富士川沿いをのんびりと~身延線ふじかわ5号で甲府へ【秋の現実逃避旅③】

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静岡駅を正午前に出発する373系「ふじかわ5号」.

駅弁を買って,自由席に腰掛ける.

まずは東海道本線を逆向きに駆け抜け,

富士から身延線を富士川沿いにゆっくり走る.

1度の乗車で速い走りとのんびり走りを両方楽しめる,甲府行きふじかわ号の旅記録.

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ふじかわ号の旅|静岡→富士→甲府

前回の記事では,東海道線を上って来た話を書いた.

本記事は,そのつづき.

静岡駅からふじかわ5号に乗車

静岡駅,ホームにあがるまえに,コンコースの東海軒で駅弁を買った.

ちょうど正午前,おなかもすく頃なので,列車の中で弁当を食べることとしよう.

発車の5分くらい前に2番ホームへ.案内表示板に「甲府」の文字.沼津・熱海方面=東海道本線の案内板に「甲府」の文字,ちょっと場違いな感じもする.

4005M 
特急 (ワイドビュー)ふじかわ5号 甲府行
静岡11:45 = 甲府14:03

すでに停車中の373系特急型電車3両編成.今回は3号車自由席に乗車する.

3両繋いでいるうちの,1両(1号車)のみが指定席.残りの2両が指定席.

 

373系が定期の特急として走るのは,このふじかわ号と,飯田線を飯田=豊橋間で走る伊那路号

いずれも山間の,線形がよろしくない区間を走る特急で,そこまでスピードが出せない.また,需要自体も大きくはないなので,383系のような高性能特急・長編成は必要がないというわけだ.

静岡駅に停車中 特急ワイドビューふじかわ5号

373系は,「高い汎用性を持つ中距離特急電車」としてJR東海ホームページにて紹介されている.まさにこの文言通りの活躍をする列車で,伊那路・ふじかわ以外にも,ホームライナーや臨時の特急,さらには普通列車として走ることもよくある.

かつては夜行の快速「ムーンライトながら」として,そして静岡発東京行きの長距離普通列車として,また,東海道線の特急「東海」として...非常に幅広く使われていたそうだ.

 

どっかのYouTube動画で見た秀逸なコメント「特急運用のときには特急らしく見えて,普通運用の時は普通列車らしく見える」が,まさにその通り.こうやってふじかわの幕をかかげて停まっていると,いかにも特急列車らしくてかっこいい.

383系で見慣れた,幕式の表示.

LEDが当たり前となった昨今では,ちょっと珍しい気もする.

大きく開いたドアから車内へ入る.

373系は普通列車や快速列車として汎用的に使えるよう,
デッキと客室を区切る扉が設置されていないのが特徴.

3号車は自由席だが,編成連結部にはコンパートメント座席(指定席)が設けられている(そのため,自由席号車の幕にも「一部指定」の文字が掲げられている).2人ずつ向い合せになって,テーブルをはさんで座れる座席なので,グループでの旅行はここを指定すると楽しそう.

東海道本線を後ろ向きで爆走!

普通列車として使う車両としてはかなり豪華で,特急列車としてもそん色ない分厚い座席に落ち着くと,ふじかわ号は静岡駅を出発.出発後すぐに,ワイドビューチャイムとともに自動放送が流れる.

静岡駅から富士駅(身延線の起点)の間は,東海道本線を走る.

途中,清水駅に停車する以外はすべての駅を通過していく.

東海道本線を日中に走る列車で,このように途中駅を通過する列車はほとんどない.そういう意味では「レア」な列車だといえる.(朝夕はホームライナー,深夜にはサンライズ号が途中駅を通過する)

また,富士駅が身延線の起点となっており,方向転換して身延線に入る.そのため,静岡から富士までは座席が逆向きになって走る.

 

東海道線は線形が素晴らしくいい,最高速度は110km/hではあるものの,373系の爆音モータが響いて豪快な走りを楽しめる.373系は,383系と同じく,東芝製GTO-VVVFを積んだ数少ない車両.JR四国8000系のGTO-VVVFを聴いて育った音鉄にとっては,たまらない走行音だ.

清水駅出発後,前面展望を見に行ってみる.

373系は「ワイドビュー」を冠する,車窓を楽しめるように大きめに設計された窓が特徴の車両.

客室の窓はもちろん,前面の窓も普通の列車よりは大きく,横側まで見られるようになっている.

