昨年,一昨年は名古屋~苫小牧を太平洋フェリーで移動.
愛車で北海道内をぐるぐる走った.
おかげで北海道内はたくさん走ることができた.
【まとめ】2018北海道自転車旅|大自然に感動し、グルメを愉しみ、被災に涙した旅
「今年の夏は東北も走ってみたいな・・・」
ということで,名古屋から北海道まで東北経由で全部自転車で走ることにした.全部,自転車で.
「北海道まで自転車で行く」自分の中では思い切った挑戦だ.でもこういう長い期間の放浪(?)旅は学生の間しかできない,来年からは研究の方が忙しくなるだろう.やるなら今しかない.
名古屋を出発してから北海道内を走り終えて,また名古屋に帰ってくるまで,25日.自分史上最も長い自転車旅の記録.
_ _
<この記事の内容>
20日目:標津~知床~ウトロ
<前の日>
19日目:清里~裏摩周~標津
<次の日>
21日目:ウトロ~斜里~標津
20日目:標津~知床~ウトロ
名古屋からはじまった自転車旅も終盤.
北海道に上陸してから11日目になる.そんな今日の目的は,北海道ツーリング最大の見所でもあり山場でもある「世界遺産・知床」サイクリング.羅臼,ウトロの天気予報は晴れだったが・・・?
民宿「万月堂」にて美味しい朝食
民宿にて,起床.窓の外はいい天気.雲はでているけど,青空が多く見える.顔を洗って,着替えをして1階へ降りる.
1泊2食つきの民宿「万月堂」にて朝ごはんをいただく.
昨晩に引き続きの,手作り朝食に舌鼓.
民宿で食べる朝ごはんは,どうしてこんなに美味しいんだろう・・・食材はもちろん,「愛情」がこもっているからに違いない.煮物,お魚,卵焼き,なすの入ったお味噌汁.おいしいごはんで,知床峠登坂へのパワーがじわじわと溜まっていく.
冷えていた身体も食べ物が胃の中へ入ったことで,温まってきた.
おいしいごはんをあっという間に完食.食後の珈琲まできっちりいただいた.今日も1日頑張るぞ.
知床峠のスタート地点・羅臼へ
荷物を下ろして自転車を準備.雨の中走ったせいもあってか,フレームからキャリアまで泥だらけになっている.これがビシビシのロードバイクだったら一刻も早く洗車したくなるんだろうけど,僕の愛車はシクロクロス.「汚れてナンボ」,泥がついて当たり前の自転車だから,むしろこの方がカッコイイ.
パッキングもすっかり熟れた.
民宿の方に感謝のあいさつをして,出発.
ちなみに出発前話していたとき,「今日は峠の頂上はガスっているかもしれないから,気をつけてね」と言っていただいた.たしかに,民宿から峠方向を見ると,黒い・分厚い雲が立ちこめていた.海側は気持ちよく晴れているのに…
民宿がある道道1145号薫別川北線を太平洋側へ進んで,羅臼と標津を結ぶ国後国道(R335)へ抜ける.国道の名前に「国後」とあるとおり,知床半島の南東部分を縦に走る国道で,東側には国後島がすぐそばまで迫る.天気がよかったこの日は,国道から太平洋に浮かぶ国後島がしっかりと見えた.
一昨年も走った国後国道は,路肩こそ悪いものの,天気が良ければ国後島と太平洋を見ながら走れる気持ちいい道.夏北海道の朝特有の,少しひんやりとした空気の中を快走して,知床峠の麓・羅臼町へ.
雨の知床峠ヒルクライム
羅臼町にあるセイコーマートにて休憩&補給の買い足し.一昨年のツーリングでも,このセイコーマートに寄り道した.知床峠のスタート地点.
トイレも済ませていざ出発,羅臼を起点に,知床峠・ウトロ,斜里を経由し美幌まで延びる国道334号の起点の交差点に立った.峠方向を眺めると,明らかに天候が悪い.昨日までの峠頂上の天気予報は晴れ時々曇だったのに?おかしいなあ.
ここまで来たのだから,登らないわけにはいかない.天気を心配しつつ,峠まで16kmの登りをスタート.
最高地点まで600m以上登ることになるので,焦らずコツコツ回していく.起点からしばらくは緩やかな道,ほぼ平坦に近い.このあたりではまだ晴れていた.
右手に見える羅臼ビジターセンターを過ぎると,徐々に上り勾配に変わってきて,「熊の湯」入口辺りからは本格的な登りだったかな.
そこから知床大橋で羅臼川を越えると,すぐ左カーブ.長めの覆道に入る.この覆道を抜けたところで,天気雨が降ってきた.霧雨だけど,天気は晴れだけど,降ってきた.先が思いやられる...
翔雲橋では,かなりの高度感を感じられる.このあたりで標高は300m前後.翔雲橋までがキツい.距離に対して標高が早く上がりすぎる.逆に言うと翔雲橋まで来てしまえば,あとは惰性で登り切れると思う.
このあとは幾度かのヘアピンカーブで標高を上げながら,徐々に斜度がゆるやかになってくる.もちろん部分的にキツい坂はあるけど,全体的に見れば,足をつかなければ上れないような坂ではない.
一昨年走ったときよりも,ラクに上れていることに,見返り峠あたりで気付いた.2年も自転車に乗っていれば誰でも多少は脚力がつくもんだな~と.
_ _
そして気がつけばあたりは白くなり,霧雨は小雨に変わってしまった.見返り峠から先はちょっと下って登り返して700mを越える.700m以上のところでは,ほとんど視界がなくなってしまった.道路から下に広がっているはずの絶景はまったくもって拝めない.
