【これも方言なの!?】伊予弁の話~生まれ育った松山の方言~

大学入学を機に名古屋に越してきて,4年近くが経った.

毎年夏,冬,春と3回帰省していたが,今年はコロナの影響で夏は帰省しなかった.

1回ぐらい帰らなくとも寂しくもなんともない,そう思っていたものの,11月末になって地元が恋しくなってきた.

家族,街の雰囲気,恋しいが出会えないものはいろいろある.

「ことば=方言」も,帰省したときしか出会えないものの一つだ.

塾講師のバイトなどで,方言は出なくなったと自覚している(が,実際はイントネーションとか全然違うらしい…(笑)研究室同期は語る).

方言を話す機会が減るのは寂しいことだと思う.方言は地方の文化であって,使い慣れた道具でもある.

 

標準語だと思い込んでいて,引っ越してから初めて方言と気づいた

愛すべき「伊予弁」について書いていく.

ちなみに,伊予弁は全国的にも結構人気がある方言らしい.

この記事を読めば,あなたも伊予弁遣いになれるかも?

(読みに来るのは,9割方地元の方と思われるが・・・(笑))

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中予(松山)の方言:現代でも話されることば

「伊予弁」と聞くと,愛媛県の方言をイメージする.

大まかにはそれで正しい.

しかし実際は,地域によって結構違った方言が使われている.

これは各地域が結びついている地方や,地域を隔てる地形などに原因があると考えられる.

愛媛県は,ざっくり3つの地域に分けられることが多い.

  1. 東予(今治,西条,新居浜など:愛媛県東部)
  2. 中予(県都松山:愛媛県中部)
  3. 南予(大洲・八幡浜・宇和島など:愛媛県南西部)

kwakkun – user:Lincunによるja:Image:ja:Image:包括自治体区画図_38000.svgを基に改変, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2264949による

自分が見聞きした分だと,方言も上記3地域で結構異なるらしい.

今回紹介するのは,自分が生まれ育った松山の方言である.

インターネットで「伊予弁」と検索してヒットするページでは,

今治や宇和島の人が使うような方言が,「伊予弁」として紹介されている.

あるいは,ものすごい古い方言が紹介されていることもある
(「~ぞなもし」なんて夏目漱石や正岡子規の時代!)

しかし松山育ちの現代っ子は,「そんな言葉使わないな~」という違和感感じることが多い.

松山で生まれ育った現代っ子が,どんな方言を使ってきたのか,

他県民に誤解されがちで,かつ,愛媛県民(特に松山市民)が外に出てカルチャーショックを受ける方言たちを書いていく.

まずは,現役バリバリで使われている方言から.

「~けん」:~だから,「~よる」「よんよ」:~している(肯定)

愛媛県に限らず,西日本ではよく聞かれる.

愛媛の方言と言ったら,まっさきにこれが思いつく.けんけん星人,愛媛県民.

名古屋に来て,塾講師のバイトをやっているうちに出なくなってしまったが・・・

地元に帰って友達と話していると,自然と出てくる「~けん」と「~よる」「~よんよ」

意味としては,「けん」は「~だから」「~よる」「~よんよ」は「している」が最も近い.

見ている,食べている,聴いているなど,現在進行形の動詞はすべて,「みよる」「たべよる」「ききよる」という風になる.

伊予弁が柔らかいといわれるのはこのあたりの表現からだと感じる.

=============

例)「今日は雨やけん(だから),傘持って行きよ~(行きなさいよ)」

「テストの点がよかったけん(よかったから),こうてもろたんよ(買ってもらったんだ)」

「そんなことしよるけん(しているから),いつまで経ってもできるようにならんのよ(ならないんだよ←これも怪しい?)」

「ちゃんとみよるけん(見ているから),大丈夫よ」

「市駅(松山市駅,後述)にいきよるんやけど(行っているけど),どこにおる(いる,後述)?」

動詞+「~よん」:~しているの?(疑問)

先の「~よんよ」の「よ」が抜けると,「~よん」になる.four(4)ではない.

