前の記事にて,新居は海が近いということを書いた。
幹線道路沿いの住宅地ではあるものの,家を出て30分くらい歩くと,海も畑も里山もある。そんなところだ。
実際,自宅(会社の寮)からぷらぷらと歩いていけば,漁師町にたどりつくことができる。休みの日の暇つぶしにはちょうどいい散歩になる。
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GWの1日をつかって,その漁師町のほうへ行ってみることにした。自宅からは,少し山がちになっている道を超えていくことになる。

横道といっても,2車線の道路を歩いていると,不意にトンネルが現れた。
幹線道路から延びるこの道は上り坂になっていて,その頂上がトンネルだった。
トンネルを出てふと横を見ると,地層らしき岩肌が露出していた。なぜ地面に対して傾いているのだろう?

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山を下って,隣の丘の上にある団地へとつづく道路を横目に歩いていくと,海が見えてきた。そして,さっきまでとは周囲の空気はがらっと変わった。


海が近いということは,当然,魚を売りにしているわけで,漁港の前に2軒の直売所があった。
散歩に出かけたこの日はGW中だった。都心から車で来たと思しき観光客でにぎわっていた。



必ずしも地物ばかりではないけれど,それでも海が近いというだけで,なんだか売り物の魚が活き活きしているように見えた。
こうして鮮魚を並べられると,捌く技術もないのに,2,3尾ほど買いたくなるものだ。ただ,捌いてくれというほどの気持ちもないので,この日は見るだけにしておいた。
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漁港のある場所からさらに数分歩いていくと,海岸に出た。
自然公園のようなものがあったので,海岸沿いをじっくり散策できた。

海沿いといえば,砂浜あるいは小さな石を想像するが,この辺りは明らかにようすが違った。
ゴツゴツとした巨大な岩肌が露出しているうえに,形もふつうじゃない。
よく見てみると,洗濯板のように縞状に規則正しく模様がついていた。ところどころ,不自然に穴が開いているのも観察された。


洗濯板のような模様は,すこし引いてみると,同じ方向から押されるようにして形成されていることがわかる。間隔こそ違えど,同じ方向を向いているのだ。

この模様は,結局,海岸沿いにわたって見られた。公園の近くにあるビジターセンターの展示によると,この模様は,プレート運動によって形成されたものだそうだ。だから,海から陸地へ向かって,おおむね同じ方向に模様がついているらしい。

このほかにも,火山活動などにともなう断層ずれや火山噴火の痕跡などもみることができたらしい。わたしは高校で物理・化学選択だった(地学は勉強していない)ので,詳しいことは書けない。
ただ,さっき歩いているときに見た,露出した岩肌も,ここと同じ理由で,傾いた地層になっているのだということだけ理解できた。
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このあと,海沿いにあるちょっと洒落たホテルで,ちょっと洒落たランチを食べた。
それから,もう少し近隣を散歩した。ところで天気が怪しくなってきたので,海沿いの道をいつものバス通りまで抜けていくことにした。


こうして歩いていてわかるのは,地元民(あるいは1年以上そこにいる住民)にとっては何でもない風景でも,他所から来た新参者には真新しくかつ新鮮に映るということだ。だからカメラを持っていくし,写真を撮ってくるのだ。
今回は海沿いの風光明媚なシーンを切りとったが,それ以外にも,もっと近所のふつうの風景(それこそ住宅街のようす)なんかも,最近は写真に撮っている。ただし,その写真は,あまりに近所かつプライベート過ぎるので,ブログには載せていない。
引っ越してからは,見知らぬ店や風景に囲まれて生活することになる。五感から得られる情報量は,住み慣れたまちより断然多い。今回の散歩で出会った風景もふくめて,なにもかもが新鮮に映っている。
視野を変えるという点では,旅に出るより,思い切って引っ越すほうが,断然効果的だといえる。もちろん,手間とお金はかかるけれど。
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一方で,環境が変われど,しょせん中身は全然変わらないんだ,ということもまた,引っ越してから2カ月で得た教訓だ。このことは次の記事で書くことにしよう。
(つづく)
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