3月に参加した国際会議における講演に対して,優秀発表賞を頂きました。
その副賞として,ボーナスをいただけたので,研究の生産性を上げられるようなモノを買うことにしました。いろいろと買うモノは考えられましたが,高頻度で,長く使えるモノとして「ちょっといいキーボード」を買うことにしました。
この記事では,
- キーボードを買うに至った経緯
- これまで使って来たキーボード
- キーボードの種類についての基礎知識
- キーボードを試打しに行く様子
- 購入したキーボードについて
まとめました。
仕事で,趣味で,ちょっといいキーボードを使いたい!けど,自分用の高級キーボードを選ぶのが初めてよくわからない…という方の参考になれば幸いです。
ハイエンドキーボードで研究の生産性を上げたい
キーボードを買うと決めるまでの経緯
学会で優秀発表賞をもらいボーナスを頂戴した
ありがたいことですが,去る3月の国際会議にて優秀発表賞を受賞しました。
日本国内の学会だと,賞状に加えて,記念品として盾かメダルか何か(粗品とか)がもらえればいい方ですが,
さすがは金のある国際会議。発表賞のボーナスとして,大会委員会から5000人民元(日本円で約10万円)を現金で頂戴しました。
その代わり,賞状はPDFファイルでした(学会はオンラインだったので,現地に行けなかった)。研究室のBOSSにカラーコピーしていただいたものを,研究の励みとして,居室のデスクの前に貼ってあります。ペラペラですが,いいことありそう。
このようにして,いわば「なにもしてないのに勝手に懐に湧いてきたお金」というのは,私のように金に無頓着な人間だと,いつのまにか使途不明になりがちです。
たとえば,コロナの現金10万円給付金,何に使ったか覚えていますか?私はたぶん,銀行口座に入れっぱなしで,しれっと生活費に充てられたと思います。
このように,降って湧いたお金って,意識しないとすぐどこかへ飛んで行ってしまいます。
今回は「学会でちょっとイイ感じの発表したし,本当は先生方の多大なるご支援・ご尽力があってのことなんだろうけど,まあ一応スライドを立ち上げたのはあなただから,努力賞あげるよ」的な,一応,自身の努力が認められて頂いたお金なので,「降って湧いた」というのは言い過ぎ(というか先方に失礼)かもしれません。
研究室でもその先でも使える物品に投資したい
そういうわけで今回のボーナスは,研究がんばってもらえたお金です。お金に色を付けるのはあまりよろしくないといいますが,このポケットマネーは,研究に使おうと考えました。
そう考えたはいいものの,ボーナスをもらった5月中旬から6月下旬まで,後期課程でお金をもらうための書類作成に忙殺され,使い道を考える余裕がありませんでした。金があるのに時間がない,学生はこうやって社会人になっていくんですね。。
6月下旬に至るまで,10万円のボーナスは銀行に眠らされたままでした。同じ口座に入っているお金は,趣味にかんすることで1万円くらい使いましたが,「研究用に」は1円も使ってませんでした。
書類提出に目途が立ち始めたあたりから,「このままだと10万円が何に使ったかわからなくなる!」と気づき,研究に使うものをちょっとずつ考え始めました。
ただし,研究に必要なものって,教授もしくは助教にいえば何でも買ってもらえます。たとえば,後述するように,今,研究室で使っているキーボードは,1つ上の先輩が研究室マネーで買っていただいて,そのまま研究室用として残していったものです。
したがって,正直にいうと,ボーナス10万円の使途を研究に限定する必要性は高くありません。
ただ,研究室マネーで買っていただいたものは,卒業する(すなわち,研究室での活動から身を引く)ときになったら,研究室に返さなければいけません。なぜなら,そのお金の元は,大抵「科研費」や共同研究先との協力金であると考えられ,すなわちその物品には,「使用目的」がついているからです。
完全に「自分のもの」として所持・使用をつづけるには,やはり自分のお金で買った方がいいのです。そうやって買った方がいいものとしては,研究室での活動を終えてからでも「自分用」として使えるものが挙げられます。こういうものなら,ボーナス10万円を投資してもいいと考えました。
PC周辺機器はほとんど不満なし
6月中旬から下旬にかけて,なにに使うのがいいかな~と,いろいろ考えました。まとまったお金の使い道をあれこれ考える時間は,人生においても上位に入る楽しい時間です。
研究室でも,その先でも使える物品といえば,やはりPC周辺機器が挙げられるでしょう。たとえば,ディスプレイ,マウス,キーボード,ヘッドフォン,Webカメラなどです。
このうち,ディスプレイ,マウスについては,現状のもので特に不満はありません。特に,マウスについては,先生が研究室の学生全員に,かなりいいモノを買い与えてくださいました(Logicool MARATHON MOUSE M705m)。なので,わざわざ新しいモノを買う必要は皆無です。
ヘッドフォンは,主に作業中に音楽を聴いたり,学会の講演を聴いたりするのに使えます。が,いずれも頻度は高くありません。前者は,SONYの有線イヤホンで十分ですし,そもそも作業中にあんまり音楽を聴きません。後者は,現状買い与えられているヘッドセットで十分事足ります。
Webカメラも,Webミーティングや学会に参加するには十分な画質があるので,これも特に買い替える必要はありません。
キーボードはずっと先まで使える
唯一,新しいのを買ってもいいな,と思ったのは,キーボードです。
キーボードは,これまで,研究室にあるものを使ってきました。修士1年までは,デスクトップPC付属の純正キーボード,今年に入ってからは,先ほども書いたように,先輩が置いていったワイヤレスのメンブレンキーボードを使ってきました。
