【IRC】チューブレスタイヤの装着・ビード上げにフロアポンプで挑む

前回記事で,チューブレス運用のために揃えたアイテムを紹介した.

いよいよ,ホイールにしかるべき処理を施し,タイヤをはめる作業にとりかかる.

チューブレスタイヤは嵌めるのに苦労する,ビードが固くて手がぼろぼろになる,などなどネット上に苦労話は絶えない.コンプレッサやCO2ボンベを使えば楽にできるとも聞いたけど,手元にあるのはパナレーサーのフロアポンプのみ.

果たしてうまくいくのだろうか?

IRC公式サイトの動画と石けん水・フロアポンプと根気を武器に,チューブレスタイヤの装着に挑む.

チューブレスタイヤのビート上げ

チューブレスタイヤの装着は,クリンチャータイヤとは違う方法が必要.

まずはネットでいろいろ勉強.

最もわかりやすかったのは,シクロワイヤードのYouTubeチャンネルに上がっているコチラの動画.

今回使うIRCの方直伝の着脱方法.

この動画を観ている限り,全然苦労しなさそうだが・・・?本当に大変なのだろうか.半信半疑で作業を始める.

リムテープを貼る

まずはリムテープを貼る.チューブレスレディホイールには穴が空いており,気密性を高めるためにはこの穴をリムテープでふさぐ必要がある.

RXD3にはクリンチャー用の白いリムテープが貼ってあったので,まずはこれを剥がす.

剥がしたらリムの表面を軽く拭いてから,新しいチューブレスレディ用のリムテープを貼ってゆく.2周した方がいいみたいなので,しっかり引っ張って丁寧に貼る.リムテープの出来が悪いと,気密性が下がってエア漏れの原因になりそうなので,空気を抜きながら隙間を作らないように貼ってゆく.

バルブ穴の手前から初めて,バルブ穴を通り過ぎたところで貼り終わり.バルブの後ろは3周分巻いてあることになる.バルブ穴の所は細い六角とはさみで丸く穴を開けた.

リムテープって地味なアイテムだけど,意外と大事で,これが疎かになるとクリンチャーでもチューブレスでもトラブルが起こる.

チューブレスレディ用バルブを嵌める

はさみと六角で開けた穴からバルブを嵌める.このバルブはチューブレスレディのバルブ.僕が使ったのはAlexrimsの純正バルブだけど,NoTubesとかでもいいと思う.

嵌めてみると,あれ?意外と短い?

RXD3はリムハイトが30mmあって,純正のバルブだとこんな感じになってしまった.どうしよう,空気はいるかな・・・?ためしにポンプを差し込んでシューシューやってみると,一応バルブ出口から空気が出ているので大丈夫そうだ.

実はこのとき,Oリング(丸いゴム状のリング,気密性を高めるためにスポーク側につける部品)がバルブの根元についたままになっていることに気付いていなかった.これが後の失敗の原因になる・・・
Oリングをハブ側(ホイール内側の方)に嵌めて,ナットを締めると,もうちょっと頭が出てくる.後述.

タイヤを嵌める

リムテープを無事に貼り終えたら,いよいよタイヤを嵌めてゆく.

まずは片側のビードをリムに落として,全周はまったら逆側のビードもリムへ落とす.タイヤの嵌め方はクリンチャーと基本的に同じ.が,逆側ビードを嵌めるときは「バルブと反対側から嵌めて,バルブのところを最後に嵌める」そうだ(動画参照).ここだけクリンチャーとは違う.

SERACはノブの形状的に前も後ろも関係ないかな,と思っていたけど,タイヤ側面に回転方向が書いてあった.片側のビードを上げ終わってから気付いた,書いてあった方向とは逆向きに嵌めていた・・・ということで一度ビードを外して逆向きにセットする.

“ROTATION DIRECTION”(回転方向)に注意

さて,チューブレスタイヤのビードは固い=嵌めづらい

イメージがあったけど,僕は素手で嵌めることができた.これまで何度も固いタイヤの着脱をやってきたからだろうか?グラベルキングの方が嵌めるのが大変(グラベルキングはタイヤレバーを使わないと嵌められない).

コツとしては「最初に嵌めたビードと,後から嵌めるビードを入れ替える」こと.これをやるとすんなりハマった.IRCの動画も参照

動画では石けん水を塗ってからタイヤを嵌めているけど,僕は塗らなくても嵌めることができた.CX用タイヤだからなのか,ホイールと相性がいいのか理由はわからないけど,これだけ簡単に嵌まってしまうと,逆に気密性は大丈夫なのかと不安になってしまう.

こんな記事もあった.この方の結論,説得力がある・・・IRCのタイヤは素手で嵌まった,すなわちシーラント入れないとエア漏れ必至だということだ(実際そうなった,後述).

