大学入学後,鉄道旅をはじめてからは
主に「ブログ記事」として旅行記をまとめてきた.
「写真」と「文章」がメインで,動画はスマホで記録するにとどまっていた.
そんな写真中心だった自分が,最近,鉄道撮影用のビデオカメラを買った.
当初は通過列車映像など撮影するにとどまっていた.
しかし,せっかく買ったのに通過動画ばかりではもったいない!と思い,
鉄道旅行の機会に映像を撮影して,動画にまとめてみた.
「動画」という媒体をちゃんと作成してみて思ったことを書いておく.
鉄道旅行記動画の作成
今回の制作に使用したソフトは,Adobeの「Premiere Elements 2020」.
映像撮影は「SONY FDR AX45」.
動画とブログ記事の違い
動画とブログ記事の違いについては,以前一度書いた.
詳しい内容は上記記事を読んでいただけばわかるが,要約すると以下の通り.
このような違いがあるブログと動画について,今回ブログではなく動画で鉄道旅行記をまとめてみて思ったことを書いていく.
字幕での表現に限界を感じた
顔出しなし,かつ,肉声の吹き込みなし
というスタイルなので,情報を載せる媒体は「字幕(テロップ)」に限られる.
もちろん,撮影した映像だけを繋ぎ合わせれば,最低限の情報は載せられる.素材の質がバツグンに高い・記録のための映像であればそれでかまわない.しかし,「旅行記」としては,動画のみではあまりにも味気ない.
「旅行記」の個性は,旅行者の感情や,そこで起こった出来事に宿るものと考えている.
そのような情報は,素材となる動画には,載っていない.字幕なり音声なりで載せなければならない.
だから,顔出しなし,かつ,肉声の吹き込みなしというスタイルでの旅行記動画だと,随所で「字幕(テロップ)」を使う必要が出てくるのだ.
ブログの場合は,どんどん文章を書き連ねていけばいい.しかし,動画を適度な長さでつなぎつつ,限られた画面内にテロップを載せるとなると,テロップの量は限られてくる.
また,読み手が読める速度での切り替えが必要(数秒程度)で,それも考慮しつつ繋いでいかなければならない.画面サイズだけでなく,時間の軸でも文字情報量が制限されてくる.それゆえ,テロップで旅行記としての「個性」を出すのは,けっこう難しいのだ.
動画というのは,音声と大量の画像によるメディア.どちらかというと「テロップ(=文字)」よりも「音声=ナレーション」の方が相性がいい.ナレーションを入れられれば,テンポよく多くの情報を載せられるのだが・・・
しかしながら自分は,「しゃべり」は上手ではない.思いついたことをすぐに話すというよりは,自分の内側での対話を繰り返してからようやく話すようなタイプ(いわゆる”内向型”)なので...うんうん唸りながら,考え付いたことを「文字に起こしていく」方が得意だ.動画だと,その起こす文字の量が限られてしまうので,悶々としてしまう.
どこまで作りこむか?天井がない
いい素材を撮ろうと思えば,それなりの機材投資が必要.
また,撮影技術も磨いていかなければならない.
編集も,やろうと思えばいくらでもできるし,ソフトも無数にある.
旅行記動画は,完成品が「作品」に近い.
一方,ブログ記事は,「記録」寄りのメディア.
自分が旅行記をブログに残しているのは,「みんなに読んでいただけるうれしさ」もあるけれど,主目的は「自分が旅してきた記録を残す」こと.「作品」をつくろうとは,あまり思っていないのだ.
だから,いざ,動画をつくろうとすると,完成までのハードルが高く感じられてしまう.「作品として綺麗なものを作り上げなければ...」そう,思い込んで意気込んでしまう.このような姿勢で,旅行記をコンスタントに作り上げていくことはかなり難しいと思う.
「継続」と「積み重ね」こそ,あとで振り返る記録のためにはふさわしい.
割り切って「作品にするぞ!」と思って動画をつくれば,多少は楽しくなるのかもしれない.
メディアの扱いが大変
動画は,とにかくサイズがバカでかい.
1本10分,テロップなどの情報を載せてゆくと,あっという間に数GBにもなる.
この元となる素材の動画たちも,撮影するとドンドンと増えていく.それらを一つ一つ確認していく作業は,なかなか大変だ.
制作した動画は,主にYouTubeにアップロードしている.
これらを閲覧する場合,ネット環境とそれなりの通信容量が必要となる.自分の家で観るのならばいいけれども,移動中や外出中に観るためには,通信量と音声を気にしなければならない.
一方,ブログ記事は,ネット環境は必要だけれども,移動中や外出中にも手軽に「流し読む」ことができる.あくまでも「テキスト」が主役なので,サクサクと読んでいただける.
5Gの普及により,大容量の動画コンテンツも,テキスト同様に高速でのダウンロード・視聴が可能になってくるだろう.しかし,テキストの手軽さには到底及ばないと思っている.
臨場感はバツグン
悪いことばかり書いてもつまらないので,動画のいいところも書いておく.
それは「圧倒的な臨場感」だ.
時間軸に沿って動いていく車窓,文章では表現がむずかしい「音」.これらは鉄道旅の醍醐味.
動画は,その情報をほぼ100%そのまま伝えることができる.
iPhoneで旅行中に動画を撮るのは,自分がそのような音や風景を,あとで見返すためだった.自宅に帰ってしばらくしてから,動画を観て
「この車両のモーター音は素晴らしいなあ・・・」とか,「車内放送がいいなあ」とかそういうふうに振り返るのが楽しいのだ.テキストでは,それが難しい.
ましてや,自分は「音鉄」な面がある.音の魅力を楽しむにあたり,動画というコンテンツも自分にとっては外せない記録媒体でもあるのだ(編集して作品にするとは,また別の話).
今回の作品~現実逃避の鉄道旅~
最後に,今回作成した旅行記を紹介する.
コロナの感染者数が抑制されていた週末に,在宅研究のストレスを発散しようと
唐突に実施した鉄道旅行の記録だ.名付けて「現実逃避の鉄道旅」.
1日目(6/13)は,夕食を食べてから20時過ぎに下宿を出発.金山駅から東海道線を普通列車で下ってゆき,終電の1本前くらいで京都駅まで向かった.
2日目(6/14)は,京都駅から湖西線・北陸本線特急サンダーバード15号に乗車.金沢まで乗りとおした.北陸本線敦賀⇔金沢間は,北陸新幹線の延伸により,特急列車が走らなくなる可能性もある.それまでにぜひとも乗っておきたかったのだ.
2日目午後は,金沢から新幹線で富山へ.富山からは高山本線ワイドビューひだにて,名古屋まで帰った.
まとめ:こだわりすぎない
作り上げた動画の臨場感は,ブログでは到底出せないもの.
しかし,動画編集は結構手間のかかる作業だ.
記録を残すというよりは「作品」を作り上げていく作業に近い.
また,自分の性格(内向的でしゃべりはあまり得意でない)は,動画よりブログというテキストメディアの方が向いていると思われる.
なので,これからは,今まで通り鉄道旅行記をブログとして残すことになるだろう.
しかしながら,「音」を伝えるメディアとしての動画は魅力的.音鉄の自分としては外せないメディアでもあるので,随所で取り入れていきたいとも考えている.