九州新幹線さくら号ゆったり指定席乗車記|新大阪→鹿児島中央【2019春九州自転車旅①】

九州新幹線N700系の指定席は,東海道山陽新幹線よりも豪華.

という事実は,意外と知られていない.

九州新幹線に直通する「さくら」「みずほ」の指定席は,2×2配列で自由席より豪華な座席である.一方,「のぞみ」「ひかり」「こだま」の指定席は,自由席と同じ座席だ.

したがって,関西⇔九州方面の移動は,九州新幹線N700系の指定席が断然オススメなのだ.

今回は名古屋から新大阪経由で,鹿児島までの乗車記を紹介する.

名古屋→新大阪:こだま695号自由席

今回は,九州・鹿児島をスタート地点とする「九州縦断自転車旅」へと向かうために,「さくら」号を利用する.自転車という荷物はあるが,九州・鹿児島までの旅路はふつうの鉄道旅行と同じだ.

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「さくら」に乗るためには,まずは名古屋を脱出して新大阪以西へ向かわなければならない.眠い目をこすり自宅から最寄り駅まで自転車を走らせる.到着後すぐに輪行(注)準備をする.今日は長距離輪行だから,時間はかかってもしっかり輪行装備にしておく.

(注: 輪行=自転車を専用の袋に入れること)

まずはこだまで新大阪へ

最寄り駅から名古屋駅までは在来線にて移動する.そのあと,名古屋駅で在来線から新幹線にのりかえる.

新幹線のホームに上ると,人でいっぱいだ.今日は週末,特に東京方面には,多くの乗客が列を作って待っている.そこへ,ひっきりなしにN700系がやってきては,彼らを乗せて出発していく.

そんな東京方面の新幹線を見送りつつ,私が乗車するのは,

こだま695号新大阪行きの自由席だ.新大阪までは自由席で行くことにした.

自由席特急券なら時間は自由だし,
自由席であればどの列車に乗ってもいい.

また,名古屋⇔新大阪間はのぞみもこだまもそんなに所要時間が変わらないので,混雑を回避するためできるだけ「ひかり」「こだま」に乗るようにしている.

このことについては別記事を参照されたい.

参考: のぞみにはない魅力を求めて|名古屋始発「ひかり491号」自由席乗車記|名古屋→岡山

到着したこだま694号は,静岡始発の「こだま」だ.ここ名古屋で多くの乗客が降りていった.おそらく朝早い便のため,静岡→名古屋間の移動に多く利用されている.

出発が近づくと,いつの間にか車内には結構な乗客が乗り込んできていた.それなりに座席が埋まっている.こだまなのに,予想以上の乗車率だ・・

そんなことを思っていると,列車のドアが閉まって静かに出発.朝の東海道の車窓を楽しんだ.進行方向右側の伊吹山など,東海道新幹線名古屋⇔新大阪間でも車窓の見どころはある.

関連記事: 久しぶりの乗車・・・東海道新幹線と8600系しおかぜでのんびり帰省

さて,京都以東から九州方面へ新幹線で行くためには,最低でも1回の新幹線乗継が必要となる.今回は,

名古屋→新大阪: N700系こだま(自由席)
新大阪→鹿児島中央: N700系さくら(指定席)

という乗継で鹿児島へ向かう.

新大阪→博多はさくら号がおすすめ

「九州へ新幹線で向かうなら,博多駅のりかえの方がいいんじゃない?」

そう思う方もいるかもしれない.しかし,今日はあえて新大阪でこだまを降りて九州新幹線に乗り換える.

博多ではなく,新大阪から九州新幹線を乗り通すメリットは2つ考えられる.

  1. 山陽区間「のぞみ」の混雑を避けられる
  2. 指定席が2×2のゆとりある配置で快適

まず,新大阪から九州行きの新幹線に乗り換えることで,のぞみの混雑を避けられる.

東海道から山陽新幹線に直通する「のぞみ」は,1編成が16両あり長いが,博多止まりだ.山陽新幹線の主たる乗客は京阪神~山陽地区の移動をしたい乗客であり,博多から先も乗車する場合は,そのような山陽地区乗降の乗客との競合となる.列車によっては岡山・広島までかなり混雑するので,のぞみに乗って混雑の中博多まで行くことになる可能性が高い.

