東海道線の静岡区間を18きっぷで越えるのは「地獄」と表現されるが、朝と夕方の時間帯ではそんな「地獄」の普通列車を回避できる列車が運行されている。
その列車は「ホームライナー」
静岡地区の都市間の通勤通学輸送に活躍中だ。320円の整理券を買うことで、373系特急型車両の快適空間と静岡区間をワープする力が手に入る
今回は下り列車の「ホームライナー浜松3号」に乗車することにした。
1日目の午前中に経験したロングシート2時間とは、比べものにならないくらい快適。
もう2度と静岡区間を普通列車では移動しない、そう誓った夜だった。
横浜から沼津へ移動
ホームライナーの運行区間は沼津~浜松。
3日目の夕方時点では横浜にいたから、ホームライナーに乗るためにはとりあえず沼津まで移動する必要がある。
昼食後から調子の悪いお腹をさすりながら、普通列車で移動することにした。
夕暮れの横浜駅
昼間よりもさらに列車の本数が増えてきた横浜駅。
このあと控えている帰宅ラッシュの時間を前に、徐々に列車の運行にも緊張感が増している。
通勤需要にも耐えうる長編成。
首都圏以外の在来線ではまず見られない迫力のある編成。
もちろんJRだけでなく、京急も慌ただしく入線・出発を繰り返している。
いったい首都圏にはどんだけの人がいるんだ・・・めまぐるしく列車が行き交っているのに、どの列車も混雑している。毎日こんな人垣の中を「痛勤」するなんて、、、想像するだけでもしんどい。
「普通列車」で沼津へ
さて、名古屋への帰路につくことにしよう。
下り【浜松方面】夕方のホームライナーは
休日の場合、
「ホームライナー浜松3号」の1本しか運行されない。
今日は休日。
つまり静岡区間の下りホームライナーは「ホームライナー浜松3号」1択になるわけだ。
沼津18:31発だから、それまでに沼津に着いておけばいい。
弁当を買う時間と、整理券を買う時間の余裕を作りたいから
横浜15:57発→沼津17:45着の普通列車(1569E)に乗ることにする。
横浜から乗換無しで沼津まで行けるありがたい普通列車だ。
ちなみに後続の「快速アクティー」(横浜16:02発)なら熱海まで先着することができるが、結局熱海で15:57横浜発の沼津行き普通列車(1569E)に乗り換える必要が生じることになる。
1569E(普通沼津行) | 3535E(快速アクティー熱海行) | |
横浜 | 15:57 | 16:02 |
平塚 | 16:34(快速を待避) | 16:32(1569E普通を追い抜き) |
熱海 | 17:23 | 17:11 |
↓(熱海沼津間325M) | ==== | |
沼津 | 17:45 |
(時刻・列車番号:コンパス時刻表2018年3月号参照)
平塚でアクティーが先行する普通沼津行きを追い抜くが、沼津まで行く快速アクティーの乗客は結局平塚で追い抜いた普通列車への乗り換えが必要になる。
だから、沼津まで行く僕はわざわざ後続の快速アクティーを待つ必要はない。
区間によっては、必ずしも速い列車に乗る方がいいとは限らない。
乗り換えが少ない方が座席を確保する回数が減るし、終点まで気兼ねなく過ごせるからいいのだ。
腹痛との戦いに勝った
実は横浜駅を出発してしばらくするまで、腹痛がひどかった。
しかも乗り込んだ普通列車の号車にはセミクロスシートの空きがなかった。後続の号車ならセミクロスシートも空いていたかも知れないが、そんな気力は無かった(腹痛が・・・)
ということでロングシートでうなだれながら、半ば意識がどこかへいってしまったかのような状態で東海道線を進んで行く。
横浜を出発して、平塚を過ぎるあたりまで僕を苦しめた腹痛は
快速アクティーに追い抜かれてから徐々におさまってきた。
横浜で食べ過ぎた昼食とおやつがいけなかったのだろう(張り切ってパフェなんて食べるからいけないんだ)
熱海駅に到着。
平塚で追い抜かれた快速アクティーの姿は無い。もう回送されたか折り返し運用についているのだろう。
熱海から長い長い丹那トンネルを越えて、函南駅に停車。
1日目は御殿場線で迂回したから、久しぶりの丹那トンネルだ。
新幹線との乗り換え駅の一つ、三島駅に停車。
それなりの乗客を降ろした後、終点の沼津駅に定時到着。
ホームライナー浜松3号乗車記
沼津到着は夕方6時前。
時間は17:45。
あたりはもう既に暗くなっている。
ホームライナーの出発18:31まで時間がある.
