【峠越え】三河から信州へ~R153豊田市・飯田・伊那谷ツーリング|その1

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自分が住んでいる地域から延びるあの国道は

いったいどこまで行くのだろうか?

地図を眺めていると,その疑問に対する答えが見つかる.

この道は,名古屋からこんなところまで伸びているのか・・・途中の景色はどんなのだろうな__

***

そんな疑問に駆られて走ったのが
今回の「国道153号ツーリング」.

豊田市からスタートし,ひたすら国道153号に沿って走る.

最終目的地は国道153号の終点・長野県塩尻市.

豊田から塩尻まで,200㎞の道のりを2日間かけて走った.

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今回の記事は,その1日目.

愛知県豊田市をスタートし,豊田市山間部の森の中を快走.

途中県境までにいくつもの峠を越えて
100km先の長野県飯田市を目指す旅路.

国道153号のWikiGoogleMapを見ながら読んでもらえると,
臨場感があってより楽しんでいただけると思う.

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三州街道|豊田市~飯田

ツーリング記録の前に,国道153号について簡単に書いておく.

国道153号とは?

国道153号は,起点・愛知県名古屋市=伊那谷=終点・長野県塩尻市を結ぶ国道.

簡単にいうと,三河と信州を結ぶみち.
したがって,この国道は三州街道(または中馬街道,名古屋市内では飯田街道)と呼ばれている.
同じように名古屋と塩尻(終点は長野市)を結ぶ国道19号と,ダブルネットワークを形成している.(ちなみに,起点の名古屋市東区小川交差点は,北側に国道19号が接している.)

途中,豊田市・飯田市・駒ヶ根市・伊那市を経由する.

豊田から飯田までの間は,足助や稲武などの山間地域を走る.飯田までにはいくつか峠があり,最高地点は治部坂峠.そのあとの伊那谷や塩尻も標高が高いため,南(三河)から北(信州)へ向かう場合,峠の下りを除いては登り基調になる.

飯田から伊那までは,天竜川にそって南北に形成された「伊那谷」を走る.東西は中央アルプスと南アルプスに囲まれており,伊那谷は盆地になっている.そのため,比較的風が弱く,夏暑く冬寒い典型的な盆地気候.また,盆地内は南風が吹きやすい.

伊那谷を抜けると,塩尻の南側に,日本海と太平洋の分水嶺となる善知鳥(うとう)峠がある.善知鳥峠から北へ下っていくと終点の塩尻.

参考|国道153号 – Wikipedia

とまあ,こんな感じで結構盛り沢山な国道.南から北上する場合はずっと登り基調で,峠もキツイという自転車にはまあまあハードなルート.しかしながら,奥三河の山間部さえ抜けてしまえば,伊那谷はバイパスを快走できる.飯田から塩尻への勾配も,奥三河地域に比べればゆるい.そしてなにより,同じ信州へ向かう国道19号に比べれば,交通量が少なく車の流れも緩やかなのがうれしい.

つらいところも楽しいところもある国道153号.自動車でのドライブでは味わうことのできない,大地の起伏や風の強弱,そして沿道の風景をのんびり楽しむのが今回の旅の目的.

 

===

まえがきが長くなってしまった.

それでは,いってみよう.

名古屋から豊田市まで輪行

国道153号の起点は,名古屋市東区にある小川交差点.

名古屋市中心部から豊田市までは,市街地から日進のバイパスを通って抜けるルート.このルートは以前に走ったことがある(そして退屈な)ルート.ということで,今回は輪行することにした.

6時過ぎに起床.久しぶりの早起き.最近9時起きがふつうだったから,早く起きられるか不安だったけれど,ツーリングの朝はなぜか早起きに成功する.

朝食を食べ,最寄りの駅から輪行.

終点の豊田市へは,地下鉄鶴舞線直通の名鉄豊田線が伸びている.そのほか豊田市駅からは,愛知環状鉄道(高蔵寺=新豊田=岡崎)・名鉄三河線(海線・知立方面,山線・猿投方面)が伸びる.名古屋周辺からのアクセスは便利な豊田市.

