大学入学を機に名古屋へ引っ越してきてから,はや3年が過ぎた.
鉄道旅を始めてからも2年近く経った.
18きっぷ旅を中心に,JRの東海道線・中央線には飽きるほど乗ってきたが・・・
実は名鉄線はあまり乗ったことがない.
(ケチなので,遠出するときはJRで通しのきっぷを買いたくなったり,
18きっぷを使いたかったりするのが理由...)
18きっぷシーズンではない9月中旬だからこそ,名鉄に乗るチャンス!
ということで,最寄りの金山から豊橋駅まで,名鉄の花形特急「パノラマsuper」の展望席に乗って来た.
JRとはひと味違う,名鉄特急乗車の記録.
パノラマsuper展望席の旅
この記事は名鉄パノラマsuperの乗車記.
夜中に名古屋を出発して,豊橋まで移動した1日目のお話.
鉄道旅自体は,豊橋から2日間かけて続けた.
(2日目以降は次の記事にて紹介予定)
プロローグ~旅は現実逃避
4連休2日目の日曜日.
下宿にこもって過ごした1日のおわりに,
近所のハンバーグ屋さんへ出かけた.
肉汁たっぷりのハンバーグを食べた.
そのあと家まで10分ほど,涼しい秋の風を浴びながらぼーっと歩いていると...
そういえば明日も明後日も休みだと気付く.
すると頭の中で,自分が電車に乗って車窓を眺めている映像が流れ始めた.歩いていると思考が活性化されるというが・・あらぬ方向へと思考が進んだようだ.僕の身体は,日常からよほど逃避したいのだろう.
こういう身体の内側からあふれ出てくる欲求は,逃してはならない.
20時半.下宿のカギをあけて,部屋に入り,荷物を詰めながらどこへ行くか考え始めた.
大学3年間ですっかり旅慣れたおかげで?荷物はすぐに詰め終わった.自転車旅のように綿密な荷物のチョイスは必要ない.
金山駅から名鉄線に乗車
行先が決まるよりも荷物を詰め終わる方が早かった.
なので,JR・名鉄の乗り入れ駅である金山まで移動しながら,行先を考えた.ゴトゴト揺れる地下鉄の車両.コロナ対策で開け放ってある窓から,鉄分を含んだ埃っぽい風が吹き込んでくる.
金山に着いた頃,とりあえず行先は
「東の方(ただし首都圏には入らない)」ということに決めた.
もう21時なので,今からそう遠くへ行くことはできない.新幹線を使ってもいいけど,そんなに急ぐ必要はないので,とりあえず今日は豊橋くらいまで行くこととした.
さて,金山から豊橋までは,JRと名鉄が並行して走っている.どっちに乗るか.この区間,いつもはJRに乗りまくっている.でも,今日は18きっぷ期間ではないし,わざわざ乗りなれているJRに乗るのもつまらない.今日くらいは名鉄に乗ってみよう.
前回ちゃんと名古屋本線に乗ったのは,2019年の冬だ.もうそんなに乗ってないのか.このときは,自転車でたっぷり走ってから,輪行で乗った(疲れて途中はほとんど寝てたから,「乗った」とは言い難い...(笑)).
この区間は,両会社線が(かつて)しのぎを削っていたライバル区間.格安切符が多数発売されていて,名古屋・金山⇔豊橋間は,ほかの区間よりも格安に移動することができるようになっている.
でも,今日はわざわざ格安切符を買い求める気分ではなかったし,
もう夜遅いので,さっさと通常運賃で乗ることとした.
ちなみに金山→豊橋間の通常運賃は,以下の通り.名鉄の方が30円安い.
名鉄:1140円
JR:1170円
ただし,所要時間はJRの方が多少短い.列車によってはほとんど変わらないこともある.
なので,旅行者は好きな方に乗ればいいと思う.
【JRと名鉄の格安切符比較についてはこちら】
パノラマsuperのきっぷを買う
金山駅は,JR・名鉄・地下鉄が乗り入れる,名古屋駅に次ぐターミナル駅.
