滋賀から岐阜へ旧中山道サイクリング|愛知川宿→加納宿

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国道をずっと走るのもいいけど,交通量が多くて風情が少ない.

今回は,そんな国道と並行して走る旧街道を走った記録.

愛知宿から加納宿まで,旧中山道を(部分的にではあるが)走って来た.

旧街道には「一里塚」と呼ばれる,旅人の目印が等間隔で並んでいて,それを一つずつ巡るようにして走った.一里塚周辺には,かつての宿場町の風景が残っている箇所もあった.そのような宿場町をのんびり走れば,当時の旅人たちと同じような気分に浸ることができた.

全線を通して,交通量は少ない.
細々と,しかし確実に,東京へと続く壮大な「裏道ルート」のごく一部を走った記録.

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旧中山道サイクリング|栗東→岐阜

前日の午後から,国道1号線をひた走り,亀山までやってきた.

亀山からは輪行で草津・栗東へ移動.

翌日の行程はまったく考えていなかったが,栗東から名古屋方面へ帰ることだけは決まっている.どの道を通って帰るかを考えなければならない.

最近できたばかりのルートインホテルのふかふかベッドで,Googleマップを眺める.草津から岐阜方面へ抜けるルートとしては,国道8号→国道21号(関ケ原越え)が思いつく.が,このルートはすでに走破済み(→こちらの記事を参照:関ヶ原から薩摩カイコウズ街道で名古屋から彦根へ|春の西日本サイクリング1日目).

その国道8号から21号の横を見ると,「旧中山道」の文字を発見.西から東へ,その細い道を辿っていくと,どうやら岐阜駅前まで続いていくことがわかった.これは面白そうなルートを見つけた!ただ単に国道を走るのはつまらないし,国道に並行する旧中山道を走って岐阜まで行ってみることにしよう.

そんなわけで,前日の夜に走るのを決めた旧中山道サイクリング.
並行する国道とは対照的に,宿場町や路地裏を縫うように走る道.これぞまさに「旧街道」という雰囲気が残る,旧中山道の旅,スタート.

国道8号|栗東→愛知川宿

スタート地点は,琵琶湖の足元あたりに位置する栗東市.

旧中山道は,栗東からしばらく北東へ進んだ「愛知川宿」から走ることとする.

その愛知宿までは,北陸の大動脈「国道8号線」をひた走る.

 

今日のスタート地点.「8 560」とは,つまりこの地点が,国道8号線の始点から560km地点であることを指している.国道8号といえば,やっぱり北陸・新潟の大動脈というイメージだけど,滋賀県のこのあたりまで延びているとは知らなかった.写真でもわかる通り,結構な交通量がある.やっぱり一桁国道はすごいなあ.

すぐに野洲川を渡る.向こうに見えている綺麗な三角形の山は,三上山?というらしい.

野洲川を渡ると,国道8号から西側にかけて野洲市街地が広がっている.野洲というと,新快速の停車駅&一部の終着駅というイメージしかない…今度,18きっぷ旅のときに駅前を散策してみるのもいいかもしれない.

旧中山道が分岐する愛知宿までの国道8号線は,並走する東海道新幹線の存在感が圧倒的だ.

通勤電車のような間隔で,16両も連ねた長い編成が通過していく.地図でみるとわかるけど,ほんとにすぐ横を新幹線の高架が走っている区間もある.285km/hもは出てないと思われるけど,それでも十分速い.文明の力ってすごいなあと感動しながら,自分は新幹線の1/10くらいの速度でコツコツ走る.

野洲から近江八幡,安土を経て,愛知川に差し掛かる.琵琶湖周辺の平野ということで,ほとんど登り坂もなく,ひたすら平地を走る感じだった.途中,街と街の間には,大きな研究所・工場が点在していた(ロッテ,村田製作所などなど).名神高速や国道8号が並行しているから,輸送の面では利便性が高そうだ.

愛知宿までおよそ20km少々.1時間10分くらいで走った.飛ばしすぎず,いいペースで走れている.

愛知川を渡るとき,東側に近江鉄道の橋梁が見えた.