 

運転席後ろからの眺望が楽しい.直線区間の見通しはバツグンだ.

由比付近では海沿いを縫うように走る.

このあたりは,国道1号線や東名高速と並走する.鉄道と自動車の大動脈が,こうやって一堂に会する景色は,車内から見ていても圧倒される.

4連休だが,日中ということで車の量は思ったほど多くない.

すぐ北側には山が迫る.373系はモータを唸らせながら,立派な複線を全速力で駆け抜けていく.

蒲原駅を通過,反対側には下り1447M静岡行が停車中.

東海道本線の駅を通過していくのは,爽快そのもの.

普通列車が多いからこそ楽しめる,373系特急電車での旅.

富士川駅を通過すると,富士川を長い橋梁で渡っていく.右側に写っているトラス橋は,たぶん下り線のもの.こちら側の上り線は,架線柱しかない殺風景のなかを走って行く.

電気系の人間なので,この川を超えると,「あ~50Hz地帯に入ったな~」と思う(普通はそんなこと思わない...(笑)).ちなみに,北側の境界は,糸魚川らしい.これは知らなかった.
50Hzとは,家庭用コンセントに流れてくる電力の周波数のこと.西日本は60Hz,東日本は50Hzが使われていて,その境界が富士川と糸魚川というわけだ.

富士川を渡る東海道線

富士駅で向きを変え,身延線へ

東海道本線から,左へ分岐して,身延線ホームへ入線.
静岡→富士の東海道本線は30分足らずで走り終えた.

富士駅1・2番線が身延線の列車が発着するホームとなっている.東海道本線の方が,ホームに若い番号が付けられているのかな~と思ったけど,身延線ホームの方が若番.

旅客ホームの東側に,貨物のコンテナが見える.その向こうには,なにかの工場の煙突も見える.このあたりだと,製紙工場かな?

富士駅では3分停車.

この駅で進行方向が変わる.

身延線は富士を起点として,甲府まで伸びる路線.

距離は88.4km,最高速度は85㎞/hの地方交通線(wiki情報).

富士から甲府に鉄道で行けるって,自分にとっては意外な感じがするけれど,

富士川沿いの身延,富士宮等と,甲府はそれなりに結びつきがあるのだろうか?

富士駅を出発するときは,ワイドビューチャイムは流れなかった.

基本的に始発駅・終着駅以外は,あんまり流れないと思っておいた方がいいのかな.

お腹が空いたので,静岡で買った駅弁を食べよう.

親子めし,780円.鶏肉と卵が,甘辛いごはんにのっかっていて,素朴な味わいだった.

お昼の列車ということもあって,車内は空いている.18きっぷシーズンでもないので,気楽な雰囲気だ.駅弁を食べるのも気を遣わなくていい.

ちなみに,373系のテーブルは,座席背面にはついていない.ひじ掛けから取り出す方式のテーブル.

写真のように,駅弁とペットボトルのお茶を置くくらいのスペースは十分にあった.PCで作業するのはちょっと厳しいかも?

すごいゆっくり走る…

身延線は,富士川左岸,富士山の西側を走る.

川沿いを走る路線の場合,何度か川を渡って右岸と左岸を行ったり来たりすることが多いけど,身延線はずっと左岸を走る.

大きな窓から見える,富士川.

めちゃくちゃ険しいわけではないけれど,両側には山がそびえている.その間をカーブ・勾配で縫うように走って行く.なので,あんまりスピードが出せない.さっきも書いたように,最高速度は85km/h.

東海道本線での全力疾走とはうって変わって,のんびり走っていく.

モータの唸りも,6割くらいですぐに惰行に入る.

特急らしくないといえば,そうだけど,こういうローカル線でも特急を走らせてくれるのはありがたい.いくら遅いとはいえ,普通列車よりは1時間近く早く甲府に行ける.

列車はもう山梨県に入っている.

12:56,内船(うつぶな)駅に停車.知ってる人は知っている,各務原なでしこ自宅の最寄り駅.

ゆるキャン△作中で登場する内船駅

引用:アニメ ゆるキャン△公式イラスト,URL:https://www.yamanashi-kankou.jp/special/sp_yurucamp/illust.html

ゆるキャン△作中で,JR東海のこの駅が実名で登場する.

JR東海でこういうのに出してくれるの珍しいのでは?

反対側に停まっているのは,3630G列車(普通 富士行き).

