【名古屋市営地下鉄】架線がない!?東山線の地上区間を散策

特に予定がない土曜日,急に鉄道動画を撮りたくなった。

愛知県にも緊急事態宣言が追加で発出されるらしい。

大学からも県をまたぐ移動は自粛の要請が出ている。

そういう状況で遠出しての撮影は嫌なので,近場での撮影に決めた。

撮影対象として,ふと思いついたのは名古屋市営地下鉄だ。

名古屋に越してから一番利用している路線だったが,その姿を動画や写真に収めたことはなかった。

というわけで今日は,東山線,特に末端の地上区間(上社~藤が丘)で撮影をした。

車両は2種類のみだけれど,駅前後のカーブや地上へ出てくる区間は,撮っていて面白かった。

動画を撮っていろいろ気づいたことがあったので,記録として残しておく。

東山線地上区間

名古屋市営地下鉄東山線のうち,

一社(いっしゃ)-上社(かみやしろ)から,終点の藤が丘までが高架区間となっている。

地下鉄なのに,地上,しかも高架線を走るという,なかなか面白い区間。

建設費を抑えるために,地下トンネルではなく高架線で建設されたらしい(Wiki情報)。

地下から地上へ

一社駅を出てしばらく東へ走ると,

「木曽路東名店」の下からトンネルを抜けて地上へ出てくる。

(木曽路東名店は,愛知県道60号を東進する途中で左へ入ったところにある)

今日は上社まで自転車だったので,この「地上へ出てくる」ところを見に行った。

列車に乗っているときはそんなに違和感はないけれど,外から見るとなかなか面白い構造だった。木曽路の下へもぐりこんでいくような構造のトンネル。そこへ出入りする黄色いラインの車両。

近隣はふつうの住宅街。県道60号と並行するように進んでいく。

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上社駅までに,名二環・上社JCTの高架橋をくぐる。

なお,足元には環状2号(302号線)が走っている。

いかにも交通の要衝という雰囲気を醸し出す場所だった。このあたりは歩道橋があるので,その上から地下鉄の車両と環状2号を行き交う道路を眺めるのが楽しい。

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地上区間の最初は上社(かみやしろ)駅。名古屋に来てすぐのときは,おとなりの一社(いっしゃ)駅と,読み方がこんがらがってわからなかった。一社だって,読みようによっては「かみやしろ」と読める。。。

対面式ホームを出ると,本郷駅へ向かって右へカーブを取る。

上社からは自転車を駐輪場に停めて,地下鉄に乗っていった。

次の本郷駅までは,県道60号に沿うように走って行く。名二環の本郷ICが近くにある。

本郷駅は上社駅と同様に,対面式ホームの構造。

本郷駅を出ると,線路は左へ大きくカーブして藤が丘駅へ向かう

本郷駅を出ると,見通しのいい直線を経て,左へ大きくカーブする。

このカーブによって,名古屋方面からずっと並行してきた県道60号から別れる。

左カーブまでは登り勾配,そのあともう一度藤が丘駅手前で右カーブを取る。この右カーブへ入る前くらいに下り勾配だった気がする。車内から車窓を見ていると,ジェットコースターのような迫力がある。ウネウネと上ったり下ったり,左右へカーブしたり。地上区間,かつ高架区間だから,地下鉄とは思えないような楽しみ方ができた。

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終点の藤が丘駅も対面式ホーム。

列車が到着するのは,進行方向向かって左側のホーム。このホームは降車専用として扱われていた。

このホームでは東山線と桜通線にしかない,車庫回送チャイムが聴けた(鶴舞線,上飯田線は名鉄線へ直通,名城線は環状線のため「終点」が存在しない。名港線も「引き上げ」はないのかな?)

到着した列車は,すぐに降車扱いを終えて車庫へ向かう。車庫といっても,ホームからさらに数百メートル延びたところにある行き止まり線へ入るだけ。ここは左右に2線あるけれど,左・右を交互に入っていくようだった。

東山線は運転間隔が短い(朝ラッシュ時は2分!)。昼間でも数分で次の列車がやってくるため,到着後はすぐに引き上げ,そしてまた折り返し入線という風に・・・かなり忙しそうだった。

藤が丘駅名古屋方面のホームは乗車専用。自動放送の言い回しが,以下に示す途中駅とは異なっていた。

他の駅(途中駅)では,(接近メロディ)→「○○方面高畑行が参ります」のあとに「ホーム柵から離れてお待ちください」→(列車入線)→「この電車は高畑行です」という流れをとる。

藤が丘駅の放送の流れは忘れてしまったけど,新鮮だったことは覚えている。

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藤が丘駅から先は,折り返し用の行き止まり線のほかに,右へ大きくカーブする線路もあった。

この線路の行先が気になったので,駅を出て地図を見ると

名古屋市交通局藤が丘工場への引き込み線だった。

ここには,列車を置いておく車庫もあるようで,仕事を終えた列車たちはこのカーブする線路を下って車庫へ引き上げていくようだった。今日は昼間だったから,このカーブを走る列車はいなかった。朝晩には見られるだろう。また見に来てみたい。

地図を見てから,藤が丘工場の方へも足をのばしてみた。住宅街の中にある広大な敷地は,車庫らしい広さを持った車庫で,綺麗な形だなーという印象を受けた。

住宅街→地下鉄ではなく,地下鉄ができてから住宅街が発達していったことを考えると,

この工場(および車庫)が計画的に,土地に余裕を持って造られたことが推測できた。

昔の東山線(地上区間)