一旦改札を出て(18きっぷだから出入り自由)
弁当を買って,整理券を買って,あとは写真でも撮りながら時間をつぶすことにする。
沼津駅でホームライナー整理券を買う
夜の沼津駅。
1日目に来たときは、日中で雨が降っていたから外観が全然違って見える。
あとで知ったことだが沼津は「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地だそうで。
紅白歌合戦に出場していたAqoursのPVで出てくるロケーションを「聖地巡礼」をする人で活況を呈しているらしい。
(駅前にはそれらしい人がいたぞ)
さてホームライナー乗車についての話に戻るが、
ホームライナーに乗るには乗車券(きっぷ)の他に
「乗車整理券=ライナー券(320円)」が別途必要になる。
このライナー券は駅のホーム上や
改札を出たところにある券売機(ふつうにきっぷを買うところ)で手に入れることができる。
今回は一度改札を出て、きっぷ売り場でライナー券を手に入れた。
ホームにあるライナー券専用券売機は、ホームライナー出発前に混雑することが多い。
(18きっぷ旅行者や長距離乗車券で途中下車ができるなら)一度改札を出て、券売機で買うのがおすすめだ。券売機の数が多い分、ホームで買うよりも混雑を回避することができる。
沼津駅改札外にはドトールコーヒーや
弁当を買えるお店,コンビニもある。
18きっぷ旅行者は、時間にゆとりをもって沼津に到着して
改札外で夕食を済ませるか、ホームライナーで食べるように買っておくのがいい。
ホームライナーは特急型車両だから
車内でも駅弁を広げて食べることができる.
夕食を買って持ち込むのがおすすめだ
夜の沼津駅
足下にサンライズとムーンライトながらの乗車位置案内があった。
唯一の定期寝台列車となったサンライズ号は、下り列車が23:40に沼津駅を出発する。
サンライズは大学卒業までに1回は乗りたい。
夜行列車・・・いいなあ
[2019/03/03追記]
ついにサンライズ乗ってきた.
御殿場線の短い編成が入線中。
さっきまでJR東日本の長編成に乗っていたから、拍子抜けする。
御殿場線は1日目に乗ってきた
ホームライナーより8分先行して出発する、普通列車静岡行。
ホームライナーの停車駅は、沼津の次が富士。
富士駅到着はホームライナーの方が先だから、沼津~富士の間で普通列車が追い抜かれる。
1日目はコイツにひどい目に遭わされた・・・
ロングシートはしんどいよ。。。。
なんて1日目を悪く思い出していたら、211系にものすごい目つきで見られた()
すいません。
静岡行き普通列車が定時で出発していった。
ホームにはホームライナーを待っている乗客が増えてきた。
特急型車両・座席指定のホームライナー
普通列車の出発を待ち望んでいたかのように、空いたホームに滑るように入線してきた「ホームライナー浜松3号」373系特急型電車
ホームライナー○○
○○部分=行先と覚えておくと便利
ホームライナー静岡は静岡行き
ホームライナー浜松は浜松行き
多くの乗客がホームライナーの車内へ次々と乗り込んでいく。
たった320円で、静岡区間を一気に移動できるのだから乗客は多い。
ホームライナーは「指定席」車両として扱われる。
先ほど購入したライナー券に指定座席が印字されているのだ。
車内へ乗り込んで自分の座席を探して、着席。
相当な乗車率だ。
沼津出発時点で8割以上の座席は埋まっているだろうか。
18きっぷシーズンだから余計に乗客が多いのかもしれない。
みんな考えることは同じだ、ちょっと安心。
大勢の乗客を乗せた373系は、VVVFを唸らせて沼津駅を出発した。
ホームライナーで優雅なひととき
先ほど紹介したように、ホームライナーは「373系」が使用されている。特急型車両だから、全席リクライニングシート2×2,肘掛け・フットレスト・背面の荷入れが設備として標準的に搭載されている。
長い長い静岡区間を、主要駅だけに停車しながら快走。しかも車内はゆったり快適。たった320円追加するだけで手に入る環境とは思えないほどの充実っぷり。
朝夕に静岡区間を通過するなら、乗らない理由は無い。コスパが良すぎる。
沼津を出たら、富士、清水、静岡と停車する。
1日目に嫌と言うほど味わわされた
「横に長い静岡」。
ホームライナーに乗ると「横の長さ」が半分以下になったんじゃないか?と錯覚してしまう
背面テーブルの設備は無いが、インアーム式の簡易テーブルがある。
これを引っ張り出せば車内でごはんを食べることができる。
コンビニで買っておいた夕食を食べる。ながいながい静岡区間をぶっ飛ばしながら夕食を食べられるなんて・・・最高だ。ロングシート車ではできない芸当。
車内は乗客の多さの割に落ち着いている。
