18きっぷ紀勢本線の旅②全行程4時間!新宮発亀山行き普通列車乗り通し

和歌山から紀伊半島をぐるっと回り,三重県は亀山まで続く「紀勢本線」.

ローカル線のイメージが強く,列車の運行本数も東海道本線や関西本線に比べると少ない路線.でも,本線との名前がついているとおり,立派な「幹線」.その距離は300km以上.

今回は,そんな紀勢本線を18きっぷで乗りつぶしてきた話.

後半はJR東海区間,新宮から亀山まで.
キハ25系のロングシート乗り通し

乗り継ぎ待ちで新宮観光

きのくに線105系で新宮に到着した.

きのくに線の様子は①を参照.

13:24に到着,2分の接続で紀伊長島へ向かう列車が待っていたが,これは見送ることにした.

2分で紀伊長島行きと接続をとっている

JR東海のハキハキ指差喚呼

このあと亀山へ向かう1本後の普通列車に乗る.といっても出発は15:31.2時間後だ.紀勢本線のJR東海区間は普通列車も特急列車も本数が少ない.特急「南紀」は2時間に1本程度しかない.

次の列車は2時間後・・・

2時間駅で待っていても暇でしょうがないので,時間まで周辺をブラブラすることにした.

駅前の絶品寿司「徐福寿司」

そういえばまだお昼ごはんを食べていなかった.

2018のGWキャンプツーリングにて,新宮にきたらもう一度行ってみようと思っていた寿司屋さんに行ってみよう.

新宮駅向かい側にある「徐福寿司」.

徐福というのは駅前周辺の地名らしい.

こぢんまりとした店構えだけど,ここのさんま姿寿司とめはり寿司は絶品.

 

もうお昼どきを過ぎていて,店内は僕一人.

熱いお茶をいただきながら,めはり寿司・さんまの姿寿司・昆布寿司を注文.

さんまといえば三陸沖など,東北地方で夏から秋にかけて水揚げされるイメージ.脂のたっぷりのったものを塩焼きで食べるのが一般的だと思う.ただ,夏の暑い季節には保存ができずにすぐに傷んでしまうのが欠点.一方,新宮でさんまがとれるのは冬.冬のさんまは脂の乗りが悪くそのまま塩焼きで食べてもあまり美味しくないのだそう.だから一工夫加えて,保存がきくようにして寿司にして食べるのが新宮流.おかげで年中さんまの姿寿司が食べられるのだ.

さんまの姿寿司はよそでは味わえない酸味の利いた独特の風味を持っていて,一度食べるとまた食べたくなるのだ.実際僕はそうだった.2018年に食べて「これはうまい,また食べに来よう」と思った次第.

さんまの姿寿司について書いてあった張り紙を読んでいるうちに,お寿司が到着.

名前の通り,さんまの姿をした寿司.

絶妙な酸味と塩味がたまらなく美味いのだ...!

と,続いてめはり寿司と昆布寿司も登場.

 

「めはり寿司」は高菜でにぎりめしをつつんだお寿司.高菜は長期間しょうゆベースのたれにつけ込まれ熟成したもの.そこらへんの高菜とは味の深みが違う.

さて,お腹も空いたしいただきます.

 

さんまの姿寿司も,めはり寿司も,なにも付けずにそのまま食べられる.

2018年から1年以上ぶり.

さんまの酸味がうまい!めはり寿司もさんまの主張に負けてない,うまい!

箸休めに昆布寿司も食べながら,あっという間に完食.

新宮で途中下車してよかった,徐福寿司で大満足.また新宮に来たらお伺いします!

駅から歩いて熊野速玉大社へ

おいしいお寿司を堪能しても,時刻は14時過ぎ.まだまだ時間がある.

駅前の観光案内地図を見てみると,またもや世界遺産があるみたい.闘鶏神社と同じ「紀伊山地の霊場参詣道」関連の世界遺産らしい.

熊野三山を構成する「熊野速玉大社」.駅から歩いて15分くらいのところにあるので,食後の散歩がてら行ってみることにした.

歩き始めると,雨が降ってきた.さっきまで曇だったのに.

まあ,雨の神社というのも悪くないか.

紀伊半島をぐるっと回る国道42号を越えて,静かな参詣道を歩くと立派な鳥居を発見.

熊野速玉大社の入口だ.

