今後の個人ブログ運営|ブログの内容をひとことで表せるか

専門内容を確立できれば検索上位に表示される。そうでないならネットの片隅に埋もれるしかない。

Google検索上位に個人ブログが表示されるようになってきた

2023年10月のGoogleコアアップデート以降,しばらくの間,Google検索の結果に個人ブログがほとんど表示されない状態が続いていた。詳しくは,以下の記事に書いた。

個人ブログに未来はあるか:Googleコアアップデートに伴う検索データ変動分析

それからおよそ10カ月後,2024年8月頃のアップデートによって,少しずつ個人ブログが検索上位に戻ってくるようになってきている。実際,ちょっとニッチなキーワードでWebを検索すると,公式サイトの間に,個人ブログが表示されることがわかる。

しかしながら,個人ブログで,キーワードに合致した記事であっても,必ずしも検索上位に出てくるわけではないこともわかってきた。

上位表示される個人ブログの特徴

現在では,Google検索で上位表示される記事は,

  • ①企業や団体・サービス事業体などの公式HP
  • ②プラットフォーム上の記事・エントリ(note,Ameba,FC2,はてな)
  • ③検索キーワードに合致したジャンルをあらわすタイトルを含むサイトの記事

といったサイトであることが多いように観察される。それぞれについて,もう少し詳しく書こう。

①は上述のコアアップデートで話題になった通り。内容はともかくとして,権威があれば上位にランクされる,という傾向は依然として強いようだ。

②については,特にnoteの記事が目立つようになってきている。さらに,AmebaやFC2ブログといった古参勢力もちらほらと見かけるようになった。②は,数年前まで,Wordpressの個人ブログに押し下げられていたブログたちだ。とりわけ①に関する記事が少ない二ッチなジャンルで,②の上位表示が目立つようだ。

②が上位表示される理由としては,

  • 公式サイトであるがゆえに,権威がある(信頼できる)とみなされている
  • 個人ブログにいた実力ある書き手が,note(をはじめとした外部プラットフォーム)へ移り始めた

という2つが考えられる。

③はちょっとわかりづらいので,具体例を挙げる。

たとえば,18きっぷをつかった鉄道旅について調べようと思ったときに,「18きっぷ (地名)」と検索する。そうすると,①②以外の個人ブログもヒットする。これらのブログタイトルには,「~旅」とか「~Railway」とか,旅行や鉄道に関連する「キャッチフレーズ」のようなものをふくむサイト名が付けられていることが多い。あるいは,副題にそうしたキーワードをふくむことが多いようだ。

すなわち,「ブログの専門性と記事内容とが一致している」場合には,①②以外であっても,上位表示されるということだ。

このことから考えると,上記①にも②にもあてはまらないような個人ブログが,Google検索で上位表示を目指すなら,「あなたのブログに書いていることをひとことで表すと?」という質問に対して,明確に答えられなければならなくなってきているといえる。

残念なことに,この質問に答えられない場合,たとえば(このブログのような)「雑記」ブログの場合は,たとえ,記事内容が正確かつ豊富であったとしても,サイトの専門性と合致していなければ,検索上位には表示されなくなっているのだ。

検索で専門家の意見を求めるのは当たり前

隆盛を誇った「雑記」ブログが下火になるのは,(私をふくめた)なんの専門性もないブログの書き手にとっては残念なことだ。たとえ検索流入であったとしても,誰かが読んでくれる,というモチベーションが失われるからだ。

しかし,「情報収集」という観点から考えてみれば,むしろ好ましい状態であるともいえる。なぜなら,「情報収集」において,ユーザは専門家の意見を読むのがもっとも効率がいいからだ。

たとえばインターネット黎明期には,低速ではあるものの,少数の価値ある情報が提供されていたようだ。これを提供する書き手は,いわばハイアマチュアだった。そうでなくても,書き手はきっと,価値のある情報を,という気持ちをもっていたに違いない。おかげで,欲しい情報を検索すれば,どれだけ二ッチなジャンルでも,芯を喰うサイト・記事が見つかっていたと想像される。

