6月のとある平日,研究室から帰る途中に,北東の空に入道雲を見た。
入道雲(積乱雲)を形容した「雲の峰」が夏の季語であるように,
入道雲のシーズンは夏だ。
季語と歳時記 – きごさい歳時記で「雲の峰」を調べると,
雲の峰きのふに似たるけふもあり
白雄 「白雄句集」
という句が載っていた。加舎白雄という江戸中期の俳人が詠んだ句らしい。この句にあるように,入道雲は夏になると,もう毎日のようにみられる。
一方,名古屋市をふくむ東海地方は,まだ梅雨入り前だった。
だから,入道雲は,梅雨をはさんでもう一歩先にあるように感じていた。
そんな時期に,こんな入道雲が見えた。
まだ夏前なのに,もくもくと立ち上がり,眼下にあるまちを飲み込まんとする立派な入道雲だ。
雲を見て写真を撮ることが好きな自分は,堂々たる入道雲が消えてしまわないうちに写真を撮ろうと思い,下宿に戻って,PENTAX K30に望遠レンズを取り付け,急いでさっきの場所に戻った。
時期的には,ちょうど夏至前の時期だった。
背後の空は,日暮れが遅いのを満喫するかのように青々としていた。
今日の日中は,入道雲の発達に十分な日差しが降り注いだ。
季節先取りの激しい熱気が,上昇気流を引き起こして,これだけ立派な入道雲を作り出したのだろう。
そんなことを考えながら,夕陽に照らされ始めた入道雲を写真に撮った。
もう少し先にある夏を,先取りしたような気分だ。
まだ梅雨すら来ていないけれど,この記事を書いている月曜日は雨。
そろそろ梅雨かな?と思ったら,「東海地方 梅雨入り」の報をウェザーニュースで見た。
ようやく梅雨入りだ,平年より遅いらしい。暑い暑い夏は,あと一歩のところまで来ている。
(おわり)