【東海道本線】普通列車で駿州の大都会・静岡へ【秋の現実逃避旅②】

日曜の夜に唐突に始めた鉄道旅.

翌朝から,本格的な旅のスタート.

まずは豊橋から,東海道線・身延線・小海線経由で小諸までのきっぷを買い,

東海道線の普通列車に揺られて静岡へ向かう.

東海道線|豊橋→浜松→静岡

名鉄パノラマsuperで,夜な夜なやってきた豊橋のホテル.

チェックインを済ませ,エレベータに乗って部屋へ向かう.

あれ,また角部屋だ.ビジネスホテルに泊まると,なぜか角部屋に当たることが多い.

部屋に入ると,日焼けした壁と広くないユニットバス.どこか昭和の香りを感じる.カーテンの向こうから,橙色の照明に照らされた東海道本線の鉄路が見える.

白いベッドにナイトウェアを着て大の字になる.明日はどこへ行こう.

首都圏まではいかないで,東の方の乗ったことがない路線に乗りたい.

ぱっと思いついたのは飯田線だが,大雨被害で寸断されている.今は全線乗破はできない(9/28に全線で運転再開されるそうだ).

あと,乗ったことがないのは・・・身延線だ.豊橋からちょうどいい距離にあるし,そうだ,身延線に乗りにいくこととしよう.身延線は甲府まで.あとは...甲府から中央線で塩尻の方まで行くこともできるけど,ただ中央線に乗るのは面白くない.だから,小淵沢から延びる小海線で小諸まで行こう.

これで行先が決まった.一眼レフのバッテリーを充電器にセット.

アラームを7時30分にセットして,持ってきた本を読んでから眠った.

豊橋駅を出発

翌朝.

ホテルでは無料の朝食がついていたので,もぐもぐ食べる.朝食会場には,家族連れとカップルが1組ずつ,ほかに仕事かなにかの独りの男性が数名.自分と同じひとり旅中と思しき方も,数名.

コロナがなければ,もうちょっと家族連れが多い時期なのだろうけど,こんな具合だった.

チェックアウトして,豊橋駅へ向かう.

路面電車の電停がある,東口の方から豊橋駅へ入る.

豊橋駅はコンコースが高架になっている.東口の方は,いたるところに入り口がある.

ひろーいコンコースの真ん中にある,JRの改札へ向かう.

改札に入る前にまずは,有人のきっぷ売り場へ.
身延線を含めた今日の分のきっぷを買う.

9月4連休3日目の朝.新幹線も停車する豊橋駅のきっぷ売り場だが,コロナの影響もあってかそこまで混んでいなかった.自分の前できっぷを買っていた人が,明るい駅員さんの挨拶を添えられたきっぷを受け取る.次は自分の番.

今日分の学割乗車券をお願いします.東海道線で静岡...静岡から身延線,甲府から小諸まで行きたいんですけど...と説明すると,駅員さんはダダダっとマルスへ入力を始めた.ただ,小諸までの経路が東京経由新幹線になっていたので,甲府→中央東線→小淵沢→小海線→小諸でお願いします,と時刻表の路線図ページを駅員さんと見ながら説明した.

学割証を書いて,学生証を見せながら手渡す.すぐに確認を終えて,「特急券は要りますか?」ときかれたので,静岡→甲府の身延線特急分の自由席特急券を出してもらった.これで今日分のきっぷが手に入った.

こういうきっぷの発券は,18きっぷ旅にはない.受け取ったつるつるのマルス券を眺めていると,これから1日じっくり鉄道旅ができるんだ~と無性にわくわくしてくる.数日分の有効期限をもつ,長距離の乗車も,この小さなマルス券ひとつでできてしまう.薄い水色に,黒い色で印字された,このマルス券が僕は好きだ.

自動改札に,真新しい乗車券を入れ,カチッと穴が開く.

自販機で水1本買ってから,ホームへ降りる.電光掲示板をパッと見ると,浜松方面の普通列車があと数分で出発するようだ.ちょうどいいタイミング!

普通 924M|豊橋→浜松

313系+211系の編成が,ホームに停車中.