ただ,いずれもそんなに高いものではなく,いわゆるスタンダードな域を出ません。先輩が使っていたキーボードは,メンブレンのものです(詳しくは後述します)。打鍵感はまずまずですが,先輩が2,3年使って来たので,少々ヘタリを感じていました。これが,入力作業の効率を抑制しているといえなくもない状態でした。
また,キーボードは,研究室を出てからも,おそらく使い続けるものです。特に私は,(この記事もそうですが)ライフワークとしてブログを書いています。こんなふうに,キーボードで駄文を連ねることが好きなので,研究で使わなくなっても,「趣味の道具」として引き続き流用できる可能性が高いです。
研究室用にとりあえず1台買ってみて,これが良かったら,下宿用(≒ブログ用)としてもう1台別のものを買うのもいいでしょう。つまり,趣味用キーボードの足掛かりとして,研究用のものを買うということにもなります。
打つのが楽しいキーボードが,趣味≒ブログへのモチベーションを高めてくれれば,それは休日(余暇)の充実にもつながります。余暇の充実は,翻って健やかな健康の助けにもなります。つまり,趣味用のキーボードも,ゆくゆくは買ってみてもいいと考えます。
以上の考えを経て,まずは投資対象として「ちょっといいキーボード」を選びました。タイトルにある「ハイエンドキーボード」とは,つまりそういうものです。「高級なキーボード」ともいえるでしょう。
*
ほかに,ワーキングチェアも考えられましたが,個人のチェアを研究室で使うのは….運搬のことを考えるといろいろと面倒です。今でも十分,いいものを使わせてもらってます(たしか,オカムラの「シルフィー」というモデルだったように記憶しています)。
下宿用のチェアもアリですが,平日はもっぱら研究室に居て,下宿のチェアに座る時間は多くないので,キーボードに比べると優先順位は低いです(部屋も狭いですし,長々と椅子に座っているのは不健康の元凶です)。
キーボード遍歴から欲しい性能を見出す
キーボードを買うにあたって
ボーナスで買うとはいえ,高級キーボードはふつうに1万円以上する買い物です。
末永く使える,自分にあったものを手に入れるために,以下の4つを念頭においてキーボードを選ぶことにしました。
- ブランド名に引っ張られず
- ほしい性能・求める仕様を明確にして
- 値段には糸目をつけず
- 実店舗で実機を触って,感触がいいもの
特に,4.は重要です。
キーボードは,洋服や靴と同様,人間の身体と直接触れるものです。ある程度知識と経験をもった人であれば,ネットショッピングで現物を触らずに買えるのでしょう。ただし,素人がそういうことをやってはいけません(知らないブランドの靴を,いきなりネット通販で買うひとはいないでしょう)。
しっかりと実店舗で触ってみて,自分の手に合い,仕事・趣味の道具として長く使えそうなデザインのものを選びたいところです。
また,実店舗での展示には限界がありますので,かかる時間と手間,それから場所柄(東京でない)ことを考えると,1.ブランドにはこだわらないことも大切でしょう。
キーボード遍歴:まったくこだわりなし
いままで使って来たキーボードから,好みと欲しい性能とを見出すため,これまで使って来たキーボードと,それに対する感想を書いてみましょう。
研究室で使っている外付けキーボード(現在)
上述のように,研究室では,今年の4月より,先輩から引き継いだ外付けキーボードを使ってきました。
ELECOMの「EXTRATOUCH(TK-FDM088TBK)」というモデルです。スペックは以下の通り。
- 配列:JIS配列108キー
- 構造:メンブレン[19.0mmピッチ 4mmストローク]
- 接続方式:2.4GHz無線 USB接続
標準価格で5,841円(公式サイト,記事執筆時点)と,そこそこの値段がする無線キーボードです(ただし,Amazonでは2,000円を切る価格で投げ売りされています)。
配列はJIS,接続は2.4GHz無線と,取り回しに優れたキーボードです。公式サイトを見ると,「メンブレン構造なのに,メカニカルのような打鍵感」をウリにしているみたいです。たしかに,このキーボードは,デスクトップPCの純正キーボードよりは軽くて打ちやすかったです。
ただ,自分のタイピングは,どちらかというと軽いタッチで滑らせるように入力していくスタイルです。加えて,先輩が(少なくとも)2年以上は使ってきたものです。したがって,若干のくたびれ(バコッ,バコッというような入力感覚がするキーがある)ことは否めません。
このようなことから,この「EXTRATOUCH(TK-FDM088TBK)」では,そこまで入力作業を快適にできなかった,というのが正直な感想です。
かつて研究室で使っていたキーボード
研究室では,先輩から不要になった「EXTRATOUCH」を引き継ぐまで,hpデスクトップPCの純正キーボード(JIS配列,有線)を使っていました。型番はわかりませんが,以下の写真のようなキーボードでした。
いわゆるふつうのキーボードで,ノートパソコンのような浅めのキーストロークでした。
浅いストロークは自分の好みでしたが,キー表面が固いです。そのため,長時間入力作業を続けていると,手や手首あたりに疲れを感じることもありました。入力速度はそれなりに出せていたように思います。
下宿で使っているキーボード
一方,下宿ではノートPC:Lenovo「Thinkpad X1 Carbon 2018(Gen6)」を使っています。
キーボードの特徴としては,
- 配列:JIS配列89キー(左CtrlとFnが普通と逆の配列)
- トラックポイント・バックライト
があり,トラックポイントは,Lenovo ThinkPadならではの特徴です。