愛知川宿から旧中山道ルートへ

愛知川を渡り終えて,さらに国道8号を走ると,写真のようなわかりやすい分岐が現れた.「中山道 愛知川宿」と書かれている.交差点の名前は「不飲橋(のまずばし)」.詳しい由来は知らないけれど,なんだか昔からありそうな地名だ(不破関とか).

ここで上に着ていたモンベルのレインウェアを脱いだ.今日も天気がよく,10時を過ぎていて陽は高い.

旧中山道へ入ると,一気に「旧街道」の雰囲気.

瓦屋根の年季が入った建物,1.5車線の道,○○商店,旅館,神社,石碑が立ち並ぶ.

これぞ旧街道といった風景だ.

 

江戸から終点の京(京都)まで,旧街道には等間隔で宿場が並んでいたらしい.現在も,街道沿いの一部には宿場町の名残が残っているが,それ以外の箇所ではふつうの裏道といった感じ.宿場町→裏道→宿場町…といった風景が繰り返されながら,東へと歩みを進めていく形となる.

そして,旧街道は国道より交通量が少ないので,走りやすい.ところどころクランクのようなカーブがあるのも,古い道らしくて良い.自分と同じように,国道を回避して中山道の方を走っているサイクリストの方々と何度かすれ違った.

まっすぐに伸びる旧中山道をひた走り1時間弱.高宮宿を通り過ぎ,彦根市街付近まで来たところで休憩.栗東のスタート地点から34㎞.琵琶湖からそそぐ芹川という川のそばにあるセブンイレブン.

補給には肉まんを食べた.久しぶりに肉まん買ったけど,ひとつ130円もするのに驚いた...僕が小学生くらいの時は1コ100円だったのに.しかも,100円時代よりも一回り小さくなっている…ちょっと悲しい.

摺針峠,名神高速

コンビニを出て,再び旧中山道を北東へ.

下りの新幹線に乗っていると,右手に見える「フジテック」のエレベータあたりで,国道21号に一瞬合流.そしてすぐに,旧中山道は脇道へそれる.ここの脇道は地図ではわかりづらいが,写真のような石碑が立っている.

石碑に書いている字はほとんど読めないが,「峠」という字ははっきりわかる.そう,ここから旧中山道は峠道へと入っていく.峠の名前は「摺針峠」というらしい.

ただ,峠といってもそんなにキツイものではなかった.距離は1.0kmほど,斜度も緩めの坂が続く.完全に1車線の山道で,昔の人は大変だったろうな~と思いながら,ゆるゆると登る.

この1車線の山道を上り終え,少し下ると,正面に名神高速が現れる.

旧中山道 摺針峠

今日の最高地点は,ここから少し先,名神高速をオーバーパスするあたり.標高は200mほど.ちなみにあとで越えていく今須峠と同じくらいの標高.

高規格な名神高速とは対照的に,小さい石碑と一車線の道路が,いかにも旧街道らしくてよい.これが未舗装だったら完璧なんだけど,さすがに舗装はされている.

名神をオーバーパスしたら,番場の方へ下る.名神高速の側道になっているようなところで,徒歩で散策しておられる方とすれ違った.旧街道では,こうやって歩いて散策している人もいるので,狭い道であんまり飛ばしすぎないように注意すべし!

名神高速と並行する,山がちな区間を抜けると,河南地区.米原市街地の東にあり,宿場町ではないが古めの町並みを残していた.

今日のハイライト・醒ヶ井宿

河南地区を抜け,国道21号と旧街道を行ったり来たりしていると,醒ヶ井宿にたどり着く.

醒ヶ井は,水が有名らしい.地区を流れる小川の透明度を見てびっくりした.川の底までくっきりとみることができる,せせらぎも美しい.ちょっと自転車を降りて,街並みを眺めながら歩く.

お腹空いたし,ちょっと食べれるようなものはないかなーと思っていると,

雰囲気の良さそうなお店を発見.ヤマキ醤油さん.

お店の前にはサイクルラックが設置されている.米原エリアはビワイチのスタート地点として,サイクリストの誘致に力を入れているようで.この醒ヶ井地区も,風光明媚な宿場町が残るエリアとして,いくつもあるルートの一つとして組み入れられている.