これで疑問・質問を意味する.

=============

例)「なんしよん」:何をしているの?めちゃくちゃよく使う.

「どこ行きよん」:どこに行っているの?

「なん食べよん」:何を食べているの?

「ほ~なん」「ほ~よ」:そうなんだ,そうだよ

こういう名前のローカル番組があるくらいには有名.

会話の中で,「そうなんだ」とか「そうだよ」というあいづちの意味でよく使われる.

伊予弁が「やわらかい」と言われるのもうなずけるような,ふんわりした方言.

さきほどの「~けん」とつなげると,「ほやけん」=そうだからの完成.

よくマダムの会話で登場するイメージ.

「ほ~よ!ほ~なんよ!,ね~あそこの○○さんはほんとに…ほやけんよ!びっくりしよーほんとに…」など.

「かまん」「かまんよ」:いいよ,大丈夫だよ

質問,提案に対して,肯定の答えをするときに使う.

かまんよ」は「~してかまいません」「~してもかまわない」がなまったような感じ?

例)「○○行ってきてかまん?(行ってきてもいい?)」「かまんよ~(いいよ~)」

「激チャ」:自転車による全力疾走

激しく自転車(=チャリ)を漕ぐことに由来すると思われる.

自転車通学の学生が多い田舎ならでは?の方言.全国共通だと思っていた.

松山市だと,平日朝8時前後に市役所・県庁・城山公園あたりで見られる(完全に内輪ネタ).

ちなみに数年前から,自転車通学の県立高校生はヘルメット着用が義務化されている.ヘルメットで「激チャ」はもはや松山の名物.

例)「激チャしてギリ間に合ったんよ~」

「市駅」:伊予鉄松山市駅およびその周辺

四国最大の乗降客数を誇る伊予鉄道のターミナル駅.実質的な松山市の中心駅.

ちなみに「松山駅」はJRの松山駅のこと.松山駅→松山市駅は伊予鉄の路面電車で移動することができる.松山駅は市内西側にあり,存在感が薄い.最初は伊予鉄道が「松山駅」を名乗っていたけど,国鉄に譲ったとか?それで伊予鉄の方がターミナルになっているのはなんとも皮肉な話...

市駅上にある伊予鉄高島屋の頂上には,建物を沈下させていると噂の「くるりん」(観覧車)がある.夜中になるとライトアップされて,NHKのニュース開始・終了時等の映像に流れる

ちなみに,青看板にも「Shieki」と表記されていた(最近はMatsuyama-shi Sta.とか Matsuyama-city Sta.に直されているのかな?).

そのほか:標準語と思ってました…

路面電車から眺める大街道付近の街並み.「まち」といえばこのあたりのことを指す.

ここまで上げてきたもの以外にも,たくさんの特徴的な方言がある.

思いつく限り+ネット上で上がっているものでよく使うものをたっぷり紹介.

このうちのいくつか,標準語と思ってるの恐ろしい...(笑)

「行ってくる」「行ってこーわい」:行く.行って,来るではない.後述の帰ってくるの方が有名だけど,こちらも他県民に誤解されそう.たとえば「トイレ行ってくる」の場合は,トイレに行く→戻ってくるの意味.しかし,松山市民だと「行ってくる」はふつうに「行く」の意味でも取られる.「行ってこーわい」と言われても,その場で待っていてはダメだ(笑)

語尾の「~れん」:「~してはダメ」例)「食べながらしゃべられん(しゃべったらダメ,しゃべらない)!」

「おらぶ」:叫ぶ,本気で標準語だと思っていた.

「おる」「おらん」:居る,居ない.折るではない.

「いかん」:ダメ,よくない.「ええよ」の対義語.don’t goではない.

「めんどい」:面倒くさい.これも標準語だと思っていた.

「かやる」「かやす」:こぼれる,こぼす.料理を運ぶ時,母によく「かやされんよ~」と言われた.