また,スペックには現れてきませんが,ThinkPad X1 Carbonのキーボードは,表面が少しマットで滑りにくく作られています。
そのため,ふつうのノートPCより,快適な打鍵感が得られます。ThinkPadファンが多いのは,このノートPC顔負けの打鍵感にあるのだとも考えられます。実際,ここ2年ほどで,私はこの打鍵感にすっかり慣れてしまいました。左小指Fn,Ctrlの位置もすっかり慣れました。Ctrlキーは,機種によって多少位置が異なるので,特段のうちづらさは感じられません。
下宿の外付けキーボード
下宿では,iPad用に,Bluetoothキーボードを買ったこともあります。
サンワダイレクトの「400-SKB062」です。
- 配列:US配列78キー
- 構造:パンタグラフ[19.0mm 1.8±0.2mmストローク]
- 接続:Bluetooth接続(同時に3台まで可能)
Bluetoothキーボードは手軽でよかったのですが,,配列が「US配列」でした。
※ JIS配列とUS配列の違いは,以下の記事が参考になります。
生まれてからこれまで「JIS配列」しか触ったことのなかった自分は,「US配列」に大苦戦。。Enterキーが小さかったり,半角/全角変換にショートカットが必要だったり,,,めちゃくちゃストレスが溜まりました。
打ちやすさよりも配列に慣れることが億劫になってしまいました。
打鍵感は悪くなかったのですが,そもそもこれを使って入力作業をすることにストレスを感じるようになってしまい,使用頻度が減少。
最近,メルカリで売却しました。
いままで使ってきたキーボードに対する感想
以上のキーボード遍歴から,自身のキーボードの好みを見出すことができます。
まず,打鍵感(キーピッチ・ストローク・押下圧)についてですが,ピッチはごく一般的な19mmでOKです。キーストロークは..ノートPCのキーボードに慣れているのと,滑らせながら入力する癖があるので,浅めor軽めのキータッチがいいでしょう。キーストロークが深いと,速度が出ないので△。押下圧は軽めのキータッチがいいことを考えると,反発の高いものがいいでしょう。とにかく,軽いタッチで速く入力できるのが好みです。
次に,キー配列ですが,これはJIS配列一択です。ノートPCですが,Thinkpadの配列はかなり好み。
接続方式は,研究室で使うのであれば,有線接続で問題ありません(無線でももちろんOK)。
また,研究においては,エクセルやプログラム作成など,「テンキー」を使う機会が割と多いです。したがって,テンキーはあった方がいいでしょう(いわゆる「フルキーボード」)。
そして,キーボード構造ですが,ここについてはもっと勉強が必要です(いままで,「メンブレン」もしくは「パンタグラフ」構造のものしか使ったことがないから)。長く使えて打鍵感を選べるハイエンドなキーボードだと,「メカニカル(機械)式」や「静電容量無接点方式」あたりが候補になってくるでしょうか。
以上から,新しく購入するキーボードに要求するところとして,今のところは以下の3点にまとめられます。
- JIS配列+テンキーあり
- 軽いタッチで速く入力できる打鍵感
- 接続方式(有線/無線)は問わない
ただ,もっとも打鍵感に関わってくる,「キーボードの構造」については勉強が必要です。
そこで,以下では,インターネット上の記事などを参考にして,その成果を少しまとめておきます。
ざっくりとしたキーボードの知識
打鍵感のいい,いわゆる「ハイエンド」キーボードには,
- メカニカル(機械)式
- 静電容量無接点方式
の2つの代表的な方式があります。
インターネットで調べてみると,厳密には「後者(静電…)もメカニカルのうちの1つ」らしいですが…ここでは,違うものとして区別して扱います。
構造の違い:メカニカルキーボード
まず,メカニカルキーボードですが,これは,超ざっくり書くと「キー1つ1つに接点(スイッチ)がついている構造をもっている」キーボードです。
ちなみに,ノートPCやデスクトップの薄型キーボードなど,いわゆる「ふつうの」キーボードは「パンタグラフ」や「メンブレン」と呼ばれますが,これらはキーボード全体に1つの「メンブレンシート」が敷かれています。メンブレンの場合は,キーの下にはラバーカップがついています。
構造としては,以下の画像のようになっているそうです。接点は「板バネ」でできていて,ここにキーが押下されることで,板バネが接触して入力を検知します。
キーの下側にはスプリングが鉛直方向に向かうようについています。こいつのおかげで,押したキーが戻ってきます。
ダイヤテック株式会社のホームページに,動作のよくわかる動画があったので貼っておきます。
メカニカル(機械式)キーボードには,このような機構をもったキーが,数十個(JIS配列のテンキー付きフルキーボードであれば108個)ついているわけです。これが,メカニカルキーボードが高価な理由です。だいたい,1万円台が相場のようです。
ただし,1個1個のキーは独立しており,キーキャップを外せば,1つ1つの手入れ・交換が可能です。つまり,手入れや使い方を誤らなければ長く使える製品でもあるというわけです。
メカニカルにはいくつかの「軸」がある
メカニカルキーボードは,それ自体で1つのタイプですが,キースイッチにもいくつか種類があります。
多くのメカニカルキーボードに採用されているのが,ドイツ・CHERRY社の製造するMXスイッチです。
同社の製造するスイッチは,その打鍵感によって「軸の色」で区別がなされます。PCにちょっと詳しい人なら聞いたことがあるかもしれませんが,「赤軸」,「青軸」,「茶軸」といった種類があります。
ここがメカニカルキーボードの「肝」で,軸の種類によって,同じメカニカル..でもまったく打鍵感が異なるようです。