石けん水をリムに塗る

さて,無事にタイヤが嵌まったのでいよいよビード上げ.

IRCの動画では専用の潤滑剤を使っているけど,今回は石けん水で挑む.

石けん水,というか衣料用洗剤を水で薄めたモノをスポンジに含ませてリムにたっぷり塗ってゆく.

  • 小さく切ったスポンジ
  • 衣料用洗剤
  • 水(適当)

石けん水を塗ることの意義は

  • 滑りが良くなってビードが上がりやすくなる
  • 空気漏れしている場所がわかる

という2つ.

意外と侮れない作業.

ビート上がらず…原因はバルブの「Oリング」

石けん水を塗ったら,フロアポンプをバルブに差し込んでとりあえず普通にポンピングしてみる.

シュッシュッ...あまり手応えがないぞ.バルブの頭が短すぎて空気が入っていないことも考えられたが,タイヤ全体に一応空気は入っているみたい.ポンピングのたびに一度はタイヤ全体が膨らんでいる.

が,入れても入れても出て行く方が多いので,当然ビードが上がるまでもない.

∇・(入れる空気) – ∇・(出る空気) > 0
(∇・=div,念のため)

にならないと,そりゃまあダメなわけだ.

 

そのあとタイヤに偏りが出ないように寝かせたり,手で持ってポンピングしたりしたけれど結果は同じ.

シューシュー言ってるだけで一向に膨らまない.

リムとタイヤの隙間から,石けん水がプクーッと膨らんで出てきている箇所もある.そこのビードをいじってみたり,バルブ周辺のタイヤがバルブに噛んでいたりしないかを確認したけど,どうにもうまくいかない.

かれこれ1時間近く?格闘したけど空気は入らずじまい.

こういうときはGoogleで検索あるのみ.

 

いろいろ探してみると,バルブに原因がありそうだと判明.たしかに,空気を入れたとき,一番石けん水の泡が出ているのはバルブ周辺だ.

ということで一度バルブの上のタイヤを思いっきり持ち上げて,リムテープ上に載っかっているバルブの密着度合いを確認.バルブを一旦引き抜いてみると・・・

先ほど書いた「Oリング」がバルブの根元に入ったままになっていた.Oリングのせいで,バルブ根元がしっかりとホールに刺さっていた無かったのだ!

チューブレスレディバルブの「Oリング」

Oリングを慎重に取り外して,もう一度バルブをはめ込んでみる.リムテープ側から差し込んで,出てきた頭の根元に,ハブ側からOリングを嵌める.その上からバルブナットでしっかり締め込む.

明らかに先ほどより深く刺さった.バルブの頭も数㍉程度長く出てくるようになっている.

これで行けるか?もう一度トライ.

必死のポンピングで成功

数回ポンピングしてみると,先ほどより明らかに手応えがある.空気が外に出る音もない.

これは行けるかもしれない.

ここぞとばかりに,人生で一番速いくらいのポンピング!

シュシュシュシュシュシュシュッ…

ドンドン空気が入っていく,さあビードよ上がるか?

 

空気圧が4barを越えたあたりで

「パチン,パチン...!」

とビードが上がる音が聞こえた,やりました!

先ほどまで見えていた青いリムテープの部分は,タイヤでしっかり被せられている.

一度空気を抜いてみて,低圧でもビードが落ちないことを確認.

最後は最大気圧(500kPa)まで上げて,しばらく置いておく.

 

もう一つのタイヤもこの方法でビードが上がってくれた.

 

ポンピングして上腕が筋肉痛になったのは初めてだ.

でもまあビードが上がったので,よし.

 

まだシーラントは入れずに,最大気圧で1日放っておく.これで空気が抜けていないかどうか確認.

シーラント入れないと多分エア漏れすると思われるが,果たしてどうだろう.

まとめ:石けん水とバルブが肝

以上,IRCのチューブレスタイヤビード上げの紹介.

タイヤを嵌めるのはそこまで苦労しなかった.これはグラベルキングによって鍛え上げられたスキルのおかげ?かもしれないが,動画にあるように嵌めたビードを入れ替える作業をすれば,タイヤレバー無しでも嵌められると思う.

苦労したのはビード上げ.バルブ周辺は特に気密性が下がりやすいので,バルブがきちんと装着されているかを確認してから空気を入れる方が失敗が少ない.

あと,石けん水は想像以上に重要なツール.

たっぷり塗ると明らかに滑りが良くなるし,多少の隙間なら膜を張って埋めてくれる.また,空気漏れの場所もしっかりわかるので,忘れずに活用するのが吉.

つづきはこちら↓

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