引き戸を開けてお店に入り,さっそく「しょうゆソフトクリーム」を注文.350円也.

川のせせらぎが聞こえる,窓のそばに腰を下ろしていただく.

小豆島で食べたしょうゆソフトもおいしかったけれど,こちら醒ヶ井のしょうゆソフトも美味.しょうゆの味が濃い目だけれど,ソフトクリームもいいものを使っているっぽい.しょっぱ甘い感じはクセになる.

お店には,ヤマキの醤油やお味噌が並んでいて,とってもとっても買って帰りたかったけれど,今回は自転車で積載能力が皆無なので...泣く泣く買わずに店を出た.今度はJR東海道線で来て,徒歩で散策しながら,このヤマキの醤油を買って帰ろうと思う.

醒ヶ井宿は,今回走った宿場町の中でも,一番風情があって素晴らしかった.自転車もいいけど,徒歩でじっくり街道の雰囲気を味わうのがよさそう.さっきも書いたけど,今度はJR東海道線に乗って,醒ヶ井駅から散策しに来てみたい.

今須峠と関ヶ原

柏原→関ヶ原間|沿道はのどかな田園風景が広がる

醒ヶ井宿から,柏原を通り抜け,国道21号へ合流.

関ヶ原への登り坂の途中で脇道へ入ると,すぐに「今須峠」にたどり着く.摺針峠と同じくらいの標高だが,国道21号の登坂よりはゆるい.というか,ほとんど上らずに,関ヶ原市街への下りに入る.

東海道本線の立派な複線の脇をすり抜けるようにして走って行く.国道21号線がはるか上に見える.こうやってみると,国道がいかに高いところまで上っているかがわかる.今度から,関ヶ原を超えるときは旧中山道を走ろう.

関ヶ原市街の手前では,不破関が旧中山道沿いにあった.
歴史には疎いが,どうやら壬申の乱くらいの時代のものらしい.

不破関

関ヶ原市街の北部には,天下分け目の関ヶ原古戦場もある.せっかく来たから寄ってもよかったけど,もうちょっと関ヶ原の戦について勉強してから来た方が楽しいと思うので,今回はスルー.旧中山道をそのまま走って行く.

関ヶ原から垂井までの間は,これまでと比較してずいぶんと都会になってくる.

垂井宿,赤坂宿

垂井宿は,道の両側にずらっと商店が並ぶような雰囲気だった.

今でもそれなりに活気がありそうな?雰囲気を残している垂井宿の終点には,このような石碑と地図がある.赤坂方面へは,引き続き旧中山道を進めばよい.

ここから追分を右へ進むと,美濃路へ入る.

美濃路は,中山道から分岐する名古屋方面への路.

追分には,今でも小さな石碑があった.

追分.右手は美濃路,左手は引き続き中山道

垂井までずっと,JR東海道本線と並行する形で伸びてきたが,

この追分より先,赤坂方面~加納宿(岐阜駅)までは,JR東海道本線と離れたところを進む.

垂井から赤坂までは,住宅街の中を走って行くような感じ.現代の建物も多い.

 

赤坂の地区を走っていると現れる,何やら古びた踏切.ここは,東海道本線赤坂支線・赤坂本町駅の跡地.跡地といっても,駅舎などは残っておらず,石碑のみがぽつんと立っている.現在,赤坂支線は,ここから少し南へ行ったところが終点の美濃赤坂となっている.

西濃鉄道の踏切

じゃあ終点から先にあるこの踏切と線路は,いったい何のためにあるのか?というと…この線路は「西濃鉄道」という会社が運行している石灰運搬用のもの.正式には西濃鉄道市橋線といい,美濃赤坂から終点の猿岩まで2.0kmの貨物専用線(この「西濃」は,カンガルー便で有名な「西濃運輸」とはまったく関係がないらしい).追分あたりで見えた,えらく削れた山で,石灰を砕石しているらしい.そこで採った石灰たちを,ホキ車に載せて名古屋港とかへ運んでいるようだ.

東海道線を走っているホキ車たちの一部は,ここからきているんだな~と思うと,興味深い.

さらに旧中山道を進むと,赤坂宿.ここには港があったらしく,その資料を残す会館が建っていた.

