【北の大地】JRの社歌っていいよね(JR北海道編)

前回唐突に,JRの九州の社歌がいいよねという話を書いた.

それに引き続いて,今回はJR北海道の社歌(と会社や路線にかんする雑談)について書いていく.

JR九州の「浪漫鉄道」をYouTubeで聴いていたら,当然,ほかの会社の社歌もオススメで出てくる.浪漫鉄道も素晴らしいけれど,今回紹介する「北の大地」もなかなか良い.

”北海道らしさ”が全面に出ていて,聴いているだけで

雄大な北海道の景色が思い浮かぶような,そんな社歌になっている.

JR北海道~社歌の話と雑談~

JR北海道社歌「北の大地」

いろいろと書くことはあるが,まずは社歌の方をどうぞ.

 

 

いかがだっただろうか.

私が最初に聴いて思ったのは,

堂々としているけれど,しかし旅情を誘うような,

まさに「旅客鉄道会社の社歌」らしい社歌だな,ということだ.

浪漫鉄道のような幻想的な調べではないけれど,
テンポよく,短いフレーズで風景をつむいでいくのが,社歌らしくて好きだ.

会社で毎日歌っていると,その会社が好きになりそうな社歌.

この社歌の素晴らしいところは,聴いていると自分が北海道を旅しているように錯覚するところだ.

鉄道会社の役割といえば,首都圏だと通勤・通学など地元の利用客がターゲットであるイメージも強い.もちろん,JR北海道も,そのような客層に対する役割は,担っている.

しかし,「北海道」といえば,やはり観光に依るところも大きいのが事実.

そんな観光客や旅人たちを,広大な土地で,広い心を抱いて,受け入れてくれるところ.それが北海道であり,JR北海道なのだと感じる.

北の大地に来た旅人たちを「やさしく抱いて」あげようじゃないか,彼らに雄大な北海道を,見せてあげようじゃないか.そんな会社の精神を感じられるような,この社歌.

1番,2番,3番の末尾は「われ(君)は今 北海道」と,旅する私たちの視点に立って語りかけるような歌詞となっている.素晴らしい!

 

その末尾の節のひとつ前には,

北の大地は:「果てなくなつかしい」「みんなのふるさと」「希望を育てる」.

このフレーズたちが,北海道が唯一無二の土地,

日本中どこを探しても,こんなに豊かで懐かしいところはないよ!

ということを暗に示しているような気がする.

ということで,素晴らしいPVがあったのでどうぞ.

社歌の歌詞からイメージできる風景を,見事に映像にしてくれている.

動画がアップロードされたのは2014年.

当時走っていた列車たちを,短い社歌をバックに詰め込んだ傑作.

今ではもう乗ることができない列車,路線がいくつも映し出されていて…乗れるうちに乗っておくことの大切さも痛感する動画だった.

JR北海道について思うこと

そんな雄大で豊かな北海道の鉄路を一手に引き受けるJR北海道.

周知の通り,経営状況は非常に厳しい.

北海道は路線長が長いうえに,そのほとんどが人口が希薄な地域.中には相当な山奥を走る路線もある.冬になれば,列車を走らせるために除雪が必要.車両維持のためのコストも,温暖な地域より大きいはず.

札幌圏を除いて,ほとんど利益を出せていないと思われる現状.

希望の光にみえた北海道新幹線も,現時点では苦しく,札幌延伸までは航空機とはまるで張り合えなさそう.

富良野線・根室本線不通区間の旅|北海道フリーパスの旅2日目
東鹿越まで富良野線・根室本線をのりつぎ,東鹿越からは代行バスで新得へ.

上の記事でも書いたけれど,JR北海道は2016年(H28)年11月に,「当社単独では維持することが困難な線区について-北海道旅客鉄道株式会社」を発表している.

これを見ると,札幌=旭川間,札幌=帯広間,札幌=小樽間,札幌=南千歳-新千歳空港=苫小牧,そして札幌=長万部(長万部以南は新幹線開業に伴って分離予定)の各区間は,JR北海道が単独で維持可能としている.それなりの区間が維持可能?なようにも見えるが・・・しかし札幌から,あるいは札幌への移動に頼り切っている現状がみられる(どの線区も札幌を着発とする区間であることに注目すべき.)

また,上記の路線も含めた全路線が「営業係数100以上」つまり,100円を稼ぐのに100円以上の経費がかかっている.したがって,(このプレスリリースが出た段階で)全線区が赤字ということになっているのだ.札幌圏も含めて,まったく稼ぎ頭が無い現状は,あまりにも厳しい.