具体的には,押したときの反発(押下圧),クリック感(入力したときにカチッとなるか・スコッとなるか)といったところに違いがあるようです。
詳しくは,以下の記事がわかりやすいです。動画付きで,CHERRY社のMXスイッチの違いについて説明されています。
以下のページも,キースイッチの種類から,MXスイッチの違いまで,よくまとまっているので参考にしたいページです。
ただ,結局は実機を打ってみないとわからないところなので,ここでは詳しく書きません。
私は,自分がどういう打鍵感を求めているのかを明確にして,実店舗(名駅のビックカメラ)へ試打しに行くことにしました。この時感じた,軸毎の入力感の違いについては,後述します。
以上がメカニカルキーボードの構造でした。
構造の違い:静電容量無接点方式
次に,「静電容量無接点方式」ですが,これは読んで字の如く,「キーを押すと,静電容量が変化して入力を検知する」方式です。メカニカルキーボードにあるような,バネや軸といった機械式構造がありません。
静電容量というのは,「コンデンサ」がたくわえられる電気の容量です(私のような電気の人間は,キャパシタとも呼びます)。コンデンサっていうのは,2枚の電極の間に誘電体が挟まっていて,電気をためたり,放出したりできる素子です(世の中の電化製品のほとんどに使われているといっても過言ではない,電子回路にとってきわめて重要な素子です)。
キーの入力は,電気信号として中央処理装置(CPU)へと伝わっていきます。結局は,電気信号なので,「静電容量無接点方式」でも,キー入力を処理できて,キーボードとして成立するわけです。
この構造のおかげで,静電容量無接点方式では,「スイッチON位置(深さ)の変更」という芸当ができます。これは,押し込み位置がばねによって決まっている機械式キーボードにはできません。
また,打鍵感としては,機械式のようなクリック感はなく,静粛性が高く心地いいもののようです。打鍵感ついては,メカニカルキーボードと併せて,のちほど紹介します。
機械式と静電容量無接点方式の打鍵感の違いを,趣味の自転車で例えるなら,機械式ブレーキと油圧式ブレーキの違いのようなものなのでしょう。機械式は,ワイヤで引くので,ブレーキディスクにパッドが当たり始める瞬間が「線形に」やってきます。これに対して油圧式は,レバー内に物理的な接点が存在しません。そのため,じわーっと効いていくような感覚です。
このように高性能かつうち心地も極上な静電容量無接点方式ですが,メカニカルキーボードよりももう1段,値段が高いようです。たとえば,東プレ REALFORCE R2であれば3万円以上,かの有名なHHKBだと3万円台後半です。高い。
静電容量無接点方式といえば,「REALFORCE」が有名らしいですね。以下は,REALFORCEの特徴がまとめられた公式ページです。非常にわかりやすいので,一読されることをおすすめします。
そのほか,外付けキーボードの種類と概要については,以下の記事もよくまとまっています。
要求する仕様・性能
以上,ハイエンドキーボードとして,
- メカニカル(機械式)キーボード
- 静電容量無接点方式キーボード
の動作原理と構造の違いについて,ごく簡単にまとめました。
*
この勉強と,キーボード遍歴とを合わせて,新しいキーボードに要求する仕様・性能を以下のように見出しました。
- 構造:メカニカル式(茶軸がよさそう)
- 配列:JIS配列
- 接続方式:有線
- テンキー:あり
軽いキータッチが欲しいけど,クリック感は欲しいです。静電容量無接点方式は,「ほかのキーボードに戻れない」ほどの打鍵感のようですが,クリック感はなさそうなので,構造としてはメカニカル式の茶軸あたりがよさそうです。
配列,接続方式,テンキーについては,先のキーボード遍歴から見出したところと変わりません。
*
ここで,自分にあったキーボードを購入するために,念頭に置くべきこと4つを改めて振り返ってみましょう。
- ブランド名に引っ張られず
- ほしい性能・求める仕様を明確にして
- 値段には糸目をつけず
- 実店舗で実機を触って,感触がいいもの
この4つでしたね。ここまでで,1~3までは完遂しました(3.については,実質的にあってないような掟ですが)。
あとは,「明確にした性能・仕様」をもつキーボードのうち,「4.実店舗で実機を触って,感触がいいもの」を選ぶのみです。
それでは,愛知県在住の僕が,実店舗での試打を経て,キーボードを買うまでの経緯をご紹介しましょう。
名駅のビックカメラで実機の試打
土曜日の昼下がり,地下鉄に乗って名古屋駅に向かいました。ちょうど参院選の期日前投票期間だったので,最寄りの区役所にて期日前投票を済ませてきました。
キーボード試打に選んだのは,名駅のビックカメラです。オフィス用のキーボードの数がもっとも多そうだったので,ここへ試打しに行くことにしました。
名古屋では,ほかに大須あたりでも,豊富な実機を見られると思います。ただ,大須については,ゲーミング用のキーボードが中心なイメージがあります(実際はわかりません)。このほか,栄のヨドバシカメラもいいと思いますが,この間別の家電を見に行ったときには,ハイエンドのキーボードは多くなかったように記憶しています。
名駅のビックカメラに行ったことがある方はご存じだと思いますが,名古屋駅をはさんで
- ゲートタワー店
- 名古屋駅西店
の2つの店舗があります。
ビックカメラゲートタワー店:静電容量無接点方式を触り,見限る
この日はまず,東山線出口から近い,ゲートタワー店(ゲートタワー9F・10F)へと行ってみました。
キーボードを含むPC周辺機器は,逆L字になった10Fの,ちょうどL字の折れ曲がるところにあります。以下のフロアマップでいうと,「④パソコン」のあたりです。
