
JR四国の新型特急用車両(8600系と2700系)には,他の車よりハイグレードなグリーン車が装備されている。2023年の年末に一度,2700系(特急「南風」)のグリーン車には乗車した1のだが,そのときは岡山から多度津までの短い区間だけであった。豪華な座席を味わうには少々短く,ぜひもう一度乗りたいと思っていた。
それから2年以上を経て,ようやく松山へ帰る機会をつくれたので,8600系「しおかぜ」のグリーン車を,岡山から松山まで乗り通してみた。
大阪から松山へ:岡山にて「のぞみ」と「しおかぜ」乗り継ぎ
今回の帰省では,前日に大阪で用事があった。大阪から岡山までは「のぞみ」にて移動した。

のぞみ19号
新大阪 11:41→岡山 12:25
まだGW前だったので,指定席には空席があった。新大阪から岡山までは,「のぞみ」でわずか50分。この区間は,大学生時代に結構乗ったので,もうすっかり慣れてしまった。
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岡山では,「のぞみ」を降りるとすぐに,在来線のりかえ口へ向かった。松山ゆきの特急「しおかぜ」へは,ちょうど10分で接続している。まっすぐ向かえば写真を撮るくらいの余裕はあるが,弁当を迷っていると乗り遅れるくらいの接続時間だ。
これを見越して,新大阪駅にて事前にパンや飲み物などを買っておいた。「しおかぜ」には,車内販売がない。飲み物は自動販売機で買えるが,松山まで3時間弱と長旅なので,事前に新幹線乗車前にでも買っておくのが無難だ。
8600系のハイグレードなグリーン座席
岡山から乗車するのは
しおかぜ11号
岡山 12:35→松山 15:17
6番のりばに降りると,8600系が,すでに座席の方向を転換してドアを開けて待っていた。

グリーン車は,前寄り(松山方)の1号車の前半分のみ。残りの後ろ半分は普通車指定席となっている。「しおかぜ」は繁忙期をのぞき5両編成での運転なので,ちょっと少なく見えるかもしれないが,まあ需要を考えればこれくらいが妥当なのかも。ちなみに2700系「南風」も,グリーン車は1号車のうち半室のみ。

この8600系のグリーン車は,他の在来線特急より豪華な造りになっている。ホテルとかちょっと良い宿とかにあるマッサージチェアを,静かなリビングに置いたような雰囲気。くつろぎ加減は,東海道新幹線N700系のグリーン車に匹敵する。

参考:「こだま」グリーン車 乗車記|東京→名古屋|夏の東北鉄道旅(番外編)
この座席には,新幹線と同じく,レッグレストが付いている。リクライニングも大きく倒れる。これらをフル活用すると,まさにリビングでくつろぎながら移動しているような感じになる。
普通車指定席だと,正直に言って,岡山〜松山間が長く感じられるし,結構疲れる。一方,これだけの設備があると,疲労度はかなり軽減される。岡山〜松山を「しおかぜ」にて乗り通すならば,(予算が許せば)グリーン車に乗るのが楽しいし快適だと思う。
8600系と8000系の見分け方
1点注意すべきは,「しおかぜ」は一部の列車しか8600系で運転されない,ということだ。言い換えると,8600系の「しおかぜ」を選ばなければ,このグリーン座席に座れない。というのも,「しおかぜ」では,いまだに多くの列車が8000系電車で運転されており,そのグリーン席が8600系ほど豪華ではないからだ。

