PENTAXのK30において,「銀残し」や「モノクロ」で撮ったRAWデータをLightroomで現像しようとすると,カスタムイメージが表示されなかった。
これは,Lightroom側でPENTAXのプロファイルがないことが原因のようだ。
PENTAXといえば,コアなファンを抱える著名なブランド。「カスタムイメージ」も,Adobe Lightroomであれば,難なく表示できると思ったのだが・・・ダメだった。
PENTAXのカスタムイメージ
PENTAXの「カスタムイメージ」は素敵だ。
PENTAXの一眼レフには,「雅 -MIYABI」や「銀残し」など,ふつうの撮影では出せない雰囲気を出すことができる,魅力的なカスタムイメージが揃っている。
自分は,特に「銀残し」で撮影された写真が好きだ。カラー写真は,ついつい彩度を上げて現像したくなるが・・・「銀残し」であれば,うっすらと残ったsilverな味を引き立てたくなる。
Lightroomに反映されない!
そんなカスタムイメージで撮った写真は,より完成度を高めようと,Lightroomで現像したくなる。
今回自分は,K30の「銀残し」や「モノクロ」で撮影したRAWデータを,Lightroomで現像しようとした。
しかし,Lightroomでは,これらのRAWデータのカスタムイメージが反映されず,ふつうのカラー(Adobeカラー)と同じように表示されてしまった。
以下に示すような具合だ。左上の写真は,「銀残し」で撮影したはずなのだが,ほかの写真と同じくAdobeカラーで表示されている。
「カメラマッチングプロファイル」の有無
この原因を調べてみると,どうやら,AdobeではPENTAXのカメラがサポートされていないようだ(一部機種を除く)。難しいことはよくわからないが,プロファイルとかなんとかが,RICOHからAdobeの方へ提供されていないみたい!
Adobeがサポートするカメラを見てみると,K30では「カメラマッチングプロファイル」というものがサポートされていないようだ。
カメラ | 使用可能なカメラマッチングプロファイル | 拡張子 |
K-30 | × | DNG |
PENTAXでカメラマッチングプロファイルが使えるのは,645Z,K-1,K-1 II,K-3 II,K-7,それに最新型のK-3 IIIのみ。いずれも上位機種だ。
参考:Camera Rawがサポートするカメラ- Adobe
PENTAX以外は対応しているのに・・・
一方で,PENTAX以外に目を向けてみると・・・
CannonのEOSやNikonのD,Zシリーズ,SONYのαシリーズ,FUJIFILMのXシリーズなど,メジャーなメーカーの一眼レフ・ミラーレス一眼はほとんど「対応可能」となっている。PENTAXのように,「×」の方が多いなんてことはない。見渡すかぎり「○」ばかりだ。
これは,Adobe側の問題なのか,RICOH側の問題なのか,よくわからない。
Lightroomをはじめとした,AdobeをつかうPENTAXユーザーはそれなりにいるはずなのに,ずいぶん冷ややかな対応だ。
対応している上位機種のプロファイルについても,以下に示すような記事では,必ずしも「抜群に使い心地がいい」というわけではなさそうだ。
おまけに,「銀残し」をはじめとした一部のカスタムイメージは対応していない模様。明らかにほかのメーカーより見劣りしているようだ。
【そのほか参考にした情報】
LightroomにPentaxのカメラプロファイルが増えた!
【Lightroomテクニック】カメラの色を活かしてクオリティアップする部分補正
もちろん,NikonやCannon,SONYに比べれば,ユーザーのボリュームは小さいかもしれない。それでも,PENTAXくらいであれば対応してくれてもいいのでは?と思う。
とりあえずの解決策
上位機種は(一応)対応しているのだから,上位機種を買えばいいじゃない!という暴論は傍に置いておいて,とりあえずの解決策を2つ紹介する。いずれもJPEGとして書きだす方法だ。
RAWをカメラ内で現像する
細かいパラメータの調整が不要であれば,RAWで撮ったデータをカメラ内で現像することができる。
データ再生画面で,下カーソルを押すと,メニューの中に「RAW展開」というものがある。これを押して,JPEGに書き出すことができる。
この場合は,いわゆる「撮って出し」に近い状態だが,
- 高感度NR(ノイズ低減)
- シャドー補正
を粗く行うことはできた(3段階)。
カメラの絵作りを純粋に楽しむというのであれば,この方法でも十分いい。
おすすめ: PENTAXの単焦点レンズFA31mm F1.8AL Limitedを買った
RAW+JPEGで撮る
もう1つの解決策としては,RAWに加えてJPEGで撮影することだ。
PENTAXの一眼レフには,RAW+JPEG同時撮影の機能があるので,「カスタムイメージ」で撮るときは,この機能をONにすればいい。
撮影したJPEG画像は,Lightroomでレタッチできる。
たとえば,「銀残し」で撮ったJPEGをLightroomへ追加すると,以下のようにきちんとカラーが表示された(右上の写真)。
あとは,LightroomをつかってJPEG画像をレタッチしていけばいい。
この方法では,RAW画像ほどの補正はかけられないが,カメラ内展開よりは自由度が高い。
この方法の懸念点としては,SDカードやハードディスクの容量が圧迫されることだ。そこを気にする人にとっては,ちょっと嫌な方法かもしれない。
(でも,自分はもう何万枚と撮影してきているので,少々データが増えるくらいは気にならない。しかも,高品質・高速動作可能なSSDが安価で買えるようになってきている。)
参考記事: 一眼レフ撮影・現像データの保存方法メモ【HDD・クラウドの併用】
まとめ:どうなるPENTAX…
以上,PENTAXで撮影したカスタムイメージのとりあつかいについて書いてきた。
冒頭でも書いたように,PENTAXのカスタムイメージは,スマートフォンや他機種ではできないような独特の絵作りができて,撮っていて楽しい機能だ。
ただ,Lightroom上でRAWデータを触れないのはちょっと寂しい。JPEGデータのレタッチはできるけど,RAWデータに比べるとその自由度は落ちる。せっかくいい写真に仕上がりそうなカスタムイメージのRAWデータも,現像で100%理想にまで持っていけないのは残念だ。
そんな残念なところを差し引いても使っていきたい「カスタムイメージ」だが,この先,PENTAX(というかリコーイメージング)はどう対応していくのだろうか。そもそも,一眼レフ事業に対してどういう姿勢で向き合っていくのだろうか。
とにかく,ひいきにしているファンに肩すかしを食らわせないよう,頑張ってほしい。
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