夏の北海道自転車旅に出る前,
北海道から名古屋まで鉄道で移動してみたい
そう,漠然と考えていた.
前期は大学の実験や講義・試験で忙しかったため,預金には余裕があった.来年の夏は大学院入試や研究で忙しいだろうから,北海道へ行く機会というのもなかなか作れなくなるだろう…
どうせ大人になったら,面倒くさくなって飛行機に乗るだろう.時間があって多少貯金があって,しかも北海道にいる機会というのはそうそうない.実行のチャンスは今しかない!夏休み前の図書館で,試験勉強の傍ら,えきねっとと学割を駆使してきっぷの発券に取りかかった.
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北海道(帯広)から名古屋までの鉄道旅記録(前編).
今回の旅の行程
帯広にて北海道ツーリングを終えた後の話.きっぷはすべて出発前に手配しておいた.今回の旅は18きっぷでドコドコ帰るのではなく,できるだけ速い列車に乗って帰ろうという計画.ということで,特急列車と新幹線を乗り継いで,1日で名古屋まで行く.
帯広~南千歳~新函館北斗~東京~名古屋
のりかえは全部で3回.行程は以下の通り.
南千歳→新函館北斗(室蘭本線・函館本線):スーパー北斗8号
新函館北斗→東京(北海道・東北新幹線):はやぶさ28号
東京→名古屋(東海道新幹線):のぞみ407号
きっぷは以下の4枚を先に発券.
- 帯広→南千歳:乗車券&特急券[指定]
<えきねっとトクだ値55> - 南千歳→新函館北斗:特急券[指定][乗継割]
- 新函館北斗→東京:新幹線特急券[指定]
- 南千歳→名古屋市内:乗車券[学割]
- 東京→名古屋:新幹線特急券[自由](←東京駅にてあとから発券)
5.の東京~名古屋新幹線特急券のみ,東京駅に着いてから購入した.
えきねっと,学割,乗継割引を活用
JR東日本・北海道内の特急・新幹線は「えきねっと」にて,ネット予約限定の割安きっぷ「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」が発売されている.自分は東海地区在住でこれまでえきねっとを利用したことはなかったが,せっかくなので今回はじめて活用することにした.
基本的に座席数限定の企画きっぷで全席指定.予約が始まってすぐに売り切れてしまうものも多い(特に割引率が高い「お先にトクだ値」).
発券前は,北海道内の特急と新幹線をえきねっとから予約しようと考えた.しかし,えきねっとのお得チケットは,基本的に
- 乗車券とセットでの発売
- 長距離ほど割引率が小さい
である.予約時点では,乗車日1ヶ月前を過ぎており,スーパー北斗は最も割引率の高い55%割引<トクだ値55>のきっぷが売り切れ,東北新幹線については東京~新函館北斗間で5%しか割引にならないことがわかった.乗車日が日曜日だったこともあってか,かなり早い段階で売り切れていたのかもしれない.
しかし,自分の場合は学割が使える.こういう状況なら無理してえきねっとを適用する必要は無い.売れ残っていた帯広~南千歳の<トクだ値55>のみえきねっとにて発券して,それ以降の区間は乗り継ぎ割引(新函館北斗乗り継ぎ)と学割乗車券で発券した.
スーパーとかち2号乗車記|帯広~南千歳
朝の帯広駅からスタート.今日から9月.帯広駅前では毎年この時期に「とかちマルシェ」が開催されているが,まだこの時間では駅の周りは閑散としている(そもそも駅が開いてないのだから...)
駅が開場するまで15分ほどあるので,この時間で輪行を済ませて,開場と同時に入場.
券売機にてえきねっとチケット受取
きっぷをまだ受け取っていなかったので,帯広駅構内にある指定席券売機にてきっぷを発券.みどりの窓口でも発券できるんだろうけど,券売機で発券すると30ポイントのえきねっとポイントがつくということだったので,迷わず券売機にて発券した.
ボタンを押して,カードを挿入して,確認して発券.
きっぷが1枚,クレカの明細,領収書あわせて3枚出てきた.
これでとりあえず南千歳まで乗ることができる.その他のきっぷは普通にみどりの窓口で購入した.「南千歳から名古屋までの乗車券をお願いします」なんて台詞もう二度と言う機会はないだろうな.
みどりの窓口向い側のコンビニで朝ごはんと飲み物を買って,いざホームへ.
「おはようございます。ただいまから、6:45発、特急スーパーとかち2号の改札を行います…」女の人のあの甲高い自動放送が流れてきた.
キハ261系スーパーとかち2号
4番線に入線中.アイドリング中のエンジン音が響き渡っている.
スーパーとかち2号札幌行
帯広0645=南千歳0859
帯広駅を出発する,上りの始発特急.
