岐阜から、日本海と太平洋の分水嶺・宮峠をこえ、
県境を越えて富山へ行く高山本線は、特急優先でダイヤが組まれている。
したがって、ただ単に名古屋方面と富山方面を行き来するなら「特急ワイドビューひだ」を利用した方が賢い。
しかし、せっかく青春18きっぷが使える期間なので
あえて、鈍行列車で景色を眺めながら富山へ行ってみることにした。
名古屋に住んでいながら、今回が初乗車の高山本線。
険しい山の中を進む気動車の車窓を,あえて鈍行列車でゆっくり楽しんだ記録。
近郊区間|東海道線・高山本線~美濃太田
僕は名古屋在住なので、高山本線に乗るためには
まず東海道本線で岐阜まで行く必要がある。
名古屋→岐阜|いつもの新快速
313系、新快速大垣行
いつも名古屋から西へ行くときにはお世話になる。
JR東海の主力車両、東海道本線を120km/hで快走。
性能がいいからなのか、線形がいいからなのか、とても120km/hも出ているような雰囲気がない(良い意味で)。
振動も騒音もめちゃくちゃ少ない。
同じ「新快速」でもJR西の新快速223系とは似て非なる(?)列車だと感じる。
223系は120km/h~130km/hで走る時、「今、120km/hで走ってます!」と車両全体で訴えかけてくるようなイメージがある。
313系よりもモーターの音が、車内へ響いてくるからだろうか。定かではない。
僕が前面にかじりついていると、横にいる鉄道好き少年(おそらく小学校低学年ぐらいだろう)が、興奮した様子で前面を食い入るように見つめている。
付き添いのおばさん?にいろいろと知識をぶちまけている様子が可笑しい。ところどころ間違いがあるけれど、よくきいてみると地理の知識量はかなりのものだ・・・!
自分も小さい頃は地図ばっかり見てたので、なんだか幼い頃の自分を見ているような感じがした。
そんなやりとりを眺めながら岐阜駅に到着。
岐阜から高山本線普通列車
岐阜に降りるのは、小学生のとき以来かも。
いや、たしかそのときは「名鉄岐阜」で下車した記憶がある。
ということはJRのホームに降り立ったのは実質初めてだ(いつもは通過するばかり)
大垣や米原へ行く車内から眺めている岐阜駅のホーム。
整然と並んだホームが、どこか単調な気もする。
大垣まで向かう東海道本線新快速に別れを告げて、岐阜から延びる高山本線へのりかえ。
発車標には、普通列車と特急「ひだ」の案内。
【午前中は古虎渓駅に行ってました】
【秘境駅】JR中央本線古虎渓駅にて通過列車を動画で撮影【2019春の18きっぷ旅番外編】
高山本線のホームへ行くと、待合室で多くの人が待っている。おそらくこのあとの普通列車を待っているのだろう。
まもなく美濃太田方面の上り列車が入線してきた。
非電化線なのでディーゼルカー。
JR東海の新車、キハ25系の普通列車だ。
313系と外観が全く同じだ.
唯一?ディーゼルカーなのでパンタグラフがないのが,外見ぱっと見てわかる違い。
この列車がそのまま高山方面への普通列車として折り返す。
普通列車には、下車客と入れ替わるように
待合室から大勢の乗客が乗り込んでいく。
出発までの待ち時間に、反対側ホームへ名古屋行きの「ひだ」が入線してきた。
パワー満点のアイドリング音を立てながら、停車。
「ひだ」は名古屋発着の高山本線特急列車.
岐阜駅にて方向転換してスイッチバック方式で名古屋まで走る。
こうやって近くでみるとカッコイイ。
JR東海特急「しなの」「ひだ」のWエースは健在だ。
「ひだ」の車内はかなりの乗車率。
外国人が沢山乗っている。高山・下呂観光の帰りだろうか?
