最近ペダリング中に,微妙な違和感を覚えるようになった.
音が周期的だから,おそらくチェーンがスプロケやチェーンリングと噛み合っていないものと思われる.
洗車のついでに見てみると,チェーンがかなり傷んでいることが判明した.
ワイヤーはちょくちょく交換していたのだけど…チェーンはすっかり忘れていた.
大事な駆動系なのに,2年半近く同じものを使っていた.夏の北海道,春秋冬のロングライドに2シーズン耐えたチェーンということになる.それは,傷むわけだ...
これはまずい!ということで,amazonで必要なものを買ってさっそく交換.
はじめてシマノの純正工具を使ってみたけど,これがとても便利だったので,記録として残しておく.
チェーン交換
必要な工具・今回のチェーン
チェーン交換にあたり用意したのは以下の2つ.
- 新しいチェーン(MTB用 10s DEORE CN-HG54)
- シマノ純正チェーンツール(TL-CN29)
チェーンに関しては,まったくこだわりがない.以前交換したチェーンと同じものを使っている.
シマノ純正チェーンツールは,少々お高いけれど…その価格に十分見合った高性能ツール.後述する通り,チェーンは簡単に美しく切ることができるし,コネクティングピンの切断までこれ1つでできる.
初心者が失敗しないコツは,いい道具を使うこと,そして事前に手順をしっかり決めておくことだ.
これ以外に,どす黒い古いチェーンを扱えるように
汚れていい手袋と,下に敷くものを用意しておくと便利.
古いチェーンを切る
工具と汚れ対策が揃ったところで,さっそく作業開始.
まずは古いチェーンを切断する.
リンクの間に,シルバーの歯を差し込む.
そして,ハンドルを締めこんでピン切断用の棒を押し込んでいく.
ピンに当たったら,結構抵抗がある.じっくり回していくと,ピンがパチン!と外れる感覚があった.
ピンが向こうまで抜けたことを確認したら,ハンドルをゆっくりと戻していく.
下に敷物を敷いてあることを確認し,工具を外すと
無事にチェーンを外すことができた.
外したチェーンを眺める.
汚いチェーンだ...
どれくらい延びてしまっているかはわからないけれど,多分延びているだろう.それにしても汚い.
新品のチェーンと並べてみる.おまえら,ホントに同じ型番のチェーンか・・・?
ホントはこんなになる前に変えるのが賢明.次からは気を付けます...
古いチェーンが外れたので,新しいチェーンの準備をしていく.
新チェーンの長さを決める
前についていたチェーンと同じリンク数にするのが一番簡単.
今回は,以下のマニュアルにしたがって決めてみることにした.
参考にあげたリンクのマニュアルに,以下の図が掲載されている.
僕の自転車は,最大スプロケットが34Tなので28T以上の図にしたがって長さを決めればよい.
「最大スプロケットと最大チェーンリングの両方にチェーンをかけた状態」にして,
「繋げる最小リンク数+2リンク」の長さにすればいい.
シマノのチェーンは向きが決まっている.刻印(文字)が入っている方が外側(手前側)だ.その向きを確認して,チェーンリングとスプロケットにチェーンをかける.
また,ここでの注意点として,「チェーン進行方向前側のアウターリンクに,コネクティングピンが通るようにする」ことがある.マニュアル中,以下の図中 [A] のような形でつなげるように,長さを決めるということだ.
これにより,チェーンの強度が増し,より切れにくくなるらしい.
スプロケ側に,インナーリンクが来るように掛けておき,チェーンリンク側をアウターリンクで切断するとわかりやすい.
長さを決めるときの2リンクは,以下の図がわかりやすい.
繋げる最小リンクを見るときに,インナーリンク(軸の方),アウターリンク(外側の方)がどのように被っているかによって,見る必要がある.
- インナーリンク同士・アウターリンク同士が合う場合 → 1リンク or 3リンク加えた長さ
- インナーリンクとアウターリンクが合う場合→2リンク加えた長さ
僕の自転車の場合は,インナーとアウターのリンクがちょうどあっていたので,プラス2リンク加えたところで切ることとした.
スプロケにかけた側は,インナーリンクだったので,
チェーンリング側がアウターリンクになるように慎重に切断.
プーリーに通す
ここまでで新しいチェーンの長さが決まって,切断された状態.
チェーンリングとスプロケットにぶら下がっている状態だ.
あとはコネクティングピンでつなぐだけだが,
その前にスプロケ側のチェーンをプーリーに通す.繋いでからプーリーに通すのは面倒.
以下の2点に注意.
- 刻印が外側(手前側)に向くように
- 脱線防止板よりRD本体側を通す(先の図の(F)が該当)
プーリーはチェーンがあると掃除しにくい.チェーンを通す前に,綺麗にしておくと気持ちいい.
コネクティングピンでつなぐ
チェーンをプーリーに通したら,コネクティングピンでつないでいく.
小さいが,見た目の割に重みがあるコネクティングピン.
10s用は,チェーン内に収まる部分の幅が5.85mm,ちなみに11s用は5.8mm.使用するチェーンによって,その形状も微妙に異なるようだ.
新しいチェーンを買うと1つだけ付いてくるが,amazonなどでセット売りもされているらしい.