名鉄名古屋本線のホーム2面4線が,JR東海道本線と中央本線のホーム(それぞれ1面2線)に挟まれるように設置されている.
夕方ラッシュ時間帯は猛烈な混雑を見せる金山駅だが・・・
さすがに週末21時過ぎともなると,人は少ない.
駅員さんによる手動放送が,ホームによく響いている.
*
改札横にある券売機で,乗車券を買う.あと,せっかく夜中で空いているので,パノラマsuperに乗ることにした.乗車券と併せて,列車を選んでミューチケット(360円)を買う.
列車によっては,特別車はあっても展望席が付いていない場合がある.展望席のついている列車は,座席の選択画面で「展望席」という項目がある.この項目がある列車をしっかり選んで,購入.
展望席(パノラマsuper)がついているのは,名古屋から東・南へ向かう方向(つまり,豊橋・内海など)の先頭車だ.岐阜や犬山へ向かう列車の場合,展望車は最後尾になるので注意(昔は岐阜方にパノラマカーが連結されることもあったのかな_?よくわからない).
夜の金山駅
豊橋方面の優等列車は,主に4番線から発車する.
JRとは異なり,種別や行き先が多岐に渡る.
そのため,ホームにいて列車の発着を眺めるだけでも楽しい.
これが名鉄のいいところだ.
先発の快特・豊橋行がやってきた.この列車には展望席がついていたけど,券売機では展望席が選択できなかった気がする・・・もしかして夜遅いから発売してなかったのかな?
「快特」は快速特急(Rapid Ltd. Exp.)の略.名鉄電車の中では,ミュースカイを除いて最速達種別.
特急よりも速いなんて,すごい速そうに聞こえるけど
名古屋→豊橋間はJRの新快速の方が速いはず.
まあ,快特と特急の違いなんて,停車駅1つか2つくらいのものだろうし,そもそも名鉄側としても停車駅の差別化を図るために列車種別を作っているだけだろう.だから,快特がめちゃくちゃ速くなければならない理由もないし,逆に準急が遅く走るというわけでもない.あくまでも停車駅が多いか,少ないか.
名古屋本線特急・豊橋行
快特出発後,15分ほど待ってからやってきた
22:07発 特急 豊橋行に乗車.
(唐突な出発で一眼レフが充電できていなかったため,写真が適当です,,,)
特別車がついている特急列車は,特別車の位置が案内板によって案内される.名鉄は特別車のことを,英語で ” first class “と案内している.これって他社線にはない独特な表現ではないだろうか.JRのグリーン車は,普通に ” Green car “と呼ばれている.
今回はパノラマsuperの展望座席なので,1号車.
360円の豪華な座席
乗り込むとすぐにドアが閉まって出発.
神宮前までの複々線をゆっくりと走り出す.
1号車の階段を上っていくと,前面の広くて大きい窓に向かって,ゆるやかに傾斜がかかった形で座席が配置されている.後ろの人でも前面展望が楽しめるように,このような配置になっているのだろう.
この日は進行方向左側最前列に,親子連れが1組.
前から2列目に,母子と思しきもう一組の親子連れ.
そして自分の座席は,進行方向右側最前列.1D席.
座席はリクライニングができて,最前列座席前側には小さなテーブルもあった.
一般車の座席とは,それなりの差別化が図られていて素晴らしい.これで360円は安いと思う.
JRの特急列車ほどではないけれど,座るとちょっとふかふかしているというか,厚みがあっていい.ヘッドレストは上に上げることもできた.
夜の前面展望をじっくり味わう
座席ももちろん一般車より優れている.でも,パノラマsuperの最前列といえば,やっぱり前面展望.
今日は思いつきで夜中に飛び乗ったから,昼間ほどの景色は望めない.
けれど,夜中の景色は昼よりも速く流れていくような気がして,これはこれで楽しい.
