単焦点レンズを買った.
今までずっと”標準ズームレンズ”で,いろんな写真を撮ってきた.
主に旅行先の写真がメインだったけど,
最近は日常の写真を撮ることが増えてきた(コロナで!).
日常の写真(いわゆるスナップ)は,寄ったりぼかしたりしたいんだけど…
手持ちのズームレンズは,絞り開放値がF3.5-5.6.
それで部屋の中やモノを撮ろうとすると,どうしても暗くなりがちだった.
スマホでもまあ,明るく綺麗に撮れるんだけど…
せっかく一眼レフがあるんだから,一眼レフで撮りたい.
だから,もうちょっと明るくてボケるレンズが欲しい…!
そういう思いを,心の片隅に抱いていたが…タイミングが無かった.
そんな状況だったが,年が明けてお年玉が入り,貯金もいよいよ貯まって来た(旅行に行ってないから!).
どうせしばらく旅行に行けないし,お金はあるし,買うなら今しかない!
そんな感じで,年明けの今,単焦点レンズがやってきたわけだ.
以下,PENTAX K30に付けてみて,触ってみて,撮ってみた記録.
「名玉」FA31mm F1.8AL Limited
「日常やモノ撮り用には,単焦点がいい」という,ぼんやりしたイメージだけ持っていた.
PENTAXには単焦点レンズがいっぱいあるけれど,どれがいいんだろうか・・・?
いろいろ調べてみると,フィルム時代に生産されて,現在まで「名玉」として活躍している単焦点レンズがあることを知った.その名は「smc PENTAX-FA31mmF1.8AL Limited」.
「Limitedレンズ」とは,以下のポリシーを掲げたPENTAXの特別なレンズ.
本質:撮る行為、そのものを愉しむ
PENTAX Limited Lens スペシャルサイト|RICOH IMAGING
感性:数値では測れない、空気感を写しだす
不変:いつまでも、所有し続けることに悦びを
このポリシーからわかる通り,いい写真が撮れる・写真を楽しむことはもちろん,写真を撮る行為自体を楽しむこと・持っているだけで悦びが得られることを目標としたレンズだ.
「FA Limited」レンズとは,Limitedレンズの中でも単焦点レンズ3本のことを指す.
マテリアルの質感にこだわり抜いた
FA Limited | PENTAX Limited Lensスペシャルサイト|RICHO IMAGING
アルミ削り出し鏡筒上質なデザインと、手に取った際の質感を重視し、外装部品は1点ずつアルミの削り出しで成型。その佇まいと存在感は、カメラボディがデジタルに移り変わった今でも、多くの写真愛好家の方々に愛されています。
自分にとってははじめての単焦点.レンズ変えたら写真がどう変わるのかという経験がないから,とりあえず「名玉」買っておけば間違いないだろう.安いのを買っても,どうせ後からいいやつが欲しくなるんだから,初めからいいやつを買おう.
新品だと10万円弱だが・・・中古の美品が,アマゾンマケプレで6万円台で手に入った
「名玉」ということで,機能やらスペックやらは,上級者やプロの方がいっぱい書いてくれている.
なので,ここからは触ってみての感想を中心に…
まずはレンズの外観から.
ボディに合わせて,カラーはブラック.
赤色の「Limited」がいい.
ズームレンズより小ぶりだけど,持ってみると見た目よりずっしり来る.
上から順に,ピントリング・焦点距離の目盛り・絞りの目盛り・絞りリングが並んでいる.ここらへんのデザインもしっかりしていて,高いレンズは違うなと感じた.
絞りをレンズ側で調節するというのは,今のズームレンズにはない機能.
昔のレンズっぽくてかっこいい.
絞りリングの上についている緑色の突起は,「フィンガーポイント」というらしい.
これは,ボディへの装着性を高めるために付けられている.
ちなみに素材は七宝焼き,ペンタグリーンで愛着が湧きそう.
K30に付けてみると,丸くてコンパクトな筐体が,角ばったボディによく合っている.
これまで主役を張ってきたズームレンズ「DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR」よりも,よく似合っている.
実際に持ってみると,小ぶりでも重量感がある.が,持ち運ぶのに難儀するような重さではない.
撮影するときに安定するような,そういう重量感.悪くない.
そして,左手を添えてみると…「あっ,これは凄いレンズだ.」と,素人目でもわかるくらいの質感だった.アルミ削り出しの鏡筒が,手に吸い付くような感触.
持っているだけでうれしい.買ってよかったと感じられる.
6万円払ったけど,もう1万円分くらいは楽しめた気がする.冗談抜きで.
持っていて嬉しい,悦びを感じられるというポリシーは,本当だった.