キーボードのエリアに足を運んでみると,あれ,2列くらいしか陳列棚がありません。実機は,低価格帯のBluetoothキーボードが中心。オフィス用のハイエンドキーボードは,打鍵感を比較できるほどサンプルがありませんでした。
これは残念,もう一方の店舗である名古屋駅西店に行ってみようと思い,カメラコーナーの近くにあるエレベータへ向かうことにしました。
そしたら,その途中,Appleの製品が並べてあるエリアの近くに,iMacの外付けキーボードとして,東プレのMac用REALFORCEが置いてありました。東プレといえば,静電容量無接点方式の代表格です。これは触ってみるっきゃないと思って,慣れないMacの画面に出てくる検索バーやメモ帳をつかって,ポチポチ入力してみました。
人生初?の静電容量無接点方式を試打した感想としては,「めちゃくちゃ静か(スコッスコン…という打ち心地)だけど,クリック感がないのが好みじゃない」でした。「クリック感がないのが醍醐味」という声も聞こえてきそうですが,「キーボードといえばクリック感のあるもの」として,ブラインドタッチを覚えてきたので,クリック感がないのに,今のところはどうも馴染めなさそうです。
いずれ,キーボードに凝るようになったら,静電容量無接点方式も検討するかもしれませんが,今回は「はじめてのハイエンドキーボード」なので,もうちょっと無難な機械式を検討することにしました。
ビックカメラ名古屋駅西店:メカニカル式をじっくり比較
機械式のキーボードを比較するべく,名駅のコンコースを「金時計→銀時計」と歩いて行って,太閤口からエスカへ潜り(暑かったから地上に出たくなかった),そこからビックカメラへ入りました。
名古屋駅西店は,2フロアしかないゲートタワー店とは異なり,B1~5Fの6フロアあります。1フロアごとの床面積はゲートタワー店の方が大きいですが,品ぞろえは駅西店の方が圧倒的によさそうです。
期待を抱きながら,PC周辺機器の置いてある4Fまでエスカレータで昇ってきました。キーボードは,上りエスカレータを降りたのち,左手後方のエリアにありました。以下の図でいうと「⑤パソコン周辺機器(マウスの絵が描いてあるところ)」です。
こちらも陳列棚は2列+αくらいでしたが,さまざまなメーカのモデルが,比較に十分なくらい並んでいました。期待していたハイエンドキーボードも,「高級キーボード」と,そのものずばりのコーナーが1列ありました。
まずは軸ごとに打ち比べ
この1列に陣取り,CHERRY MXスイッチが搭載されたメカニカルキーボードを打ち比べしてみました。ここには,たしか
- 茶軸(クリック感あり,押下圧55cN)
- 青軸(クリック感あり,押下圧60cN)
- 赤軸(クリック感なし,押下圧45cN)
- 静音赤軸(クリック感なし,押下圧45cN)
- スピードシルバー軸(クリック感なし,押下圧45cN)
と,CHERRY MXスイッチのほとんどがそろっていました(もしかしたら黒軸もあったかも?しれません)。軸同士の比較をするには十分すぎる品揃えでした。
コロナ対策で消毒をしつつ,いくつものキーボードにホームポジションを取り,カチカチと試打しました。幸いお客さんは少なく,ほぼ貸し切りで試打できました。
おかげで,各軸がどんな打鍵感なのか,自分に合うのはどれなのかを見出すことができました。
まず,各軸に対する打鍵感の感想を書いておくと
- 茶軸:いちばん打ちやすい。一定の感触で押し込めて,カチッとしたクリック感が気持ちいい。音はふつう。研究室の居室で使うくらいなら問題ないレベル。いわゆる「ごく一般的な」キーボードに近い。
- 青軸:クリック感と入力音気持ちいい。けど,うるさい(マジで)。カチッかちッじゃなくて,バキューンバキューンって感じの音がする(個人の感想)。これで寿司打やったら楽しそう。居室ではとてもじゃないけど使えない。
- 赤軸:押し込むごとに反発が強くなる(リニアストロークというらしい)。クリック感がなく,スコンスコン…という感じ。滑らせながら入力しやすいので,自分のタイピングスタイルには合っていて,入力スピードが出そう。
- 静音赤軸:赤軸と同じで,音がさらに小さい。静かなオフィスでなら重宝しそう。
- スピードシルバー軸:接点(アクチュェ―ションポイントというらしい)が極端に浅く,すぐ入力できる感じ。ゲームとかなら便利そう。
という感じでした。
やっぱり,自分はクリック感のあるキーボードが好きだということがわかりました。また,リニアストロークでクリック感のない赤軸や静音赤軸でも,入力速度が出そうでなかなかよさそうです。
打ち比べた結果から,自分に合う軸は,いちばんが茶軸,次点が赤軸といった具合でした。
置いてあったブランド:ARCHISS, FILCO
MXスイッチ(軸)の好き嫌いがわかったので,あとはその軸のなかで,打ち心地のいいキーボードと出会えれば吉,出会えなければ出直しというところまで来ました。
このエリアに置いてあったメカニカルキーボードは,おもに2つのブランドのものでした。
1つは「FILCO」,もう1つは「ARCHISS」です。
FILCOは,株式会社DIATEC(ダイヤテック)という日本の会社のブランドです。会社自体は1982年創業で,当時は半導体販売商社だったそう。それから,10年後の1992年に,自社ブランド「FILCO」としてアップル社マッキントッシュ用キーボードを発売開始したそうです。Windows対応のキーボードは,1995年から発売しています。まさに,老舗のキーボードメーカですね。