信号機や駅の明かりたちは,現れたと思ったらすぐに流れ去っていく.
高架区間では,遠くの町の夜景がよく見える.動く夜景展望台といったところだろうか.
次々に流れ去っていくのが,普通に夜景を眺めるのとは違うところで,これこそ鉄道旅の醍醐味といえるのではないか.
名鉄線の面白さ
JRと並行している名古屋本線.実際に乗ってみると,同じ区間でも乗り心地はかなり異なる.
名鉄名古屋本線の最高速度は120km/h.夜間はあまり列車が多くないのか,ダイヤに余裕があるのか,今回の乗車では120km/hまでは出さなかった.
それでも,110km/h程度出していると,名鉄特急はかなりのスピード感がある.JR東海道線の新快速だと120km/hでも,車窓を眺めていない限りはあまりスピード感は感じられない.
これは,おそらく線形と車両に理由があるのではないかな~と思う.
名鉄名古屋本線を前面からじっくり眺めて気づくのは,「カーブ・勾配が多い」ということ.あくまでも個人の感想ではあるが,カーブ手前や勾配で頻繁に加減速を強いられていた.パノラマカーだと,運転席がすぐ真下にあるため,運転士の喚呼が聞こえてくる.「シンコーッ」「制限○○」といった喚呼の回数が多い.これはたぶん,制限や信号機が頻繁にあって,それだけ加減速が必要な線形になっているということだと思う.
また,1200系や2200系など,名鉄特急の車両性能自体が,JRの313系ほどは高くないのかもしれない.というか,313系の乗り心地が良すぎるのだともいえる.110km/h出せばこのくらいは揺れても当然かなーと考えれば,別に名鉄特急は普通の乗り心地だといえる.
一方のJR東海道本線,国鉄時代からの幹線,かつJR東海が管轄する在来線の中心路線.名鉄というライバル線も抱えているため,保線状況や線形のすばらしさには目を見張るものがある.313系の前面に張り付いてみると,まーっすぐに延びた線路を,定速運転機能を使って120km/hですいすい走るようすがわかる.313系は言わずと知れたJR東海の高性能車両で,乗り心地改善のために多くの工夫がなされている(18きっぷ旅で普通列車を乗り継いでいくと,313系の乗り心地がバツグンに良いことに気づく).
そんなJRに乗りなれているからこそ,名鉄の名古屋本線は面白い.
夜中であることも相まって,ジェットコースターに乗っているかのような気分だった.
肩身の狭い?豊橋駅に到着
金山から50分ほどで,終点の豊橋に到着.
豊橋の手前で飯田線との共用区間を走行し,JRホームの間に肩身が狭そうにならぶ線路へ入線する.
ホームに入ると,すぐに折り返しの準備.
1200系パノラマカーが「急行 名古屋」の行先表示をするのは,初めて見た.
名鉄名古屋本線の終点ではあるものの,「JRの駅に乗り入れている」ような状態らしい.
駅での案内は「名鉄線」だし,コンコース案内板の行先は「名鉄名古屋」と表示されている.
豊橋を牛耳るJR様には逆らえない,名鉄なのであった・・.
まとめ:格安切符がオトク
今回は,パノラマsuperに乗車した.
通常運賃で乗車したけど,乗車券は金券ショップなどで回数券や往復きっぷのばら売りを買う方が安い.片道900円未満で手に入る.
それにプラスしてミューチケットを買えば,ほとんど通常運賃と同じ値段で特別車に乗ることができる.なので,時間に余裕があるときや,金券ショップが開いている時間帯に乗るときには,事前に格安乗車券を仕入れて乗るのがオススメ.
*
今回は,夜な夜な飛び出した現実逃避旅ということで
翌日(敬老の日)・翌々日(秋分の日)を使って,ぶらぶら無計画に鉄道旅をしてきた.
明日はどこに行こうか・・・決めきれないまま,
豊橋駅近くの格安ビジネスホテルで眠りにつくのであった...
(次回記事へ続く)