上記以外の区間は,輸送密度が低く(2000未満)単独での維持が困難としている.これはつまり,これから先も運行を続けるためには,自治体からの協力が欲しいということを,暗に示している.当該区間の営業係数は低くても300,高いところは1000を超えている.これはつまり,100円を稼ぐのにその10倍の1000円が必要な計算.これでは,JR北海道としてはやってられないというのが正直なところだろう.

このような状況で,路盤が流出した日高線や,台風被害を受けた根室本線東鹿越=新得間の復旧工事を望むのは,あまりにも酷であるといえる.利益が出ない状態で,また利益が出そうもない路線の復旧を進めるなんて,そんなのムリだ.地元の利用者には厳しいけれど,JR北海道はこの区間はすぐにでも廃線にしたいと思っているはずだ.

同様に,輸送密度200未満の線区も,廃止前提で議論が進みそうな気配がある.該当するのは,留萌線(深川~留萌)そして根室線(富良野~新得).札沼線末端区間,および夕張支線は実際に廃止された.

 

今後どうなるのか微妙なのが,輸送人員200人以上2000人未満の区間.たとえば,札幌を起点としない宗谷本線や,石北本線,そして石勝線・根室本線あたりだ.JR北海道の定義によれば「単独では維持困難」ということなので,地元との協議も今後進んでいくものと思われる.

 

赤字・黒字は置いておいて,同線区は道北・道東地方への唯一の鉄路アクセスとなっている.
もしこれらの線区が廃止されれば,釧路,網走,そして稚内およびその周辺は,いよいよ衰退へと進んでしまうだろう.JR北海道が,本当に北海道の将来を案じ,そして地域輸送の命を受けており,それを自覚しているのであれば,赤字でも運行を続けるべきだと思う.

ただし,JR北海道も会社なので,利益を出さなければやがて行き詰ってしまう.どれだけの経営努力をしても,社員を養えなければつぶれてしまう.だから,自治体からの協力も必要.地元の振興局はもちろん,道もそれなりの支援を考える必要がある.(もちろん,国も)

マイナスなことばかり書いてしまったけど,北海道新幹線が札幌まで開通すれば,多少なりとも航空機からシェアを奪えるかもしれない(開業予定は20年くらい先の予定だが・・・).

また,エアポートを増発し「特別快速」を導入したり,近郊区間のダイヤを見直して利便性向上を図ったり,函館本線山線に新型気動車を投入したり,JR北海道もできる限りの努力をしているものと思われる.

参考:2020年3月ダイヤ改正 – JR北海道

ただ,この経営努力も,昨今のコロナ禍の影響ですべて水の泡に帰している感は否めない.今後,長期化すれば,いよいよ経営が厳しくなりそう.実際,国からの支援を受けても連結で赤字決算となってしまっている(→JR北海道グループ経営改善に関する取り組み【2020年度第2四半期 報告書】

コロナが沈静化あるいは収束して,旅客の需要が戻るのは,いったいいつになるのか,まったく予想がつかない.

とにかく,北海道の鉄路がこれ以上縮小されないよう,鉄道ファンとして祈るばかりだ.

JR北海道の旅行記

こんなご時世で遠出がしづらい.

せめて旅行した気分だけでも味わえるように,

過去の北海道旅行記のリンクを貼っておく.

これを読んで北海道へ行った気分になってくれたら,幸いだ.

タグ「北海道」の記事 – じててつログ

まとめ:旅情を誘う社歌

以上,JR北海道の社歌「北の大地」について&雑談.

北海道はほんとにいいところなんだけど,いかんせん大きい.

それゆえ人口密度が極端に低く,その都市間を走らせる列車は必然的に長距離走行を強いられる.

さらにさらに,ほかの会社にはまず無い,長く厳しい冬がある.冬場の除雪作業や,列車の設備維持など,通常環境での走行にプラスして必要な費用が,いくつもあることは容易に想像がつく.

そんなわけで,経営状況が芳しくないのは周知の事実.

でも,JR北海道はJR北海道なりに経営努力をして,なんとか列車を走らせているのも事実.

そんなJR北海道に対しての応援というか,支援として
私たち利用者ができるのは,列車を利用すること!

今はコロナで遠出しづらい状況だけれど,落ち着いたらコロナで行けなかった分もたくさん旅行したい.それまではなんとか,頑張ってほしい.

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JRの社歌について語る記事,第3弾(JR東海)を書きました。

【君をのせて】JRの社歌っていいよね【東海編】