ARCHISSは,PC・スマートフォン周辺機器を扱う「ARCHISITE」という,こちらも日本の会社のブランドです。会社自体は2001年創業で,自社ブランド「ARCHISS」は2008年から取り扱いを始めているそうです。「ARCHISS」は,キーボードがメインのブランドですが,HDDやPCスタンドなども含まれるようです。先の「FILCO」よりは後発のブランドですが,会社自体は創業から売上を伸ばし続けていて,十分な実力派といえそうです。
これら2つのブランドについて,それぞれいくつかの製品サンプルが置いてありました。
FILCO: Majestouch 2SCはプライベートで使いたい
FILCOは,具体的な製品名を忘れてしまいましたが,ARCHISSより多くの種類が置いてあったと思います。
なかでも,「Majestouch 2SC」は,アサギ色の筐体がとてもよかったですね。
いい意味でキーボードらしくないというか,軽い見た目で,プライベートで使うには良さそうでした。あと,これは個人的な推しポイントですが,ファンクションキー機能があって,それぞれのキー前側に機能のイラストが描いてあるのがいいですね。
今使っているThinkpad X1 Carbonでは,Fnキーとの合わせ押しで音量調節や画面輝度調節できるのですが,それを外付けキーボードでも使えるのがグッドポイントだと感じました。
Majestouchのほかにも,いくつか置いてありましたが,こちらは,研究室ではなく,下宿で使ってみたいようなキーボード(デザイン的に)が多かったですね。
ARCHISS: Maestroに惚れる
一方,ARCHISSは,展開する3つのメカニカルキーボードすべてが置いてありました。3つのモデルとは,具体的には以下の通りです。
- Progres Touch RETRO [スタンダードモデルメカニカルキーボード]
- Quattro [ポインティングスティック搭載メカニカルキーボード]
- Maestro [プレミアムモデルメカニカルキーボード]
それぞれ,詳しい仕様や性能については,以下の公式ページに譲りますが
結論からいうと,私は,「Maestro(マエストロ)」というモデルに惚れました。
理由は3つあります。
1つ目は,シンプルだけど,ちょっと高級感のあるデザインです。長く使っていく道具なので,飽きの来ない素敵なデザインというのは,大事なポイントだと思います。グレーのキーキャップが,マットグレーのフレームに映えていて,存在感があって,とてもよかったんです。
2つ目は,キーキャップ上の印字が,「普通」だったことです。これ,ちょっとどういうことかわからないかもしれませんが・・・ハイエンドなキーボードになると,どこか「違った」ところを出して,差別化したいという気持ちになるのか,印字に凝ったデザインを施していることが多いように感じられます。個性を出すにはいいかもしれませんが,研究(仕事)道具として長く使っていくには,ちょっと刺激が多いように思います。
一方,Maestroのキーキャップへの印字は,シンプルで美しい「普遍的」なフォントになっています。Windows XPやVistaといった,自分たちが小中学生のとき,パソコン室で触れ合ったOSの乗ったPC付属のキーボードの印字,あれと近いものを感じます。
3つ目は,打鍵したときの手とキーキャップとの馴染みがイチバンよかったことです。上2つの理由ももちろん大事ですが,やっぱり最後はここで決めるんだと思います。少なくとも,今回訪問したビックカメラ駅西店に並んでいたキーボードの中では,こいつがイチバン手になじみました。艶消しで光沢のないキーキャップが,自分の手にしっくり来たのです。
*
このほか,Quattroというモデルも,デザイン・スペック的にはほとんど同じですが,ポインティングスティックがついていました。これは,Thinkpad X1 Carbonのポインティングデバイス(いわゆる赤ポッチ)と同じものです。
人によってはQuattroの方が便利かもしれませんが,このモデルのコンセプトは「キーボードとマウスの融合」です。省スペース化を図るため,テンキーが省略されています。この構造では,研究室での使い方(マウス+テンキー活用)には合わないので,今回は選択肢から外しました。
最終的に購入したキーボード
そういう経緯で,ARCHISSのMaestroにすっかり惚れてしまった私は,その場で購入を考えました。
こういったPC周辺機器は,Amazonや楽天など,ネット通販で買った方が安い場合もあります。ただ,こちらのMaestroについては,特に,私の求めている
- JIS配列
- フルキーボード(テンキー付き)
において,ビックカメラでの店頭価格とネット通販上での最低価格がほぼ同じ(もしくは店頭の方が安い)状態でした。また,茶軸については,Amazonなどでは,軒並み品切れだったのです。どのキーボードでも,茶軸はもっともスタンダードなので,つねに在庫薄の状態のようです。
幸い,こちらのビックカメラ名古屋駅西店には在庫があるようだったので,それならもう購入してしまおうと思って,お目当てのモデルを購入することにしました。
ARCHISS「Maestro FL (茶軸) – JIS配列」
購入したのはARCHISS「Maestro FL (茶軸) – JIS配列」です。
正式な商品名「ARCHISS Maestro FL メカニカル フルキーボード 日本語JIS配列 黒ボディ・グレーキーキャップ モデル」
型番(JANコード)は「CHERRY MX 茶軸:AS-KBM08/TGBA(4582353587354)」です。
レジでカードを渡して,1分ほどで店員さんが持ってきてくれました。テンキーのついたフルサイズのキーボードなので,なかなか存在感のある,横に長い箱に入っていました。
お値段,税込み17,985円也。値段には糸目をつけないことに決めていたので,そんなに高いとも,惜しいとも思いませんでした。
お金を払ったら,その長い箱をビックカメラの茶色い袋に入れてもらって,大事に大事に持って帰りました。