ホームで写真を撮っていたら、出発時刻が迫ってきた。
これから乗車する
岐阜:11:45→高山15:27
2両編成のワンマンカーはどっさりと乗客を抱えている。
1日数本しかない普通列車だから混雑するのは当たり前かもしれないが、それにしても沢山乗ってるなあ・・・
まあ、最初ぐらい座れなくても美濃太田ぐらいまでで座れるだろう。
この列車は高山から猪谷、そして富山方面へ好接続の数少ない普通列車。
今日は正午前の岐阜出発。富山到着時刻から逆算するとまともに接続(普通列車同士)がとれているのはこの1本(4717C)のみだった。
残りの普通列車に乗ると、どこかの駅で長時間の乗り換え待ちが発生する。
特急優先だし、わざわざ鈍行で行くような区間でもないし
接続が悪いのはしょうがない。
美濃太田までは街のなかを走る区間
岐阜からしばらくは、近郊区間の様相。
途中までは名古屋の私鉄「名鉄」が並走。新那加、新鵜沼など、「新」と冠している名鉄の駅名の方が、JRの那珂・鵜沼よりも利便性が高くなじみ深い。
実際名鉄は、この区間は電化複線で優等列車も多い。
そんな電化複線を走る名鉄線を横目に、JR東海キハ25はゴトゴトと架線のない非電化線を走って行く。
岐阜を出たときは満席だったが、各務ヶ原につく頃には着席できた。
街の名前は各務原(かかみがはら)市
若い人は「みっぱら」と呼ぶらしい。
岐阜からの短区間利用者もそこそこいるようだ。
今日は雨。暗い車窓だが、咲き始めた桜で多少華やいでいる。
難読駅名「坂祝(さかほぎ)」
(最初見たときはどうやって読むかまったくわからなかった)
美濃太田までごく普通の住宅地の沿線だった。
名古屋・岐阜あたりの住宅街がそのまま続いている感じだ。
美濃太田からは中央本線多治見駅までのびる「太多線」が分岐する。
高山本線唯一の乗り換え駅。
美濃太田まではIC乗車券も使えるし、近距離利用客が多い区間。
美濃太田にて21分停車。運転手も交代。
元鉄道マンと思しきオッサン客が、運転士になにやらマウントをとりながら高山本線のダイヤについて持論を展開している。
出発までしばし待つ。
大自然の中をゆく!高山本線絶景区間
飛水峡と並走、温泉街下呂へ
ロングシートにまだまだ多くの乗客を載せたまま、高山方面へ出発。
美濃太田より先からは高山本線の「本領」。絶景、険しい山の中を縫うように走って行く。
名古屋=岐阜=富山を貫く大動脈・国道41号線と並走しながらじわじわと上り勾配をゆく。
徐々に沿線の景色が変わってきた。
車窓に緑が増えてきた。カーブも多い。
うねうねと線路は蛇行するようになった。
下麻生や白川口は、山の中にある人郷という雰囲気。
部活帰りの学生が、ここら辺でたくさん下車していった。
下呂までの見所は進行方向右側の「飛水峡」
剥き出しで高さのある岩が、川を挟むように反り立っている。
水かさが増えれば、たしかに「水が飛ぶ」ような急峻な渓谷だ。
その後も飛水峡沿いを進んで行く。
この川は「飛騨川」。木曽山地の西側、飛騨高地から流れ出ている。
中央西線も、寝覚ノ床あたりまでは川沿い(木曽川)を進むけど、それよりももう一段山深い。
[参考記事:2018春18きっぷ旅①中央本線で東京へ]
橋・トンネルが連続する。キハ25はエンジンを蒸かしながらグングン進む。
さすがJR東海の車両とでもいうべきか、高性能で、勾配を苦にしていない感じ。
ただ、性能はいいんだけど・・・ロングシートなのが唯一の欠点。
景色を全力では楽しめないのがちょっと残念。
それでも片方の車窓は常に見えているから、まあちょっと身体をよじってたまに反対側を見ればそれでいい。
美濃太田から1時間弱で下呂に到着。
言わずもがな下呂温泉の下呂。乗客の半分以上(観光客だろう)が降りていった。下車客と入れ替わるように、湯上がりの乗客が乗ってきた。
宮峠を越えて、高山へ
下呂では到着後すぐの発車。
いよいよ下呂から、峠越えの区間。
日本海と太平洋を隔てる「宮峠」を越えていく。下呂の街を抜けていくと、また山中を走る。
下呂までの区間よりも多少勾配がきつくなった気がする。
途中でひだ12号と交換。本日2本目の交換。
雨がシトシトと降っている飛騨荻原駅。
ここで意外にも乗客が結構な数降りていった。
時刻表を確認するとどうやら1日数本「ひだ」も停車する主要駅のようだった。
宮峠の足下・久々野駅。
ここで20分弱停車。普通列車と上下の「ひだ」をやり過ごす。
しばらくぶりに外へ出てみた。
雨が強くなっていて寒い。
名古屋より標高が高いせいかだいぶ寒い。
上りの特急ひだ14号がやってきた。一度停車したが、ドア扱いはない。信号が替わるとすぐ出発していった。
そのあと上りの普通列車4718C(美濃太田行)到着。4718Cの出発は15:09,僕の乗っている下り列車はそのあとすぐ15:10に出発する。
しかし今日は高山本線のダイヤが全体的に遅れているようだ。
もうすぐやってくるはずの下り特急ひだ11号がなかなかやってこない。