レンズフード内側には「静電植毛」が施されている.触ると固いフェルトのような感じ.これによって,レンズ前面への埃の付着を防げるらしい.
レンズフード自体も,上下に覆いかぶさるような形.
Limitedレンズは,こういうところまでキッチリ作られている.
レンズキャップは,円形の被せ式.
キャップにも植毛が施されていて,レンズフードとの摩擦で外れづらくできている.自分みたいに,割とラフに持ち歩く人にも安心の構造になっている.
ボディへの取り付けと設定に注意!
さて,取り付けたし,ちょっと撮ってみよう.
とここで,オールドレンズならではの躓きがあったので,書いておく.
このレンズには,「絞りリング」というものが付いている.
何も考えずに取り付けると,絞り(F値)はこのリングを回して変えることになる.
そして,ボディ側では(デフォルト設定で)絞りリングの使用が「禁止」と設定されている.
なので,そのままの状態では,「F–」と表示されて撮影することができない.
絞りリングの使用を許可して,撮影可能にするためには
MENUボタンを押して,一番右側のページへ移動,
そして,項目23.「絞りリングの使用」を選択.
デフォルトでは「1.禁止」となっているので,
ここを「2.許可」に変更する.
これで絞りリングは使えるようになった.
しかし,ここまでの設定のみでは,「Mモード」,つまりマニュアルモードでしか絞りを変えることができない.(AvモードやTAvモードでは,絞りリングを回しても絞り開放のままになってしまう)
Mモードに設定しておいて,絞りリングを回してF値を変えながら撮影することはできる.しかし,撮影後のEXIF情報には,F値を変えて撮影しても「F1.8」としか記録されない(つまり,ボディ側は絞り開放状態固定として認識している).
これを解決するためには,レンズ装着時に「Aポジション」に設定する必要がある.
「FA」レンズには,絞りリング左側に緑色で「A」という文字が刻印されている.このA文字を,レンズ球面側の赤い線に合わせてレンズを装着する.
そのままつけるとこのポジションには合わないのだが,緑色Aの左側にあるボタンを押しながら装着することで,ポジションを合わせることができる.
このようにしてレンズを装着すると,ボディ側がレンズの絞りを認識できるようになる.
つまり,ボディのダイヤルによって,絞りを操作すること
そして,EXIF情報にF値を載せることが可能になる.
さっきまではMモードでしか絞りを変えられなかったが,
今回はAvモードでも絞りを変えることができるようになった.
絞りリングがあるような,高い?古い?レンズは使うのが初めてだった.ちょっと躓いたけど,ここまでの方法で,無事に今まで通り撮影ができるようになった.
FA31mm F1.8AL Limited作例
今まで通り,Avモードで撮影ができるようになったので
何枚か写真を撮ってみた.
素人なりの作例.
===
いつものベランダから.夕焼けが綺麗…
単焦点だから,撮影範囲がズバッと決まる.
何の変哲もないトーストも,この通り.
こんなにおいしそうだったかな・・・?
本読んだ感想をメモしたノート.
F値を小さくすると,ノートに綴ったワンフレーズだけにピントを合わせて,そのほかはボカす,みたいな撮り方もできる.
冬本番にしては暖かかった日の夕方.
このくらいの時間の,青から橙のグラデーションが好きだ.
電子工作シリーズ.
やってることは大した作業じゃないけれど,すごい作業に見える.
絞りを絞って撮ってみた.
夕方の太陽,橙色の光芒を撮れた.
モノクロで一枚.
こういう情報量の少ない写真って,モノクロにすると面白い.
今まで使っていたレンズよりも,明るくてボケが綺麗.
あと,F5.6~6.3くらいで撮影したときの,抜け感が素晴らしい.
目で見たままの映像が撮れる感じがする.
Limitedレンズ楽しい.
まとめ:Limitedレンズ凄い
以上,smc PENTAX-FA31mmF1.8AL Limitedを買った話.
K30とかいう,もう10年近く前のボディに付けても,全然古さを感じさせない.
いろいろなこだわりを持って作られているので,使っていくとどんどん愛着が湧いてきそうだ.
ズームレンズよりコンパクトなので,散歩や大学へ行く途中でも,普通に持ち歩けるのがうれしい.
レンズなんてどれも一緒だろう,と思っていたけど,全然そんなことなかった.
Limitedレンズ凄い.
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大学1年の冬にPENTAX K30を買ってから,
旅先での写真をメインに撮影している.
コロナと卒論で,出かけられなくなってからは,日常の風景も撮ってみたり.
PENTAXは今度,新型のAPS-Cを出すそうだが・・・
型落ちとなるKPも結構気になっている.
【2021.12.24】ピントリングが回りづらくなる事象が発生したので,リコーイメージングストアに持ち込んで修理を依頼してきた.