2019年がやってきた。
新年最初の鉄道旅は、地元・四国の南予を走る路線「予讃線」日帰り旅。
松山~坂出区間にはよく乗るけど、松山から南・内子大洲方面は乗ったことがなかった。
せっかくのお正月。夏の豪雨から復興が進む南予を応援すべく、18きっぷで日帰り旅を敢行。
年季の入った気動車で、穏やかで透き通るような伊予灘を眺めて列車に揺られる1日。
松山→宇和島(愛ある伊予灘線経由)
松山から宇和島への往路は、向井原から伊予灘側(海周り)を走る「愛ある伊予灘線(旧線)」伊予長浜経由で向かうことにした。
路線図引用:駅ナンバリング:JR四国
この区間は途中の伊予長浜ぐらいまではずっと海沿いを走る。よく晴れた車窓に見える伊予灘が本当に気持ちよかった!
朝の松山駅を出発
松山といえば、「ダイヤモンドクロス」(鉄道好きだけ?)
伊予鉄道高浜線と伊予鉄道市内線が、一般道路上で垂直に交わる全国的にも珍しい場所。鉄道好きなら知らない人はいないはず。
市内電車が通過するのを見てから、松山駅へ向かう。
いつもの松山駅。レトロな地上ホームと駅舎。
大学入学後は名古屋で下宿を始めたので、松山駅に来る機会もめっきり減ってしまった。
最近ではレトロな駅舎に懐かしさすら覚える。
高松駅や高知駅が高架化されても、なかなか高架化工事の気配がない松山駅。四国一の人口を抱える都市なのに、玄関がこんなちっぽけでいいの・・・?
でも最近ようやっとそれらしい工事が始まったみたい。いきなり松山駅を高架にするわけにはいかないから、市坪・伊予横田のあたりから順番に高架化工事を進めている。
実家へ帰ってくるときは特急利用がほとんどなので、1番線しか使わない。
でも今日は予讃線を18きっぷで移動するので、主に普通列車が発着する2番線へ。
南予へは何度も行ったことがあるけど、鉄道で松山⇔南予を移動するのはこれがはじめて。長いことこっちにいたはずなのに一度も予讃線南予方面に乗ったことがないのが意外だった。
2番線に停車中、
宇和島行き普通列車・キハ54
宇和島まで乗り換え無しでいける長距離普通列車。
途中で特急「宇和海」に何度も追い抜かれるので、宇和島到着は3時間後くらいだ。
こちらが松山駅に停留中の特急「宇和海」2000系。
JR四国が開発した世界初の振り子式気動車として有名。2000系は四国の名車両。
東から昇った冬の陽光が差し込む車内は、
18きっぷシーズンということもあり
ロングシートが7割くらい埋まっている。
日中の予讃線普通列車は、18きっぷシーズン以外は需要は大きくない。残念なことだが南予は特急天国だから仕方が無い。区間利用がせいぜい。
キハ54は定刻で出発した。
ディーゼルカーでひた走る
松山から伊予市までは電化区間。
さっそく北伊予駅で上り特急「宇和海」の通過待ち(幸先の良い?スタート)
先ほど紹介した高架化に伴い、松山駅にある車両基地はまるっと伊予方面へ移転するようだ。
既に伊予横田駅あたりには、本線横にずらっと回送線や留置線が完成していた。市坪駅の近くは複線かしていたし、高架化は順調に進んでいるみたい。
伊予市駅を過ぎると非電化区間に入る。
向井原駅からは「愛ある伊予灘線(旧線)」と「内子線(新線)」が分岐。僕が乗っている普通列車は旧線の伊予長浜経由。
夕陽で有名な下灘駅や伊予長浜駅は旧線(愛ある伊予灘線)にある。
今回は行きは伊予灘線、帰りは内子線を利用してみる。
内子線の線路と別れて、上り坂を駆け上がっていく。
後ろには穏やかな伊予灘がよく見える。今日は空が青くて海の色も綺麗!
上灘・下灘から美しい伊予灘をながめる
坂を登り切ったら線路は一度、山の中へ入っていく。
旧線らしい、急カーブをゆっくり抜けていく。特急列車はカーブの少ない新線(内子線)を経由するので、カーブの多い景色は旧線の普通列車でしか見られない。
そして山を抜けると、右側が再び開けてきて
海が一気に視界へ飛び込んできた。
絶景の予感!