単線区間が長い高山本線は、どれか1本列車が遅れると、その遅れがダイヤ全体に波及してしまう。
結局12分遅れてひだ11号が4717Cを追い抜いていった。
待ちかねたように上り普通列車4718Cが出発。
僕も列車に戻って、元いた座席に座る。
ようやく信号が変わって、4717Cは高山へ出発していった。
宮峠への登りにかかる。
R41だと、宮峠手前の上りは強烈で、カーブの続く割合に厳しい上りなのだが・・・
高山本線だと、国道ほど厳しい上りではなかった・・・。
なんだか拍子抜けしてしまった。
長いトンネルに入ったなあと思っていると、どうやらこの長いトンネルが宮トンネルだったらしく
トンネルを抜けると下り勾配にかかった。
写真の通りめちゃくちゃ真っ直ぐのトンネルで、険しいも何もなく”サクッと”峠を越えた。
そのあとは大きなカーブを曲がって、高山へ。
多くの家・まち、山を抜けてきたキハ85やキハ25が多く留置される高山駅へ。少し遅れての入線。
新しくなった高山駅でのりかえ
高山駅で下車、そういえば反対ホームには大阪行きの「ひだ」がいた。
「大阪ひだ」と呼ばれる「ひだ36号」だ。上りの「ひだ25号」とともに、1日1往復のみ運転される東海道線大阪方面へ直通する列車だ。
かつては「大阪しなの」もあったけど、廃止されてしまった。この「大阪ひだ」もいつ廃止されるかわからないから、近いうちに乗りに行きたいな・・・
お腹が空いたので一度改札を出て買い物。
改札すぐ横の小さなキオスクでチョコレートを購入。
JRの境界を越えて日本海側へ
JRの境界駅・猪谷へ
高山駅でのりかえ。定時だと24分ののりかえだけど、4717Cが遅れていたので10分少々。
次の乗車は
高山:15:51→猪谷:16:56
先ほどと同じキハ25。まったく変わらない・・・
富山まで行くには、JR東海とJR西の境界駅・猪谷駅で乗り換える必要がある。
日中のほとんどの普通列車は猪谷駅で好接続。乗換時間少なく行くことができる。
定刻通りに1829Dは高山駅を出発。
ダイヤに遅れが生じていたのは、高山以南の区間のみのようだった。
高山から飛騨古川までは、街が連なっている。(飛騨)古川は結構大きなまちだ。
富山まで直通する「ひだ」は古川には必ず停車する。
古川から先は再び山の中。
ついこの間まで坂上(さかかみ)~猪谷間は豪雨で不通だった。
不通だった期間は、富山から名古屋へは北陸本線と東海道本線で迂回する必要があった。
それほど険しい区間だということだ。
実際に車窓は、洞門やトンネルの連続。
宮峠から日本海へ注ぐ「宮川」沿いギリギリを駆け抜ける。
並走する道路はR41ではなくR471/R360(R41は細江の先で分岐する)
R471/R360はところどころ1.5車線になっている狭い道。
杉原駅を過ぎると、トンネルをこえて富山県に入る。
杉原駅の次が猪谷駅。
猪谷駅から先はJR西日本の管轄区間。
大勢の乗客がそのままのりかえていく。
猪谷でのりかえ、いよいよ終点・富山へ
24分での接続。
その間に猪谷駅の外に出てみる。駅舎は小さいものの趣があって、良い感じ。
駅前には少しの商店と民家があるのみだった。
JR的には区切り駅だけど、まち自体はそこまで大きくないみたい。
ホームへ戻ると富山側にJR西日本の汽車がやってきた。
汽車から降りてきた客は、高山から来た折り返しのキハ25へぞろぞろと乗り換えていく。
入れ替わるように、高山から来た乗客が乗り込んでいく。
背後には大きな山の姿。東側には、立山連峰・黒部ダムがある。もうすぐ富山だ。
のりかえ列車
猪谷:17:18→富山:18:19
ようやくボックスシート。
快適だ・・・
キハ120、JR西日本管轄になり、運転士の制服、ワンマン車内自動放送が変わって良い気分転換になる。
猪谷を出発すると、下り勾配でグングン走る。
沿線には次第に民家の数が増えてきた。
越中八尾駅。「ひだ」が猪谷⇔富山区間で全列車が停車する。
ここまで来るともう近郊区間。鉄道ファンの親子だろうか?
反対側のボックスシートにおさまっている2人組を見ながらウトウト・・・
さすがに疲れてきた・・・
周りも暗くなってきたし、ちょっと眠ると
富山に着いた・・・!(いつの間に・・・)
猪谷から1時間であっという間だった。
新しくなって高架化されたホームへ入線。
これにて高山本線完乗。
まとめ:鈍行でのんびり景色を楽しむ
時間はかかったけど、18きっぷでも1日(半日ちょっと)で富山まで行くことができた。
鈍行列車は特急列車が止まらない駅にも停車して、そこで長時間待つこともある。
そういう時間は特急に乗っているとほとんど無い時間。
でも、たまにはそういう時間があるのんびり列車旅もイイと思う。
また機会があれば、今度は特急「ひだ」にも乗ってみたい。
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次回は2日目。
最初は第3セクターを乗り継いで、富山から糸魚川へ向かいます。
高山本線と同じ,キハ25系は,紀勢本線の普通列車としても活躍しています.