安定してチューブレス運用できるようになって1年が経った。ここらでチューブレスにチャレンジしてみての感想をまとめてみることにした。
最近は研究が忙しくて,長距離のライドをすっかりサボっている。が,数少ないロングライドや,近所のスーパーへの買い物ライドでも,チューブレスの恩恵を十分に感じることができた。
組付け~走行まで,3年以上クリンチャータイヤでツーリングをしてきた自分が,チューブレスにしてよかったことを書いていく。
いいところ
厳密には,チューブレスではなくて,「チューブレスレディ」だ。チューブレスは,専用のチューブレスタイヤをはめるだけでよい。一方,自分が導入したチューブレスレディは,シーラント材の使用が必須となる。
なぜ,クリンチャーからチューブレス(レディ)にしたかというと,理由は2つある。1つは,それまで履いていた完成車ホイール(いわゆる「鉄下駄」ホイール)が,長期間にわたる走行によって壊れてしまったからだ。この辺の経緯は,以下の記事に書いた。
勝手に回るペダル,フリーホイール不調…リアハブ交換?新ホイール購入?
そしてもう1つは,壊れた箇所の修理に要する労力・コスト がチューブレスレディホイールを導入する労力・コストを上回った,という(消極的な)ものだ。
これらの理由をふまえつつ,自分のバイクに合いそうなタイヤを,インターネット上の海で探し回った。その結果,見つけたのが「Alexrims」のRXD3だった。組付けにあたっても,インターネット上の情報を大いに参照した。必要な機材はアマゾンで買いそろえた。
チューブレスレディホイール【RXD3】をチューブレス運用するために揃えたもの
組付けはかなり大変で苦労したが・・・チューブレスレディでの走行距離が増えるにつれて,その良さがわかるようになってきた。自分は,週末にちょろっと乗るだけのゆるゆる自転車乗りだが,そんな素人でもわかるチューブレスの良さを挙げてゆく。
転がり抵抗が小さい:「燃費」の向上
まず,チューブレスレディタイヤは,クリンチャータイヤと比較して転がり抵抗が小さい。これによって,同じ入力パワーに対してより遠くまで転がるようになった。これによる副次的な効果としては,(i)燃費の向上と,(ii) それに伴う走行可能距離の増大が挙げられる。ざっくり体感でいうと,休憩なしで走れる距離が1.5倍くらいになった。過去には,ツーリング記にこんなことを書いている。
下宿からここまで,30km少々.自転車に乗り始めて4年目になるけど,休憩の間隔を長くとれるようになってきたのは成長だと思う.最初の方は,なんとなく20km1時間くらいで休憩したいな~と思って,それでコンビニとかに停まって休憩していた.でも,最近はペースよく走れている間は走って,だいたい30kmを目安に休憩を考えるようになった.体重が軽くなったのもあるだろうし,漕ぎ方に無駄が減ってきて,”燃費”が良くなったのもあるだろう.