列車は上灘駅に到着。ここで対向列車を待ち合わせる。
上灘・下灘といえば観光列車「伊予灘ものがたり」も通る区間で、夕陽が沈む頃には下灘駅に多くの人がやってくるそう。
ちっぽけな駅舎の裏には、昔風の商店と民家。
そしてすぐ奥には海が見える。
瀬戸内の海は静かだなあ・・・
白波が立つ太平洋とは大違い。
すぐ背後には山が迫る。さっき苦労して抜けてきた山だ。
対向列車が到着。
こちらも単行のキハ32だ。
国鉄車両・・・古めかしいが雰囲気はいい。
踏切を渡ると出発時刻。
まだまだ車内には大勢のお客さんがいる。
次の下灘まで行くと思われる。
上灘→下灘の区間は、予讃線でも屈指の絶景区間。
一面に広がる青!絶景!
夕陽が綺麗なのも納得の絶景。
下灘駅に到着後、車内にいた乗客の半数以上が下車した。
人が少なくなった車内には、下灘駅にいた多くの観光客の声が響く。
乗り遅れた乗客のために、一旦停車したキハ54は再出発。
下り勾配を下って大洲方面へ向かう。
愛ある伊予灘線(旧線)経由で大洲
下灘駅から先も急カーブを抜けながら
伊予長浜駅を過ぎると、徐々に内陸へ戻る。
キハ54は直線区間、なかなかの走りっぷりを見せる。
車窓には大きな川が見えてきた。
車内は下灘駅以降空席が目立つ。
五郎駅にあった内子線のホーム跡。
かつて内子線は、五郎駅から分岐して新谷駅に向かっていた。その遺構。
現在は伊予大洲駅-新谷駅間が開業して、伊予大洲駅分岐になっている。
五郎駅を出発してしばらくすると、内陸側から高架の内子線が合流してくる。
向井原駅で別れた路線が伊予大洲駅の手前で再び出会うことになる。
伊予大洲駅に到着!
乗っていた普通列車到着後、すぐに内子線のキハ54も入線してきた。
大洲は南予の中心市街地。
「肱川あらし」で有名な一級河川肱川は、平成30年豪雨で堤防が切れ、周辺に大きな被害を出した。
肱川は昔から、よく堤防が切れて洪水を引き起こしているそうで・・・これからも治水対策は大変だろうな・・・。
15分ほど停車。
駅ホームでトイレを済ませておいた。
卯之町駅にて「宇和海」通過待ち
伊予大洲駅で多少乗車があり、再び賑わいを見せる車内。
出発したキハ54は、肱川を渡りながら大きく右へカーブをとり左手に大洲城を見ながら大洲市街から離れていく。
伊予大洲駅を出発する、この大きなカーブは良い景色だった。
田園地帯を快走。先ほどまでの海沿い区間に比べると、この辺は線形がいい。
1時間弱走って卯之町駅に到着。
卯之町駅で上り下り両方の「宇和海」を待避する。
停車時間は15分以上あった。
時間があるのでホームの外へ出てみることにする。
と、その前に2000系を撮影。
カッコイイ!!
4両編成の2000系は、見た目以上にパワフル。
大きなエンジン音を響かせながら、松山へ出発していった。
卯之町駅の駅舎。
レトロな感じのする駅舎で、周辺には観光スポットも多い。そのおかげか乗降客はたくさんいた。
駅には有名な「愛の火鉢」。
寒い冬、少しでも待合室で快適に過ごしてもらおうとした駅員さんの気遣いで始まったらしい。
手を当ててみるとほんのりあたたかい。
「愛」を感じる。
卯之町駅周辺でなにか食べようかと思ったけど、食べ物が売っているようなお店がちょっと遠かったので
来た列車でそのまま宇和島まで行ってしまうことにした。
ホームに戻ると下り特急の宇和海(アンパンマン列車)がいる。ちょうど出発するところだった。
よくよく見てみると、3両目だけアンパンマンラッピングが無い普通の2000系だ。アンパンマンが好きな子どもが興ざめしそうな編成、どうせならちゃんと4両アンパンマン車両にすればいいのに!
でもアンパンマン列車が1両検査に入ったりすると、こういう運用をせざるを得ない。
2000系アンパンマン列車を見送って普通列車に戻る。
長いこと停まっていたキハ54は、乗車後待ち望んでいたかのように出発した。
のんびり普通列車・・・
卯之町駅の次の駅、下宇和駅。
さっきあんなに長時間停まったのに、また10分近く停まるみたいだ。
まあ、のんびり旅だから全然いい。むしろ停車してくれた方が周りも見れるし楽しい。
周りは山ばかり。ちらほら家も見えるがすっかり田舎の景色だ。
運転手さんが退屈を紛らわすかのように、駅のトイレに行っている。
松山からずっと走ってきたキハ54も少々お疲れ気味?