「机をかく」:机を運ぶ.かなり有名.神輿を担ぐとかからきているのかな?秋祭りの喧嘩神輿・鉢合わせは松山の誇りですね.愛媛県民は普段おだやかだけど,お祭りは好き(太鼓祭り,牛鬼祭りなど)

みこしぶつけ合う「鉢合わせ」最高潮 松山地方祭

「いがむ」:ゆがむ

「もぐ」「もげる」:とる,とれる・外れる.もぎたてテレビは,南海放送(日本テレビ系)の長寿番組.例)「思いっきり引っ張ったら,取っ手がもげたわい(取れたよ)」

「いろう」:触る,否定の命令形は「いろわれん」=触らない,けがしたときによく母に言われた.

「いきし,かえりし」:行く途中で,帰る途中で.これも本気で標準語だと思っていた.例)「今日弁当いるん?」「学校のいきしにセブンイレブンで買っていくけん,かまんよ~」=「今日はお弁当必要なの?」「学校へ行く途中にセブンイレブンで帰っていくから,必要ないよ~(いらないよ~)」←標準語が本当に標準語かも怪しい...愛媛県にセブンイレブンが上陸したのは,僕が高校生になってからだった.衝撃.四国はローソン王国です.

「さら」:新品.「さらピン」もよく使われる.例)「このシューズ,さらよ(新品だよ)~」

「つい」:同じ,似ている.1対2対から来ている?

「まっつい」:「つい」よりも強い表現.例)「あそこの兄弟は,ほんとにまっついよ~」※現代っ子はあんまりつかわないかも?

「ラーフル」:黒板消し.これを綺麗にするものは「ラーフルクリーナー」.全国共通かと思っていた...

「しょって」「しょう」:背負って,背負う.「かるう」はもう少し古い表現かな.例)「ランドセルしょった(背負った)新1年生が歩きよらい(=歩きよる+~しよらい:歩いているよ~くらいのニュアンス)」

「むつこい」:脂っこくてしつこい.例)「あげもん(揚げ物)ばっかりでむつこい(しつこい)」

「しゃぐ」「しゃがれる」:車等で轢く,轢かれるの意.例)「しゃがれるけん(轢かれるから),飛び出されんよ(飛び出さないように)!」

「のける」「のく」:除ける,取る,取れる.例)「シミついとったけど,洗濯機で洗ったらシミのいた(落ちた)わい」.語尾の「わい」は,特に年配の人が遣うイメージが強い(後述)

「うさす」:失くすの意.消え失せるの「失せる」が近いかな?

「とう」「とわん」:届く,届かない.例)「あそこの棚やとギリギリとわんわ(届かないよ)~」

「たべさし」:食べ残し.

「ぬくい」「ぬくめる」:温かい,温める.例)「冷蔵庫にカレーあるけん(あるから),電子レンジでぬくめて(温めて)お食べ~」

「ひやい」:冷たい.「ぬくい」の対義語.

「ようけ」:多く,たくさん.
例)「今日は”まち”にようけ人がおったよ~」=「今日は大街道(あるいは銀天街=いずれも市中心部にあるアーケード街)にたくさん人がいたよ」.
松山市民は,市内随一のアーケード街・大街道周辺のことを「まち」という(特に中年以上).お隣・松前町に県下最大級のモール「エミフル」ができてからは,あまり使わないかな?

「はよ」「はよせい」「はよして」:早く,早くしろ,早くして.急いで.例)「バス来るけん(来るから),はよ(早く)行かな(行かないと)」

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中予(松山)の方言:ちょっと古い?ことば

美しい瀬戸内の海

次に,自分よりも上の世代(祖父母,両親)が遣っていた方言たち.

自分の世代ではほとんど話さないけど,まあ意味はわかるかな~くらいのことば.

「もんた」「もんてきた,もんてくる」:戻った,帰った・帰る

ファイナルアンサーやらケンミンショーやらの司会者ではない.

