前回記事にて,IRCチューブレスタイヤのビード上げについて書いた.
とりあえずシーラントは入れない状態で一晩置いてみた.
すると案の定,空気は全抜け.
タイヤはベコベコになっていた.
このままでは走れる空気圧を維持できない.
ということで満を持してシーラント剤を注入してゆく.果たしてこの日の内に作業を終えられるか?
チューブレスレディへのシーラント注入
チューブレスホイール(タイヤ)とチューブレスレディホイール(タイヤ)では,微妙に構造が違う.同じチューブレスでも,チューブレスレディの方はシーラント注入が基本.
シーラントを入れる前の状態
昨日500kPa入れてあった空気は,ほぼゼロの状態.
手で摘まむとビードが落ちてしまいそうだ.
このままシーラントを入れて大丈夫だろうか?
心配なので,一度タイヤを外してリムテープ等チェックするが,特別大きな隙間は見当たらない.バルブもきちんと入っている.
もう一度タイヤをはめ直して,空気を入れると
バルブの根元辺りから「シュー・・・」と空気が漏れる音がしている.おそらくバルブが頭を出す穴の周辺からエア漏れが発生している.Oリングをナットでしっかり締めてみると,エア漏れの音が高くなった.やはり原因はバルブが顔を出すホールのちょっとした隙間にあるみたいだ.
正直,この隙間はもうどうしようもない.埋めようがない隙間.
ということで勇気を出してシーラントを入れることに.シーラント入れてからタイヤを外すのは非常に面倒なので,一方通行の大勝負?になる.果たしてうまくいくだろうか.
バルブコアを外す
シーラントを入れるためにまずはバルブコアを外す.
アレックスリム純正のチューブレスバルブは,バルブ本体とコアが外れるようになっている.amazonで購入したパークツールのバルブツールをコアに差し込んで,ちょっと回してやると簡単に外れる.これは便利だ.
バルブツールは,普通のチューブについている仏式バルブにも使える.
シーラント注入
バルブコアを外すと,バルブ本体がぽっかりと口を開けた状態になる.
ここからシーラントを流しこんでいく.
シーラントの量は,IRCシーラントのパッケージを見ると
ロード:30mL
との記載があった.
MTBよりは細いIRC SERAC CXだけど,ロードタイヤよりは太い.
間をとって50mL入れてみることにした.
500mLの黒いIRCシーラント容器から,百均で朝買ってきたドレッシング用の容器へシーラントを入れていく.ドレッシング容器には,事前に計量カップを使って目盛を打ってある.この目盛に従って50mLを入れた.
ドレッシング容器の先っぽは細いので,バルブにぴったり刺さった.
斜め上から入れる方向で,ゆっくりと容器を押し込む.
順調に入っていく・・・良い感じ.
全部入れ終わる頃に,バルブから若干溢れてきたけど,左右に15°ずつ回してやるとシーラントが分散されて溢れはとまった.
一度ホイールを持ち上げて,軽く回して左右に傾けながら全体に行き渡らせる.
一通り回し終わると,バルブ付近のリムから少々シーラントが飛び出している.やはりバルブ付近には隙間があったのだ.空気に触れて固まってくれるといいのだが,うまくいくだろうか.
空気を入れてみる
少し放置してから,バルブに付着しているシーラントを拭き取る.
バルブコアを戻して,空気を入れてみる.
バルブは上側にして,シーラントが吹き出ないように空気を入れる.ゆっくりポンピングしていくと,先ほどと変わらず空気が漏れる音がしないでもない.
それでも構わず入れてゆく.今度は少しポンピングを早めに,一度400kPa程度まで入れる.
バルブ付近に耳を当てて空気漏れの音を聴いてみると,先ほどよりは小さくなっている.
ホイールを持上げて上下に振ってみると,シーラントがタイヤの中でジャバジャバ音を立てる.
バルブを下にして,さらに上下に振ってみると・・・
バルブの根元あたりから,シーラントがゆっくり漏れてきている・・・!これはシーラントが働いてくれるチャンスかも.一度ホイールにまで付着したシーラントを拭き取って,バルブナットとOリングを外してみる.
するとOリング根元にシーラントがじわっと付着しているではないか.
これはいけるぞ,もう一度Oリング・ナットを戻して空気を入れ直す.
シーラントで空気漏れがなくなった
ポンピングを続けて,最大気圧の500kPaまで上げる.
すると,バルブ根元からのシーラント吹き出しもなくなり,空気漏れの音もしなくなった.
もしかして,シーラント注入成功?
空気漏れがないか確認するため,しばらく置いておく.
この間にスプロケを外す.
古いホイールのフリーホイールは,やはり壊れていた.部分的に引っかかってしまうような感覚.