924M
普通 浜松行
豊橋 8:41 = 浜松9:15 

浜松方に313系,豊橋方に211系を繋いでいる.

313系は「静シス」のV編成,ロングシート車だ.

名鉄線が並走する豊橋⇔岐阜,および岐阜から米原までの間を走る313系は,大垣車両区所属のクロスシート車だが,豊橋から先の静岡区間は静岡車両区ロングシート車が充当されている.313系ロングシートを見ると,静岡だなあ~と感じるのは僕だけではないはず.

先頭から座席の埋まり具合を見ていくと,最後尾の211系が一番空いていたので,211系に乗車.こちらは,中央西線でもおなじみのロングシート車.
豊橋⇔浜松区間は,特に競合となる路線がないため,昼間でもそれなりに混雑している.ただ,18きっぷ期間ではないため,長距離の旅行客はほとんどいないようす.浜松や静岡方面へお出かけする家族連れや学生と思しき人が多い.

ドアを閉めてから,独特の間を挟んで出発.この間は,JR東海特有のもの(ドア閉め後の安全確認).

車内はコロナ対策で,空調がガンガンに効いている.電車の車内とは思えないほど,風がびゅうびゅうと吹いている.昼間は暑いから半袖を着ているのだけれど,9月中旬の朝は涼しい.なのにこれだけ風が吹いている車内,ちょっと肌寒さを感じた.

東海道線,この区間は駅間が長く,線形もいい.

最高速度は110km/hだが,十分スピードを感じられる走り.

出発・到着時には前後にガタガタと揺れて,
乗り心地がいいとはいえない211系だが・・・

高速域では安定して走る.クハ車のジョイント音を堪能.

下り線を,EF210にけん引されたコンテナ貨車が通過していく.日本の大動脈である東海道本線は,日中でもお構いなしに貨物列車が走る.

豊橋⇔浜松区間の見どころといえば,浜名湖だ.

東海道新幹線N700系が,軽やかな風切り音を響かせながら,さっそうと橋を渡っていく.こちら普通列車も,負けじと浜名湖の橋を渡る.

2019年12月撮影

浜名湖は,車内からぼんやり眺める分には海のように見える.

水がたっぷりあって,風によって波が立っているからだ.

今日は雲がそれなりにある.ときどき顔を見せる太陽に照らされ,浜名湖は鈍く光っている.

浜名湖を渡り,弁天島を過ぎると,工場などが見える.

舞阪と高塚でも乗降がそれなりにあった.この区間は完全に地域の足として定着しているようだ.

小学生くらいの子どもたちと,お母さんのグループが乗って来た.話を聞いていると,これから遠鉄に乗りに行くらしい.遠鉄は,たしか浜松から延びる私鉄路線.もちろん自分は乗ったことがない.静岡には,ほかにも天竜浜名湖鉄道大井川鐵道静岡鉄道など,それなりに規模がある私鉄の路線が,JRの各駅から延びている.また時間をつくって乗りに行きたい.

普通 5754M|浜松→静岡

豊橋から40分弱の乗車で浜松に到着.

18きっぷ旅などでは,のりかえでお世話になる駅.東海道線普通列車は,ほとんどの列車がこの浜松を起終点としている.多くはないが,浜松を超えて豊橋,掛川に直通する列車もある.

浜松も新幹線ののりかえ駅.壁にはってあった乗換・出口の案内標識.古そうな雰囲気のフォントが使われているところに,東海道線の歴史を感じる.

浜松からのりかえる列車は,静岡方面の興津ゆき.

5754M 
普通 興津行
浜松9:29 = 静岡10:41

終点の興津までは行かず,静岡で身延線直通の特急に乗り換える.その静岡までは1時間少々.

新幹線だと2駅(掛川・静岡)だが,在来線ではこの間大量に駅がある.その割に各駅の駅間が長く,また,それなりの規模がある街が続くため,日中は快速列車はほとんどない(朝夕はホームライナーが運転される).長距離乗る人は新幹線使ってね~ということだろう.この区間,新幹線は特急券がちょっとだけ安く乗ることができる.ホームライナーの話と併せて,詳しくは以下の記事,参照してください.