じいちゃんがよく言ってたのを覚えている.

今でも,名古屋から帰ってじいちゃんの家にいくと,

「おー!(タケ),もんてきたんか(帰って来たか)!」

と言われる.

でも,親より下の世代の人がいうのは,あまり聞いたことがない.

「帰ってくる」:若い人はあまり使わない…?

「行ってくる」よりは頻度が低い.

使うことはあるかもしれないけど,若い人は普通に「帰るわー」くらいだったかな.

自分もあんまり使わなかった記憶がある?

他県民にうっかり話すと誤解を招くのは,有名な話.

帰ってくる=かえってからまた来る,と誤解されていつまでも待ってたみたいな話は,よく年上の人から聞いたことがある.

動詞+「~わい」:~する,します

先の「帰ってくる」「もんてくる」とあわせた

「かえってこーわい」「もんてこーわい」は,

じいちゃんが帰るときの決め台詞だった.

そのほか:よく母に言われました

「はぶてる」:拗ねる,機嫌が悪い.子供に対して使うことが多いのかな?

「びんだれ」:だらしない.うちの母は,下着がだらっとでている状態のことをよくこうやって言っていた.

「おせらしい」:大人びる,大人っぽくなる.子供のときの友達の母親とかに,久しぶりに会うといわれる.例)「どしたん!おせらしなって~」

「つばえる」:(遊びで楽しげに)暴れる,騒ぐ.よく母に「つばえられん!ケガするよ!」と叱られた.頭に「ど」がつくと「どつばえる」=激しく暴れるになる.

「こまい」:小さい,細かい.

「はみご」:仲間外れ

「どうならい」:(先を案じて)もうどうにもならないぞ(と心配する)の意.例)「あんなになってしもて,どうならい」

ほとんど使われないけど有名なことば

「だんだん」:ありがとうの意.じいちゃんも使っていないくらいだし,現代の愛媛県民はほとんど使わない?

「~ぞなもし」:小説「坊ちゃん」で一躍有名に?現代人はまず使わない.

「じゅるたんぼ」:水たまりの意.田舎の人は使っているかもしれない.

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まとめ:柔らかくて優しい方言です

伊予鉄道の車両はオレンジ色になった

中予地方の伊予弁は,京阪神寄りのことばらしい.

実際,関西弁の中には,愛媛県民に通じる言葉が多い.

たしかに,僕が名古屋に来てから,他県民と話していると,「イントネーションがちょっと関西っぽい」と言われることもあった.

 

また,言葉の雰囲気は,非常に柔らかい.

温暖な気候でのんびりした性格,保守派で長いものに巻かれる松山市民の特徴が方言にも丸出しなのだ...(笑)

ベビースターはチキン、アイスはバニラ味な保守王国だが、仕事より趣味に生きる傾向がある。のんきな半面、一度決めたら人の話もそこそこに目的地まで突っ走る傾向があるが、それゆえ、自分がどこに向かっているか分からなくなって立ち往生する(伊予の駆け出し)。

四国 あなたの県はどんなキャラ? | うちのトコでは 特設サイト | 飛鳥新社

 

ちなみに,瀬戸内海を挟んだ広島の広島弁を柔らかくしたのが伊予弁,とも感じる.

(広島だと,語尾が「~やけん」ではなく「~じゃけん」となる)

 

こうやって方言を想像しながら書いていると,ますます帰省したくなってきた.

12月末が待ち遠しいなあ~

まつやまはええとこやけん,いっぺんおいで~

もぎたてのみかん食べて,道後温泉入ってぬくもって行きよ~!

↑県民性擬人化マンガ「うちのトコでは」作者のもぐらさんは,われらが愛媛県出身です.

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このブログを書いている人

タケ

自転車・鉄道で旅する理系大学生.一眼レフ片手に,ぶらぶら気ままに出かけます.自転車はロングライド,キャンプツーリング,鉄道は乗る・撮る・聴くのが好き.

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