上り列車と交換してから、再び宇和島を目指す。
予讃線の終着駅・宇和島駅に到着
宇和島までもう一山越えてから、伊予吉田駅で上り特急列車と交換。
今日3本目?だったかな、松山⇔宇和島間は「宇和海」が1時間に1本近く走っているからしょうがない。
そしてお昼過ぎに宇和島駅に到着!
お疲れ様と言いたいところだが、2番線に入線したキハ54は
このあと折り返し松山行きとなる。
折り返しの前に、清掃作業員が前面をブラシで掃除。
キハ54、気持ちよさそうだ。
宇和島駅の出発案内。
宇和島駅から松山方面へ一駅戻った北宇和島駅からは、高知県窪川駅まで「予土線」が延びている。(伊予の「予」と土佐の「土」を組み合わせて「予土線」)
予土線には「鉄道ホビートレイン」などいくつか面白い列車が走っている。
画像元:http://www.jr-shikoku.co.jp/01_trainbus/event_train/tetsudohobby.html
時間が許せばぜひ乗りたいが、今回は接続が悪そうなので見送った。予土線は本数が少ないので大変だが、ぜひ機会を作って乗りに来たい。
【追記】新幹線、乗ってきました。
JR宇和島駅前。
なぜか椰子の木が植えられていて、南国風。
四国でいえばたしかに「南国」かも?
四国に住んでいる人なら、台風中継で大きく揺れている映像を見たことがあるのかな?
あの椰子の木。
宇和島駅周辺をぶらぶら
帰りの電車まで1時間ほどあるので、駅周辺をぶらぶらする。
さっき駅前にあった椰子の木、駅前通にはもっとたくさん植わっている。
これだけ南国風な写真を見ると、宮崎とか鹿児島って言われてもわからないぞ。
宇和島と言えば「牛鬼」
商店街には至るところに牛鬼の小さなお面がある。
お正月明けだから、それなりに人がいるのかなと思ったけど
商店街の人通りは予想以上に少なかった。
お正月だから、なのかどうかはわからないが・・・寂れているのを実感せずにはいられなかった。
宇和島の中心街、こんなに人が少ないとは思わなかった。
人口減少の波はもうすぐそこまで来ている。。。
商店街横にあったお弁当屋「おふくろ亭」でお弁当を買う。
駅に戻って食べることにしよう。
名物のじゃこを使った「じゃこ飯弁当」、1コ300円。安い!
駅前にあった広場で、日に当たりながら食べる。
目の前には初代坊ちゃん列車が置いてあった。
かつての軽便鉄道で使われた車両。
今松山市内で走っている「坊ちゃん列車」のモデルだ。
宇和島のおいしいじゃこ飯を食べながら、”鉄分”も補給して宇和島散策を終えることにする。
この後は宇和島駅から松山方面へ戻る。時間がちょっと余るから、八幡浜で途中下車して1時間くらい散策することにしよう。
まとめ:伊予灘の絶景は必見。
愛ある伊予灘線を経由して宇和島までやってきた。
途中の下灘~上灘にある伊予灘の絶景はホントにスゴかった。
一面が青。
語彙力がない・・・ぜひご自分の目で確かめに来てくださいな。
伊予灘だけでは無く、南予には魅力がいっぱい。
主要都市の大洲や宇和島・内子は、
温暖な気候でひともまちもやさしい、素晴らしいところ。
歴史も文化もいっぱい詰まっているし、食事もおいしい。
松山へ来る機会があれば、南予のまち散策もおすすめです。
(予讃線特急なら日帰りで楽しめます)
お正月の予讃線日帰り旅をまとめています
愛媛県南部は「南予」と呼ばれます(伊予の南)
主要都市の大洲や宇和島・内子は、温暖な気候でひともまちもやさしい、素晴らしいところです。松山へ来る機会があれば是非南予へも足を伸ばしてみて(予讃線特急なら日帰りで楽しめます)
#がんばってます南予 pic.twitter.com/FAfigUxnH2— タケ|自転車と鉄道 (@take26confi) 2019年1月18日
#がんばれ!南予!
八幡浜散策・内子線のようすは次の記事にて紹介。
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