,ホーム画面におくアプリを減らした。
現状,ホーム画面においているのは,使用頻度の高い,あるいは,生産性を高める便利なアプリのみだ。
・iPhoneのプリセット(電話,時計,写真,カメラ,メモ,ボイスメモ,計算機,Wallet,設定,ミュージック)
・メッセージ関係(LINE,メッセージ,メール,Slack)
・研究関係で必要なツール(Googleカレンダー,Authenticator=認証アプリ)
・日常生活の便利ツール(Yahoo!乗換案内,Google Maps,Weathernews,TaxiGo,スギ薬局アプリ)
・ファイナンス系(Suica,銀行・カードアプリ等,後述)
・メモ用アウトライナー(Workflowy,後述)
唯一,SNSとして,LINEを入れている。近しい人への連絡に使っているためだ。
ただ,LINEが提供している「LINEニュース」は,ついつい見てしまうことが多い。たいして質の高くないニュースを,数分でもダラダラとみてしまうことがある。毎日10分でも,1週間では1時間に達する。これは大いなる時間の無駄だ。
LINEは,これまで,ホーム画面下のドックに置いてあった。ドックのアプリは,ホーム画面のものよりも,触りやすい。
そこで,LINEの時間を少しでも低減するべく,「LINE」をホーム画面に置いて,代わりに「電話」をドックへ置いた。
ドックにあるほかのアプリは,これまでと同じとした。
使用頻度の低いアプリの移動
次いで,ホーム画面に置いたアプリ以外は,iPhoneの2画面目(右へスワイプすると見える画面)へ移動させた。
移動させたものは3種類ある。
1つ目は,旅行系のアプリ(ANA,ANAマイレージ,楽天トラベル,Booking.com)とショッピング系アプリ(メルカリ,楽天市場,MUJI passport,UNIQLO)だ。これらは,出先では使う可能性があるものの,普段は使わない。
2つ目は,スマホデータを同期するためのアプリ(OneDrive,Connect(Garmin),Strava,AmazonPhotos,ヘルスケア(iPhoneのプリセット))だ。これらのアプリが提供する情報は,PCあるいは他サービスから閲覧できる。ついつい見てしまうConnectやAmazonPhotosを2画面目へもっていくことで,少しでも誘惑を減らすことが狙い。
3つ目は,iPhoneのプリセットアプリだ。SafariおよびApp Store以外は,すべて「プリセット」としてまとめた。
使わない・使っていないアプリのアンインストール
ここまでで言及しなかったアプリは,すべてアンインストールした。
便利なアプリで生産性を高める
ただし,最近では,スマホの使用時間を減らそうとするあまり,不便さを感じることもある。
たとえば,メールアプリをアンインストールしたことで,出張中のメールチェックを,いちいちブラウザ経由でやらないといけない。これは逆に,スマホへ向かう時間を増やしてしまっている。「過ぎたるはなお,及ばざるが如し」とは,まさにこのこと。
スマホをうまく使えば,逆に,スキマ時間を有効に活用できる。では,どういうアプリを使うことが生産性の向上につながるだろうか。以下では,私が,これまで使ってきて便利だな~と思ったアプリ,そして,これから使ってみようと思っているアプリ群を挙げる。
メーラー・Slack
博士課程へ進学して,ちょこちょこ出張が入るようになった。2泊3日から1週間近くのものまである。こういったとき,メールやSlack(研究室内の連絡用)のメッセージを,外出先でサッとチェックできれば,スキマ時間を効率的に使えることにつながると考える。
Slackについては,スマホアプリを入れており,頻度こそ高くないものの,外出先では便利に使えていた。一方,メーラーについては,「スマホ脳」を読んでから,いったんはアンインストールしていた。
メールをチェック(あるいは,簡単な返信まで)するために,外出先でパソコンを開くことはなかなか面倒くさい。ノートPCの携帯性は,高まっているとはいうものの,スマホには勝てない。また,自分のノートPCは,モバイル通信をそなえておらず,WiFi環境下でないとネットにつなげない。つまり,メールやSlackのメッセ―ジをチェックできない。
そこで,Slackに続いて,メーラーを導入してみることにする。現段階では,何にするかは決まっていないが,研究室のPCで使っている「Thunderbird」のようなアプリが便利だと思われる。以下の記事によると,意外とiPhone標準のメールアプリが便利なのかもしれない。
そういうわけで,とりあえずiPhone標準の「メール」に,アカウントを追加して,「メール」で大学・個人用のメールを送受信できるようにした。
メモアプリ(アウトライナー)
いままで,アイディアやToDoなどは,手帳に手書きしていた。
手書きすることは,嫌いではない。ただし,手帳をいちいち取り出したり,持ち運んだりするのは,意外と面倒だった。書きだすのに(わずかでも)ラグがあるし,物理的なスペースもとる。
ところで,最近の手帳のメモは,箇条書き形式(アウトライン形式)で書くことが多くなっていた。こうやって書いたほうが,思考を整理できる感じがしていたからだ。研究者の多くは,講義など一般向けの講演において,よく箇条書きの形式をとる。そういう講義は,だいたいの場合聴きやすく,無駄がない。海外の研究者は,講義のみならず,学会発表でも,この形式をとることがある。
以上のことから,手帳へのメモ代わりに,アウトライナー(Workflowy)を導入することにした。Workflowyについては,前々から気になっていたアウトライナーで,PC上でちょっと使ってみたことはあった。シンプルで使いやすいので,スマホでも使っていけそうな気がしている。少しずつ,こちらに移行してみる。
ファイナンス系のアプリ
お金のやりとりについても,スマホをつかうと飛躍的に便利になる。最近では,メガバンクが経費削減を目的として,ネットバンキングに力を入れ始めた。
PCでできるとはいえ,PCのブラウザで,ネットバンキングで取引するには,結構手間がかかる。メールチェックと一緒で,スマホでやった方が効率がいい。
すでに,いくつかの銀行とカードのアプリを使ってきた。生体認証があれば,ログイン・取引が簡単にできる。今後も,最大限活用して,ムダな時間を削っていく。
まとめ:iPhoneと賢く付き合っていく
スマホとは本来,人間の生活を便利にする文明の利器であるはずだ。うまく付き合えば,生産性を飛躍的に高め,時間を生み出してくれるに違いない。スマホを世に送り出したスティーブ・ジョブズが,「コンピュータは知的生産性を高める自転車のようなもの」と喩えたのは有名な話だ。
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iPhoneともっと賢く付き合って,生み出された時間を研究と趣味につかっていきたい。
(おわり)