根室本線を釧路まで直通して走る「スーパーおおぞら」とは異なり,こちらの「スーパーとかち」は帯広止まり・帯広始発の特急.乗客の棲み分けがなされているわけだ.
使用列車は最近増えてきた261系1000番台.黄色い貫通扉と,白基調のボディに紫・灰色の帯.同じ列車名の261系でも,基本番台・旧塗装の方とはずいぶんカラーリングが違う.スーパーとかちは全列車がキハ261系1000番台での運転.この後乗車するスーパー北斗も大部分の列車がキハ261系1000番台となった.まだ若干運用がある281系は,いずれ261系に置き換えられるだろう.2020年度には5000番台を名乗る261系多目的車両が導入されるとの噂もある.
連続テレビ小説「なつぞら」の舞台が十勝地方であったことから,先頭車両側面にはなつぞらラッピングが貼ってあった.そういえば昨日帯広市内を散策したときは,ずーっとスピッツの主題歌が流れ続けていた.帯広は完全になつぞらフィーバーだった.
ゆったり快適指定席を満喫
多目的スペースに輪行状態の自転車を置いて,指定席へ.
2号車[指定席]の車内.
自由席も見てきたけど,座席の設備は指定席の方が充実していると思われる.厚めでゆったりとした造りの座席,可動式ヘッドレスト.背面テーブルももちろん備わっている.
定刻6:45に出発.背中から押し込まれるような加速力,乗っていて気持ちいい,胸のすくような加速.これぞ北海道の特急列車だ.6両編成をぐんぐん引っ張って快走.
車窓を眺めながら朝ごはん.北海道の惜別のためにセコマに寄ろうかとも思ったけど,結局セブンイレブンで妥協(お気に入りの「照り焼きチキンとたまご」サンドがあったから許す)
一駅停車してしばらく走ると,すぐに農村の風景.気持ちいい”なつぞら”が広がる.
車内の電光掲示板に「十勝清水まであと10km」と表示された.駅間が長い北海道ならではの表示だ.
7時を過ぎると,車窓左側に日高山脈が見えてくる.床下から聞えてくる猛烈なエンジン音を楽しむ.自転車で走るより何倍も何倍も速い.当たり前のことだけど,長旅をしてきた旅人は,そんなことでも感動するのだ.
新得駅に到着.ここから石勝線(南千歳・札幌方面)と根室本線(滝川方面)が分岐.根室本線は東鹿越行き代行バスが走っていて,車内放送でその案内がなされていた.
また,石勝線も新得までは普通列車もあるけれど,新得=新夕張の区間は特急列車しか走っていない.このあたりはJR北海道の路線の中では指折りの険しい区間だ.
山間区間のダイナミックな走り
新得駅を出発する頃にはスマホの電波は入りづらくなった.
カーブを繰り返しながら蛇行するように進む列車.さっきまで右側に見えていた朝日が,左側から差し込んでくるようになった.
スノーシェルター,トンネルをいくつも交わしながら進む.GoogleMapを開いて見てみると,新得~夕張の区間がいかに険しい区間か実感できた.線路の周りには山しか見当たらない.
東の山に雲海?白くてもくもくとした景色が見えた.
7:30頃,新狩信号所,3分後に「トマムまであと10km」の表示.なが~いトンネルをようやっと抜けるとトマム駅.
数人の乗車があった.自分の乗っている2号車には10人弱の乗客がいる.日曜日なのに人が少ないし,静かでいい.今日から9月,本州では新学期だが・・・大学生はまだまだ夏休み.
座席背面に入れてあるJR北海道の車内誌を読んでいると,占冠についた.占冠駅は一度降りたことがあるけど,駅前には何もない.
占冠を出発してしばらく走ると,またトンネルが連続して続く.
8時を過ぎた頃,東オサワ信号所にて対向列車待ち合わせ.
8:22新夕張到着.ここからはまた普通列車も走る区間.山越えは終わり.
新夕張を笛のようなブレーキ緩解音を奏でて出発.
そのあと爆睡して,気付いたら追分まで来ていた.さっきまで山の車窓だったのに,だんだんと家や畑が増えてきた.
7打点チャイムが車内に流れ,車掌の放送.
新千歳空港が見えてきたら,南千歳駅到着.4番線に入線.
始発列車だから混雑してるかな~と心配したけど,空いててよかった.でも,自由席は結構乗車率が高かったみたい.
終点の札幌へ向かう261系を見送って,一度改札を出る.
スーパー北斗8号乗車記|南千歳→新函館北斗
南千歳駅にてのりかえ.
ここまで乗ってきたスーパーとかち2号と接続するのは,スーパー北斗6号.時刻的には十分乗り継げた.しかし南千歳駅で駅弁や飲み物を買う余裕が欲しかったのと,新函館北斗駅での乗換時間を削減するのとで,1本後のスーパー北斗8号に乗車する.