週末朝の空いている地下鉄を走る名鉄電車で,久しぶりの自転車旅に心躍らせる.

 

豊田市駅に着いた.赤色バリバリの名鉄電車だが,この車両が伏見や八事(いずれも地下鉄鶴舞線の駅)に乗り入れるのもなんだか変な感じがする.

輪行を解除して,豊田市駅をスタート.

6月にしては強い日差しが,ギラギラと照り付けている.

豊田市駅周辺はきれいに整った都会的な雰囲気だ.

少なくとも地元の松山駅よりは,現代的なまちなみだと思う.

香嵐渓・伊勢神峠

豊田市駅前から市街地を抜け,すぐに田舎の風景が楽しめるようになる.

やや登り勾配な気がしなくもないが・・・焦らずゆっくり走る.

 

豊田から香嵐渓までの沿道は,だいたいこんな雰囲気.

なお,豊田市駅からのびる名鉄三河線は,かつて香嵐渓の方へも路線がのびていた.その廃線跡に残る市道や,架線柱の跡のようなものが進行方向左側に見られる.

営業区間の終着駅だった西中金駅跡地には,駅舎が残されていた.今回は立ち寄らなかったが,機会をつくって立ち寄ってみたいと思う.

 

R153に沿ってしばらく走ると,足助町にある紅葉の名所「香嵐渓」にたどりつく.

紅葉の時期には,R153は名古屋方面からの観光客で激しく渋滞することで有名.しかし,今の時期はそれほど混雑は見られなかった.バイクでツーリングする人はたくさん見かけたけど.

R153香嵐渓前の交差点

香嵐渓には以前に一度行ったことがある.紅葉が見ごろの時期は本当にきれいなので,一度行ってみるといいと思う.

今回は,すぐ近くにあるコンビニで1回目の休憩をとった.午前中だが日差しがキツイ.暑さに慣れていないからだは,日向に出ているとへばってしまいそうだ.5個入りのクリームパンをほおばって,空腹を満たす.

コンビニにあるサイクルラックのそばで,座り込んでパンを食べていたら,高そうな自転車に乗ったローディ2人組が入って来た.すごい高そうな自転車だ,これからどこかの峠でも登りに行くんだろうか?2人ともサイクルジャージでびしっと決めている.半袖短パンの下にタイツの自分とは,真反対なスタイルだ.

***

香嵐渓を出て足助の山の中を進んでいくと,今日最初の峠・伊勢神峠にたどりついた.

この峠は,そんなにキツイ坂はなくて,登り勾配のひとつのポイントにすぎないような雰囲気.でも,頂上には1200mもあるトンネルがあった.うっそうと茂る6月の緑に囲まれた,古めのトンネルだった.

伊勢神峠から少し下ったら,再び登り.

奥矢作ダムなどがある県道11号線へのアクセスルート・R490が分岐する「水別峠」まで登りが続く.

稲武の道の駅で休憩

峠を越えたら,しばらく下る.

下る途中,はるか下側に稲武の集落が見えてくる.

走っていて気持ちよかったけど写真は撮ってない…!自転車で走っていて楽しいところは,写真を撮るよりも走ることに没頭してしまうジレンマ...

というわけで,「道の駅どんぐりの里いなぶ」にて休憩.

県境をまたぐ移動の自粛が全国的に解除されて初めての週末.道の駅には乗用車でドライブに来たであろう家族連れと,バイクツーリングを楽しむグループが大勢いた.

そんな中,自転車でソロツーリングの自分は,空腹を満たすべく五平餅を頂くなどした.味が濃くてうまいんだこれが・・・!

五平餅うまい

ここで昼食を食べてもよかったが,最難関・治部坂峠の手前にある「道の駅信州平谷」まで30㎞ほどだったので,もうひとっ走りすることにした.