内船の次は,身延線という路線に冠されている身延駅に停まる.身延駅では,各号車数人の乗降があった.身延線の中では,富士宮とか,この身延駅とかの利用者が多いのだろうか.

 

身延駅の次は,下部温泉駅.

ここで対向の上り特急列車「ふじかわ8号」と交換.

甲府まで2時間半の道のりのうち,唯一の特急列車同士の交換.

ふじかわ8号と交換

下部温泉は,名前の通り温泉街の最寄り駅.

観光客がちらほらと乗降した.僕は今回身延線に乗車するまで,この温泉郷の名前は知らなかった.地図を見る限りはそんなに大きくはなさそうだけど,駅前の雰囲気は素朴でよさそうだった.今度は下部温泉で途中下車して,温泉に入ってみようかな~.

甲府盆地を快走

下部温泉からまたしばらくは,ゆっくり走る.

すると,車窓から見える町の規模が,徐々に大きくなっていく.町の規模と比例するように,身延線の線形はよくなってきた.ところどころカーブで減速はするものの,長い直線では再び快走を楽しめるようになった.

鰍沢口(かじかざわぐち)駅を出ると,甲府盆地の中へ入っていく.

素晴らしい秋晴れの車窓,いい景色だな~.

黄金色の稲穂が首を垂れ,農家の人であろう軽トラックが,それを刈り入れる準備を進めている.今の時期は,車窓が緑から黄色に移り始める時期.真夏の深緑もいいけれど,この時期の高い空と,黄金色の田んぼの景色も好き.

善光寺付近で,立派な複線(中央東線)と合流.

しばらく走って終点の甲府駅に到着.

甲府盆地は暑いと聞いていたけど,9月になってもまだギラギラと厳しい日差しが照り付けている.評判通りの「暑苦しさ」はこの時期になっても十分感じられる.

甲府駅でのりかえ

甲府駅でのりかえをするのは,たぶん2回目?

前回は,18きっぷで,中央東線で東京へ行ったときだ.

静岡駅前では徳川家康公が出迎えてくれたが,甲府駅では武田信玄公がお出迎え.

家康より堂々と座っている.

甲府駅はJR東日本の管轄,駅メロを聴いたり行き交う列車を見たりすると,東日本に来たな~と実感する.

東日本な景色

留置線に,EF64の基本番台(37号機)が置かれていた.高崎車両センター所属の基本番台って,もうすべて定期運用から引退したはずでは?(貨物列車時刻表には,もう掲載がない)と思って調べてみると,どうやら唯一の現役機らしいことがわかった.工臨や団臨で細々と走っているようだ.

国鉄色,いかにも電気機関車らしいこの顔が好きだ.愛知機関区では後輩の1000番台が活躍しているけど,0番台はもうこの37号機しか実働していないらしい.最近は,割と頻繁に中央線で登板しているとの情報もあった.まだEF64の基本番台が走っているなんて,知らなかったな~.

甲府駅のEF64 37号機

かっこいい車両だから,もうちょっとだけ頑張って走ってほしいな~と

思いながら,本日最後の行程・小海線でどの列車に乗るかを考え始めた.

まとめ:あずさに乗りたい(乗らない)

あずさ・かいじへの乗車はお預け.

できるだけ乗ったことがない路線・列車に乗った方が,新鮮で非日常な気分を味わえる.

せっかく甲府まで出てきたのだから,まだ乗ったことがない「あずさ」や「かいじ」にでも乗りたかったのだが・・・(連休の臨時あずさ・かいじとして,E257が走っていたし・・・)

コロナが収束していない首都圏への旅行は,大学や研究室で自粛を要請されている.まあ,E353ならこの先少なくとも10年くらいは乗れるだろうから・・・また今度の機会に乗ることとしよう.臨時のE257に乗れなかったのはちょっと残念.

ということで,甲府からは中央東線を下って,小淵沢から小海線の旅をすることとした.

小海線は以前一度乗車したことがある.同じような時間帯,たぶんこのままいけば同じ列車に乗ることになりそう.それでは,あまりにもつまらないな...ということで,甲府駅にある時刻表を繰っていると,とある観光列車を発見したのだった.

(次回へ続く)

小海線の観光列車「HIGH RAIL星空号」乗車記【秋の現実逃避旅④】
その名は「HIGH RAIL星空」.夜のJR線最高駅・野辺山駅で途中下車して,星空を楽しめるロマンチックな列車に乗って来た.

旅の写真はPENTAX K30DA18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

でお送りしました.

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