南千歳駅には小さなキオスクしかないのが残念.飲み物とか割高だった.でもまあ駅弁は買えたのでよし.
親切でハキハキとした駅員さんに気持ちよく改札をしてもらって,ホームへ.
261系スーパー北斗8号
スーパー北斗8号函館行
南千歳1000=新函館北斗1307
先ほどまでと同じ,キハ261系.新しい車両だから快適でいいけど,,全く同じ車両というのも芸が無い気がしないでもない.
右手には新千歳空港.でっかい飛行機がたくさん駐機している.
そういえばまだ新千歳空港駅には行ったことがない.今度は飛行機で来ないと行けないな(謎の使命感)
室蘭本線を全速力で駆け抜けていく.流れるように過ぎ去る車窓をぼんやり眺める.
まもなく,苫小牧.指定席車内の乗車率は,Sとかちより高い.ただ,その分車両も9両編成と長い.石勝線よりは需要が多いことが覗える.
苫小牧を出発してから,車内検札があった.
北吉原駅で普通列車と交換,右手に大きな工場が見える.
しばらく走ると,右側車窓にてっぺんだけ削りとったような山がみえた.GoogleMapをみると,その山は倶多楽湖を囲むカルデラだったらしい.
好きなモノを好きなように食べて飲みながら,いい天気の車窓を眺める.北海道の車窓はスケールが大きくて楽しい.
10:56東室蘭駅到着.全然乗ってこなかった.
室蘭市街を左に見ながらいくつかトンネルを抜けると海が見える.太平洋だ.ずっと内陸を走る石勝線特急よりもいい景色だ.
伊達紋別駅から右側には有珠山が見えてきた.有珠山は「嘘をつかない山」,洞爺湖のビジターセンターで勉強したぞ.
役場の目の前にある洞爺駅を出発.車内電光掲示板には「長万部まで30km」の表示.遠いな~と,またウトウト...
寝たり起きたりしていると長万部駅.ここから函館本線に合流.
長万部の駅弁「かにめし」
長万部を出発したところで,ちょうどいい,「かにめし」を食べよう(南千歳駅のキオスクで買っておいた)
かにめしは長万部の名物駅弁.森駅の「いかめし」と合わせて,北海道では名実ともにトップクラスの駅弁.だから,南千歳駅の小さいキオスクでも売っていたのだ.
JR北海道のお茶「うらら」とあわせていただく.
ごはんの上にのっているのは,細かくしたカニの身と,卵,椎茸,それにカリカリの梅干し.横には卵焼きと漬け物.
シンプルだけど,カニの味がちゃんと楽しめて美味い.卵とも相性がよくてドンドン食べ進む.
森駅名物のいかめしもかなり完成度が高かったけど,かにめしも負けていない.
道路よりもかなり下側の方,八雲までの直線区間を快走する.
デッキに出て海を眺める.青い空が綺麗だ!
八雲駅に停車.南の空に陽が高く昇り,デッキだけでなく座席にも強烈な陽差しが差し込んでくる.
八雲出発後は,右側に駒ヶ岳,左側に噴火湾の景色を眺めながら進路を西から南へとる.
森駅到着前後は丁寧な車内放送があった.大沼公園,新函館北斗が近づいてきたからだろう.
駒ヶ岳・大沼公園の絶景
函館本線で最も見応えがあるのは,大沼公園・駒ヶ岳の車窓.
大沼公園駅手前あたりから,駒ヶ岳が裾まで綺麗に見えるようになる.見る角度によって微妙に山の形が違って見えるのが面白い.
大沼公園駅から1km先にある大沼駅で,臨時特急183系「ニセコ」と交換.乗務員が手を振ってたのが格好良かった.
ちなみにニセコ号は,函館~札幌間を山線(長万部~ニセコ~小樽~札幌)経由で結ぶ,夏の臨時特急.2018年に長万部まで乗車してきた.
車窓には函館本線のハイライト,大沼と駒ヶ岳.
両方が一緒に見えるのは短い時間だったけど,天気が良くて最高の景色だった.自転車で大沼を走ったときは天気がめちゃくちゃ悪かったから,リベンジできてよかった.
新函館北斗駅に到着
南千歳から3時間少々のロングランで,新函館北斗駅に到着.スーパー北斗はこの後,五稜郭,函館と進む.
新函館北斗駅からはいよいよ北海道新幹線に乗り換える.電光掲示板には先ほどすれ違った「特急ニセコ」が案内されていた.
まとめ:気動車特急最高!
長くなったので,続きは【後編】にて紹介.
スーパーとかちもスーパー北斗も「スーパー特急」の名に恥じない,快走を楽しむことができた.割安なえきねっと&乗り継ぎ割引が効いた特急券でゆったり指定席にも乗れたし,満足度の高い旅ができた.
北海道の気動車特急最高!