愛知=長野県境

道の駅いなぶから,一度下り,再び登り勾配に差し掛かる.

しばらく走ると矢作川が道沿いに合流してきて,愛知県と長野県の県境にたどりつく.

ここまでかれこれ5,60㎞走ってきたが,ようやく県境.豊田市がいかに大きいかを実感する.

県境には特に峠・トンネルなどはなく,普通の登り勾配の途中.

東側に矢作川が流れており,周囲はうっそうと茂る森に囲まれている.

名古屋市内では大都会の中を通る国道153号も,奥三河地方まで来るとこんなにも大自然に恵まれた環境を通っている.国道をただ走るだけでも,変化に富んだ風景を楽しめて結構面白い.

県境からしばらくは勾配がゆるやかになる.

 

茶臼山・津具・売木方面へのアクセス路となる県道10号線との分岐.このあたりには根羽村役場があり,根羽村の中心地となっている.先ほどまでの森の中とは異なり,それなりの数の民家や商店が軒を連ねている.

ここの分岐を過ぎてしばらくは,再び登り勾配がつづく.

さらに昼過ぎに差し掛かかり,気温は上昇.

ギラギラ照り付ける日差しと容赦ない登り勾配で,徐々に体力が削られていく.

勾配の終盤,信玄塚で小休止.自転車を置いてクリームパンの残りを食べながらぼんやりする.

信玄塚というのは,その名前からわかる通り,武田信玄最期の地らしい.この写真(道路からむかって左側)の位置にあるのは,後からつくられた神社.本物の信玄塚は,道路から降りていったところにあるらしい.

信玄公を祀る神社のおひざ元,木々によってつくられた日陰に入ってしばし休む.ビンディングシューズを脱ぐと,こもっていた熱がスーッと逃げて行って気持ちいい.

 

信玄塚から「道の駅信州平谷」まで,7㎞ほど.

途中,「ネバーランド」という道の駅があった.ネバ―=根羽(ねば)村..なるほど洒落がきいてる.

治部坂峠・寒原峠

道の駅信州平谷に着いた時には,もう昼の2時過ぎだった.

空腹を満たし,峠に挑むパワーをチャージすべく,食堂で「きしめんセット」を食らう.

あったかいきしめんと,すっぱい梅干しおにぎりが,疲れた体に染み渡る...

このとき,あろうことか,ここまでGarminのスマートウォッチで付けてきたGPSログを,誤って削除してしまった.したがってここまでの走行データを紹介することはできない.痛恨の極み・・・

さて,お昼を食べたら本日の最難関・治部坂峠(1187m)へ.

峠の裾にある道の駅から,峠の頂上までは5㎞ほど.標高差は250m.国道153号の最高地点を目指して登ってゆく....

正直,ここまでの登り勾配が長すぎたので,治部坂峠自体は意外とすんなり登れてしまえたというのが結論.途中,大きな橋からの景色が最高だったけど,写真を撮る余裕はなかった.

というわけで頂上の写真.

頂上にはスノーシェルターがあって,しかも峠の看板が登り勾配の途中にあるという・・・写真撮影殺しの峠だった.

 

治部坂峠からいったん下って,再び50mほど登り返すと,寒原峠がある.まだ標高は1000m以上.

気温は平地よりだいぶ低い.20℃というと,とても過ごしやすい快適な気温のはず・・・なのだが,治部坂峠までに太陽にさらされ続け,すっかり体温が上がってしまっている.というわけであんまり涼しいとは感じなかった気がする.まあ,それでも峠を登り切った達成感はあったかな.

そして寒原峠から飯田方面へは,7%の下りが7.5km先まで続く.飯田側からは絶対登りたくない激坂だ.

豊田からここまでずーっと登り基調でたまっていたストレス・疲労を,寒原峠からの下りで一気に解放!ところどころヘアピンカーブがあるものの,下りやすい坂だった.気持ちいいいいいい!