トイレがついてない上にロングシート.近距離の利用客で慢性的に混雑しているため,退屈で,快適とも言い難い区間といわれる静岡区間.僕も初めて18きっぷで静岡区間を乗りとおした時は,お世辞にも面白い区間とは思えなかった.

しかし,鉄道旅を繰り返していくと,別に静岡区間が「地獄」でもなんでもないと気付く.電車に揺られて非日常の空気を吸うだけで十分.そのような非日常の空気は,「ぼーっとする」ための貴重な時間・空間なのだ.

そういうわけで,静岡までの1時間は,本を読んだり,
向かい側の車窓を眺めたりして過ごした.

今回持って行った本のひとつは,この間名駅の三省堂書店で買った本.

京大名誉教授で歌人の永田先生という方が書かれている.

新潮新書のコーナーに並んでいる本のなかで,面白そうだったから買った本.

「悲しい」「うれしい」という形容詞は,その場の状況をディジタル化(離散化)している.この主張は心に刺さった.このような形容詞を使わずに,主体の感情を伝えられるようになりたいなーと思った.

藤枝あたりから,静岡へ向かう多くの乗客を乗せて,静岡に定刻通り到着.

静岡で乗務員が交代,純白の夏服がかっこいい

これから静岡で遊ぶんだろうなーという若い人が,続々と列車から降りていく.

静岡駅周辺を散歩

さて,静岡で乗り換える「特急ふじかわ号」の発車まで時間がある.

駅にいてもつまらないので,一度改札を出て,駅周辺をぶらぶら歩いてみた.

静岡駅は通過したことはあるけれど,降りたのは初めて.

駅前では徳川家康公がお出迎え.

駅前にはでっかい道路があって,多くの車が行き交っている.

名古屋と同じで,静岡も車社会なんだなーと思いながら,地下道で駿府城方面へ歩く.

静岡市役所・葵区役所が見えてきたところで,右に曲がって静岡県庁.県庁は,駿府城の外濠の内側にある.県庁の横をすり抜けるように歩いていくと,駿府城公園が現れる.

天守閣があれば登ってみたかったけど,どうやら駿府城の天守は跡が残っているのみらしい.たっぷり時間があるわけではないので,今回は内濠の外から眺めるのみ.

巽櫓,東御門と現代の役所のコラボレーションを写真に収める.

お城のすぐ横には小学校,中学校があった.こんなところにある学校に通うと,駿府城下で育ちました,なんてアイデンティティが生まれたりするのだろうか.

県警横は,広大なスペースが工事用の柵で覆われていた.

かつて小学校があったらしく,校門がひっそりと残されていた.

静岡市立青葉小学校,今現在は城内小学校とともに合併され,静岡市立葵小学校となっているそうだ.葵小学校も駿府城のすぐそばにあるみたい.

城の周りを歩き終えて,静岡駅に戻る途中,静岡鉄道新静岡駅にも寄ってみた.

セノバというショッピングモールの奥に駅があって,雰囲気は僕の地元・松山の伊予鉄道松山市駅に似ている.伊予鉄道と違うのは,郊外のアーバン路線なのに優等列車があること.あまり規模は大きくない路線にも関わらず,「急行」や「通勤急行」を走らせている.大都市の区間輸送を担う路線であり,かつ高頻度運転を行う「都市型ダイヤ」だからこそ,できることなのだろう.

参考:松山駅と松山市駅の違い?~JRより民鉄駅が栄えた県庁所在地~

新静岡駅から出てくる静鉄バス.銀色のボディがかっこよくて,思わず写真に撮った.

名古屋市バスとは違い,運転士さんは帽子をかぶっていなかった.名古屋市バスに乗りなれた身としては,運転士さんの髪が見えるのは新鮮だった.

まとめ:静岡からふじかわ号に乗る

駅周辺散歩を終えて,静岡駅に戻った.

静岡駅からは,身延線に直通する「特急ふじかわ号」に乗車する.

長くなったので,ふじかわ号の乗車記は次の記事にてどうぞ.

静岡の駅前は意外と都会だった.

記事中で話題に出した,静岡鉄道や遠州鉄道は,また静岡に来たら乗りに行ってみたい.

旅の写真はPENTAX K30DA18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

でお送りしました.

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