客層が中高年に寄っているからだろうか。
一人者が多いからだろうか、定かでは無いが
おかげで集中してKindleを読むことができた。
好きな本を読みながら、時折目に入る都心部の明るい車窓を眺める。
夜の列車旅もいいものだ。
静岡から藤枝、島田、菊川と停車。
あっという間に掛川についた。
掛川到着は19:48。沼津出発は18:31だから沼津→掛川を1時間少々で走り切ったことになる。
普通列車では考えられない俊足。
このあと袋井、磐田と主要駅にのみ停車して終点の浜松に向かう。
掛川から一度離れていった東海道新幹線は、浜松到着前に再び東海道線に並行する。
ホームライナーがいくら速いとはいえ、
新幹線にはさすがに勝てない・・・
赤い種別表示は「ひかり」だ。
ものすごいスピードでホームライナーを追い抜いていく。
浜松から「豊橋行き普通列車」に化ける
浜松には定時到着20:10。
所要時間は1時間40分ほど。
沼津→浜松を1時間40分・・・しかもリクライニングシート
普通列車で2時間以上ロングシートに座っていたのがバカらしくなった。
さて、このホームライナー浜松3号にはまだまだ面白いことがある。
浜松到着後に「普通列車浜松行き」としてそのまま継続運転されるのだ。
つまり沼津から豊橋まで、乗り換え無し・かつリクライニングシートで行けるのだ。名古屋方面へ移動する僕にはこれ以上ありがたいことはない。
浜松出発後からは「全車自由席」扱いになるから
背面ポケットにある「指定座席」はもう関係なくなる。
だが、ほとんどの乗客は豊橋・名古屋方面へ継続乗車する。
それゆえほとんどの乗客は座っていた指定席を離れることはしない。
だから浜松から乗ってきて座れなかった乗客がデッキから通路まで溢れている。
乗車率100%越え・・・
浜松を20:12に出発した373系普通列車(977M)は、豊橋まで各駅に律儀に停まっていく。
先ほどまでの快速運転とは対照的だ。
全速力に到達する前に次の駅に停まってしまう。
各駅でちらほら降車があるものの、混雑はほとんど緩和されないまま終点の豊橋に到着。
2分ほど遅れて20:48に到着した。
区間快速で金山へ~旅の終わり~
さあ、名古屋まであと少し。
豊橋駅で名古屋方面の列車に乗り換える!
接続列車は下の2本。
5番線の特別快速が先発、6分おいて6番線から区間快速が出発する。
ホームライナーが遅れて、特別快速の乗り継ぎ時間は1分しかないが、一応接続列車である特別快速はホームライナーの乗客を待って出発するようだ。
どっちに乗っても下車予定の金山へ行けるが、さてどっちに乗るか。
今晩は特に用事は無いから急ぐ必要は無い、皆さんだったらどっちに乗るだろう。
ちなみに6番線の区間快速米原行き(5703F)は、岡崎まで各駅停車するタイプ。岡崎から先、大垣までは特別快速と同じ停車駅+共和に停車する。
金山到着は
特別快速(5139F)21:39
区間快速(5703F)21:55
だ。
_ _
僕は6番線の区間快速を選んだ。
多少、所要時間は増えるが確実に座って名古屋へ行けるのは区間快速だと思う。
両数に注目して欲しい。
区間快速は8両であるのに対して、利用者が多いと思われる先発の特別快速は6両しか繋いでいない。
所要時間も増えるとは言うものの、特別快速と区間快速の金山到着は、16分しか違わない(しかもホームライナーを待った特別快速は遅れを持って出発している)
こんなことを豊橋駅で考えて、区間快速で帰ることにした。
区間快速は岡崎まで一駅ずつ真面目に停車。
豊橋→岡崎には思った以上に駅数がある。いつも新快速とか特別快速にしか乗らないから、意外と多い駅数に驚いた。(豊橋、西小坂井、愛知御津、三河大塚、三河三谷、蒲郡、三河塩津、三ヶ根、幸田、相見、岡崎)
岡崎からは堰を切ったように、いつもの快速運転。
313系はモーターを唸らせながら爆速で進む。
時折すれ違う新快速もものすごいスピードで走っていく。
313系が金山へグングン近づいていく、自分もつられるように現実へ引き戻されていく。
そして定刻21:39、金山に到着。
2泊3日の18きっぷ旅は終わった。
まとめ:ホームライナーは超乗り得列車だった
実はホームライナー自体は前に一度乗車したことがある。
そのときはまだ「静岡区間を普通列車で抜ける」修行を終えていなかったから、ホームライナーのありがたみがわかっていなかった(別にわかる必要も無いと思うが。。。)
1日目に普通列車で静岡区間を乗り切ったからこそ、ホームライナーのありがたみ・快適さ・速さが身に染みた。
「もう2度と静岡区間をロングシートでは抜けない」
快適なホームライナーでステキな旅を!
これで2018冬の18きっぷ旅は終わりです。
長文でしたが最後までお読みいただきありがとうございました。