藤が丘駅前バスターミナル近くに,昔の地下鉄東山線の写真があった。

平成27年に,名東区制40周年ということで設置されたものらしい。

左側の写真は,昭和45年(1970年)7月ごろの写真らしい。地上区間の末端に設けられた立派な橋上駅舎の周りには,びっくりするほど何もない

今の藤が丘駅周りは,東山線地上区間にある駅の中でもっとも栄えている。いくつもの店が軒を連ね,アパート,マンション,商業施設が立ち並んでいる。

そんな光景からは想像もつかないほど,昔は何もなかったらしい。

地下鉄といえばなんとなく,栄えてきた町に住む人々の利便性を高めるために開通させるもの,というイメージがあった。

しかし,東山線(延伸区間:星が丘~藤が丘),特に現在の名東区周辺は,地下鉄が先に延伸してきてそれによって街が栄えてきたらしい。自分のイメージとは逆だった。

右側には工事中の藤が丘駅の写真もあった。白黒写真は昭和43(1968)年9月ごろに撮影されたものらしい。こちらの写真をみると,より「何もなさ」が伝わってくる。特に,写真上側の方は,これから区画整理が進んでいくのだろうという感じだ。一方で,下の方は,現在と同じような雰囲気。いくつか家が固まっている。

名古屋市交通局藤が丘工場内への引き込み線,折り返し用の行き止まり線は,現在の形で建設が進んでいることがわかる。左側に見切れているが,建設途中と思しき藤が丘工場もある。

また,写真右上の方は,本郷駅手前の大きいカーブが見えている。オーバーパスしている道路は,地図で確認すると現在の東名高速道路(E1)だとわかった。東名高速の方が歴史が古そうな気がするが,この区間を含む小牧-岡崎IC間の開通時期は昭和43(1968)年4月[Wiki情報]。上の写真より5カ月早い時期だ。ということは,東名高速の方が先輩だ。しかし,東名高速も意外と若い。写真の東名高速も,下道とほとんど変わりがないように見える。モータリゼーションが進展したのはここ数十年の話ということを考えると,それも納得。

地理院地図で年代別写真を見比べてみる。

すると,右)1961-1969年間の写真では,地下鉄線,東名高速とも写真で確認することはできない。いずれの開通よりも前に撮影された写真だろう。

それが,左)1974-1978年間の写真では,地下鉄線,東名高速ともはっきりと確認できる。さらに注目すべきは,藤が丘および本郷駅周辺の建物の密度の高さだ。右)1961-1969年では,丘陵しか確認できないのと比較すると,その差は歴然。このあたりが,地下鉄の延伸と丘陵を切り開くことによって急速に栄えてきたことがわかる。

藤が丘・本郷駅周辺のようす,左)1974-1978年 | 右)1961-1969年 (地理院地図より)

今の藤が丘の栄えている姿からは想像もつかないほど,昔は何もなかったのだとわかった。

東山線を走る車両

東山線では2種類の車両が運用についている。

いずれも小断面・第三軌条集電方式であるので,いかにも地下鉄らしい見た目をしている。

名市交5050形

現在走っている2種類のうち,古い方の形式。

イエローのラインが1本入っており,行先表示は幕式のもの。

こうやってみると,飽きの来ない「顔」をしている。

音鉄的に気になったのは,インバータ音。

自分が小さい頃は,名古屋市営地下鉄の車両の多くに,制御素子としてGTOが使われていた。

変調が速く,大きい音がかっこよかった。この音で鉄道が好きになったといっても過言ではない(きっと,自分と同世代の鉄道ファンの多くは,初期GTOの音に魅了されたのだろう。関東だと209系とか?)

名古屋にある親戚の家で,その特徴的な音をマネをしていたような記憶がある。

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この5050形も,GTOが搭載されている。5050形の大半は,カチャンカチャンという第三軌条の独特な音とともに,VVVFのいい音を聴くことができる。(一度,ソフト更新があったらしく,初期のGTOのような変調の速い音ではなくなっている)

ただ,一部の編成については,経年劣化に伴う電気機器更新が始まっているようだ。

たしかに,5050形でも,名城線の2000形に似た音を奏でる編成がいた。更新された2000系の制御素子には,三菱のハイブリッドSiCが使われているらしい。それと似た音だから,この5050形更新車にも,ハイブリッドSiCが適用されているのだろう。

5050形は,(ソフト更新でおとなしくなっているとはいえ)GTO素子による音を聴ける。

最近の電車は,大半がIGBTあるいはSiCが制御素子として適用されるようになってきている。

この5050形の制御素子も,いずれはハイブリッドSiCに置き換わるだろう。

GTOの音を楽しむなら,今のうちだ。

名市交N1000形

東山線の新しい方の車両は「N1000形」。

こちらは,5050形よりも近未来的なデザインになっている。

行先表示器はディジタル,オレンジ色の文字で表示する。

N1000形は,すべての編成の制御素子がIGBT。

ブレーキの緩解音も含めて,いかにも「今っぽい」音を奏でる車両だ。

新しい分,乗り心地は多少いいのかもしれない(自分は5050形との違いはあんまり感じない)

まとめ

以上,撮影で気になったところの記録など。

ちなみに,今回の動画ははじめて4Kでの撮影だった。

当たり前だけど,FullHDよりも綺麗だった。

音声は,AudioTechnicaのAT9943で収録した。「FLAT」モードで収録したけど

東山線地上区間の駅は大通りが近くて,道路からのノイズが結構入ってしまっていた。

次から野外で撮るときは,「L-CUT」モードで収録した方がいいかもしれない。これが今回の撮影の反省点。

動画は時間を作ってまとめようと思う。

【追記】まとめました。

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