昼神温泉郷でスイーツを

標高を一気に400mほど下げ,7%の下りも一段落したところに,R256との分岐がある.

木曽山脈の南北にある,R19との連絡路の南側にある方がこのR256.これをずーっと進んでいくと,妻籠宿とか南木曽の方へ抜けられるらしい.南側には中央道恵那山トンネルが走っている.R256の途中には,飯田から大平峠を経由してくる大平街道(長野県道8号線)への分岐もあった気がする.

それで,R256へ折れてすぐのところにあるのが,「昼神温泉」という小さな温泉街.

このあたりは阿智村というのだけれど,その村の中にある観光地のひとつ.飯田までは10㎞少々下るだけ,まだ16時になっていなかったので,ちょっと寄り道していくことにした.

R256を進むと左側に所狭しと並ぶホテル・温泉旅館が目に飛び込んでくる.たくさんの宿があって,想像以上に栄えている温泉街だなあ・・・今度ぜひ泊まりにきたいと思いつつ,さらに温泉街の奥へ進んでみる.

温泉街の一番奥にあったのが,「ACHI BASE」という観光案内所.ここには展望喫茶もあったので,ちょうどいい,喫茶店でおいしいスイーツでも食べて休んでいくことにした.

カフェの展望座席からは,昼神温泉郷と阿知川の眺めを楽しめる.

峠を越えたご褒美に奮発した,1000円のケーキセット,川のせせらぎを聴きながら食べると最高にうまい.文化的な休息だ.

男一人で食べるには少々おしゃれすぎるが,気にしない.

カフェで体力と精神力をすっかり回復させたら,飯田市街に向けて下った.昼神温泉郷は,今度温泉宿に泊まりに行きたい.

飯田市街で1日目おわり

飯田市街に入ると,大きな商業施設が立ち並ぶ間を,R153がバイパスで抜けていくようになる.

今日のお宿は,そのすぐわきにあるルートイン飯田.例のごとくBooking.comで前日に予約した.

自転車旅でまともなビジネスホテルに泊まるのは久しぶり.

部屋からは中央アルプス(木曽山脈)が眺められた.素晴らしい!

夜ごはんは近くの吉野家で買ってきた牛丼(店員さんが気さくな方で面白かった).

大浴場で思いっきり疲れを癒してから,ホテルの部屋で食べた.

そのあとはホテル特有の”非日常感”を堪能しつつ,ゆっくり休んだ.

 

明日は伊那谷を北上して,R153の終点・塩尻を目指す.

まとめ:奥三河の大自然

走り始めと走り終わりこそ,それなりの規模の町だったけれど,それ以外はほとんど大自然の中を走った1日だった.特に豊田市=根羽村付近にかかる奥三河地方は,道の両脇に広がる緑と川のせせらぎが気持ちよかった.圧倒的非日常を味わえた.

普段名古屋市内を走っていると,国道153号がこんな大自然の中まで続いているなんてまず思わないが・・・実際に走ってみるとその実態がわかるものだ.

長くなってしまったので,2日目はもう1本記事にまとめようと思う.

国道153号サイクリング(2):飯田から塩尻へ~アルプスに囲まれた伊那谷を快走
アルプスに囲まれた,天竜川沿いの「伊那谷」を北上.沿道の深緑をじっくり堪能しながら,R153終点めざして快走.

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【走行ログ】
道の駅信州平谷~飯田市街まで

関連記事

153号とダブルネットワークを組む国道19号は,「木曽高速」とも呼ばれるトラック街道.中央道・恵那山トンネルを通行できない危険物積載車両や,大型トラックがバンバン走る流れの速い道路.2019年の夏に走って来たので,詳細は以下のリンクを参考にしてほしい.

名古屋から北へ延びる国道で有名なのが,国道41号.名古屋起点,終点は富山.この国道は(一部迂回したところもあるものの)夜通し走って,名古屋から富山まで行った.

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