美江寺宿,河渡宿

赤坂宿を過ぎると,旧中山道沿道に旧街道の雰囲気は無くなってくる.

住宅街をクネクネと走りながら,旧中山道をなんとかトレースする.ここから加納宿までは,地図を見ながらトレースするのは難しいが,瑞穂市が設置してくれている旧街道の看板を頼りにしながら進んでゆく.

瑞穂市内には,旧中山道の看板が設置されている

揖斐川を渡ってしばらく走ると,久しぶりの宿場町に入る.

そして突き当りの場所に,美江寺宿.そばには美江神社がある.

美江寺宿からちょっと走ると,樽見鉄道と交差する.

ちょうど踏切がなって,1両編成の列車が通過していった.樽見鉄道は大垣から,揖斐川の支流・根尾川に沿ってひたすら北上して,樽見まで延びる非電化のローカル線.前にも書いたけど,岐阜・三重・滋賀エリアには,こういうローカル私鉄がいっぱいある.名古屋にいる間にちょっとずつ乗っておきたいな.

樽見鉄道線と交差

美江寺宿から4.7kmで河渡宿

住宅街の裏道のようなところをクネクネと走り抜けると,河渡宿.これまでの一里塚・宿場町とは違い,祠と石碑が建っているだけの小さな一里塚だった.

河渡宿の名前の通り,すぐそばに長良川がある.

揖斐川を渡って加納宿へ

今は大きな橋をさっと渡るだけで,対岸へ移ることができるけど…

昔は船などの渡しを使って,対岸へ渡っていたのだろう.

岐阜市側の鏡島地区には,川岸に「鏡島湊」という渡しの跡らしき説明書きがあった.

もうすでに岐阜市内に入っており,すっかり都会の住宅街が広がっているが,

一応,岐阜市内の加納宿まで旧中山道は続いている.

市内のまっすぐな道路とは異なり,ゆるやかにカーブしたり,道が変に狭かったり.沿道はすっかり現代的だけれど,道の具合だけが旧街道の雰囲気を残していた.

岐阜駅前から南へ延びる道路との交差点に,「加納宿」の看板を発見.

ここからさらに東へ走ってみると,加納宿の要所要所に石碑のようなものが建っていた.ただ,建物自体はもう残っていないようだった.

最後は「加納城大手門跡」にてFinish.

中山道はここから先も細々と続いているみたいだが,今日はここら辺で終わりにしよう.

最後に岐阜駅前の織田信長さんに挨拶をしておしまい.

栗東からちょうど100kmくらい走った.

陽は傾き,肌寒くなってきている.

上着を羽織って,輪行準備をして,東海道線で名古屋に帰った.

織田信長像.よく見るとマスクを着けている

まとめ:細々と,しかし確実に延びる道.

旧街道自体は,「裏道」や「住宅街の道」にも見える.

しかし,ずっと走って行くと,ほとんど途切れずに続いていることがわかる.

現代の道よりはずいぶん細い道だけれども,しかし確実に東京へ続いている.

「すごく長い裏道」のような旧街道,各所にある宿場町や一里塚をめぐりながらトレースするのは楽しかった.

今度は醒ヶ井あたりを歩いてじっくり散策してみたい.

走行ルート

GPSログは以下の通り.

岐阜駅前(加納宿)まで走ってギリギリ100kmあるかないかくらいの距離だった.

途中の摺針峠を除いては,急な坂はほとんどない(この峠も米原市街地へ迂回すれば回避可能?).関ヶ原の上りも,国道21号ほどキツくない.岐阜市街地を除いては,国道より交通量が少ないため,気楽に走れた.

旧中山道を「裏道」のように使えば,関ヶ原経由の滋賀⇔岐阜・愛知の走行は結構ラクになりそう.
もちろん,今回のツーリングのように全線旧中山道を走るのも楽しい.

途中何度か,旧中山道のルートから外れている箇所がある.

ルートを参考にする際はご注意を…

また,サイクリング前に,街道に関する歴史や情報を入れてから走ると,より一層面白いのではないかと思う.参考になりそうな情報が集まるサイトを貼っておく.

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