開封の儀
下宿に帰ったら,もう夜になっていました。
キーボードをはやく開封したい気持ちを抑え,まずは夕食で空腹を満たしました。
そして,心を落ち着けたところで,いざ開封へ。
まずは外箱。「Maestro FL」の文字がかっこいいですね。外箱は,キーキャップのグレーと同じような色になっています。イマドキなシンプルさが,洗練されている感じを醸し出しています。
ゆっくりと開けます。
黄色く塗られた内箱に,
プラカバーで大事に守られたキーボード。ついにご対面です。
キーボード手前にあるのは,付属品が入っている箱のようです。開けてみると,片側の箱は空っぽでした。もう片方の箱に,以下の付属品が封入されていました。
- USBケーブル(USB A ⇔ Mini B)(専用ケーブルバンド付属):1本
- USB-A →USB-C 変換アダプタ:1個
- キーキャップ引き抜き工具:1個
- 交換用キーキャップ(計5個)
ESCキーキャップ(通常フォント):1個
CapsLockキーキャップ(段差有/LED窓無):1個
Ctrl(段差有/LED窓無・段差無/LED窓有):各1個 ※DIP1 ON時に利用
CapsLockキーキャップ:1個 ※DIP1 ON時に利用
Mestro FLは,キーボード側がUSB-miniB端子,PC側がUSB-A端子での接続です。これに加えて,USB-A→USB-C変換アダプタも付属していて,USB-C端子での使用もできるようです。
キーキャップ引き抜き端子は,機械式キーボードならではですね。これをつかって,キーキャップを交換したり,掃除したりできます。長く使っていくためにも,これをつかって定期的に手入れしたいですね。
交換用キーキャップは,基本設定から設定を変更した場合に使うものだと思われます。ちなみに,交換用ESCキーは,デフォルトだと「ARCHISS」のロゴ入り・赤色のキーキャップになっています。これでも「ESC」動作するのですが,気になる方のために,交換用ESCキーが入っているのだと思います。私は特に気にならないので,赤色のまま使うことにしました。また,基本設定からの変更もありませんので,交換用キーキャップの出番はなさそうです。
Maestro FL 本体の写真
以上,開封の儀と付属品の紹介でした。それでは,いよいよ本体の登場です。
まずは全体写真。マットブラックな本体に,グレーのキーキャップがよく映えています。左上,ESCキーの部分が赤くなっていますが,これが先ほど書いた「ARCHISS」のロゴ入りキーキャップです。
拡大してみるとこんな感じ。ここだけ赤色なのは,統一感に欠けそうな気もしますが...「紅一点」で個性を感じられて,私はいいなと思ったので,交換用(通常の「ESC」と印字された)キーキャップは使用せず,このまま使うことにしました。
キーボード表面へ近づいてみてみます。ビックカメラで試打したのと同じように,表面の感触は絶妙です。クラシックなデバイス感を含みつつ,モダンな雰囲気を醸し出しています。キーボードと呼ぶより,「職人道具」と呼んだ方が相応しい出で立ちです。
テンキーの方の配列を見てみます。日本語配列・108キーと呼ばれる,私にとってもっとも馴染み深い配列です。テンキーはもちろん,「Home」「End」や「PageUp」「PageDown」といった,テキスト編集に便利なキーたちも,整然と定位置に並んでいます。
テンキー上側には,モード切替時に光るLEDインジケータが搭載されています。これは,Windowsユーザーで,文字入力の多い私にはあまり出番のないものでしょうが,無駄のないデザインで悪目立ちしていません。インジケータのうえには,「MaestroFL」のロゴが白文字で印字されています。左横,よく見てみると
No others needed…
の文字が。直訳すると「他にはなにも必要ない…」の意。ようするに,至高のキーボードだというわけです。お店で見ていたときには気づきませんでしたが,このキャッチフレーズ,なかなか粋ですよね。
下宿で試打してみた感想
それでは,動作確認の意味も込めて,ThinkPadに接続してテキストを書いてみます。
まず,狭いデスクの上に置かれたノートPCに接続すると,こんな具合になります。
さすがにデカいですね..。下宿の狭いデスクだと,フルサイズは存在感がありますぎます。まあ,これは研究室の広いデスクで使うので,今は狭くて全然問題ありません。
接続は,USB-MiniB(キーボード)→USB-A(PC)と行いました。ケーブルは長いですが,専用ケーブルバンドがあって,不要な部分をまとめることもできそうです。
Windows11にバージョンが上がっているThinkPadですが,MaestroFLを正常に認識しました。次いで,すべてのキーを認識しているか確かめるため,ブラウザで動くキーボードチェッカーでキーを順番に打ってチェックしました。動作は正常でした。これで準備完了。
打鍵感を味わうため,ブラインドタッチの習得でお世話になった「e-typing」の長文タイピングをやってみました。そのあと,ブログ記事(この記事の一部)を書いてみました。
正直いって,めちゃくちゃ気持ちいいです。まさに,求めていた打鍵感でした。
入力作業はどうしても疲れるものですし,ノートPCの画面が大きくないので,疲労感がまったくなくなったかといわれるとそうではありません。ただ,「入力が楽しい」ので,作業のモチベーションはめちゃくちゃ高まりました(この記事がこんなに長くなっているのは,そのせいです)。
もちろん,入力速度は1.1倍くらいになった気がするので,効率自体も上がっているでしょう。身体に合った道具を使うって大事なことなんですね。