参考:勝手に回るペダル,フリーホイール不調…リアハブ交換?新ホイール購入?
外したスプロケを洗浄.ついでに汚れていたフレームとチェーンも洗浄.
一通り洗い終えてシーラントを入れたタイヤの空気圧を確認すると,先ほどと全く変わっていない!空気漏れは解消した!
ちなみに隣に置いてあるリアホイールの方は,対照実験としてシーラントを入れていない状態.空気圧を確認すると,,,空気は完全に抜けきっていた.
これでシーラントの効果がはっきりと確認できた.シーラントを注入することで,細かいバルブ周辺の隙間が埋められて,空気漏れがなくなる.勉強になった.
シーラントを入れていないリアのホイールも,一度空気を抜いてバルブコアを外してシーラントを注入する.ぐるぐる回して全体に行き渡らせる.RXD3はラチェット音が大きい,空転させると「ジーーーーーー!」と主張が強い.
ラチェット音はこんなの・・・すごい.
空気を入れると,こちらも最初は少し漏れてくる.
が,シーラントがうまくバルブの隙間に入っていくと,ぴたりと空気漏れが止まった.
これで前後輪のチューブレス化は完了.長かった・・・
クイック・スプロケ取り付け
ホイールに,洗浄したスプロケと,付属してくるクイックを取り付ける.
(ブレーキロータは前のホイールのものを流用)
スプロケを外すときの工具は,amazonで安く売っている.
フロントはクイックを付けるだけだから簡単.
リアは,スプロケを付けるときに向きに注意する.一カ所だけ山幅が大きいところがあるので,そこを合わせれば簡単に嵌められる.
緩んだスプロケが外せない・・・
はずだったが・・・最後の最後にトラブル.
スプロケをつけてみると,なんだか緩い.ガタガタするのだ.
緩いという症状があるにも関わらず,今までスプロケを外したことがなかったから「ちゃんと締めれば緩みも直るかな」と思って,思いっきり締めてしまった.
これがいけなかった...がっちり締め込んでも(当然)スプロケの緩みは直らない.オマケに40N・mなんて書いてあるからかなりの力で締め込んでしまい,直そうと思ってもスプロケ外しはビクともしない.明らかなオーバートルクである.
外れないものは外れないから,スプロケの緩みの原因を考えてみる.
そういえばまだクイックを付けていない.と,クイックの入っている袋を見てみると・・・薄い円形の部品を発見!これはもしやスペーサーなのでは・・・10sホイールでもスペーサーは必要なのか,知らなかった・・・
と,悔やんでもスプロケが外れないのでどうしようもない.
ならばさっさと専門家にやってもらうべし.
Y’s roadに持っていくとものの5分でスプロケを外して,スペーサーも入れてくれた.
工賃1,700円ほど・・・
オーバートルク,ダメ,絶対.
まとめ:チューブレス化完了
以上で,一通りのチューブレス化作業は完了.
あとは何度か走ってみて,空気漏れがないか確認.全部自分できるだろうと思ったけど,最後の最後にスプロケの取り付けミスでショップの世話になってしまった.惜しい.
最後にチューブレス化の手順と,注意事項(自戒も含む)をまとめておく.
- 必要なアイテムを準備
- リムテープをホイールに貼る
- バルブをとりつける(Oリングの外し忘れに注意)
- 石けん水をリム・タイヤ内側全体につける
- タイヤをホイールに嵌める
- バルブから空気を一気に送り込んでビード上げ
- 空気を抜いてビードが落ちない確認
- バルブコアを外す
- シーラントを規定量ゆっくり入れる
- シーラントをタイヤ全体に行き渡らせる
- 空気を入れる(最大気圧の8~10割)
- バルブ付近にシーラントを行き渡らせる
- スプロケ・クイック・ローターをとりつけ(スペーサの付け忘れ・オーバートルクに注意)
- 完成!
1についてはコチラの記事
2~7についてはコチラの記事にまとめてある.
週末に時間をかけて行ったチューブレス化.最初だから知らないことも多くて手間取ったけど,次回以降はもう少し早くできるようになると思う.スプロケを外したりブレーキローターを外したり,今後に活かせる良い経験ができた.何でも自分でやってみるのが大事.
これでチューブレス化は完了.なかなかカッコイイじゃないか.
チューブレスタイヤと軽量ホイールで,ちょっとロングライドにでも行ってこよう.さて,鉄下駄ホイールのチューブド運用とはどれくらい違うのだろうか?乞うご期待.
ロングライドしてきた
チューブレスタイヤ・ホイールでロングライドに行ってみた.乗り心地ふわっふわで驚いた.これがチューブレスの力なのか.
せっかくIRCのタイヤを履かせたので,東海シクロクロスにも出走してみた.