次に,九州新幹線「さくら」「みずほ」は,指定席が「2×2」のシート配列になっており,東海道新幹線のN700よりもゆとりある座席に座ることができる.

これは,新大阪から九州新幹線へ直通する列車(「さくら」や「みずほ」)は,東海道・山陽新幹線のN700系と別の車両で運行されるためだ.九州新幹線へ直通する列車には,JR西あるいは九州が所有するN700系S・R編成(8両編成)が割り当てられる。編成数が少ないが,指定席と自由席に差別化が図られているのが特徴.

以上の理由から,関西以東から九州方面へ行くなら,「のぞみ・博多のりかえ」よりも「さくら・新大阪のりかえ」の方が便利で快適というわけだ.

【追記: 2021/12/13】

「さくら」に限らず,700系E編成(レールスター)や500系の指定席も2×2の座席配置となっている.すなわち,「N700系16両編成の列車」以外の指定席であれば,2×2の座席を利用できる。

参考: 【サルーンシート】700系レールスター「こだま」でゆく山陽路

新大阪のりかえ

さて,名古屋から乗車したこだま号は,およそ1時間で新大阪に到着した.

重たい自転車を担いで,一旦コンコースへ降りてトイレと買い出しを済ませる.お昼時をまたぐ(10:08発→14:09着)ので,お昼ごはんを買っておいた.新大阪駅は,ホーム下のコンコースに売店が多くあり,昼食の調達には困らない.

買い出しを終えたら,「さくら」が出発する20番線へと移動する.九州新幹線は主に新大阪駅の端のホーム,20-22番線から出発する.

新大阪→鹿児島中央:さくら551号指定席

予定より1本早いこだまに乗ったおかげで,新大阪では乗り換えまで数十分時間ができた.

先着している700系7000番台(ひかりレールスター)を眺める.

JR西日本は古い車両を大切に使うイメージがある.このひかりレールスターもそうだし,500系もまだまだ現役である.ついこの間までは山陽区間には0系や100系も,西日本カラーに塗装を変えて走っていた.僕が幼い頃のスター車両,レールスターと500系は末永く走ってもらいたい.

N700系7000番台(西日本車両)

700系レールスターが走り去ってすぐにN700系が入線してきた.この車両が,今回乗車する「さくら551号鹿児島中央ゆき」だ.入線時刻は9:55くらい.このあと,新大阪駅を10:08発で,鹿児島へ向かう.

九州新幹線へ直通するN700系の車体は,伝統的な陶磁器を思わせる「白藍色」が特徴だ.東海道・山陽新幹線のN700系とは違い,ボディにも塗装がなされているのが目を引く.

鹿児島中央からやってきたさくら号がそのまま折り返すので,車内清掃が終わるまでドアは開かない.指定席を予約したおかげで,自由席の列に並ぶ必要もない.ドアがあくまでしばらく車両を観察.

白藍色のボディには,引き締まった濃藍色の帯に,品格ある金色のラインが重ねられている.名古屋に住んでいるとこの車両は見かけないが,とても美しい.新幹線の中ではもっとも好きな車両の1つだ.

車両側面下側に番号が書いてある.この番号で九州車か西日本車かを見分けることができる.この車両はN700系7000番台だ.さくら・みずほの運用につく8両編成のN700系は、JR九州の車両とJR西日本の車両がある。JR西日本のN700系には7000番台の車番,JR九州には8000番台の車番が割り当てられている.今回はJR西日本のN700系というわけだ.

8000番台九州車では,カッコイイ車内メロディが聴ける.
参考:【JR】何度でも聴きたい,お気に入りの車内チャイム7選【音鉄】

10時を少し過ぎ,出発時刻の5分ほど前にドアが開いた.

7号車は車いす用の座席と多目的室・多目的トイレがあり,それにあわせてドアも幅が広くされている.

自転車という大荷物を抱えている僕にはありがたい.

デッキも広いので自転車も特に苦労することなく置けた.

幅広ゆったり指定席

さて,さんざんおすすめしてきたN700系8両編成の指定席がコチラ.

九州新幹線「さくら号」指定席

単にシート配列に余裕があるだけでなく,自由席よりも座席の造り自体も豪華で重厚だ.実際、座ってみると「これで普通車の指定席なのか」と思ってしまうくらいの重厚なホールド感がある.