せっかくグリーンに乗るなら,いい席に座りたい。そこで8600系を選ぶための2つのポイントを,以下に書いておく。
1. 8600系は7両・8000系は8両
1つは,8600系の「しおかぜ」は,「いしづち」と併結時に7両編成であること。これは,「しおかぜ」の相方である「いしづち」(高松ゆきの特急列車)が,2両編成で運転されるため。8000系では,「いしづち」が3両編成となる。つまり,
しおかぜ5両 + いしづち2両: 8600系
しおかぜ5両 + いしづち3両: 8000系
と見分けることができる。なお,JR四国の列車編成は,Webでも見ることができる。下記のページをみると,たしかに「しおかぜ・いしづち」には8両の編成と7両の編成とがあることがわかる。
ちなみに,2025年3月改正のダイヤでは,上下4本のみが8600系で運転されている「(「いしづち」単独編成をのぞく)。それ以外の「しおかぜ」は,原則,8000系で運転される。したがって,1日15本以上の「しおかぜ」のうち,たった4本しか8600系がないということになる。加えて,繁忙期にはこの運用も変更になる場合がある(たとえば所定で8600系のところを8000系で運転することもある)。実際には,予約ページにて車両数と後述する座席数を確認するのが,8600系のグリーン車に乗るベストな方法といえる。
2. 8600系のグリーン車の方が座席数が少ない
2つ目のポイントは,8600系の方がグリーン車の座席数が少ないこと。8600系では,半室あたりの座席数が4列に設定されている。これは8000系より少ない。

座席を座席表から選ぶようにすると,シートマップを見ることができると思う。そこで,1号車(グリーン車)を選択してみると,座席数を確認できる。これで,4列ならば8600系,そうでないならば8000系と確定できる。
ただし,8000系は,2027年にかけて,全車両の2次リニューアルが計画されている。このリニューアルでは,グリーン車の座席が,8600系と同じハイグレードな座席に換装される予定2。したがって,そう遠くないうちに,上記のような「識別」をする必要はなくなる見通しだ。
高架になった松山駅と働き者の8600系
2時間30分をこえる長旅を経て,松山駅に着いた。松山駅は,2024年9月に高架化された3。それ以来,松山には帰っていなかった。なので,高架の松山駅に降り立つのはこれが初めて。
以前の松山駅では,「しおかぜ」と「宇和海」が縦列停車していた。そのため,予讃線を宇和島へゆく乗客は,ホームの前後を歩いて乗り換える必要があった。高架となった松山駅では,この乗り換えの手間が軽減されていた。具体的には,「しおかぜ」が1番のりば,「宇和海」が2番のりばに入線することで,対面での乗り換えが可能になっていた。


松山に到着した「しおかぜ」は,すぐに岡山・高松へと折り返す。電光掲示板を見ると,「しおかぜ・いしづち24号」になるようだ。下り宇和島ゆき特急「宇和海」より2分早く出発する。

到着してから10分少々での折り返し。これは,松山駅だけでなく,岡山駅でも同じ。わずかな折り返し時間で車内清掃を終わらせ,瀬戸大橋を下ってくる。日中の「しおかぜ」は,例外なくこのような運用に励んでいる。日本でも有数の「働き者」の特急列車ではないだろうか。

8600系は,デビューから10年少々経過した。予讃線区間では,列車名の通り,潮風を存分に浴びる。機器の劣化も,他の特急型車両より早いだろうと思われる。実際,こうして近くで車体を見ると,デビュー直後よりずいぶん貫禄(というか汚れ)が出てきていることに気づく。
とはいえ,8600系はまだ,予讃線特急としては若手に分類される。弱音を吐くには若すぎる。先輩の8000系は,デビューから25年以上を経ても,この過酷な運用に耐え続けてきている。そのうえ,8000系は,2027年までに,2回目の全面リニューアルを施される。松山〜岡山間を走り続けてきた大ベテランは,まだまだ老け込むことを知らないようすだ。
8600系のグリーン車は素晴らしかったが,予讃線の「走り」を楽しむなら,やはりこの先輩である8000系にのらないわけにはいかない。ということで,松山からの帰りは,8000系「しおかぜ」に乗って帰ることにした。
(つづく)
- このときの様子は,残念ながら書いていない。唯一,YouTubeに2700系の走行音をアップロードしている。この音声こそ,グリーン車にて収録したものだ。https://youtu.be/mDTHBDvx-zc?si=eEk9bAA0yA65TLg3 ↩︎
- 「8000系特急形電車」リニューアル車両続々登場|JR四国,URL:https://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/lp/8000/(最終アクセス日:2026年5月3日) ↩︎
- JR四国:『「JR松山駅付近連続立体交差事業」高架線完成に伴う切り替えについて』,2024年7月2日,URL:https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2024%2007%2002a.pdf(最終アクセス日:2026年5月3日) ↩︎
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