下宿だとデスクが小さいので,このサイズのキーボードをは使いづらいです。テンキーもブログを書くだけだとほとんど不要です。したがって,下宿用のキーボードを選ぶときには,TKLのキーボードを選びたいですね。
打鍵のようすを撮影した動画
「e-typing」にて長文タイピングしているようすを動画に撮影してみました。茶軸のメカニカルキーボードはこんな音がします。
iPhoneで夜な夜な適当に撮った動画なので,散らかっているのとか振動とかはご容赦願います。
メカニカルキーボードって,よ~く打鍵音を聞いてみると,ちゃんとバネが戻る音が反響しているんですよね。「ッォーン…」って感じで聞こえます。
それと,動画を観ると,キーボードの打鍵面が,ゆるやかに湾曲していることにも気づきます。キー配列の上の方ほど高さがあり,下の方ほど低めになっています。このカーブによって,ノートPCのキーボードにはない,軽い打鍵感が得られます。手首も疲れません。
研究室にセッティング→現在活躍中です
以上のように,Maestro FLは正常に動作することが確認できました。
翌日からさっそく,研究室に持っていきました。この快適な打鍵感を下宿で得られないのは残念ですが,,,それはまた下宿用にキーボードを買うということで,今は我慢です。
デカい箱をなんとかザックに入れて,小雨の降る中傘をさして,いつもより慎重に歩きました。
研究室に着いたら,箱から出してさっそくセッティング。以前のキーボードと,サイズがほとんど同じだったので,すんなり収まりました。
設置したら,下宿と同じように,USB-Aへと接続しました。接続してみると,正常に動作しました。
昨日テストできなかったテンキーの動作確認もしました。テンキーは,ブログを書くにはほとんど不要ですが,研究では頻繁に使います。
で,ちょっとだけわかりにくかったのが,この「NumLock」の動作です。NumLockキーにはLEDインジケータがついていますが,接続時の初期設定だと「オフ(インジケータ消灯)」になっています。このままだと,テンキーは数字入力できず,矢印キーやHome,PgUpといった,下側に印字されている動作をしました。それで,NumLockキーを「オン(インジケータ点灯)」状態にすると,テンキー入力により数字を入力できるようになりました。
「NumLock」の名前からは,「Number」を「Lock」すると考えがちで,それが「オフ」であるということはすなわち,「Number」を「Lock」しないのですから,テンキーが正常に動くものと考えがちです。しかし,実際はその逆でした。
ほかにも,MaestroFLには,インジケータのついているキーがいくつかあります。NumLockでちょっとだけハマってしまったので,他のキーもついでに動作を確認しました。インジケータのついているキーと,動作の関係は次の通りです。
Maestro FL(日本語配列)におけるインジケータと動作の関係(抜粋,WindowsOSについて)
https://archisite.co.jp/products/archiss/maestro/fl-jp/
【CapsLock】
点灯時は、Capital Lock(大文字入力に固定)されます。
【NumLock】
WindowsOSでは、点灯時にテンキーエリアの数字入力が可能になります。消灯時は、数字の下に印字されたキー操作になります。
【ScrollLock】
WindowsOSでは、点灯時に矢印キーの操作がスクロール動作に固定されます。ScrolLockキーを押して切り替えが可能です。(※Excelなど一部のソフトに限られます。)
ちなみに,このインジケータは,輝度の調整(4段階)およびON/OFFが可能でした。邪魔だったら消灯させることもできるのですね。私は,点灯のまま使っています(詳しいやり方はマニュアルを参照)。
*
以上の動作確認・セッティングを経て,現在まで快適に使えています。
キーボードは研究室にいるときは(実験やっているときを除いて),触らない日はありません。もうすでに,英語の論文を直したり,入試用のパワーポイントを作ったり,研究報告資料を作ったりと,大車輪の活躍です。そういうわけで,もうかなり手に馴染んできました。やっぱり,前のキーボードよりもスムーズな入力ができて,入力効率は上がっていると思います。
効率以外にも,「自分でじっくり選んだ,お気に入りの「仕事道具」を使っている」ということも,モチベーションや作業意欲を高めているように思います。
まだ使い始めてから1カ月も経っていませんが,十分に満足しています。いいキーボードに出会えて幸せです。こうなると,下宿でブログ書く用にも,キーボードが欲しくなってきましたね(沼)。
*
ちなみに,助教の先生も,同じARCHISSのキーボードを使っているようです。見た感じだと,たしか「ProgresTouch RETRO」だったと思われます。助教の先生も使っているなら,間違いないですね。打鍵音も自分と同じような感じなので,おそらく「茶軸」でしょう。研究が超できる助教の先生が使っているなら,間違いありませんね。ARCHISS最高。
*
以上,研究用のハイエンドキーボードについて書いてきました。
買うことを考えた経緯から,キーボードの勉強,そして実際に購入するときの話まで書いていたら,2万文字超の記事になってしまいました。最後まで読んでくださった方に,少しでも参考になっていれば幸いです。
また,1年くらい経ったら,使用感などについてレビューしようと思います。
いい道具を使って,研究の生産性を上げていきたいですね。
論文,書くぞ!
2024.8.27追記:現在は,フルサイズの「Maestro FL」が販売終了となっているようです。省スペースでテンキーがついた「Maestro 2S」のみ販売を継続しています。
(おわり)