リクライニングすると,背面が倒れるだけでなく座面も少し沈む.隣席との境目には,東海道新幹線よりも大きめのヘッドレストがある.

背面のホールド感抜群.

7号車は座席数も少なく,車内のゴチャゴチャ感もない.落ち着いている.

N700系7000/8000番台の指定席はオススメと散々聞いていたが,実際に乗って見るとその良さが身に染みてわかる.新大阪から博多まで,のぞみやひかりで行くよりもさくら・みずほで行った方が快適なのは間違いない.指定席なのに,グリーン車に乗っているのかと見紛うほどだ.

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さくら551号指定席の混雑具合

指定席の車内全体はこんな感じ.

さくら551の指定席を予約しようと決めたのは,乗車の1週間前.

1週間前の時点で指定席の残りは3席ほどだった.

週末の便だということもあってか,指定席の残りは少なかった.

乗車後は「指定席は満席」という旨の車内放送が繰り返し流されていた.

さくら号は本数が少なく,編成が短いため,1編成あたりの座席数も少ない.これが混雑の原因だと思われる.

ということで「さくら号」の指定席は早めの予約がオススメだ.

静かで快適な車内でくつろぐ・・・

混雑はしているものの,車内は静かだ.乗客はおのおの好きなようにくつろいでいる.音楽を聴く人,昼間から一杯やっている人,ぼんやり窓の外を眺める人,本を読む人・・・・あと,最近よく見かけるiPadでビデオを観賞する人.今日も7号車に1人見かけた.

九州新幹線は,ビジネス客がメインターゲットの東海道新幹線とは異なり,帰省や旅行客が中心のようだ.僕も,周りと同じように静かな車内でくつろぐ.

オススメ: 【終電乗車記】上り「こだま」最終列車で東海道新幹線弁当を食べる週末

これからの旅程をツーリングマップルで確認したり,Kindleで本を読んだり.

本に没頭していると,既に岡山・広島を過ぎ山陽区間の終盤に差し掛かっている.デッキに出てちょっと外の様子を撮影したのが,上の動画.

N700系のほれぼれするような加速…すばらしい音.

Kindleに飽きたら,おやつタイム.

バイト先でツーリング出発直前にもらった,北海道土産「バターサンド」.消費期限内には下宿に戻れそうになかったので,箱で九州まで持ってきた.コーヒーと一緒に.九州に向かう新幹線で、北海道土産を食べる.粋.

博多を過ぎて,九州区間に入る.車内はまだまだ乗客がたくさん.みんな熊本より向こうまで行くようだ.やはり九州新幹線は,博多以南の需要の方が大きい.

九州区間は,防音壁・トンネル区間が多く車窓はあまり楽しめなかった.だが,博多から鹿児島中央までは2時間かからずに到着してしまうので車窓を楽しむ間もなく,といった感じだ..

あっという間に熊本.

博多に次ぐ九州の大都市で,車内乗客の半数ほどが下車した.

初・鹿児島に到着!

そして定刻14:09.

新大阪から4時間1分で鹿児島中央に到着した.

「4時間」という乗車時間を長く感じさせない,快適な指定席の旅だった!

まとめ:新幹線で九州へ!

以上、さくら551号の乗車記録.2×2のゆったり指定席は本当に快適だった.鹿児島⇔大阪など,長距離での乗車なら,ぜひ指定席に乗ってみてほしい.

九州へのアクセスは飛行機が定番だったが,新幹線の方もずいぶん進歩している.最速達列車「みずほ」は新大阪⇔鹿児島中央をわずか3時間45分で結ぶ.

飛行機と新幹線のシェアが逆転する「4時間の壁」を悠々打ち破っている.

名古屋からでも,乗換時間を含めて6時間かからずに鹿児島まで行くことができた.もはや,鹿児島・熊本は新幹線でアクセスするのが当然の時代なのかもしれない.

オススメ: 北海道から名古屋へ新幹線で帰る|北海道フリーパスの旅(終)

参考記事

山陽・九州新幹線 みずほ・さくら・ひかり・こだま・つばめ:JRおでかけネット

東海道新幹線で混雑を避けるなら「ひかり」「こだま」をうまく活用したい.

「のぞみ」の乗車記もどうぞ.

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