鳥居をくぐって歩いて行くと,大きな木がある.樹齢1000年を数えるナギの御神木.ナギの巨木なんて初めて見た.左右対称に広がる葉と太い太い幹に感動してしばらく見とれていた.

境内に入って参拝.

屋根の曲線美,朱色が素晴らしい.

雰囲気は九州・大分にある宇佐神宮にも似ているかな?

美しい本殿を眺めてから駅まで歩いて帰った.

途中で熊野川にかかる橋も見た.新宮には熊野川の河口がある.そのすぐ上流にある国道42号にかかっている橋だ.

この橋の向こう側は三重県.

普通列車で新宮から亀山へ

15時過ぎ,コンビニでおやつを買ってから新宮駅に戻ってきた.

18きっぷを見せて,改札を通る.地下道をくぐって2番線へ.

間もなく次に乗車するキハ25形が入線.

亀山までの長距離列車

乗車するのは

334C
普通亀山行
新宮1531=亀山1941

新宮を出て,一気に紀勢本線の終点亀山まで向かう長距離列車.終点まで4時間以上かかる.

紀勢本線のJR東海区間は非電化なので,気動車キハ25形での運行.

ぱっと見は313系.色も形もほとんど同じ.なんでパンタグラフがないの?と思ってしまうくらい.313系と合わせてJR東海の標準普通列車2枚看板.

見た目の違いと言えば前照灯がないこと,パンタグラフがないこと,かな.

キハ25形はJR東海における,普通気動車のスタンダード車両.高山本線,参宮線,紀勢本線など,非電化区間の普通列車はほとんどこの形式での運行.

足回りはたしかキハ75等特急列車と同じ.カミンズエンジンを積んだ高性能車両.

「こう見えても高性能なんです」

ただし,ロングシートなので,長時間乗り通すための快適性は・・・?

105系との並び

数分差で出発する紀伊田辺方面の105系との並びが見られた.

JR西日本とJR東海の境界駅であることを実感する.

古い車両を大事に使うJR西日本と,新しい標準車両を投入して画一化を図るJR東海.それぞれの運用方針も垣間見える1枚.

いずれ105系も廃車になって,キハ25系の隣に227系なんかが並ぶ時代が来るんだろうな.

きのくに線105系

雨の夕暮れ,紀勢本線

雨が強くなる中,105系の出発を見送ってから出発.

2両編成の2両目に乗車.ワンマン運転で前側のドアしか開かないから,後ろの車両は乗客が少ない.自分含めて3人しか乗っていない.

今日は12/23,冬至の次の日.1年間で最も日が短い時期.

15時半に新宮を出発してしばらく経つと,車窓は徐々に闇に包まれていく.

三重県の海岸からかなり上の方を走っているように見えるが,暗いのでよくわからない.

ポツポツと停車するが,乗降はほとんどない.

乗降がなくても運転士はしっかりと安全確認,JR東海の運転士・車掌のきびきびとした動作をみるのが久しぶりで頼もしい.

30分ほどで熊野市に到着.

この駅で南紀5号と行き違い.
1日に4本しかない下り南紀の内の1本だ.

南紀5号,次の停車駅は終点の新宮だが,普通車の車内にはまだ乗客がそれなりにいた.土日の下りでも需要は確かにあるようだ.

キハ85形が轟音と共に出て行くのを見送ってから,キハ25形も出発.

 

新鹿駅で今度は普通列車と交換.

意外と交換可能な駅が多かった.

トンネル,カーブの連続

一駅一駅止まる毎に車窓は暗くなっていき,やがて何も見えなくなった.山の中を縫うように走るので,夜景すら望めない.

仕方ないので文庫の続きを読む.金曜日に大学生協で買ってきた本だが,これがなかなか面白い.コンビニで買ってきたグミをもぐもぐ食べながら,本の世界に没頭.エンジン音と小刻みな揺れが本の世界へ深く誘ってくれる.

尾鷲前後はトンネルとカーブが連続する山中区間だった.右へ左へウネウネと曲がりながら進む.この区間の建設は大変な難工事だっただろうな.

気付いたら紀伊長島駅までやってきていた.

相変わらず雨がザーザー降っている.

たしかこの駅で乗務員交代した.亀山までの運転で2,3回があったかな.

読書は小休止,前面展望を見に行く.1両目は新宮出発時より乗客が増えている.

トンネルを出たり入ったり,右へ左へカーブ.きびきびとした指差喚呼の運転士が,淡々と列車を進めていく.