10s用のチェーンピン↓
進行方向前側がアウターリンク,後ろ側がインナーリンクになっていることを確認.推奨通り強度が得られる形となっている.
両手でつなぎつつ,コネクティングピンの丸い方から差し込む.
最初のくびれまでは,手で簡単に差し込むことができる.
ここから,再びチェーンカッターの出番.
少しでもずれると,リンクがゆがんだり,ピンが曲がったりするかもしれない.慎重に,まっすぐにチェーンカッターを設置する.まっすぐ入っていることを確認しながら,左手でチェーンカッターを支え,右手でゆっくり回していく.
グッと抵抗がある箇所と,スルスル回る箇所を経て,
チェーン外側とコネクティングピンのアタマが揃うところまで回した.
シマノの純正工具の仕様なのか,チェーン外側とコネクティングピンがぴったり揃うところで回しにくくなった.回し過ぎないような設計になっているらしい,やっぱり純正工具はすばらしい.
あとは,内側に飛び出た部分を折るだけ.
アンプルピンタイプのものは,工具で折るとわずかに先端が付き出るが,それで正常.
シマノ純正チェーン工具の素晴らしいところは,
この「コネクティングピンを折る」こともできるところだ.わざわざペンチを持ち出す必要がない.
ピン押し込み用のハンドルを抜いたら,ハンドルと反対側を飛び出たピンにかける.
そしたら,チェーンを右手で保持しつつ,左手に持ったチェーンカッターをグイっと上に向ける.
すると,てこの原理で「パキン!」と折ることができた.チェーンはちょっとやそっとじゃ切れないから,多少強めに保持した方が折りやすい.
なじませて完成
そして,注目すべきが,折った断面の美しさ.
純正の工具ということで,シマノのコネクティングピンが,きちんとくびれ部分で折れるように設計してあるのだ.
下の写真の,左から5番目のピンが,コネクティングピンで繋いだところ.内側はわずかにピンのアタマが見えて,外側は完全にリンクと揃っていて見えない状態.
純正工具のおかげで,美しく簡単にチェーンを繋ぐことができた.
外側から見るとこんな感じ.
ちゃんと刻印が外側にあって,コネクティングピンのアタマがほかのピンと揃っている.
ペンチでおっかなびっくり折って,中途半端に頭が残ってしまうことを考えれば,
シマノの純正工具を買う価値は,十分にある.
RD,FDで変速調整
チェーンを交換すると,変速の具合が変わることも考えられる.
ちょうどいい機会なので,シフトワイヤも交換しておくといいかもしれない(チェーン交換自体も,ワイヤを外した方がやりやすい).
僕は今回,フロントのシフトワイヤを新品に交換した.
ワイヤはいつものこれ.
リアの方も,ちゃんと位置を調整し,ワイヤを張りなおした.
チェーンを通す前に,RDの位置(トップ側)を調整するのがオススメ.チェーンを通してしまうと,見えにくくなるので.
最近,リアトップだと音鳴りするな~と思っていたら,RDのトップ側位置が0.7段分くらい内側に入っていた.衝撃...いつの間にこんなにずれたんだ・・・?
トップ側調整ボルトを回して,11Tの外側に合わせるように.あとはチェーンを通して,微調整.ロー側もチェーンを通してから調整.
新しいチェーンのおかげか,変速がスパスパ決まるようになった.気持ちいい!
ちなみにJAKEは,フロントのシフトワイヤ―がフレーム内蔵.そのため,STIからBBまで通すのにとても苦労した.次回はちゃんと,古いワイヤにケーブルライナーを通してから,新しいケーブルへ交換したい.
試走!
シフトの調整が終わったら,陽が暮れる前に試走.
研究とコロナと,そのほか諸々ですっかり出不精になっている間に,
外はもう冬の空気が漂い始めていた.
まだ17時前なのに,陽は沈み,暗くなり始めていた.日が短い.もう冬だな~
*
ピリッとした空気の中,15kmほど走って,ちゃんと動作することを確認.
変速もバシバシ決まるし,何よりチェーンが回るときの抵抗が小さい!しっかりスプロケと噛んでいる感じが,足を通して伝わってくる.きれいなチェーンだと,こんなに気持ちよく走れるのか~
駆動系のメンテの重要性を再認識しながら,帰宅した.
まとめ:駆動系のメンテ
以上,久しぶりのチェーン交換の記録.
前回のチェーン交換で手こずったこともあり,今回の交換までに間が空いてしまった.しかし,専用工具を使えば失敗することなく簡単に交換することができた.いい道具はいい人生を作る,これ真理.
最近は長距離乗る機会が減っているけれど,
これからも1年に1回くらいはチェーンを替えていこう.
メンテが疎かなハイグレードコンポより,しっかりメンテされたコンポの方が気持ちよく走れるのは間違いない.
メンテをさぼって変速が渋いと文句を言う前に,まずは駆動系の清掃・注油と調整から!
何万もするコンポが泣いてますよ…?
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ブレーキ関係のメンテ記事はこちら.
納車から4年近くが経つが,いまだにコンポは納車当時のまま.
唯一,ホイールとタイヤだけはチューブレスにアップグレードしてある(動機は...完成車のホイール故障だが・・・)