そんな感じで,最後の方は普通に雨に打たれながら登った.クソ~!
頂上はこのありさま.麓では青空も広がっていたのに,雲が引っかかってしまっているのか,気流の影響なのか,とにかく雲が断続的に発生して,景色は望むべくもない.
道路を渡った歩道からは国後島がデカデカと・・・見えない
知床峠の石碑で,雄大な羅臼岳をバックに写真を・・・撮れない
頑張って登った峠が雨であることほど悲しいことはない.峠を登ること自体に達成感はあるけれど,登ることだけに目的を置くほどストイックではない.目的は「峠からの絶景を拝むこと」だ.それなのに...なんだこの天気は...
一昨年は快晴だったので,そのときの写真を載せて頂上からのレポートはおしまいにする.一昨年の知床峠登坂の様子は→自転車で知床峠と世界遺産・知床五湖|北海道ツーリング5日目〜標津→羅臼→知床
良い天気だったなあ・・・
ウトロまで下って海鮮丼!
寒い峠の上にいても辛いだけなので,さっさとウトロまで下ることにする.知床峠は標高700mもあるので,単純計算で麓の街より4~5℃気温が低い.ましてやこの日は霧が出て風が吹き雨もぱらついていたので,体感では10℃近く低かったのではないだろうか.ストームクルーザー持っていっておいてよかった.
知床峠を下り始めたときは手がかじかんでブレーキをかけるのも辛かったが,それも最初だけ.標高が400mくらいまで下がってくると,気温は上がり,雲も晴れてきた.おまけに青空まで見え始め,温かい太陽の陽差しが,雨に濡れたストームクルーザーに照りつけてくるではないか・・・!
天気が悪かったのは,本当に頂上の周辺だけだった.(ちなみに午後からは峠の方も晴れたらしい,残念)
ウトロの市街地へ入る前の下り坂.ここは一昨年夕方に通った.夕陽が綺麗だなあ~と感動しながら通った記憶がある.昼間でも十分美しい景色だ.
ウトロの市街地まで下りきったら,お昼ごはん.
テキトーに入ったお店で,峠の憂さ晴らし海鮮丼!
おいしい(確信)
値段はそれなり・・・だけど,新鮮で,刺身はどれも厚みがあって美味しかった.
世界遺産・知床五湖からの絶景に感動
海鮮丼でお腹いっぱいになったら,今夜の宿・国設知床野営場へ一度荷物を置きに行く.
知床野営場はウトロの街中から坂を登ったところにあって,これから行く知床五湖は,知床峠から分岐してしばらくアップダウンを繰り返したところにある.重い荷物を持ったまま五湖へ行くよりは,一度キャンプ場に荷物を置いてピストンした方がラク.
知床野営場→知床五湖は距離にして14kmほど.先ほど下ってきた国道334号を,知床峠方面へ戻り,道道93号の分岐を知床五湖方面へ入る.
知床五湖までの道は,意外とキツい.一度300mくらい登り,200mほど下って,そのあと知床五湖まで登る感じ.知床峠を登ったあとだから,というのもあるかもしれないけれど,アップダウンで想像以上に体力を消耗する.
それでも,天気はいいし荷物は置いてきたし,何より景色がいいので頑張れる.
知床五湖直前では鹿が飛び出してくる場面もあった.人の手がほとんど入らない自然公園だからこそ見られる光景.
_ _
16時前に知床五湖到着.
高架木道を1時間ほど散策.一昨年の道東ツーリングで一番感動した景色は,この知床五湖からの景色だった.だからこそ今年もう一度訪問したわけだが・・・その期待通りの,いや期待以上の絶景を見ることができた.
高架木道以外は,ほとんど人工物は見当たらない.そびえ立つ知床連邦の雄大さに,圧倒される.
天気もいいし100点満点の知床五湖だ.
木道からは,なんとヒグマの姿を目撃・・・
大自然の中にたくましく生きるヒグマ.のそのそと草地の中を歩き回る姿は,どこか寂しげでもあった.
五つある湖のうち,高架木道から唯一眺められる「一湖」.(その他の湖は,散策の前にレクチャー受講が必要になる「地上遊歩道」からのみ見ることができる)
鏡のように美しい一湖とそこに映る知床連山.
今回のツーリングのハイライト的一枚.
この写真は,ノートPCの壁紙になった.そのくらい,美しかった.生で見るともっともっと美しい.
写真で振り返る知床
知床峠は真っ白でも,下の五湖は晴れてた.
知床は何度来ても感動する.写真でも綺麗だけど広角に広がる知床連山の迫力を100%写真に収めることは絶対にできない.一生に一度は生で見に行くべき. pic.twitter.com/0fKbOn6T8B— タケ|自転車と鉄道 (@take26confi) September 15, 2019
1時間ほどの散策を終え,アイスクリームを食べて,キャンプ場へ帰った.
まとめ:知床の絶景に今年も圧倒された
以上,20日目の記録.
知床五湖,知床峠とも2度目の訪問だったが,やっぱり知床は凄い.
知床五湖から眺めた知床連山の景色は写真では収めきれないほど,美しかった.峠は雨だったけど,五湖の方まで下ってきてよかった.
_ _
20日目走行距離:90キロ
累積走行距離:1695キロ
食費:3,881円
宿代:400円(国設知床野営場)
風呂代:500円(夕陽台の湯)
合計:4,781円
まっぷる知床・阿寒(’20) 網走・釧路湿原 (まっぷるマガジン)