また,同様にして,「書き手に専門性があれば,情報収集の効率が上がる」,という状態を実現しているGoogleのサービスがある。

それは,「Google Scholar」だ。研究者にはおなじみの論文検索ツールである。じぶんが欲しい情報について,いくつかのキーワードを(丁寧に吟味したうえで)入力すれば,世界中の研究者が書いた論文のなかから,探している情報をふくみそうな論文を見つけてきてくれる。

論文の書き手は「研究者」で,研究者はさまざまな分野の専門家だ。彼らの生産する論文は,その専門分野のなかでしかありえない。それゆえに,検索でヒットした論文は,必然的に,読み手に価値ある情報をもたらす。専門家の書いた情報しかないから,情報にたどりつくまでの障壁が少ない(ほとんどない)状態が実現されている。

これに対して,もし,居並ぶ研究者の論文に混ざって,素人が書いた低質な記事が入っていたらどうだろう。これは,インターネットが一般ユーザに広く普及してからのWebの状態にほぼ等しい。

低質な記事が少なければ(S/N比が低ければ),ユーザはそれを「ノイズ」として無視できる。しかし,その低質な(専門性の低い書き手による)記事がふえてしまえばどうなるだろう。S/N比が増大し,情報収集の効率は著しく低下するに違いない。

書き手に専門性がある状態のWebでは,読み手の欲しい情報がすんなり見つかるはずだ。それが,最近では,アマチュアの日記や金儲けだけを目論んだ低質な情報サイトによって崩された状態になってしまった。最近のGoogleアップデートは,そんな「情報が見つかりづらい」状態を是正するために,「専門性」と「権威」に信頼を与えよう,という方向で動いていると考えられる。

個人ブログの2つの方向性|専門家になるか,それともネットの片隅に埋もれるか

ここまで考えてきたことを踏まえると,個人ブログがとるべき方向性は2つに分かれる。

1つは,このまま検索上位に拘り続けて,Googleに気に入ってもらえるよう,ブログの専門性を高めていくことだ。この方法として,たとえば,ブログタイトルやキャッチフレーズに,キーワードを盛り込んでいくことが考えられる。一見すると簡単そうだが,「価値のある」情報を継続的に発信していくことが求められる。

そして,ジャンルを絞るほど,これまで蓄積してきた「ジャンル外れ」の記事たちが,検索で上位表示されなくなる。要するに「取捨選択」を求められる,ということだ。

2つ目は,専門性を定めないまま,検索上位を諦めて,ネットの隅っこで細々と好きなことを思うままに書き続けることだ。この場合,自分の意のまま・気の向くままの内容を書けるから,記事数の増加にともなって「色」が濃くなる。

ただし,専門性は確立されないから,上述の背景に基づくと,検索からのアクセスは見込めなくなる。今後しばらくは,ネットの片隅に埋もれたままの状態を覚悟しなければならない。

一方で,ブログの「色」「個性」は出てくるから,運よく,自分と「似た人」が見つけてくれれば,長期的にみて読者になってもらえる可能性が残されているとも考えられる。こうやって見つけてもらえる可能性は,(検索流入に頼る場合)検索上位に表示される場合とくらべて格段に低くなるだろう。

したがって,好きなように書きながら読者を得たいのであれば,かなり長期にわたって書き続けなければならないことを,覚悟すべきだ。

今後,個人がGoogle検索で上位表示を狙うなら,ブログ内容をひとことで表せなければならない。さらに,その内容に合致した「キーワード」「ジャンル」にあった記事が投稿されなければならないと考えられる。

ただ,検索需要が減少する時代にあえて「Google検索で上位表示を狙う」という方針がいいかどうかは,よく考えた方がいい。Googleの方針は,経営者や技術者の考え方1つで,数年単位で変わっていくからだ。

検索需要がなくなる時代に「個人ブログ」をつづけるには

ブログに書きたいことは山ほどあるけど

ブログを書くなら匿名のほうが気軽でいい