多気駅から賑やかな沿線

途中特急も停車する三瀬谷駅の他は,小さい駅ばかり.

 

ポツポツと止まりながら多気駅に着いたのは18:37.新宮から3時間以上.

記事上だと一瞬だが,暗くなってからここまでかなり長かった.その時間で文庫本はほとんど読み終えてしまったくらい.

多気ようやく他の路線が合流する.山の中の単線をずっと走ってきたので,謎の安心感を覚えた.

到着してすぐ後ろから参宮線伊勢市発の普通列車も入線.参宮線下り鳥羽行きとも交換.

多気から津までは参宮線の列車も同じ線路を走り,近鉄も並走する.周りに列車の数が増えるだけで,都会に帰ってきたなあ~としみじみ.線形はかなり良くなり,雨の中を快調に飛ばす.

日本一短い駅名の駅「津」に到着.ひらがな一文字「つ」と書かれた駅名標.

津駅では近鉄特急の入線も見られた.
気動車に何時間も揺られてきたので,電車特急を見るとなぜか嬉しくなった.

津から亀山までは伊勢鉄道線と別れて亀山方面へ.

一身田(いしんでん),下庄の2駅に停車.名古屋から新宮方面,伊勢方面へ行く優等列車は伊勢鉄道線を経由するので,乗ろうと思わないと乗れない区間.

そんな2駅の停車を経て,ようやく終点の亀山に到着.

亀山から今日初のボックスシート

時刻は1941.新宮から4時間の乗車を終えてホームに降りると,雨によって余計に冷たくなった空気が全身に当たってくる.ぼんやりとしていた頭が醒める感覚.

亀山駅のホームは閑散としており,列車のエンジン音だけが響いている.

紀勢本線は亀山駅で終わり.

名古屋方面へは関西本線を走る211系で桑名まで.

4334M
普通 名古屋行
亀山1955=桑名2049

211系0番台はボックスシート.

和歌山からはるばる普通列車を乗り継いできて,最後の最後で今日初めてのボックスシート.進行方向に向いて座るのってこんなにラクなのか!

あえてモーター無しの先頭車に乗って,キハにはない静寂を楽しみながら一路名古屋へ.

途中,南四日市で下り特急南紀7号と交換.

工場地帯をバックに駆け抜ける気動車特急もなかなかいい.

快速「みえ26号」で名古屋へ

桑名まで普通列車4334Mに乗ったら,最後の乗り換え.

後から追いかけてきて,名古屋まで先着する「快速みえ26号」に乗り換えた.

名古屋到着は普通列車と7分しか変わらないが,いままで乗ったことがなかったのでちょっと乗ってみた.

4両編成自由席の車内は,窓側はほとんど埋まっていた.

さすがに名古屋までの最後の1区間なので座れないことはなかった.

桑名の次の停車駅は名古屋だが,途中2駅信号待ちで停車した.

後続の普通列車とあまり所要時間が変わらないのもうなずける.

 

左側に難波からのアーバンライナーが並走してきた,と思うと名古屋車両区が見えてきた.

運転を終え,明日に備えて休んでいる多くのキハ85形の奥に,最新型の気動車HC85系の姿もちらりと見えた.いずれあの車両が紀勢本線や高山本線で幅を利かせるようになるんだな~.

速度を落とし低速で惰行しながら,名古屋駅構内へ進入.

新幹線もよく見える関西方面の列車が発着するホームに到着.

時刻は21時を回っていた.

和歌山から13時間,
はるばる紀勢本線18きっぷ旅もこれにておしまい.

まとめ:どっぷり鉄道に浸かる旅

以上,18きっぷ紀勢本線の旅記録.

227系から105系,そしてキハ25形.

バラエティ豊かな普通列車にのんびり揺られながら,海,山,工場地帯の景色を眺められる紀勢本線の旅はとても充実したものだった.

ちょっと長くて本数が少ないけど,18きっぷシーズンの鉄道旅にはなかなかいい路線だと思う.

今回は新宮で途中下車してお寿司を食べたけど,乗り継ぎが許せば紀伊勝浦のマグロ料理もオススメ.

あと,紀勢本線沿線には世界遺産が山ほどあるので,乗り継ぎ待ちの間にぶらっと訪問するのも良い.

 

今回は普通列車で乗り通したけど,今度は特急列車「くろしお」にも乗ってみたいな.

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