午後からサクッと,秋の国道1号サイクリング|名古屋→亀山
偉そうに「漕ぎ方に無駄が減ってきて,」などと綴っている。しかし実際のところは,チューブレスを導入したことによる軽量化・転がり抵抗の低減効果の方が大きかったのではないか,と考えている。
アイ・アール・シーのHPから,チューブレスとクリンチャー(チューブ入り)の転がり抵抗のデータを持ってきた。この図から,特に低い気圧側において,チューブレスは転がり抵抗が小さいことがわかる。500kPaでは,チューブレスの転がり抵抗は,チューブ入りのおよそ70%となっている。同図縦軸の「転がり抵抗指数」がどういう基準なのかはわからない。ただ,「チューブレスの方が転がりやすい」というのは,このデータからも確かに読み取られる。
特に,自分が導入した2本のチューブレスレディタイヤは,いずれも32Cであった。オンロードを走るにしては,少々太目のタイヤだ。いずれも上限気圧が4bar程度で,オンロードを走る場合は3bar程度まで落として走ることが多かった。上図からもわかるように,低気圧の方が,より転がり抵抗の小ささを感じられることがわかる。素人の自分でも,よく転がるな~と感じられたのは,低気圧での運用だったからだと考えられる。
衝撃吸収:気持ちいい乗り心地
次に,チューブレスレディタイヤは,乗り心地がいい。同じ道を走っても,クリンチャータイヤのときより身体へ伝わる振動が少ないのだ。ざっくり書くと,「ふわふわ」な乗り心地を感じられた。大袈裟な表現ではなく,本当に「ふわふわ」だ。クリンチャーを同じように書くと「ごつごつ」とした感触。これは,チューブレスタイヤには,チューブが入っていない分,衝撃を吸収する「空気」の体積が大きいためであると考えられる。
衝撃吸収については,ロードノイズからも感じられる。クリンチャータイヤで走っていたときは,「ゴォー・・・」という風な,路面との接触面積が大きそうな音がしていた。一方,チューブレスレディタイヤで走ると,「コォー・・・」という軽い音がした。細かい違いだが・・・チューブレスの方がクッション性が高そうだなということが,ロードノイズからも感じられた。
転がり抵抗低減と衝撃吸収によって,ライド時の体力消耗は大幅に低減される。これによって,同じ距離を走っても疲労は少なくなる。また,同じ出力でもより遠い距離を走ることができる。チューブレスレディによって疲れが減る,というのが副次的なメリットとして挙げられる。
ダイレクトなハンドリング感
これは微妙な違いなのだが,チューブレスタイヤで走ると路面の感触が,ハンドルに対してダイレクトに伝わってくる。これによって,よりダイレクトに自転車を操れる感じがある。
チューブが入っていない分だけ,路面の状況がタイヤ・空気のみを介して直接伝わってくるのだろう。
オンロードだと,路面感触なんてそう大したものではないのでは?と思われるかもしれない。そういうものはオフロードを走ってはじめて感じられるのではないか?と。しかし,実際はオンロードでも十分に路面感触を感じられる。
リム打ちパンクを気にしなくていい
チューブが入っていないので,リム打ちパンクを気にしなくていい。これも,チューブが入っていない分だけ空気の体積が大きいから。
これは,特に街中を走るときに感じられる恩恵だ。クリンチャータイヤだと,車道から歩道に入るとき,ちょっとした段差でも気を遣っていた。パンクに強いグラベルキングでも,大荷物で段差に垂直に進入すると,リム打ちする。
チューブレスレディだと,多少乱暴に段差を超えても大丈夫。クリンチャータイヤより耐パンク性能において安心感がある。
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ここまでに書いてきたメリットは,IRCのホームページに書いてある「チューブレスの特徴」とほとんど同じだ。したがって,素人でも,チューブレスの恩恵をある程度受けられる(感じられる)ということだ。ただ1つだけ感じられていない恩恵は,パンク時の空気漏洩速度が遅いということだ。走行中のパンクに遭遇していないゆえ,この恩恵については書くことができない。このことについては,実際に遭遇したら(遭遇したくないが)この記事に追記していく。
(考え方を変えれば,パンクに遭遇していないということで「パンク発生率が低い」という恩恵を受けているともいえる)
まとめ
チューブレス(レディ)は,クリンチャーと比べると組付けに手順が多く手間がかかる。特に,クリンチャーから移行したての時は,苦労すると思われる。実際,自分がそうだった。
しかし,その「組付けの手間」を乗り越えると,その手間を補って余りある「チューブレスのよさ」を享受することができた。最後の方にも書いたが,クリンチャー→チューブレス(レディ)への変更による「走りの違い」は,素人の自分でも感じられた。
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今までは,オフロードも行けるようなチューブレスタイヤを履いてきた。これからは,オンロードを走ることが多くなりそう。なので,IRCの細めのタイヤなんかを履かせてみたいと思っている。
チューブレスレディ組付け・走行の記録
チューブレス化を行うにあたってそろえたモノ
実際にタイヤをホイールにはめてみた記録【IRC編】
実際にタイヤをホイールにはめてみた記録【グラベルキング編】
エア漏れの記録とその対処。新しいことをはじめるときに,トラブルはつきものです。